現場を知ることについて話を伺いました。机上で戦略の議論と判断をするに際しては、現場を知っておくことが不可欠です。現場を知らずして解決策を導くことはできません。
ある会社で出張所を廃止する計画がありました。本部では業務効率化の観点から廃止を決めたのです。しかし現場で働く人の意見を聞くこともなく、出張所に住むこれまでお世話になった地域の人の意見を聞くこともありませんでした。効率的な仕事を志向するには情は必要ありませんが、会社が存続する限り仕事は継続的に続くものです。ですから現場や地域の皆さん声を聞き、少しでも意向を反映させることは次につながる大切なことです。
出張所を廃止することは単なる仕事だと思うと現場を知らないでも行えますが、事業の継続的発展を思うのであれば、現場を知り現場の意見を聞くという行為は大切なことになります。
この出張所廃止の問題に関してある本部の社員は、休日を利用して廃止の対象となっている全ての出張所を自分で見てきたそうです。地域との関わりや廃止することで問題は起きないかなど調査したのです。そうして本部と現場がこの廃止の問題を話し合う日が訪れました。現場サイドは存続についても言及したのですが、結果として本部の方針に従うことになりました。それは現場を調査した本部の人がいたからです。現場の状況や起こると思われる問題への対応について、全て方針を出していたからです。
現場は本部がここまで現場のことを知っているとは思っていなかったし、自分たちが思っている予想される問題に対応してくれることを知り、出張所の廃止に同意したのです。
現場を歩く、知ることは仕事を進める上でとても大事なことです。そして現場に仕事や出張で行くと本当の形を知ることはできませんが、休日を利用して訪れることは素晴らしい行動力であり現場力です。
話し合いの中で本部から「あの角のお店のおばあちゃんの話しによると・・ということでした」、「このまちに一年前にコンビニが進出しているので利便性は損なわれないと思います」などの現場の声を聞かされると、常套句である「本部は現場を知らないで」という反論は封じられます。
人は分かっていても、自分の意見と異なる合理的な判断には従うことを嫌う場合があります。その合理的判断の中に情の部分を含めてくれると、反対するにしても納得性は高まります。現場を知るということは相手の立場を配慮することです。「あなたの立場は理解していますよ」と思ってもらえると、物事は解決に向かいます。
常に最新の現場を歩く、知っておくことは将来につながります。仕事に従事している時間だけが仕事の成果をあげるものではないことを知っておきたいものです。
告別式に参列するために海南市の会場を訪れました。お亡くなりになった方の80年の人生の扉を閉じたこと、心からお悔やみ申し上げます。人生の扉を閉じる時、どんなことを思うのか分かりませんが、生きることへの意欲や執着というようなものがあるのかな、と思います。
私達は人生の扉を開けて生きています。その扉が閉じるまでの大切な時間をどう過ごすのか。人に与えられているテーマです。答えを探す旅は人生の扉が閉じられるまで続きます。だから生と死に出会えた今日の日に感謝しています。
落合莞爾先生の新しい本を買いました。いつも落合先生の歴史観に触れる機会を楽しみにしていますが、新作発売のことは先日訪問した時に聞いて楽しみにしていました。
この本は落合秘史の三部作です。明治維新の立案実行者について書かれているということなので、今日から楽しみにページをめくることにしています。