活動報告・レポート
2013年8月6日(火)
和歌山県の観光

東京での懇談の中の話です。大阪在住の人が白浜町という場所に憧れを持っているという話を聞かせてもらいました。大阪市内に住み白浜町に別荘を持ち週末は白浜で過ごすことが素敵な生活だということです。事実、この経営者の友人達は白浜町に別荘を持って週末は白浜町民となる生活をしているようです。そんな生活に満足感があり、「白浜はとても良いところですよ」と話してくれているのです。

月並みですが青い海と温暖な気候、ゆったりと時間が過ぎるのを楽しめる空間はリゾート地の要素を持っています。大阪市から近いリゾート地としての白浜の価値は、和歌山県人が思っているよりも高そうです。

そう言えば全国的に白浜は賑わっていると聞くことがあります。海水浴、パンダ、温泉、これらが白浜に備わっているので、季節を通じてリゾート感を味わえる場所だという評価です。こんな評価を聞かせてもらえると嬉しい気持ちになります。

ただ東京からは距離も時間的感覚も遠いのです。そして羽田と白浜間は飛行機が運航されていますが、運賃が高いことが利用者の増えない原因になっています。和歌山県から東京に行く時は、ツアーパック商品があり3万円台で行くことができます。しかし東京から白浜に行くためには正規料金の場合が多く、5万円から6万円が必要となります。加えて夏場はホテル宿泊料金が高くなるので、それ以上の値段になることがあります。それでは比較的近い外国のリゾート地との競争に負けてしまいます。

大阪から評価されていても東京から評価されていないところが白浜町の弱さです。首都圏から来てもらうための価格設定、飛行機の利便性向上などが課題です。

ところで高速道路延伸に関して白浜町の一部の反応を聞くことができました。紀伊田辺まで高速道路が延伸したことで、白浜町は大阪から日帰りで来ることが可能な時間距離になりました。そのため「お客さんが来てくれるけれど宿泊しないで帰ってしまう。高速道路はない方がよい」という話が出たそうです。

この後向きの意見に対してある人は、経営者がこんな考えをしていると地域としての活力が失われる要因になると感じたそうです。高速道路が開通することによって、今まで白浜に来てくれなかった人も来るようになる機会が提供されたことになります。機会が得られるのですから、そのお客さんに来てもらえるしくみやサービスの提供を行うことを考えるべきであって、お客さんが宿泊しないで帰ってしまう批判を道路行政に対して行うべきではないと思います。

道路は地域にとってチャンスです。観光や物流、日常の利便性向上など、道路がなければ得られないものがありますから、高速道路を活かした地域作りも検討材料です。これまでのように店先に商品を並べているだけで売れた時代は、すっかり過去のものです。高速道路が延伸して売り上げが落ちたのではないと思います。時代に対応した売り方をしてこなかったことが原因かも知れません。

日帰りで帰るお客さんもあれば、これまで来なかったお客さんに来てもらえる機会も増えています。後者のお客さんに再度来てもらえる取り組みを、観光地であるなら目指して欲しいと思います。道路行政は観光にも資するものです。紀伊半島の南の地域の主要産業は観光ですから、高速道路が紀伊半島を一周する時代が間もなく到来することを念頭においた施策を検討して欲しいものです。

時代を先読みすることがリーダーの役割です。道路行政は比較的近い将来を描いていますから、それに基づいた積極性のある経営計画を打ち立てて欲しいものです。和歌山県の南側には、本州のリゾート地的な観光資源が溢れています。