就職に挑戦している学生と話をすると希望とやる気が沸いてきます。夏休みを前にして内定が取れていない学生は就職活動に力が入っています。ここまで来て最大の難関は面接です。一人の学生と会って来週の面接試験について話をしていました。そこに元銀行の人事担当役職であり元支店長が来ました。全くの偶然ですが。しかしこれもご縁ですし素晴らしい偶然だと思います。歓迎すべき偶然が訪れた時、停滞している物事は進展するものです。そんな予感がする出来事でした。
人事担当からの話からすると会社が求める能力は次のようなものです。
一番はコミュニケーション能力です。上司や同僚に好かれること。そしてコミュニケーションが図れることが重要です。一般的なパソコン活用力があれば、実務能力や専門知識は入社してから身につけられます。知識や技術よりもコミュニション力があることが条件です。
こんな事例を話してくれました。本店から支店長として現場に出た経験からの話です。いくつかの支店を回って業績の悪い支店に共通点がありました。それは支店内の雰囲気が良くないことです。執務室が汚い。会話がない。空気が澱んでいる。職員同士の交流がない。そんな支店は業績が上がっていなかったのです。
仕事も大事ですが、それより大事なことは支店内の雰囲気を変えることだと考えました。この支店長は本部に対して、「数ヶ月職員と遊ぶので業績回復まで少しだけ時間を下さい」と伝えました。それから行ったことは朝早い目に出勤して、職員さんと何気ない会話をしたことです。そして当時の銀行は夜遅くまでの残業は当たり前でしたが、夜7時には退社することを決めました。もうひとつが担当毎に懇親会を行ったことです。
朝出勤時間を早くすることで、職員さんと話をする時間が確保できました。これは支店長と職員との会話だけではなくて職員同士の会話にもつながるものです。出社して直ちに仕事に取り掛かるようでは、会話はありません。少し早い時間に出社することで上司と部下、同僚としての会話が交わされるようになりました。
残業を短縮することで、家族と過ごす時間を長くすることと、明日に備えることを重視しました。残業が続くと明日の出社が嫌になる時があります。眠い頭で仕事を開始するよりも、疲れを回復した状態で仕事に着手することを始めたのです。
そして懇親会の開催です。担当毎で仕事を終えた後に支店長を交えて懇親会を行いました。支店長との意見交換と同僚とのコミュニケーションが高まり雰囲気が良くなっていきました。
総合すると、少し早く出勤することで出社してから仕事までの時間が取れるのでお互いの会話が始まったこと。残業を減らすことで家族とのふれあいとダラダラ感を払拭できたこと。懇親会を開催することでコミュニケーション力が高まったこと。これらのことを続けたことで支店の業績が上がりました。
このような成果があったことから、この元支店長は業績の悪い支店ばかり異動することになったようです。異動する支店は同じように雰囲気が良くなかったので、同じ方法でコミュニケーションを図ることから始めたようです。その結果、どこの支店でも業績が上がりだしたのです。
つまり専門知識があっても一人が仕事をしたとしても、支店全体の業績向上にはつながらなかったのです。それよりも支店の雰囲気を良くすることでチーム力を高め、チームプレイで支店の仕事をすることで業績が上がったのです。
チームプレイを行える人材はコミュニケーション能力の高い人材です。会社が求めるのは、高いレベルでチームプレイができるコミュニケーション能力を持った人材なのです。
こんな具体例を示して企業が求める人材の能力を伝えることができました。入社していないのですから専門知識がないのが当たり前です。コミュニケーション能力があるので自信を持って面接に挑んで欲しいものです。