和歌山県沖の海流を利用した発電技術に関して打ち合わせを行いました。海洋再生エネルギーとして黒潮の持つエネルギーの潜在能力はとても高いのです。NEDOの「海洋エネルギーポテンシャルの把握に係る業務成果報告書」によると紀伊半島沖の黒潮のエネルギーポテンシャルは200,333Mwもあり、他の地域の海流と比較しても最大です。このエネルギーは潮流や波力によるエネルギーに応用できる可能性を秘めているもので、将来の事業化に向けた技術開発を行うには実証フィールドとして最適な地域になっています。
国に対しても「和歌山県沖を海洋再生エネルギーの実証フィールドに選定すること」という政府要望を提出することにしていますが、洋上風力を含めた海洋エネルギー資源の活用について話し合いました。これから計画を進めるために必要なことは具体的地点とスケジュールです。地点を選定しないことには協力依頼を行うことはできませんし、スケジュールが決まっていなければ協力する時期が分からないので曖昧になります。
候補地点である海域の方も話し合いに参加してくれましたが、場所とスケジュールを具体化してくれないことには周囲の関係者に依頼はできないという話でした。当然のことだと思います。協力の依頼をするにはある程度具体化した計画である必要があります。何時、どこで誰が主体となって進めるのか分からない計画に誰も協力はしてくれません。
計画を進めるためには資金を持った事業主体と計画地点と開発スケジュールを確定させる必要があるのです。具体化できないものは具体的に進むことはありません。困難はあるとしても見切り発車的に動くことで道は開かれます。机上で計算していても動かなければ計画は進展しないのです。
課題を見つけて潰してから動こうとしても計画は進みません。動きながら次々に発生する課題に対応して乗り越えていくことで計画は進展するのです。
この海洋資源の活用は可能性未知数ですが、仕掛けをしなければ可能性だけで終わってしまいます。どんな計画でも可能性はあるのですが、可能性があるというだけで終わるのは具体化できないことと動かないことが原因です。
可能性があるということは良い意味に捉えたいものですが、可能性があるだけでは将来においても可能性があるという事実があるだけに終わります。可能性がある地域というフレーズは、これまで挑戦していない地域であるということです。
今回の海洋資源開発は和歌山県が持つ高い潜在性を秘めた資源です。今回の機会を逃せば、将来とも可能性を秘めただけの地域の計画で終わります。大きな機会はそれほど多く出現してくれません。地点のとなる地域の方の協力も得られる予定ですから、計画を具体化させて協議を進めたいと考えています。
参考までに北九州市の洋上風力発電計画について説明をいただきました。Jパワーが事業主体となって地元、北九州市と共に計画を進めています。北九州市の埋め立て地沖の海上に洋上風力を100基以上設置する計画案です。これだけ大規模な計画を進めているのは事業主体があり計画を具体化させていること、そして地元行政機関の本気度があるからです。行政機関が本気になることが計画を進める原動力となります。可能性がある計画に対して行政機関が本気になってくれる地域でありたいものです。
近畿大学生物理工学生物工学科の鈴木高広教授から、芋エネルギーの活用に関して説明を受け状況について話し合いました。鈴木先生は日本全体の代替エネルギーの必要量は2,000万TJと試算しています。その分を芋から取り出すエネルギーで代替しようと考えているのです。詳しい説明は割愛しますが、今まで以上の数量の芋を生産することで、食料としての芋とエネルギーとしての芋として活用が図れます。芋を乾燥させてチップとしても、エタノールを発生させた形で活用することもできるのです。
その将来の可能性について話し合える機会を持てました。将来性のある話には夢があります。可能性がある限り動きながら課題を克服し、挑戦し続けることが大事なことです。
現在利用されていないものはまだ具体化できていないことですから、否定的な意見が多く聞かれます。しかし現在できないからといって将来もできないとは限りません。できる可能性のあるものに挑戦しているとできるかも知れないのです。
そんな可能性を感じながら話し合いを終えました。これからも研究と具体化する作業は続くことになります。