午前6時30分から主に経営者の皆さんが出席する研修会に参加しました。この研修会では、交代で講師を務めています。今日の講師は書道家の山西未成子さんです。墨象作家でもある山西さんが書道の魅力について話してくれました。
学生時代は書道家に師事して長い時は一日5時間もお稽古したそうです。その高名な書道家は、書道の技術については伝えたいものを伝えてくれたのですが、それ以外に精神的なものなど伝えてくれたのが今につながっています。それは書道だけをするのではなくて音楽や映画、絵画、スポーツなどを観て、またファッションにも関心を持つことで心の領域を広めることが書につながるからです。書道とは古いものを知り、新しいものを創造していく仕事です。過去の書道家の技術を真似て、そこに潜んでいる心を知ります。そしてそれらの基礎を基にして自分の書を作り上げていくのです。書道とは哲学のようで過去の書道家の思想や歴史的背景などを学び、良いものを感じ取る力を養うのです。
基礎ができて自分の作品に取り掛かります。お稽古では先生から渡された手本を基にして、何度も筆で修正されます。そして帰ってから自分で練習することを繰り返します。
書の作品は1,000枚書いたところで準備段階を終えることになるそうです。100枚や200枚書いただけでは話にならないそうです。1,000枚を書き終えてウォーミングアップ終了で、そこから文字の配置や空間を形成していき、作品を通じて自分の世界観を確立させていきます。ここまで到達すると技術ではなく世界観なのです。2,000枚も書くと、描いていたイメージが表現できるようになり、そこから不思議な世界に到達します。イメージを超えて天から何かが舞い降りたように勝手に文字が紙に書かれていくようになるのです。イメージを超えて表現されるものが作品として仕上がります。
多い時は一つの作品を仕上げるのに6,000枚も書くことがあるそうです。ある年には仕事の依頼を受けたことから8作品を書き上げました。8作品を書き上げるのに要した枚数は、何と12,000枚だそうで、1作品あたり2,000枚を書いたことになります。出展、または年鑑などに掲載する作品に仕上げるためには、それだけの枚数を書かなければならないのです。100枚や200枚ではない、1,000枚を超える枚数を書いて人に見てもらえる作品になる。その精神力と世界観が人を魅了することになります。
最初から才能を持つ人はいません。書道のお稽古は相当な時間を掛けていますが、毎日ひとつのことを3回、15分を続けることで、そのことが自分の才能になっていきます。才能がないのではなくて、才能を作り上げることをしていないだけです。毎日同じことを繰り返すことが才能へと変化させるのです。才能は与えられるものではなくて、自分で作り出すものです。作り出すために必要なことは毎日一つのことを続けることだけで、それ以外はありません。
続けたことが才能になる。それを覚えておきたいものです。
最近のエネルギー政策を巡る動きについて説明を聞かせてもらいました。この前段として平成25年2月の安倍首相の施政方針演説があります。
これは「世界の優れた企業は、日本に立地したいと考えるでしょうか。むしろわが国は、深刻な産業空洞化の過大に直面しています」。そのため「長引くデフレからの早期脱却に加え、エネルギーの安定供給とエネルギーコストの低減に向けて、責任あるエネルギー政策を構築してまいります」と述べていることがあります。
そこから二の論点がでています。ひとつは原子力規制委員会で安全が確認された原子力発電所は再稼動すること。もうひとつは原子力依存度を低減させていくと同時に、電力システムの抜本的な改革にも着手することです。この二つの課題が国で検討されているところです。産業の競争力を確保するためには安価で安定したエネルギーの確保は不可欠であることから、それを達成するための検討がされている段階です。
この中で鍵となるのが石炭火力発電に対する環境アセスメントの規制改革と、米国のシェールガス革命があります。シェールガスの埋蔵量は120年と推定されていることから、米国はガス産出国になる見込みです。ガス供給が世界的に構造変化をすることになりますから、わが国の対応はとても重要です。
この先の議論と結論は割愛しますが、これらの課題を中心に丁寧な説明を聞かせてもらいました。
エネルギー政策の説明を受けた後、懇親会に出席して参加している皆さんと交流をさせてもらいました。