都市部を中心に不動産価格が上昇しています。立地条件の良い場所の土地価格が上昇しているなど資産価値が高まり融資案件も増えていくような気配です。ただし地方都市においては実態として上昇気配はありません。
ところで企業誘致に関しては状況に変化は感じられません。金融緩和によって融資と設備投資が増えると思いますが、まだ企業の設備投資まで至っていないので、これからの動向に注目しています。
ただ災害復旧工事を初めとする公共工事は増えていて、多いところでは昨年度の二倍以上の工事を請けている会社もあり、資金と人材が必要な状況になっています。どちらも不足している様子もあり、金融機関の支援と技術者の動員が求められています。
さて企業誘致に関してですが、紀の川市打田に平成24年9月に北勢田第2工業団地が完成しています。同地域の第1工業団地は既に進出企業で埋まっているため新たに造成したものですが、一区画の進出が決定し現在工事中です。残りの区画もあるので和歌山県内に進出を検討している企業には是非とも現地を見て欲しいところです。
物流や誘致したい企業に関して紀の川市は次のように記しています。
「京奈和自動車道打田IC(仮称)から約1分、関西空港まで約35分、さらに大阪南港まで約60分と、物流の面から見ても立地条件が整っています。
この北勢田第2工業団地は、企業立地促進法に基づいて策定し、国の承認を得ています「紀ノ川企業集積ベルト地帯構想」の最重点地域であり、今後の企業誘致希望業種としては、「情報家電関連」「新エネルギー関連」「地域資源活用型産業」に属する製造業の集積を目指し、周辺地域に集積されている企業と共に発展できる企業の誘致を行いたいと考えています。」
和歌山県内に企業が進出してもらうことは最重要課題のひとつであり、地域経済、雇用を始めとする効果があり、和歌山県も各市町村も進出を検討している企業を全面的に支援する体制を整えています。
大手企業は国内よりも海外への進出や移転を検討しているようですが、地方都市の企業用地にも注目をしていただきたいところです。大手企業の中には、中国進出の次はインドを目指しているところもあります。政情が安定していることや人件費、人材の問題、市場規模などからインドは有望な市場になっています。地方都市はこれらの国とも競争しなければならないので、国内都市間との競争と共に今までとは違った国とも誘致合戦が必要となります。和歌山県知事はそれを見越してタイを訪問し、次はインドを訪問する予定になっていますが、現地視察を行った上で和歌山県の優位性を見出して、支援制度を拡充して欲しいと考えています。
既に大手企業の工場は、北米や東南アジアなどに進出していることから、円安の効果は「思っているほどのことはない」と話してくれる関係者もいます。人件費が安く関税も必要ない現地生産体制を取っている大手企業は多数存在しています。そのため国内産業空洞化が言われているのですが、これ以上にならないように地方都市も企業立地を強化する必要があると考えています。
受け入れる側も企業に来てもらえるインフラ、道路整備、人材の確保補助制度を初めとする体制を整えたいところです。一部企業の工場が建設中の第2工業団地を見て、現場に動きがあると地域に期待が芽生え、活性化することを感じます。和歌山県を挙げて支援体制を整えているので企業進出を歓迎しています。
依然としてメガソーラーなど新エネルギーの動きが活発です。各地で建設や準備中の案件があり協議が進められています。ただ太陽光パネルは円安の影響で価格が高騰していることや、技術者が不足していること、製品が不足していることなどから、パネル納品や設置まで1年以上必要な箇所も出てきています。
あるメーカーでは、太陽光パネルの生産能力限度いっぱいまで稼動していても供給が追いつかないようです。生産規模を拡大すれば良いと思いますが、太陽光発電所の建設がどこまで続くか見通しが立たないため、製造工場を拡大する考えはなく、現状の供給体制で稼動させているのです。現在、活況であっても将来の市場予測が不透明な場合、生産規模を拡大する経営判断はあり得ません。
ここに来て不動産の活用を検討する人が多くなり、比較的大きな規模の用地が出始めました。時期的に遅い感がありますが、規模や土地の形状によっては買い取り価格が下げられた現在でも採算が確保できる場所もあり動きはあります。
引き続き新エネルギーの動きに注目します。