経済見通しに関して専門家から話を聞かせてもらいました。平成24年自民党政権が誕生する頃、新しい日銀総裁に黒田氏が就任する見通しが立った時、海外投資家は一斉に日本株式を買いに入りました。その時日本の投資家の動きはありませんでした。そしてアベノミクスが始動する頃になって、日本の投資家は株式投資に向かいました。海外投資家と比較すると二周から三周遅れだったのです。世界の動きと国内の動きではそれだけ反応が違うのです。
円に関しても同じように海外と国内の反応は違います。日本では100円からどう動くかが争点になっていますが海外はその先を見据えています。現時点で海外投資家は1ドル140円を基本線として、それよりも円安になるか円高になるかのオプション付きの投資を行っています。1ドル140円によりも円安になれば利益がでるのか。それとも140円よりも円が高い水準に留まるのかの見極めをしているのです。日本と次元が違う位置で為替を見ているのです。
つまり世界の投資家は1ドル100円よりも円安に振れることを確信して、1ドル140円前後の水準を想定しているのです。この予想が当たるかどうかは問題ではなくて、世界の投資家の視点を知っておくことで防衛することができるのです。日本の動きだけを見ていても大きな流れは分かりませんから世界レベルの視点を身に付けることが大切になります。
現在のところ1ドル105円を超える円安になると、日用品の多くを輸入に頼っているわが国の経済は混乱します。ドルと円の購買力平価からすると1ドル105円前後が実体経済と近い数字なので、そこまで円安が進展すると思われます。為替はプラスマイナス20パーセント程度でオーバーシュートするものなので、80円台から120円台の間で当面は推移すると予測できますが、海外投資家の動向次第で分かりません。
ではドルと円の関係はどうなっていくのか、現時点での推理です。
世界の原油可採年数はどの時代であっても約40年と教えられてきました。これは数十年前から最近まで約40年だと言われていました。ところが平成25年現在の原油可採年数は約260年へと大幅に延びています。これはシェールオイル、そしてシェールガスを取り出すことが可能となったからです。分子レベルでガスやオイルが組み合わさっていた頁岩から、技術的にオイルとガスを取り出すことが可能になっているのです。10年前までは頁岩からオイルやガスは取り出せなかったのですが技術が確立している現在は可能になっています。しかも存在しているのはアメリカとカナダの国境付近のノースダゴダやサウスダゴダですから、アメリカが世界最大の産油国、産ガス国となります。
5年後にはアメリカが世界最大の産油国になっていると予測できるので、どう考えてもアメリカ経済は好調に向かうので対円がドル安に振れるとは考え難いのです。アメリカの貿易赤字は縮小するので、長期的にはドルが高くて円が安くなると予想できます。見通しとして日本はTPP加入という条件と引き換えにアメリカからシェールオイルとシェールガスを輸入できることになります。
ですから1ドル120円が壁になると思われますが、海外投資家のオプション投資の1ドル140円も全く可能性はないとは言えないのです。
経済の動きのもうひとつの観点が国債の動きです。一般的に国債は10年、額面は1万円を基準とします。最近までは国債の金利は0.4パーセント程度でしたが、0.8パーセントから本日は0.9パーセントまで金利が上昇しました。金融機関はバリュー・アット・リスクによって国債の金利の動きに連動させて売りに入ります。長期金利が0.5パーセントを超えた時に金融機関は国債を売りに出しました。金利が上昇し始めているということは国債の価値が下落していることなので、国債を保有していると損をするからです。
基本的事項ですが、10年もので額面が1万円の国債は、10年後に1万円で日本国が買い取ってくれます。しかし1万円の国債を10年保有した結果、10年後に1万円を受け取るのであれば誰も買いません。そのため購入価格は額面よりも下になります。
9,900円で国債を購入した場合、10年後に1万円を受け取りますから利息は1パーセントとなります。9,000円で購入する場合の利息は11.1パーセントとなります。
このように国債の価格が安ければ投資家は買いますし高ければ売りに出します。これまで金融機関は安全で安心できる債権がなかったことから日本国債を買っていました。ところが国債価格が低下することで長期利息が上昇していることから、国債を保有していると損をするので少しでも高いうちに売りに出そうとしているのです。
金融緩和が進み日銀が国債を買い取ってくれるため、金融機関は今のうちに保有している国債を売りに出しているのです。これからも国債価格は低下すると予想してリスクを軽減させるための行為です。国際の価格が下がれば下がるほど利息は上昇しますから、国の借金は増えていくことになります。
もし国債の利率が2パーセントを超えるようになれば市場はパニックになります。国債の利息が0.9パーセントになった時、大量の国債の売りが入ったと思われるために日銀が買い支えた筈です。
これまで日本国は安い利息の国債が満期を迎えていたことから、満期を迎えた国債の利息の支払いは少なくて済んでいました。ところがこれからの国債の利息は高くなって行きますから、将来の利息支払いが高くなります。日本国の歳入は約42兆円なのに国債の利息が高くなれば、国債残高1,000兆円で利息が2パーセントだと仮定すると利息だけで20兆円になります。歳入40兆円のうち半分が国債の利息の支払いになってしまうのです。これでは国の会計は成り立ちません。
わが国は国債の値下がりリスクと金利上昇のリスクを抱えていることになります。
もし国債の金利が2パーセント以下に抑えられたらアベノミクスは成功で、景気は回復することになります。しかし国債の利息が2パーセントを超えるような事態になると市場は混乱し、国の将来の借金が増えることになり、アベノミクスは失敗に終わります。今実施している国債発行、公共投資という循環にはならなくなるのです。
但し日本の国債は主に日本の金融機関が買って保有しているので、海外投資家の動きとはそれほど関係はありません。
総論として、株式は海外投資家の動向によって株安に転じる可能性があり、国債の利息が上昇することで円安が進行する可能性もあります。そうなると日本経済はパニックに陥ることも考えられるのです。
これからの経済をどう考えるのか、それぞれ考え方は違いますが、世界レベルの視点を持つことでリスクを軽減できますし、日本経済の見通しを自分なりに予測することができます。
世界レベルの経済の見方を学ぶことができました。
- 次年度の和歌山ゴールドライオンズクラブの活動計画と明日の理事会の案件について協議を行いました。早いもので、もう新年度が近づいてきました。
- 非常時の保存用食料について話がありました。特に福祉施設での備蓄は必要なので、その現状確認も行いました。