和歌山市宮地区連合自治会の研修会に参加しています。私は有家自治会の副会長として会長達と共に参加させてもらいました。
今回は広川町の稲むらの火の館の視察と那智勝浦町で紀伊半島大水害の語り部さんの話を伺います。広川町のこの記念館は東日本大震災以降訪れる人が大幅に増えていて、全国から津波防災意識を高めるセンターとして活用されています。
以前、和歌山県議会の東南海・南海地震等対策特別委員会で町だけでなくて県も支援することを知事に申し入れたことがあります。見学者の増大に対応するため体制や運営費用の面からの必要性を考えてのことでした。今、見学者が増加していることから、和歌山県としてしっかりと津波防災を訴える施設として活用して欲しいと思います。
さて3Dシアターは映像をリニューアルしています。津波発生時は逃げ切ることを目指して個々人が行動することを訴えています。家族の誰か、例えば子どもが逃げないのではないかと心配に思うと、父親や母親が逃げ遅れる危険性があります。ここではわが国の津波防災の第一人者である片田先生の監修によってそうならないことを伝えてくれています。
このことは家族だけの問題ではありません。自治会でも同じことが求められます。自治会の中での一人暮らしの高齢者や障がい者も暮らしていると思います。そんな皆さんが逃げ遅れることのないように自治会として態勢を整えておくことも必要です。あの人は誰だれさんが福祉避難所に連れて行ってくれるだとか、あの人は自治会館に逃げてくれると信じられると、自らが逃げることができるからです。
何かの不安があれば行動できないことがあります。自分を信じるように他人を信じて行動すること。それが津波から逃げるために必要なことなのです。
そして広川町長も私達を迎えてくれました。町長が迎えてくれることで研修の目的が明確になりますし、参加者の本気度も違ってきます。
さて稲むらの火の濱口氏は、民間の視線で世の中を見つめて活動をしていました。生活は質素で、得た利益を社会福祉のために使っていためです。医学や教育への支援はその現われです。教育機関の耐久社は現在の耐久高校ですが、濱口氏が33歳の時に設立している教育機関ですから先見の明もあり、若くして子ども達の教育を支援しているのです。
そして堤防の意味として、堤防が命を守ってくれるものではなくて堤防は津波からの時間稼ぎであり、その間に逃げることを伝えています。堤防が命を守る設備ではなくて命を守るのは自分自身であることを、その時、既に伝えているのです。堤防を築きながら村民に対して命について教えていたのです。
宮地区連合自治会は防災対策にとても熱心です。平成24年度は連合自治会として避難訓練を行いましたし、平成25年度も単位自治会として避難訓練を計画しているところがあります。また地元地域の福祉避難所と連携して、一人暮らしの高齢者や障がい者が避難するしくみも検討しているところです。
また車中で防災対策、または避難対策として防災ラジオの有用性についても話し合い、紀伊半島大水害のDVDも鑑賞するなど研修の効果を高めました。
この研修会を開催するに際しては、連合自治会の役員の皆さんが何回も企画会議をしてくれたと聞いています。視察先も語り部の依頼も、明日の被災現場の視察も、全て自分達で実現させたものです。自治会にとって大災害から会員を守ることは大きな使命となっています。地震や津波から命を守ることは自分達で助け合うことが基本だからです。このような共助が基本ですから自治会の果たす役割はとても大きく、それを意識して役員で被災地の視察と防災研修をすることは意義があります。
初日の研修を終え懇親の機会がありました。共助は自治会内だけの話ではなくて自治会同士の連携が大切です。役員同士が顔見知りになり、助け合える関係を築くことは何よりも大事なことです。研修機会と親睦を深められた一日となりました。