活動報告・レポート
2013年5月11日(土)
政研フォーラム研修会
政研フォーラム研修会

政研フォーラム研修会に参加しました。研修テーマは「政治情勢、課題と今後の展開」と「領土問題と日本の防衛を考える」のふたつです。「政治情勢、課題と今後の展開」は日本大学の岩井奉信教授、「領土問題と日本の防衛を考える」は三重中京大学大学院浜谷英博研究科長、教授が講演してくれました。どちらも勉強になりましたが、今回は領土問題について記載します。

まず日本の外交に関してのことです。日本人は期日を守ることが信頼であるという価値観を持っています。納品期日前になると徹夜作業で製品を仕上げるなど、期日の意識が強いのです。そのため外交においても解決を目指す日程を決めて、その期日までに解決を図ろうと行動しています。しかし多くの国では期日を守らないことは当たり前なのです。 政研フォーラム研修会 期日を守ろうとするのは日本人位なのです。勿論、期日を守ることは大事なことなので軽率に扱うことは良しとしませんが、外交においては別問題となります。相手も同じ価値観を有しているのであれば順守すべきことですが、同じ価値観でなければそれを守る意味はありません。日本は期日が迫ってくると解決を図るために外国に譲って、譲って、譲りまくって納めようとします。外国は日本人の特性を分かっているので優位に外交を進めているのです。ここがわが国外交の問題になっています。外国では、やって期日が守られなければ仕方ないという価値観を持っています。そのため解決期日に関するすれ違いがあるので日本は外交が下手だと言われています。

領土問題が大事なのは国全体の領域の問題に直接関係しているからです。日本列島は約38万m2で国連加入国183カ国の中で68番面の広さです。しかし日本には6,852の島があり排他的経済水域の視点からは448万m2もあり、この場合、世界で9番目の面積を有する国となります。この国土の基礎となるのが小さな島々なのです。島つまり領土の問題は国益と密接につながっているのです。

さて領土問題に入ります。竹島は1905年に明治政府が日本の領土であると決定しています。2月25日に日本の領土と定め島根県に組み込んでいる歴史があります。

そして北方領土は国後、択捉、歯舞、色丹の四島ですが、ロシアによる不法占拠が既成事実化されようとしています。1945年8月15日が日本の敗戦の日ですが、日ソ不可侵条約に違反して終戦直前の8月9日に当時のソ連が参戦しました。終戦を迎えた後の8月18日に千島列島にソ連が侵入して占拠した歴史があります。このことに関して、不法占拠は許さないという国としての主張と品格が必要です。

北方領土が重要なのは海洋資源も去ることながら、日本で大きな島を数えて、一番大きな島が択捉、二番目が歯舞だからです。参考までに三番目は沖縄で四番目が佐渡となっています。日本の領土としてとても重要なことが分かります。

最後は尖閣諸島の問題です。これは歴史があります。1895年1月14日に明治政府が日本国として定めています。当時の明治政府が約10年掛けて調査した結果、どこの国にも属していないことから日本国と定めたのです。政府が調査するということはこの島で経済活動が行われていたことを示しています。何もないのに調査はしないからです。この当時、古賀さんという人がアホウドリの羽毛を収穫して利益を得ていました。当時は248人がこの島で住んでいた実績もあります。明治政府は当時の清国にも調査をしています。その結果、無生地として認められたので日本、沖縄の領土に入れたのです。

そして三ヵ月後の1895年4月17日に日清講和条約が締結されます。中国はこの時、尖閣諸島を日本に奪われたと、今になって主張しているのです。中国が尖閣諸島は自国のものだと言い始めたのは1971年のことです。この年、尖閣諸島の海底には石油資源があると発表されています。埋蔵量は約1,100億バーレル、これはイランやイラクの石油の埋蔵量と同じレベルです。現在の価値にして1バーレル100円として円に換算すると、約750兆円ですから巨額です。

1971年6月、台湾が自国の領土だと主張し、同年12月中国も自国の領土であると主張したのです。その前年となる1970年、そして1969年に琉球大学が尖閣諸島の調査を行っていますが、その時は台湾も中国も何の主張もしていません。

そして1895年から76年間も領土に関して何の主張もしなかったのに、石油資源があると報告されてから突然主張したのですから呆れるばかりです。

そして1972年以前の古い地図では、尖閣諸島は日本の領土である色付けがされています。現在中国は自国の地図において自国の領土として色付けをしているようです。

中国は石油資源、海洋資源そして制海権の観点から尖閣諸島を自国のものにしたいと考えているのです。この付近の海洋資源は膨大で、2008年の統計ですが、中国の漁獲高は1,700万トン、同年の日本の漁獲高は420万トンですから、海洋資源確保の点でどうしても欲しいのです。

またこの海域の制海権を確保できると米軍の空母が中国に近づけないので、中国の安全上大事な海域になっているのです。

こんな大切な領土問題なのに日本人の意識はとても低いのです。その理由は教育にあります。日本の教育では領土問題の歴史を正しく伝えていません。歴史や社会の教科書では大正デモクラシー、進んだとしても第二次世界大戦前で授業を終えています。

政研フォーラム研修会

それに対して中国では領土問題、そして近世の歴史を徹底的に教育しています。中国には4000年の歴史がありますが、歴史の教科書は二冊に分けて教育しています。一冊は4000年前から第二次世界大戦まで。もう一冊は第二次世界大戦から現在までです。長い歴史がありますが、過去の歴史と現代史の価値を同じ程度としているのです。歴史を学び知ることは大事ですが、現代史は今に直結しています。今を生きている私達はこれを知る必要があるのです。

正しいことは言い続ける勇気を持つことが領土問題の根本です。歴史教育と外国への領土問題を発信することを私達がしなければならないのです。

本当に素晴らしい歴史を学ぶことができました。知ったことは発信すること。これがこれから行動すべきことです。