活動報告・レポート
2013年4月16日(火)
稲村の火の館
稲村の火の館
稲村の火の館

稲村の火の館の展示パネルと3Dシアターの映像がリニューアルされました。この館は年間4万人を超える人が訪れている津波防災センターで、和歌山県と広川町が全国に誇れる施設です。今回は東日本大震災の教訓を伝えるため展示パネルと映像を更新したものです。

大きな特徴として、監修は防災教育の第一人者である群馬大学理工学研究院の片田敏孝教授が監修してくれたことにあります。東日本大震災の教訓の全てを伝えることはできませんから、自分が逃げることは家族を信頼することをテーマとして絞り込んでいます。

3Dシアターでは津波が到来する時は、自分ひとりでいる時でも家族の元に向かわないで自分ひとりで逃げ切ることを訴えています。親は子どもが逃げないのではないかと不安に思うと、学校や通学路まで助けに行きます。その行為は親を津波被害に巻き込む恐れがあるのです。自分の子どもは、万が一にでも津波が到来した時は何をおいても逃げると信じていれば、親は自分も逃げる行為に移れます。

逆に子どもが親のことを心配していれば、学校から高台に逃げないで自宅に戻ることも考えられます。そうすると子どもが津波から逃げ切れない危険性も発生します。

そうならないためにも、自分だけは何が何でも逃げる。そのためには非常時の家族の行動を信じることが基本となります。津波発生の時の避難場所を確認しておくこと。そして万が一の時は家族を信じて行動すること。それは自分が助かれば家族も同じ避難行動を取っているので助かるという信頼です。

東北地方に伝わる「津波てんでんこ」は津波が襲って来た時は、まず自分が生き延びることを意味している言葉です。これは他人を犠牲にして自分だけが生き延びることを意味するのではなくて、家族を信頼して自分が生き延びるための行動をすると家族が信じていれば、家族も安心して逃げることができるという意味です。家族との信頼と約束が「津波てんでんこ」の本質的な意味なのです。

この津波から逃げ延びるために必要な精神と行動となる「津波てんでんこ」を新しい映像で伝えてくれています。

稲村の火の館

片田教授からは全国で一番津波対策を実施しているのは和歌山県であり、稲村の火の館の展示パネルと3Dシアターの映像が津波から逃げるために必要なことを訴えていることを説明し、多くの人に訪れてもらって、津波発生時は今を生きることを念頭において行動して欲しいと話してくれました。

津波対策とは、まず自分が逃げることに尽きます。避難場所や逃げることを頭で分かっていても、非常時に行動しなければ生きられません。行動できるかどうかに自分の命はかかっています。自分の命を守るためには自分が行動することを、新しい映像で教えてくれます。

稲村の火の館

そして展示パネルではみっつのことを訴えています。津波から命を守るために必要な三原則として、想定にとらわれるな。最善をつくせ。そして率先避難者になれ、のみっつです。想定にとらわれない。これは避難場所として指定されている地域や建物は必ずしも安全とは言えないので、可能な限り、より高いところへ、より安全な場所へ避難する行動をとることです。マニュアル通りの行動ではなく自分で考えた行動することを求めています。

最善をつくせ。津波から逃げることは自分の力と自然の力との戦いです。もし自分の力よりも自然の力が勝っていたら、命を落とすことになります。それほど自然と闘うことは厳しいことですが、自分を信じて行動することが命を守ることにつながります。

稲村の火の館

そして率先避難者になれ。自分がまず逃げる行動をすることが何よりも大事だということです。あの子は逃げないと家族から思われていると家族は心配するので家族は逃げません。そうならないためにも自分だけは逃げることを基準にすることです。

そして津波から逃げるためのこのみっつの行動規範は生き方全てに共通するものです。想定通りの仕事だけで成果は残せません。最善をつくすことは、どんな時も大切なことです。そして率先して物事に取り組むことは信頼を呼びます。

子ども達にこのパネルを見てもらいたいのは、津波防災教育は人生教育を兼ねているからです。監修した片田教授から直接話を伺え、リニューアルに込められた思いを聞けたことで稲村の火の館を訪れる意味が深まりました。

その他
  • 新エネルギーに関する協議を行いました。和歌山県での計画や他府県の状況、そして電力会社との協議について意見交換を行いました。
  • 教育問題に関して話し合いました。指導面での教育環境や学校環境などに関して意見を聞かせてもらいました。