活動報告・レポート
2013年3月23日(土)
ハラル市場
ハラル市場

実際にハラル商品が取り扱われている様子を調査しました。クアラルンプール市内の市場を訪問しました。まず食品売り場の商品にはハラル認証を受けたものが多数存在しています。ハラルのことを知らなければ見逃してしまうマークですが、確かに多くの商品が認証を受けています。牛乳やお菓子、飲料水、そして水なども認証対象になっています。

極端な売り場では、ハラル商品とそれ以外は別売り場であるところや、ハラル認証商品以外は違う売り場に行くことを明示したところもあります。敬虔なイスラム教徒はハラル商品以外に触れることも嫌うと聞きました。スーパーの店員がハラル商品以外のものに触れることを避けるためレジを別にしているようです。

イスラム教徒は豚や動物の死骸に触ることは決してしません。犬も絶対に駄目な動物で、マレーシアのイスラム教徒には犬は飼われていません。確かに街中で犬を見ることはありませんでした。

マレーシアのイスラム教徒の実情は現在のところ国民の約60パーセントだそうです。国民の約60パーセントがハラル商品を求めているのですから、ノンハラル商品だけでは市場は小さいものになります。多くの企業がハラル認証を求めているのはそのためです。現在ハラル認証を受けている約75パーセントはイスラム教国以外の企業だそうです。イスラム圏以外の国と企業がイスラム市場を目指して参入しているのですが、日本はたった4社だけです。スーパーでは日本製品も取り扱われていますが、多くの商品はハラル認証を受けていないものです。そのためイスラム教徒にとって安心できる商品ではないのです。イスラム圏進出を目指すのではあれば、ハラル認証を受けることも考えるべきかも知れません。

マラッカ海峡

海上輸送の重要な海がマラッカ海峡です。近くの港湾まで行きました。マラッカ海峡はわが国にとって欠かせない海峡で、中東から日本向けの化石燃料はここを通過しています。

またオーストラリアからの化石資源もシンガポールの港湾を経由している場合があるようです。マラッカ海峡はマレーシアとインドネシア、そしてシンガポールの三国に跨っている海峡で、海峡幅は狭くなっています。マラッカ海峡には海賊が出没していることから通過するのに危険地域です。日本の感覚からすると海賊が出没することは考え難いのですが、現実的に海賊は存在しています。どこの誰が海賊なのか不透明な部分がありますが、ソマリアやインドネシアからの海賊であると聞きました。信じられないことですが、小さな船なので取締りができないこと、発見しても速度が速いので逃げられてしまうことなどから捕獲することは容易ではないようです。化石燃料がこのように私達の生活と関係が少ないように思っているマレーシアを初めとする三国と関係していることや、海運業の人達が危険な海域を運んでくれていることに感謝しなければなりません。

多くの国のお世話になって私達の快適な生活が保たれていることを実感できました。

視察総括

マレーシアの経済だけを調査しても全体は把握できません。2015年に登場するASEAN市場がわが国の参画する市場となりますから、ASEAN諸国の経済状況と、その中で南アジアの核となるマレーシアの経済事情、そしてイスラム国の状況を知ることがわが国にとって必要なことであり、和歌山県にとっても視野を広げるべき分野だと考えます。小さな視点や関係が薄いという理屈で全体を鳥瞰しないのでは国際競争に対応できませんし、市場に参画することもできません。世界と戦わずして敗北する事態にならないように、ASEAN市場の動きを注視したいと考えています。

クアラルンプールという、経済が伸びている国の首都に入り、関係者、関係機関と意見交換できたことや市場調査ができたことは大きな意義があります。現地でしか感じることのできない活力、活況、安全性、そして親日性などを直接感じることによって安定して成長を続けるであろう市場の健全性とイスラム独自の文化に基づく市場参入のための制度について学べたからです。

経済成長を遂げているマレーシアが見本としている国が日本であることは周知の事実です。それが現在も変わらないでいることに自信と誇りを感じました。アジアが日本を見ていることで、生き方や成長を続ける姿勢が大事な役割であることを再認識しました。目標である存在でいられることは有り難いです。今もこうしてマレーシア政府や企業、国民の方々の目標になっているのです。

日本か沈んではいけません。これからもアジアで輝く国であり続け、目標にならなければならないのです。

残念なことに日本のリーダーが見えないと話してくれた人がいます。マレーシアのマハティール元首相は国のリーダーでありカリスマ性を備えた人物だったそうです。そしてアメリカのオバマや中国の習金平などは世界のリーダーだと認識されています。

「日本は安倍総理がいますよ」と話をしたところ、「何をしたのですか。まだ何もしていないでしょう。それに安倍さんではなくて自民党が政治を動かしているようにしか見えません。リーダーではなくて政党が前面に出ている間、リーダーは誕生しないのです。リーダーは野党をまとめられる力が必要です。そこまで至っていないと思います」と意見を聞かせてくれました。日本のことを実に良く見ています。

私達は、アジアの国から目標とされている日本が、この先リーダーに成り得るかどうか常に見られていることを意識しておきたいものです。日々の心構えや過ごし方が違ってくるからです。世界とは言いませんが、アジアを見ずして日本のこれからや経済を語れないと思います。

日本はアジアのリーダーであるべきです。政治も企業もそんな役割を意識して行動を保ちたいものです。結局、リーダー不在というのは私達の行動にリーダー力がないからです。政党だけしか見えないということは、同じように企業や組織だけが見えて個人が見えていないということなのです。個人がそれぞれの立場においてリーダーの資質を持ち合わせることが日本再生の鍵だと感じています。

異文化の国マレーシアが日本のことを知っています。日本はマレーシアやイスラム国のことは余り知りません。もっと世界に目を向けるべきで、世界に出て行くことや意識を向けることの重要性を理解すべきです。

ハラル市場に入っていけるかどうかは分かりません。しかし今回のクアラルンプール行きがあったのでハラル市場のことを知ったのです。市場が存在していること。拡大する可能性を秘めていることなど。そして今も日本がアジアのリーダーの役割が求められていることも知りました。これらの全てが血肉に変わりました。