書道家の北原美麗さんの書道家として20周年を向かえたたことをお祝いする祝賀会がありました。素晴らしい皆さんが集まっての祝賀会を楽しみました。北原さんの書道家としての生き方に接して、改めて良い人生を生きている人だと思いましたので、その一端に触れます。
北原さんは小さいころから書道を習っていたのですが、学校を卒業後は結婚や出産などから一時期、活動を見合わせていました。再び書道をやろうと決意したのには理由があります。
それは北原さんのお母さんがお亡くなりになったことです。母親が亡くなったことで生きている間に自分がやりたいことをやらなければいけないと思ったそうです。そこでそれまでの自分を変えるために、人前で話ができるようになるための教室に通い始めました。それまでの北原さんは人前で話をすることが苦手だったと聞きました。
ようやく話をすることに慣れてきた時、和歌山市にコミュニティエフエム局のエフエムワカヤマが誕生しました。パーソナリティの仕事を勧められたのですが、ラジオで話ができるかどうか不安だったので迷いがありました。どうしようか迷っている時、夫に相談したところ「やりたければやれば良い。やりたくなければやらなければ良い」という答えが返ってきました。北原さんはその時、「やりたい。やってみたい」と感じたので、思い切ってパーソナリティをやることを決心したのです。この後、ラジオのパーソナリティとして3年間仕事をすることになります。
ところが仕事が順調に行き始めた時、体調がすぐれないことに気付きます。そこで病院にいったところ、思いがけないことですが癌を宣告されたのです。癌宣告によって真っ暗になったそうです。しかし癌との戦いを始めるためラジオの仕事を止めます。治療に専念したことから今は健康を取り戻しています。
ラジオの仕事は人と会うことが大きな比率を占めます。そして書道界以外の人との出会いもあり人脈も広がりました。
自らの体験から命は限りあることを学んだ北原さんは、残りの人生でやりたいことをする決意をします。それは書道家として生きることでした。夫に相談したところ、「好きなことは何でもしたら良い。応援する」という返事がありました。ここで今の書道家北原美麗さんが誕生したのです。
それからの活動は皆さんもご存知のとおりです。美文字講座開催や神社の書などを書き続けています。夢を口に出してそれに向かって活動することで道を切り開いています。
これまでの夢は大河ドラマのタイトルの書を書くことです。これが夢の到達点でしたが、今ではこれも夢の途中に変わっています。最終的な夢は、自分の書を和歌山県から全国に向かって発信し、書を通じて日本を元気にすることです。パソコン文字の時代にあって、書の持つ優しさや強さ、感情に訴える力などを自分で書くことで相手に伝えることを目指しています。それが夢の到達点になりました。
最近、美文字という言葉が聞かれるようになりました。北原さんの向かっている場所が社会で認知され始めてきたようです。この先は夢の途中をクリアして、人生を賭けた夢の到達点ら向かって進んでいます。
北原美麗さんという書道家の歩く道にはこんなドラマがあったのです。ドラマがある人生は素晴らしいものです。そしてこのドラマは上演中です。書道を通じて人の意識を変え、社会を変える。そこに向かって走り続けている中の祝賀会でした。
根来寺の牧侑恵さんと岸本周平さんの人生を語る対談があり、途中から参加しました。全てを通して聞くことができなかったので説明することはできせんが、印象に残ったことを記します。
生きる意味とは何か。人によってそれぞれ違いますが、こんな説明がありました。昨日知らなかったことが今日分かる。今日知らないことが明日になると分かること。それが人生であるという言葉です。つまり一日一日進歩し続けることが人生だというものです。
シンプルな言葉ですが、生きること意味が実に良く伝わってきます。今日も生きたかどうか、自問しながら会場を後にしました。