活動報告・レポート
2013年1月31日(木)
電力総連地方議員会議

東京にて電力総連地方議員会議が開催されたので出席しました。その中で「メディアから見た政権交代以降のエネルギー政策」について話しを聞かせてもらいました。

電力を取り巻く環境で注目すべきはみっつあります。原子力発電の再稼動について。電気料金改定について。そして電力システム改革についての三点です。

まず原子力発電所の再稼動に関しては見通しが立っていません。原子力規制委員会は独立性の高い3条委員会であり、この結論を待ってから安倍政権が再稼動について結論を出すことになります。全ての原子力発電所の点検には3年を要するという見方もあり、参議院選挙前での再稼動の可能性はなく、参議院選挙後に動きがあるかどうかというところです。

電気料金に関しては、政府が進めているインフレ目標と合わせて問題になるかも知れません。電気料金がインフレ促進につながるのかどうか見通しは立っていません。

電力システム改革に関しての電気事業法改正案は、平成25年2月国会に提出されています。その基本方針は、お客さまの選択肢拡大のための小売全面自由化と、大規模な需給逼迫時の広域的な需給調整や再生可能エネルギー導入拡大の課題に対応すると共に、競争の促進を図る観点から送配電部門の広域性の確保と中立性の確保についての基本方針が議論されます。ここで言う広域性とは広域系統運用機関の創設であり、中立性とは発送電分離の議論のことです。

また小売全面自由化とは地域独占の撤廃であり、料金規制の撤廃とは総括原価の撤廃を指しています。これらの改革案は、戦後の電力供給体制の抜本的な電力改革となるものであり、その議論の動向に注目です。

そして原子力発電の問題に関しても触れてくれました。東日本大震災以降の原子力発電のあり方は抜本的に考え方が変わっています。ハード面では見える安全対策が求められ、ソフト面ではより安全志向になっています。電源の安定性と価格だけでは理解されなくなっているため、原子力発電の再稼動を行い、供給体制を基に戻せば全てが社会の全てが基に戻るというものにはなりません。

方向としては、新規参入が図れていない業界は不自然であるという考え方に基づく競争が促され、規制の撤廃に動き始めることになります。経済再生とは規制を外して自由競争を求める、かつての小泉・竹中路線に戻るものです。

それは現状維持よりも将来を語るべき方向に向かうことになります。今の電力システムを前提として議論ではなくて、将来のあるべき姿を示し、今のシステムをどのように、いつまでに改革すべきかの道筋を作る動きになります。将来を語らずして現状維持はあり得ないということです。

今まで電力に関する情報は少なかったことから、これから電力システム改革の議論が始まると共に情報公開が進んでいきます。そのためマスコミに向けて情報を発信していくべきです。マスコミの社会部では企業は悪と捉えていますが、経済部は企業を好意的に考えています。電力会社は地域のリーディングカンパニーですから、懐を深くもって欲しいものです。浮かれた言葉や責任の無い言葉は傲慢に捉えられますから、経営者は責任あるしっかりとした言葉で語って欲しいという意見がありました。

原子力政策に関しては読売新聞東京支社の近藤和行さんから聞かせてもらいました。

そして小林正夫参議院議員から電力問題について話を伺いました。同じく原子力発電、電力システム、核燃料の再処理、国際社会との連携などについて議論を深めてくれました。

現世代の私達がすべきことは、将来の選択肢を縛ってはいけないということです。可能性のあるものを活用しないという結論を出してしまい、将来の世代の可能性を縛ってしまうことは避けるべきことです。選択肢は多く残して将来世代が判断すれば良いからです。