今月22日、仁坂和歌山県知事が定例記者会見で、地方公務員給与に関して次のような意見を述べています。「和歌山県は総人件費を猛烈にずいぶん減らしている。和歌山のような田舎は公務員の購買力は大きい。減らすと何倍か消費を切り詰める恐れがある。デフレ要因になると思う」という意見です。
これは政府が地方公務員の給与削減を求めていることに対して意見を述べたものです。この意見に対して私は賛成の立場を取ります。地方公務員の給与、つまり人件費は地方交付税で賄われています。国からの交付金で地方公務員の給与を支払っていることになります。地方にとっては県内で生産して得た所得でない性質の交付金が地方公務員の給与となり地方で消費する機会を得ているのです。県にとっては県内消費の観点からすると必要な所得であり、これを削減することは地方交付金が減少することを意味しています。国の経済が再生に向かうとしても地方の消費が減少することによって衰退する傾向に変わりないことになります。
地方都市にとって県庁や市役所は地域における大企業に匹敵するものであり、地方都市で暮らす公務員の給与はそのまま地方都市の消費に直結するものです。地域の消費と域内経済を支えている柱になっています。この給与を削減するということは、そのまま消費が減少することになります。
例えとして、所得月額40万円の地方公務員が10パーセント減の月額36万円になったとします。減額された地方公務員は4万円分をどこかで補おうとします。固定費はそのままですから貯金や今直ぐ必要ない消費、または削れる消費からカットしていきます。それが飲食などを削ることになるのです。地方都市の外食を含めた飲食の経費が削減されると、地方経済に大きな影響を及ぼします。歓楽街からお客さんが減ったり、お客さんの単価が減少するのでデフレから脱却する方向とは正反対の力が働きます。つまりインフレ目標を掲げても給与カットをすると消費せずに生活の防衛に入りますから、それがデフレ要因として存在することになります。大企業が多く公務員の消費に影響を受け難い大都市は関係ありませんが、地方都市で地方公務員の給与を地方交付金削減のためカットすることは消費を減速させることになります。極端に言うと地方はデフレから脱却が進まなくなります。
参考までに、和歌山県では平成13年から管理職給与の2パーセントカットを行っていますし、平成14年度から平成21年度までの間、一般職員さん給与も1パーセントのカットを実施しています。その減らした金額は99億3,900万円となっていますから、相当大きな金額なのです。和歌山県においては地方公務員の給与で99億円ものお金を削減しているので、それに伴って消費が減少しているのです。これだけのお金がなくなっているのですから和歌山県の街中に元気がない筈です。
地方公務員に対する支出を減少させると、その分地方公務員は支出を減らします。これは「あなたの支出はぼくの収入であり、ぼくの支出はあなたの収入になる」という経済の考え方に基づくものです。個人の収入は誰かからの支出なのです。つまり国からの地方交付金という名目の支出が減少すれば、それと同じだけ収入は減少することになります。
そのため地方公務員の支出が減少すれば、まちの飲食店の収入はそれと同じように減少することになります。もうお分かりのように、誰か、つまり地方公務員の収入が減少すると、誰か、これは地方都市の飲食店などの収入が減少することになるのです。
「地方公務員は怪しからん。高い給与をもらっていて」とバッシングして給与を下げてしまうと、地方都市における地方公務員の支出が減少し、地方都市の飲食店などの経営者の収入が減少することになります。地方都市の中心部の飲食店などが疲弊している原因は、地方都市の給与所得者の収入が減少し続けているからです。他人を責めるものは自分に跳ね返ってくる普遍的な法則があります。所得のある人の給与を下げようと行動すれば、自分の所得も下がるという経済の考え方を理解していないのです。
知事の意見に賛同する理由を示し、同様に賛成の意思表示とします。
- 夕方からは新年会に参加しました。地域社会で活躍している皆さんとの懇親は楽しい時間でした。活動の輪が広がりました。
- 雑賀孫市祭りに関しての協議を行いました。平成24年に開催したこの祭りには約1万人のお客さんがありました。和歌山市の活性化を担ってくれている祭りです。今年は3月31日に開催することが決っていて、企画やチラシなどの準備が始まっています。今年の祭りも盛大になるようにしたいものです。