ある会合での挨拶の中から得た教訓です。
・トップに求められるものは決断力です。トップの仕事はイエスかノーの決断を下すことにあります。これを避ける人はトップの資質を持ち合わせていません。そしてイエスかノーの決断を下す時はいつも孤独です。一人で決断をして責任を取らなければならないのです。
そのトップとして重要な決断を下すために必要なことがあります。それは普段が大事だということです。その場で決断をしようと思っても、事が重大であればあるほど迷いが生じます。そこで課題が発生したらその時点で着地点を考えておく必要があるのです。どんな着地点を望むのか、そのためには誰と会って何の準備を進めておけば良いのか道筋を立てておきます。その準備が決断を下すために必要なことなのです。
決断力は突然身につくものではありません。いくつかの場面を踏んで成功と失敗を繰り返した中から身につく資質です。次々に訪れてくる場面から逃げているようでは、決断力は身につかないものです。
・物事を成就させるためには次の次まで考えておくことが大切です。次の一手を考えることは誰にでもできますが、その次の動きまでを考えて、次の一手を打つてくる人は手強い人です。そして次の次を見通せる人は、そのことをやり遂げようとする気持ちが強い人です。
思いつきであればその時、またはその次の一手を考えるのが精一杯ですが、望むべきものを描いていれば、次の次までの構想を持つことは容易です。次の次まで考えて行動に移した人に「現在」があるのです。ただし簡単なようですが実践している人は少数派です。
・ひとつの仕事を自分の利益を考えるのではなくて、全体の、或いはここにいる他人のことを考えて実践する人は、その場において誰も見ていないとしても必ず評価されます。これは絶対です。相手のことを思いやって、相手のためになることに対して行動できる人がリーダーとして相応しいのです。世に溢れているのが自分のことばかり主張する人、自分のことを前面に押し出す人です。このような人は評価されることはありません。人は必ず人物像を見抜きます。
人はその肩書きを外した時に評価を受けることになります。経営者であれば、経営者を退任した時。議員であれば議員バッチを外した時。公務員であれば仕事用のスーツを脱いだ時。その後の周囲の態度で、その人の人物が評価されることになります。どれだけ他人のために尽くしたか、それが大切な評価の視点です。
|