727. 憧れ
 和歌山市のコミュニティエフエム放送局のバナナエフエム。ある日曜日の午後、放送を聴いて素敵な言葉と出会ったのでスタジオを訪れました。
 エフエム放送の番組で担当DJが好きな言葉として「憧れるヒマがあったら見習え」を私達に伝えてくれました。これは凄いと思い、車で走りながら忘れないために手帳にメモしました。これを解釈してみます。

 憧れの人物を憧れと思って見ているだけでは、その人に近づくことはできません。憧れの人に近づくためには真似るべきです。ファッションや話し方も真似る対象ですが、それよりもその人の行動を真似ることが大切です。例えば、憧れの歌手が慰問活動を行っていることを知ったのであれば、自らも慰問活動を始めてみる。インタビュー記事を読んで「凄いなぁ」と思ったら、この生き方を少しでも真似してみること。憧れの先輩がNPO活動を通じて地域活性化に努めているのであれば、自らもこの活動に参加してみる。こんな第一歩が憧れの人に近づける第一歩になるのです。

 外観も真似るけれど、行動を真似ることが格好良いのです。行動を真似ると、行動を通じて思うことがある筈です。思うことがあると言葉になりますし、言葉が変わると憧れの人に考えが近づきます。

 「憧れるヒマがあったら憧れの人を見習って行動すべき」なのです。

 憧れるとは、例えば絵画展で感動した作品に出合った場合、その画家を尊敬する気持ちが生じることです。他の作品を調べたり鑑賞に行ったりすることになります。手の届かない存在として憧れのまま存在することになります。

 一方、近づくためには真似ることと行動が必要となります。単に画家のことを調べるだけではなく、一度も絵を描いたことのない自分が絵を習いに行く行動を起こすことです。絵を描く一歩を踏み出すと、その一歩だけ憧れの人に近づくことになります。最初は地球から太陽までの距離ほど遠いものですが、一年二年と続けるとその距離は着実に縮まっていきます。もしかしたら、将来は自分も展覧会を開催できるような画家になる可能性があるのです。それは憧れの人に近づくための行動を起こしたことに起因しています。

 私達が思う憧れの人も、最初は誰からも憧れられる存在ではなかったのです。目標を持って、もしかしたら憧れの人を目指して生きてきたかも知れません。
 憧れだけではその人に近づくことはできませんが、見習うことで、今度は自分が誰かの憧れの人になる時がやってきます。憧れる対象があることは素敵なことですが、憧れられる対象になれたらもっと素敵なことです。

 誰からも注目されていないといつまで経っても行動は変わりませんが、少しだけでも、自分が人から見られる存在になった時は行動も生き方も変わります。人から見られるだけで行動が変わるものです。

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