710.入学式
 桜の季節の代名詞のひとつ、入学式。地元市立宮小学校で入学式が挙行されました。お招きを受け出席させていただきました。初々しい新入生が体育館に入場してきました。今年の新入学生は姿勢が良く、ざわつき感が全くありませんでした。そのうえ「君が代」の歌を大きな声で歌っている生徒もいて、最近の子どもは本当にしっかりしていると思いました。

 ところで校庭で見かけた、すっかりお兄さん、お姉さんになっている新六年生ですが、そんな皆さんにも新入生としての入学式があったのです。
 いまから6年前の宮小学校の入学式にも出席させていただいた経験があります。小さくて少し頼りない姿を見せてくれた当事の新一年生。六年生に手をつないでもらって体育館に入場したのが昨日のことのようです。心から祝福しながら、通学の安全や新しい友達が早くできるか心配した記憶があります。
 ところが六年が経過して、頼りないと思っていた六年前の新入生が、今日は最高学年の六年生として学校にいました。すっかりお兄さんとお姉さんです。時は人を成長させてくれます。体力も知力も当時とは比べ物にならないほどに成長しています。本当に頼もしく感じました。そんな生徒の成長を見て取れる入学式に出席させていただくことは励みになります。

 もし六年後も今日と同じように入学式に出席しているとしたら、今日の新入生の姿を思い出すと思います。その時、今日の新六年生たちは高校三年生に成長しています。一体どんな高校生になっているのでしょうか。彼ら、彼女たちが高校三年生になる頃、この社会とこの国が、今よりも素晴らしくなっていると思います。
 生徒は時間と共に確実に成長を遂げるように、大人である私たちも確実な成長をしたいものです。同じ成長曲線を描けることがこの社会を素晴らしいものにしてくれるからです。大人が成長しなければ社会の成長は止まってしまうのです。
「いまの子どもは」の言葉は使ってはいけません。子どもは大人と社会を映してくれる鏡だからです。次の世代を批判することは、自分たちが作っている社会を批判しているようなものです。次の世代が素直に伸びられる社会を築き、次を託すことが現役世代の役割なのです。

 大人になると季節感が鈍くなります。社会人になると、季節ごとの行事や式典の機会が減少するからです。小学生には、入学式、始業式、遠足、夏休み、新学期、運動会、冬休み、三学期、卒業式と終業式などがあります。最も季節を感じられる年代なのです。
 季節を感じられることは心が豊かになることです。桜を見て綺麗だと感動できる心。夏の輝きに負けない輝きを見せる子どもたち。一生の思い出を残せる遠足や修学旅行。一所懸命に頑張れる運動会。そして桜の季節なのにお別れする卒業式。全ての行事が感性を磨き高めてくれるものです。
 季節を感じられる人生の季節が小学生時代です。本日入学した生徒も入学生を迎えた六年生も、この先も素直に逞しく成長してくれることを心から祈っています。
 平成21年、桜満開の春の入学式でした。

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