668.今あるのは
 知り合いの経営者と懇談した中での話です。「今の自分が会社を経営できているのは、学校や地域で見守って育ててくれた人がいるからです。学校で喧嘩をしても正しく導いてくれた先生がいたり、補導された時に厳しくて優しく指導してくれた警察官がいてくれたので、今の自分があると思っています。それらの内、一人でも自分の人生に欠けていたら会社を持てるまでには至らなかったと思っています。今は全ての人に感謝しています」という素敵な話でした。

 本当にそう思います。記憶の中にも残っていない人が、もし、自分の人生に出会った人のリストから消え去ったとしたら、今日の自分は存在していないかも知れないのです。今日立っている所が違った場所だったかも知れません。直接導いてくれた先生や指導してくれた師匠だけではなくて、忘れ去っている人からも影響を受けているのだと思います。全ての出会いに意味がある。そう思います。

 どれだけの人と積極的に出会えているかで、人生が変わっているかもしれないのです。目指す方向を定めると、それまでと違った人と出会うことになります。考え方を変えると今までと違った人と波長が合うようになります。勉強して知識や見識が向上すると、それに見合った人が登場してくれます。自分が人生に積極的になることや向上心を持つことで、それまでと全く違う人生の景色が現れてくれます。

高速道路を走っていても見えなかったものが、生活道路を走ると見えるものがあります。自動車からでは見えなかった光景が、歩くことによって発見できるものがあります。このように自分の路線を変更することは自分の意思で決められますから、新しい道に進むことを恐れてはいけません。

 自分の選択した道が良かったのか良くなかったのか。それは導かれた結果からでも分かりません。それは選択しなかった人生は決してこの世に現れることがないので、現在の自分と比較することは決してできないからです。ですから現在の境遇やあり方を悩んでも仕方ないことなのです。今の自分は、過去の自分の意思に基づく選択による結果です。それ以外の何者でもありませんから、これからの自分を導くことが可能な選択を今から始めたら良いのです。自分の意思で方向転換する以外に、自分の進む道を変えることはできないのです。

 今までと人生の目指すべき目的を変えると、出会う人も受け取る情報も必要な知識も、必ず各方面から入ってきます。新しい環境を恐れてはいけません。未知の領域に入ると誰でも最初は不安なものですが、突き進む気持ちを持っていれば直ぐに環境に適合することができるのです。

 この知り合いの経営者は、新しい自分と新しい自分に適合する環境を作るのに15年も要したと話してくれました。15年間もかけて自分の進むべき方向を確立させたのです。15年も経過すると過去の自分とは考え方も違っていますし、付き合う人も全て環境に適合した人に入れ替わっています。途中、妨害や言われなき中傷もあったようですが、それを耐えて現在があるのです。過去の自分に負けない強い気持ちを持って今から目指すべき道を歩きたいものです。

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