日本人は世界でも稀な正直で正しい価値観を持った国民性を有しています。前提として人を信じることから取り引きを行っています。契約書がなくても口約束から仕事をスタートさせる場合が多いのです。今まではそれでも問題はなかったのです。信義に基づいて口約束でも約束を履行していたからです。ところが近年は約束を簡単に破る人が徐々に多くなって来ました。嘘をついて人を騙すことや、平気で約束を反故する人が増え始めました。それどころか信頼に基づいた対応をしてくれる人を欺く輩も出現しています。
一歩誤ると詐欺事件に発展するような事案もあります。人が信用していることを裏切って約束を反古するような人間は、現代社会が生みだした日本人としての価値観を要しない人種です。
牛肉の産地偽装や船場吉兆のような問題、中国産のものを国内産と偽った表示をしている事業者など、これは相手のために親切にするといった従来の日本人が有している価値観を持たない人種が社会に登場していることを意味しています。もう従来の信頼できる日本人とは一線を画すべき信頼に足りない人間です。信用に足りない人間に共通しているのは、口が上手いこと、自分の主張が全てだと思っていて相手の立場を考えない人であることなどで、やがて正体がばれると社会は相手にしてくれません。
そして人は約束を守ることが大切です。これは人間としても最も大切なことのひとつです。守られない約策は約束とは言いませんから、約束はその人が信頼できるかどうかを図る指標となります。約束とは結果と期日が全てです。結果を出せても出せなくても、行動した結果であればそれは仕方ないので、その結果に関して報告を行うことです。
期日とは何時までにの「何時」のことです。約束の日に一日遅れたとしても、約束を履行したとはなりません。期日に遅れたけれど、その翌日に履行したので問題はないと言う人がいますが、とんでもないことです。一日遅れることが信用を失わせるために十分な時間です。会社勤めの経験がある人なら誰でもわかることですが、取引した相手が約束の期日に一日遅れたとしたら、所謂、ブラックリストに記載されることになり、以降の取引は同じ条件で契約されることはなくなるか、または取引停止となります。
その一日が、大切な期限の利益を失わせていることを借りる側は感じていないのです。銀行でお金を借りた人で、返済が一日遅れた場合における銀行側の厳しい対応は経験者なら分かる筈です。銀行からの「約束が守られなくて残念です」などのセリフは、借りた側が一気に信用を失ったことを実感できるのに十分な言葉です。勿論、それ以降、銀行からは相手にされなくなります。
約束とは結果と期日であることを理解しておきたいものです。
口先が上手い人間は、第一印象では出来ると思いますが、接していると中身のない人間であることが判ってきます。まるで葉っぱだけが茂っている不自然な木のようです。良く見るとおかしいことが分かります。
正しい人はしっかりと大地に根を張って、しっかりと幹を支え、そこから緑の葉っぱが伸びています。人間としての幹がしっかりしているかどうかを見極める必要があります。しっかりとした幹があって葉っぱがあるのです。逆は本物である筈はありません。しかし人間社会という森の中に暮らしていると、本物が誰なのか分からなくなってしまうのです。
今までは正しい人、清い人が森の住人でしたから、コミュニティの中の人は信用しても問題はありませんでした。ところが最近の森の住民は、見かけは葉っぱが茂っているけれども幹が細くて偽物であることが多くなって来ました。最初から信用すると騙される場合が出てきました。
非常に残念なことですが、信用から入るよりも少し疑って掛る方が安全対策になってきました。本物の人物と偽物人間を見極めて付き合いをしたいものです。
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