地方都市において二代目などの後継者を除いて、30歳代で頭角を現すことは容易ではありません。30歳代の彼らが描く夢を現実のものにするためには、相当長い時間を要すると考えるのが一般的です。同じ年代、同じグループの集団でいる限りは、夢を現実にするのに20年はかかると思います。アイデアを温めていても孵化させるまでの道のりは長いのです。
20年という時間は上の世代が引退しその後に座るまでの時間ですから、そんなに待っていられる筈はありません。20年も潜伏を余儀なくされるような時間は、30歳代の彼らから感性と情熱を奪い取ります。ですから長くて5年以内に夢を現実のものにすることが不可欠です。
そのためには言葉で協力者に話すこと。自ら行動すること。立ち上げるためのお金を得ることが必要です。話すことは夢を持っている人であれば大抵の人はできますが、自ら行動することと資金を獲得することは容易ではありません。言葉を紙に書いて他人に分かるようにしなければなりません。他人が理解した上で、その他人にも動いてもらえなければなりません。そして資金を得るためには、さらにその先のまだ見ぬ人を捜し、その人を説得する必要があるのです。
ここまでをクリアして初めてスタートラインに立つことができるのです。一人でやっていたら20年はかかります。チームで取り組むと1年以内で達成することも不可能ではありません。地域の夢を実現させるためには、個々の資質はあることを当然のこととして、チームとしての資質が必要なのです。
一人の力が1だとすると、自分の意見を押し通すような人がいるチームは1.2程度。どれだけ人数が増えても力指数は変わりません。ところが相手の意見を聞くことができ、受け入れられる度量のあるメンバーがいるチーム力指数は、10にも100にも拡大するものです。
個人からその周辺、学校、地域と活動範囲が拡大するにつれて、チーム力の総力戦になります。小学校時代は自分の思うようになったことやクラスでは思い通りになった経験があっても、学年全体や学校全体の取り組みになると自分の思い通りにならなかった経験を持っている人がいると思います。それはコミュニティが拡大すると、一人の力で全体を支配することなど通用しないからです。
対立して50%と50%の勢力を保つよりも、より多くの人との協力関係を築き80%の勢力を保つ方が得策ですし、自分達の思いを実現させることが速くなります。そして半数の人が期待している政策を推し進める地域よりも、80%の人が期待する地域を目指す方が地域力は身につくのです。
和歌山市の場合、地域に宿る力が分散しているようです。決してパワーがないのではありません。ベクトルが違う方向を指しているだけのように感じます。当然のことですが、同じ力の矢印が反対方向を指しているとその力はゼロになります。そして同じ方向を目指すと倍の力になります。和歌山市の力は他の都市と比較して個々人の力に差はないと思います。ところが目指すべき方向が定まっていないことが要因で、ベクトルが同じ方向に向かっていないのです。ほんの少しの差なのです。この差を縮めるためには30歳代以下の人の突き上げるような地域力が必要です。
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