和歌山県のプロ野球球団、
紀州レンジャーズの木村監督、熊井選手会長、野田キャプテン、女性の山崎選手に夢を伺いました。
木村監督は、プロ野球選手の時代から指導者の時代を迎えていますが、これからは地域の野球文化の普及を図るための活動まで領域を拡大し、野球を通じて育ててくれた地域に恩返しをしたいと考えています。「野球が好きなので生涯、野球に関われていることは幸せです」と自信を持って話してくれたことから、平成21年春に開幕する関西独立リーグでも和歌山県の紀州レンジャーズを成功に導いてくれると信じています。
熊井選手会長は27歳。営業の仕事をしていましたが、年齢的に最後の挑戦をしたいと紀州レンジャーズのセレクションを受けました。セレクションに合格して来年の関西独立リーグ参画を目指していますが、チームとしては関西独立リーグで成績を残すことであり、個人としての最終目標は日本プロ野球に入ることだそうです。会社員の立場を投げうって好きな野球に人生を賭けた選手生活としての最後の挑戦をしている最中です。野球を始めたのは8歳の時ですから、もう20年も野球が中心の人生を過ごしていることになります。ひとつのことを20年も継続することは大変なことで、好きなだけではなく人生を掛ける気持ちがあるから今まで続けられていることを感じました。選手生命を考えると27歳は決して若いとは言えませんが、続けている限り可能性は無限です。
紀州レンジャーズの目標は「チームで地域活性化に貢献すると共に、個人としてはプロ野球です」と返事は明確に返って来ました。咄嗟に目標を話すことができる人は、それに向かって進んでいることですから幸せな人生を過ごしていると言えます。
野田キャプテンは宮崎県出身です。高校卒業後、大学でも野球を続け、その後社会人として札幌、名古屋で仕事をしながら野球に関わっていました。会社都合で名古屋に転勤した時は、クラブチームなどで野球をする環境が無くなったため、野球を諦めるか続けるかの岐路に立ち、最後の決断をするために紀州レンジャーズのセレクションを受けたのです。
記憶では、セレクションに合格した選手の中で野田選手の回答が一番最後だったように覚えています。それだけ製薬会社の安定した仕事と好きな野球を天秤に掛けて考えたのです。
最後に決めたのは、人生は一度きり、自分の人生の行く道は自分で選ぶことを最大価値とし、紀州レンジャーズに参画してくれました。真面目な人物像と黙々と練習をして他の選手を引っ張る姿勢から、早い段階で野田選手が参画してくれたらキャプテンを依頼しようと話していました。
年齢層も幅広く、野球経験もバラバラの選手たちをまとめ上げてくれている姿勢に感謝したいところです。そして関西独立リーグ開幕は平成21年春ですから、現在のところ目標は時間的に遠く、練習試合を続けている状態なので、モチベーション維持も大変だと思いますが、抜群のキャプテンシーで選手を引っ張ってくれています。
選手会長もキャプテンも嬉しいことは「野球ができること」、「プロチームとして勝利することは今までとは違って格別であること」、「独立リーグに参加できる目標があり頑張れること」、「プロ野球を目指す夢を追い掛けられること」などを挙げてくれました。
最後に女性の山崎選手です。小学生時代はリトルリーグに所属していましたが、中学生になるとソフトボールクラブに入りました。しかし野球の方が好きだったので、女子硬式野球部のある東京の駒沢学園に進学しています。一人暮らしで三年間、野球部に所属して頑張り抜きました。好きな野球ができたので厳しいとは感じなかったそうです。現在、女子硬式野球部がある高校は全国で5校だけだそうです。
紀州レンジャーズには女子選手は二人所属しています。男子選手と体力的な差がありますが、最初はノックも緩いものでしたが、今では男子選手と同じレベルのノックも受けられるようになってきました。「女子選手ではなく、他の選手と同じ扱いをしてくれることが嬉しい。ですから硬式は怖くありません」と話してくれました。
好きな硬式野球に参加できている現在の環境を心から楽しんでいます。将来の夢は看護師だそうです。「女子のプロ野球選手は規則の壁があり難しいので、看護師の専門学校に通っています」と話してくれましたが、野球と共に看護師を目指しているのは野球チームには同行する医師と看護師が必要だからです。将来、彼女が紀州レンジャーズの医療を支えてくれているかも知れません。
ところで野田キャプテンは「人生は一度だけ。だから夢を追い求めることの大切さ」を強く訴えてくれましたし、山崎選手は「境遇は恵まれなくても頑張ること」の大切さを話してくれました。
夢を追い掛けている選手は元気に輝いています。夢は人生の原動力であることを教えてくれているようです。頑張れ、紀州レンジャーズ達。