企業が求めるのは人材で、企業立地をすすめる条件の一つに、求める人材がいる地域であることが挙げられます。企業にとって従業員は、大切な家族であり経営資源です。そして大切な従業員が働く地域は安心、安全、子どもの教育に熱心、そして人に優しい地域であって欲しいと考えています。インフラ整備も大切ですが、そんな地域であることが企業に来てもらうための大切な条件です。
ある企業の都心部の事業所が地方都市へ移転することがあったそうです。地方都市へ行くことを拒否した何人かの従業員が辞めたそうです。辞めた人は都会で他で能力を往かせる仕事を見つけられたこともありますが、都会と比較して生活環境が極端に落ちる地域での生活を嫌ったようなのです。
企業誘致とは地域に魅力があることが絶対条件です。地域の魅力とはインフラ整備だけなく、住む人が優しくて、人らしい生活が可能な地域であることに強く関係しています。
和歌山市はそんな地域であり得るのか。他府県から和歌山市に転勤している人達が、和歌山市の実態を示す事例を挙げてくれました。
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コンビニに若い人達が地面に座しているので、お客さんを入りにくい環境にしている。こんな地域は珍しい。
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おばあさんが歩道を歩いていました。そこに、前から三人の高校生が自転車で並んで走ってきました。当然おばあさんを見つけて避けると思っていたのですが、そうではなくて、高校生は直前まで避けようとはしなかったので、おばあさんが立ち竦んでしまったのです。
こんな光景は初めて見ましたと話してくれました。
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行政に対しての不平、不満が多い。自分達のまちのことなのに、自分達が動かないで全て行政に訴えてくる。仕事の大半をこのような対応で費やしているので、本来取り組むべき仕事が夕方以降になってしまうこともあります。
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道を歩いていると前から来た人と肩が触れ合ったので、咄嗟に「すみません」と言った所、通り過ぎた後で「気をつけんかい。ぼけ」と言われました。実は私の方が、ぶつかると思って道を避けたのですが、先方は避ける素振りもなく、道の真ん中を堂々と歩いて近寄って来たのです。肩が当たるか当たらないかは当然分かっている筈なのですが、避けようともしないで、当たったら文句を言う。信じられない人でした。 |
意見は様々ですが、残念なことは余り良い印象がなかったことです。でもこれが、ある程度真実の姿なのかもしれません。他の複数の都市で暮らした経験のある皆さんですから、自身の体験からまちを比較しての感想だからです。本当なら、「○○市は安心できなかったけれど、和歌山市は人が親切なので安心して暮らせる」だとか、「△△市では行政の不満が多かったけれど、和歌山市の皆さんは建設的な意見をくれるので、まちづくりの中に取り入れられます」などの感想が欲しかったところです。
また若い人達はテレビなどで放送される映像に影響されます。都会でもコンビニの前で座っている人達はいると思いますが、それが全てではないことに気付いていないのです。特定の部分の報道であっても、経験が少ない若い人は、その報道された事柄が全てであるように思ってしまうのです。都会の高校生はコンビニで座っておしゃべりするのが流行らしい、それが格好良いと思ってしまい、真似をしているだけなのです。実際は報道されていることはクローズアップされていることがあり、部分的に事実であっても全体では事実ではないのです。地方都市にいるとそれが分からないので、真似なくて良い部分を真似てしまっているのです。教育環境が如何に大切であるかが伺えます。
人に優しくないまちに企業が来てくれることはありません。企業はそんなところを見ているのです。21世紀の価値観である「他人に優しく」。それを実現しているまちを和歌山県や和歌山市は目指して欲しいものです。働く人も観光客も、そんなまち集まってきます。