2006年10月1日、日本競馬会にとって意味深い凱旋門賞がスタートしました。日本最強のディープインパクトが挑戦するからです。過去、日本から参加した馬は勝ったことのない世界最高峰のレースです。強いものが世界に挑戦することはワクワクするものです。メジャーリーグ・ベースボールのイチロー選手や松井選手。引退しましたがヨーロッパプロサッカーに挑戦した中田選手。全米プロバスケットボールに挑戦し続ける田伏選手。最近の若い競技選手は日本に留まらないで、小さい頃から世界を目指し挑戦する意識を持っています。世界に飛び出す選手は、少し嫌な表現ですが、日本のプロは通過点に過ぎないと言う世界を目指す高い意識を持っているように感じます。
日本の競馬界もいよいよ世界に挑戦する時代になりました。勿論、過去から既に何頭もの強い馬が世界に挑戦していますが、勝ち負けが注目されるレベルでの挑戦は少なかったのではないでしょうか。
思い出すのは、凱旋門賞に挑戦する夢が途絶えた名馬テンポイントです。世界に挑戦する走行レースの日経新春杯で骨折し、そのまま引退、この世を去ったのです。当時のことですが現在の出来事のように覚えています。1978年(昭和53年)当時の日本競馬界では世界に挑戦する空気はありませんでしたから、世界に挑む馬の出現は大変なことでした。
1978年時点では、日本のプロ野球からメジャーリーグに挑戦する空気は皆無でしたし、サッカーはプロすらありませんでした。そんな時代に競馬界から世界に挑戦、は画期的だったのです。
今では日本で一番になると世界に挑戦するのが当然の時代ですから、隔世の感があります。テンポイントには「凱旋門に夢はせた望みが誇りが・・」のフレーズもありました。あれから30年近く、凱旋門賞に勝てる可能性を持って挑戦するのがディープインパクトです。競馬界独特の時代を超えた夢を感じます。
第85回凱旋門賞はテレビ中継で観戦ですが、フランスのロンシャン競馬場からの地上波で生中継されるのも画期的なことです。世界への挑戦に関心を持っている程度でもテレビ観戦する程ですから、競馬関係者の今日までの道のりと本日の感慨は計り知れないものがある筈です。凱旋門賞は残念ながら3着の結果となりました。武豊騎手は「残念ですね」の一言。残念さが滲み出ている言葉です。
しかしディープインパクトの登場は、日本競馬界を世界レベルを目指せる地位に押し上げました。国内だけで通用する馬ではなく、世界で勝負出来る馬が進むべき道筋がつけられたことは、全ての関係者にとって大きな転換点となるものです。意識が変わることで、今後の日本競馬界のレベルはさらに高まることは間違いありません。一番人気のディープインパクトが戦ったレースに、いつか勝てる日本馬が登場する筈です。
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