302.WBCその3
 ワールド・ベースボール・クラシック準決勝の韓国対日本の一戦。準決勝進出が決まってから、マスコミ報道も周辺の雰囲気も一気に盛り上がってきました。同じ相手に三度続けて負けることは実力差を認めることになりますから、アジアで先にプロ野球が誕生した日本として負けられない試合でした。
 気持ちを切らすことなくモチベーションを継続していた日本チームは韓国チームを0点に押さえきり、6対0で勝つことが出来ました。この試合では気持ちが相手チームを上回っていたように感じました。

 しかし今回の大会で、韓国チームは大変な実力があることを知りました。メジャーリーグの選手が6人も出場していることも知りました。韓国プロ野球の発足時期は知りませんが、短期間でメジャーリーガーを輩出しているのは全体的に実力がある証明です。国内にだけ留まるのではなく実力を試すためにメジャーに挑戦しようと意思を持つ選手がいること、そしてその選手を送り出す球団があることが国際試合に通用する実力を伴っている要因だと思います。

 これは考えさせられるものです。自分の球団だけが強かったら良いとする他を考えない姿勢、または戦力均衡を図って国内チーム同士のレベルを合わす方が良いなどの議論をしているようでは、今後国際大会で勝つのは難しくなって来るのではないでしょうか。良い選手はプロ野球経験が短くてもメジャーに挑戦してもらうこと、メジャーと国内球団を自由に移籍出来るようになれば世界との距離は縮まるような気がします。

 どの分野でもそうですが、組織間で人材の交流があれば相互のレベルは高い方に流れていきます。お互いの組織を優秀な人材が行き来することでレベルは高くなるのです。そして高い組織で揉まれた人材が再び元の組織に戻ることで組織も活性化します。
 ある程度の位置で安定して組織が、まだ安定している段階から優秀な人材を米国の研究機関に派遣することや、地方自治体から中央官庁に職員を派遣することがあります。これは人材をより高いレベルで研鑽してもらい、そこで身につけた能力を組織に持ち帰ることにより、既存の組織レベルを高めるためです。人材を留めておくのではなく、交流を図ることで組織を保つことが出来るのです。

 日本のプロ野球では、優秀な選手(人材)を自分のチームに留めることを執着しているように感じます。新人選手に希望球団の選択肢を与えないこと、メジャーリーグ移籍には期間を要することなどです。入団したい球団の選択肢は選手に与えること、選手(または代理人)がメジャー球団との交渉がまとまれば、在籍期間に関係なく移籍を認めるなどして欲しいものです。
 WBCがアメリカで開催されたことにより関心は世界の舞台に変わり、松坂選手や上原選手がメジャーリーグで投げている姿を見たいと純粋に思います。若くて力のある内にアメリカに渡ってもらうことで、日本全体のレベルが上がるのではないでしょうか。WBCの次回開催は三年後だと聞きますが、その時の日本チームの大半がメジャーリーガーで構成していたら堂々と優勝を狙うと公言出来ます。
 世界と互角に戦う人がいることで、私達は祖国日本を感じることが出来ます。

コラム トップページに戻る

前のコラムへ   /  次のコラムへ