279.トップランナー
 和歌山県は観光と健康を組み合わせたサービス提供をするための取り組みのトップランナーです。各地域でも地域資源を活用して様々な活動をしているようですが、世界文化遺産を活かせる利点が和歌山県にはあり、いち早くスタートを切っていることから優位に立っています。
 熊野は観光地として余りにも強く訴えすぎるよりも、さり気なく人々の話題になることを目指した方が適しています。癒しや健康サービス、トータルビューティなど予防医療にも資することが利点であることを理解してもらえたら自然に訪れる人も増加してきます。

 和歌山県として今まで参画していない分野であった統合医療で、成果報告が出来ることは和歌山県にとって限りない財産です。予防医療と言えば和歌山県と、全国の医療関係者に認識してもらえるだけでもこの分野に関する先進的な情報が入ってきます。
 二番手では最新の情報は入りませんから、最初に統合医療の分野で活動していることを訴えることは、将来的にも地域に有形無形の利益をもたらしてくれる筈です。
 1998年から1999年にかけて熊野古道を指して「振り返ればトップランナー」と、事あるごとに話していた和歌山県幹部の方を思い出しました。先を見つめた活動、ビジョンの大切さが判ります。

 和歌山県のように人口減少を食い止め増加に転じる施策は中々見つからないのであれば、交流人口の増加を図り経済的な地域活性化を図ることも考えなくてはなりません。しかし交流人口でも和歌山県は全国で最低水準にあると聞きました。これは他地域から観光やビジネスで和歌山県を訪れる方が少なく、また国内と海外からの観光客もそれ程多くないことを示しています。そのため経済環境が良くないため活性化が遅れているといえます。

 地域活性化を図るための一つの視点が交流人口の増加にあると考えますから、熊野健康村構想や海外からの観光客誘致活動はこれに合致するものです。
 地域内だけで限られたパイを奪い合うゼロサムの考え方ではなくパイを膨らませるためには、まずお互いが協力関係に立つことで交流人口を増加させる方向を目指した方が活力を生みます。ゼロサムの考えた方だと限られた資源を奪い合うことを前提としていますから、どうしても地域の中では協調よりも競争になります。先行している者は追従する者を蹴落とそうとしますし、先行している者同士でも足の引っ張り合いをすることになり、どうしてもその地域内で若い人達が社会で活躍するのが遅れます。若い力の台頭が地域の活力を生み出す原動力ですから押さえつけてはいけません。

 統合医療というのは和歌山県にとっても新しい分野ですが、未知の分野に挑戦する姿勢は明日を切り拓いてくれるものです

コラム トップページに戻る

前のコラムへ   /  次のコラムへ