224.聞くことと
       伝えること
 どこの地方自治体でも財政難が言われて久しいのですが、和歌山市や和歌山県も例外ではありません。行政機関が財政難だから公共的な仕事が出来ないというのはおかしなものです。財政難なところに少ない原資を取りに行くばかりでは、地域が縮小に向かうだけです。少ない予算を上手く活用するためには、行政機関の予算は民間団体が公的な仕事の部分を補完するための施策にマッチングさせることが肝要です。

 民間にお金がないから冒険的な取り組みは実施したくないので、行政機関に予算配分を依頼する姿勢は好ましくありません。公的な要素を持つ事業を民間で取り組むので協働しましょうと言うのがこれからの地域社会のあり方です。
 幸いNPO法人の活動やボランティア活動を今の行政機関は支持してくれていますし、最近では指定管理者制度を活用して公的施設を民間で管理運営する動きも出てきています。このように民間団体が活躍する場はその気になればありまかすから、地域活性化のために自分の能力を活用することも大切になっています。
 仕事で培った能力を活かせる機会が増大していることを現していますから、日頃からの取り組みの大切さが分かります。

 さて民間団体の活力を活かした事例として、和歌山市内で行われたアフガニスタン・カンボジア写真展があります。NPO法人が和歌山県や和歌山市と協働しながら平和のメッセージを全国に発信しようとする活動です。写真は藤原紀香さんが現地で撮影したものをパネルにしたもので、見る人すべてに平和の尊さを訴えてくれます。
 
 藤原紀香さんが開催する紀香スクールのリハーサルに参加しました。このスクールで聞いた話は心に響くものでした。学校へ行きたくても行けない環境にいるアフガニスタンの子ども達、病気になってもお医者さんにいけない環境、食べる物も履く物もない環境、それでも夢を持っているのです。勉強をして学校の先生になる、エンジニアになって飛行機を直すなどの夢を持っています。
 カンボジアでは地雷が埋められた道を歩いて学校へ通う子ども達がいます。いつ地雷を踏み、体の一部が吹っ飛んでしまうかも知れない環境です。

 そんな環境が世界の国の中であります。日本のように勉強が出来るのは当たり前という環境はありません。勉強する環境などは与えてくれるものではなく自分達が勝ち取るものです。内戦で混乱している国では武力で勝ち取る必要があるかも知れませんが、日本においては議論、論議によって課題を解決しています。私達は意見を述べ行動することで環境を変えることが可能となります。
 与えられるものだから自分のことだけをしていれば良いと考えるべきではありません。
 社会を変えるには子どもに興味を持ってもらうことが一番です。世界平和に関心を持ってくれた子ども達が大きくなる20年後、地域社会も日本の社会も変わります。平和な社会を築いた日本が変わればそこから世界も変わります。
 世界を変えるのは一人ひとりの力です。変革には時間がかかりますが時間経過だけでは社会は変わりません。誰かがきっかけを作らないと時間だけが経過します。参加した子ども達にとって忘れられない夏休み期間中のスペシャル授業になったと確信しています。一緒に参加した保護者の方々も変わる契機になっている筈です。

 藤原紀香さんの話を伺うと、日本でいると当たり前のように思っている社会環境を守るための行動を起こさないといけないと感じます。早速ある会合で、アフガニスタンやカンボジアの状況を伝え、自分達で可能な行動を起こそうと思う気持ちの大切さを話してきました。現状を変えるためには、写真を見るだけではなく、話を聞くだけではなく自分の言葉で伝えることが大事です。皆さんも写真展から世界が平和であることの尊さを感じ取ることが出来たなら他の誰かに伝えて下さい。それが現状を変えていくと信じています。

 夢を持って行動する、そして人生は二度とないのだから悔いのないよう生きることを学べました。迷った時に選択する基準は、夢に即しているか、そしてその決断をしたら後悔しないかを心に問うことです。二つの基準を満たしたら迷わずにゴーです。
 実に簡単なことですが、実現するためには何度も苦しい決断の時を迎え乗り越えることです。大きな舞台と大きな決断をしてきた藤原紀香さんだから簡単に活動しているのです。私達も怯まないで大きな舞台を目指したいものです。

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