201.説得
 主張をする時に、従来のしくみを少し触って変更するよりも、内容を大幅に変える主張をする方が良い場合があります。例えば従来の仕事を今風に変えるために5千万円を要求するよりも、従来からのやり方を全て変えるために10億円を要求する方が採択されることがあるのです。これから大手企業を追いかけようとしている企業の経営者や組織のトップは、先行する企業が既に取り組んでいたり、先発している商品やシステムと同じような企画や仕事には予算を配分する発想はないのです。
 先行する企画を追いかけるために、今あるものを少し触っただけの二番手や三番手の仕事には企画としての魅力はありません。計画を実現させるためには、最初はほら吹きでも良いので大きな発想を持ち決定権限者に当る姿勢が必要です。
 
 それに対して、反対する意見はどれだけでも出されます。例えば「計画段階に予算を投下したとしても市場がないので後が続かない。3年後の予算をどう考えるのか」などの質問です。これは全く意味がないものです。10億円を投入して新しい市場を開拓出来る兆しが見えてきたら、放っておいてもこの市場に参画する企業は現れます。新しい企画に参加した方が得だと考える企業群は予算を引っ提げて来ます。魅力ある企画を市場で実現出来る予測が立てられるだけで、全ての予算を自前で確保する必要はないのです。

 企画を実現させるためには最初の資金をどう確保するのかが肝心で、そのための魅力ある企画案を作成出来ることと、資金提者を説得出来るだけの説明能力が必要となります。
 双方共に必要な要素は、実現するための課題を認めた上で、企画を本気で実施する方向で考えているのか、それとも別に実施しなくても良い方向で説明するのとでは結論は正反対になります。企画案に夢を組み込んで説明することが大切です。
 課題がある場合の対応の仕方はこのように二通りありますから、夢を持って課題を克服することを前面に出して語りたいものです。

 相手を納得させるための提案をするには様々な条件はありますが、重要なものは次の三つを挙げておきます。
1.自分の価値を高める努力をしていること。
2.相手を説得できるだけの文章になっていること。
3.自分で企画に対する責任をとる姿勢を持っていること。
 
 今の時代では、誰かが作り上げた仕事に関しての細かいまでの知識を持っていることは誇りにはなりません。課題を克服する自信持ち新しいしくみを実現させることが誇りとなるのです。今あるしくみを無条件に受け入れるのではなく、自分の頭で発想して考えることが大切です。

コラム トップページに戻る

前のコラムへ   /  次のコラムへ