日高中津高校が甲子園に初出場した時の選手一人が今、指導者として少年野球指導などを行っています。自分の経験と技術、そして感動する思いを子ども達に伝えたいと願ってのものです。まだ現役でもやれる位、若いのですが目標を持った活動を行っています。
少年野球の指導は難しいそうです。技術指導だけになると人間形成が出来ませんし、技術指導を怠ると野球を通じて人格形成に資することが出来ないからです。
少年時代は監督の指導は絶対です。練習でエラーをすると叱られてばかりだと、好きな野球が嫌いになってしまいます。練習試合で三振してベンチに戻ると、監督から叱られてばかりになると萎縮してしまいます。試合に勝つことよりも、監督に叱られないために試合をすることになります。目的である試合での勝利を目指すことよりも、如何に三振しないかを考える余り空振りしないようにボールに当てにいくだけ、つまり監督に叱られないことが目的になってしまいます。これでは伸び伸びと練習が出来ませんし、試合を楽しめません。
少年を指導しているこの監督は、自身の経験から野球を楽しむことを第一に考えて、怖い監督ではなく兄貴のような存在で指導しています。勿論、規則を守らなかったら厳しく指導しますが、生徒達と練習以外の時間も大切にしています。この考えの元になるのは、高校時代全寮制で3年間一緒に生活をすることで人間的に大きく成長出来たことがあります。
そこから練習以外の時間を大切にしているのです。
甲子園に出場出来るに越したことがありませんが、少年時代から夢を持って一つのことを目指す過程が大切であることを教えています。大半の野球少年は、甲子園の夢が破れていきます。でもそれでも真剣に取り組んだ過程こそが尊いことを、共有する時間の中で教えています。
監督の仕事は、野球の技術指導だけではなく人間形成を図るのも大きなウエイトを占めています。生徒に対しては、人生の一時期、何かに熱中することが何事にも変えがたい経験になる、例え予選でも公式な球場のグラウンドに立てるだけでも自信になることを感じてもらいたいとしています。
人格を形成する時期は、結果よりも結果を出すための過程が大切であることが分かります。努力しないで結果を得られても意味はありません。何時でも努力をしないで良い結果が出るのであれば過程は不必要ですが、長い人生においては偶然が何度も訪れることはないからです。やはりそれなりの努力を重ねた人の元に良い結果が現れます。
この元甲子園球児は夢を描き、実現に向けた活動を行っています。夢を持ち努力をして結果を得られ感動体験をするという公式が体内に組み込まれると、どのような環境においてもそれに向けて体が反応するようです。この人生で大切な公式に沿って体が反応するためには、頭で理解するのではなく実体験に基づくことが必要です。一度体得すれば忘れることはありませんから、どのような場面でも応用できます。
子ども達に教えるべきことは、努力をしても最高の結果は得られないかも知れないけれど、少なくとも結果を得られる可能性が高まるということです。努力をしなければ、長い人生において結果は得られないことも合わせて教えられます。
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