学校の先生をしていると、一年のうち何度か感動することがあると言います。入学式、卒業式、修学旅行、遠足、運動会などの行事は勿論のこと、子どもたちが成長する日常の中に感動は隠されています。出来なかったことが出来るようになる瞬間。遊びの中での新しい発見。子どもの成長を近くで見られる学校という職場は、大人にとっても感動の多い場所です。
新小学一年生は、しばらく地域ごとに集団下校します。学校に家が近い生徒は途中で別れていきます。最後の一人になった生徒は不安感からか、校長先生の手を強く握ってきたそうです。その手の暖かさと柔らかさから、生徒の不安感と信頼感を感じて、校長としての責任感を改めて自覚し、感動を覚えたそうです。
仕事で感動を味わえることは、そう多くありません。学生時代と社会人との違いのひとつに、季節感があります。社会人になると季節感を感じることが少なくなります。学校時代には、季節ごとに行事がありますし、春休みや夏休みもあることから、節目を感じることが出来ます。漫然と時の流れに日常を委ねているのではなく、節目がある生活は区切りがあって充実します。職場で季節感を感じなければ、節目を持つために自分から職場の外に飛び出し季節を感じる必要があります。仕事も生活も区切りを持つことが大切です。
ある校長先生は生徒を前にして話をする場合、聞いてくれる生徒の雰囲気により話の内容を変えるようです。
集まった生徒の中に良い緊張感がある時なら、話のネタを三つ用意していたとしても、雰囲気に合わせた話題を追加して話をします。そんな時は、生徒が話を吸い込むように聞いてくれる感覚があり、話を受け取ってくれたと言う実感が持て充実感を味わえます。
逆に、何故か生徒が乗ってこない場合もあります。誰が悪いとかではなく、集団としての雰囲気がそのような場合があるようです。その時は、五つの話題を用意していても二つで話を止めるなどします。全体の雰囲気が乗ってこないと、長く話しても効果は認められないからです。
話す相手が吸収できる状態にないと、良い話をしても効果が見込めません。集団の場の雰囲気は大切です。話す側は、雰囲気に合った話題を提供し、聞く側は、吸収しようとする姿勢が求められます。お互いが場の雰囲気を築くことで、双方のキャッチボールが上手く行うことができ効果は増幅します。
話す側は懸命にテーマを伝えようとします。聞く側もプロの聞き手となって、ひとつでも知識を吸収する姿勢を持ちたいものです。どんな講演テーマからでも得られるものはあります。
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