北京で蝶々がはばたくと、遠く離れたニューヨークでハリケーンが生じる。一羽の蝶が羽ばたくと、次々と仲間の蝶が共鳴し、二羽が四羽、四羽が八羽となり世界を席巻する。
ミクロの揺らぎが、予想をはるかに超えたマクロの変化をもたらす。初期値のほんの少しの違いが、途方もなく、かけ離れた結果を導き出すことを意味します。
元三重県知事の早稲田大学大学院北川正恭教授が、最近良く話しています。
かつて地方は国に陳情して、中央から予算を取ってくるのが仕事だとされていた馬鹿げた時代がありました。これが政治だと錯覚していたのですが、国へ行って陳情し、補助金を貰う考えから脱却しない限り、絶対に地方自治体に明日はきません。地方分権とは、全国3,200市町村の蝶々が飛ぶことです。
今では議員も勉強して、行政に提言していく姿勢が求められているのは周知の事実です。
議員が勉強すると職員さんも勉強し追従します。議員が、地元の利権だけを追いかけている姿勢で、行政にそれを求めるばかりだと、職員さんのやる気は失せてしまいます。行政改革とは、議員の意識改革でもあります。北京の蝶々が羽ばたいていない時代は、政策立案能力や政策推進能力がゼロでも、議員は務まっていました。いま、各地で蝶が飛んでいます。口利き議員がいる地方自治体は、既に時代に乗り遅れています。
原因と結果の関係を分析するのが化学の世界ですが、スピードが速くて何故そうした結果が出るのか分からない時がまれにあります。結果を分析するのではなく、気づき、ゆらぎを感じ取ることが変化を求める姿勢です。明治維新でも各地で蝶々が飛びました。既に全て入れ替える時代に突入しています。
「北川さんが全国を廻り、自治体首長と議員に対して北京の蝶々の話をして欲しい。それによって地方自治体の意識は変わると思うのですが。」と質問がありました。これに対して北川さんは「私が各地を廻って話をすることは簡単だが、それではあなたが変わりませんよ。自分から変わらないと変化は起こりません」と回答しました。
北京の蝶々を飛ばすためには、自分の意識を変える必要があります。人に頼るのではなく、自分で行動を起こすと考えなくてはならなかったのです。意識改革、言うのは簡単ですが、実践は難しいものです。
北京の蝶々とは、誰かが飛んでくれるのを期待するのではなく、自分が北京の蝶々になることです。自分が変わると周囲も変わります。一人が変わっても何も起きないと思うのは、ニューヨークのことは変えられないと、最初から飛ぶことを諦めることに似ています。
私たちが自立し、現状を変える気持ちで北京の蝶々になった時、日本は変わります。
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