平成18年12月6日(水) |
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A.平成18年12月
和歌山市議会一般質問
(1)再質問内容・答弁 |
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(1)保健衛生行政について再質問
【再質問】
食中毒の防止は飲食業界の皆さんにとって最も重要な課題です。食中毒を発生させてしまうと店舗の信頼は低下しますし、営業的にも大きな損失を伴います。飲食店によって異なりますが、営業停止前後で売り上げが20パーセントから40パーセントも減少している事例もあります。これは3日間、実際に店舗営業を停止したことが大きく影響しているものです。
また今年、和歌山市内でノロウイルスによる食中毒を発生させてしまったある飲食店では、事後処理として食品衛生法に基づく研修を行い、態度と意識に変化が見られなかった調理師を解雇して新体制で営業を再開させています。このように営業停止命令は人の運命をも変えてしまう程の重みがあるのです。
ですから、行政指導に違いがあるようであれば問題です。法律は公正に適用される必要がありますから、飲食関係者においては今回の事例、つまり営業停止命令を受けたけれども、厨房の営業を停止するだけで店舗営業を行っても問題はないとする解釈に関して全国に解釈を求めているところです。見解を統一してもらわないと飲食業界で不利益を被る店舗も発生することも予想されますから、法適用の公平さを保つように検討しているようです。
第一問でも営業とは、「製造、調理、販売」の3つを一体としたものであると回答をいただいたように、調理の部分だけを切り離して食の安全を守れるものではありません。
今回の事例の影響の大きさから、飲食関係者や調理師の皆さんとたくさんの意見交換を行いました。その結果、厨房の営業という見解は有り得ない。飲食業界においては厨房と客席は一体のもので、保健所からの営業停止命令とは、営業行為そのものを停止することだと認識しているというものでした。誰一人として厨房の営業を停止して客席の営業を行っても良いと考える人はいませんでした。
また厨房設備士の資格所有者の見解を確認したところ、食品衛生管理とは仕入れと厨房そして客席が一体となったもので、この三つがひとつとして飲食店営業が成り立っている。
そのためこの一体となったものを切り離した営業は有り得ないので、厨房だけを切り離して営業と解釈することは有り得ないとのことでした。
またある飲食店経営者は、経営主体が同じであればホテル全体が一体と考えるべきであるとの見解を示してくれました。つまり厨房、宴会場は一体と考えるべきで、切り離しての営業有り得ないものだとするものです。それはダクトを通して菌が他の施設に侵入する危険性があるからです。そのため、食中毒を発生させた宴会場の営業も停止すべきであると考える以外にないとしています。
しかし、飲食関係者の皆さんは行政に対して意見を述べるだけではなく、食中毒防止に関して積極的な姿勢をとっています。和歌山県内でノロウイルスによる食中毒が発生していることから、11月、調理師会が主体となって食品衛生に関する研修会を開催しています。この企画は、実際に調理現場に立っている調理師の皆さんを対象として一日かけて研修のプログラムを作成して実施したものです。
調理師会では和歌山県下の会員の方に呼び掛け、初回にも関わらず約30人の参加がありました。和歌山県内で研修をしようとしても適切な施設がないため、朝から大阪市の業務用厨房が整った施設まで出掛け、HACCPの講義と調理実習に基づく食品衛生管理の講習を行っているほどです。
飲食関係者がこのように考えるのは、食品衛生法の改正の精神に基づいたものだと考えます。食品衛生法は平成15年8月29日に、国民の健康の保護と予防的観点に立った積極的な対応、事業者による自主管理の促進を改正の視点として施行されています。
【質問1】
そこで一つ目の質問です。これらの飲食関係者の見解をどう思いますか。もし違っていると思うのであれば、和歌山市としての見解を示して下さい。統一した見解を持って、食中毒が発生した場合の営業停止命令の問題に対処する必要がありますから、お答え下さい。
さらに問題があります。11月1日、和歌山市長宛てに本件に関する疑問について市内の弁護士から質問がありました。それは宴会場の営業停止処分中、4階厨房の食器を3階に移して使用している事実と、4階の調理人が3階の厨房内で調理をしている事実、ここで調理した食事を4階宴会場に運び込みにお客さんに提供していた事実、これらのことを認めた内容に関する調査依頼です。
営業停止命令を下した和歌山市が、この事実を突きつけられているのに調査することもなく、看過しているのであれば問題です。行政機関を信頼して調査依頼を行っているのに、その疑問に対して誠意ある回答をしない態度は腑に落ちません。
市長は、飲食関係者の和歌山市の保健衛生行政に関する不信感が高まっていることに気付いているのでしょうか。
市長からの回答は関係者を怒らせる内容で誠意のかけらもないものでした。
それは「法律的には回答する義務はありません」と簡潔な答えを郵便で返してきただけで、関係者からの説明はありませんでした。飲食関係者が求めているのは法律云々ではなく、行政責任者として市民の疑問に対して誠意ある姿勢を見せて欲しいとするものなのです。問題の本質から大きく外れた情のない回答を郵送してくる姿勢にはあきれるばかりです。
このように市民からの問いに対して、突き放しているのは何故でしょうか。市民の健康を確保する責任が和歌山市にあると思いますが、その責任を回避するような姿勢に映ります。新聞報道された事例で、その実情が異なっていた場合の影響の大きさや飲食関係者の声を感じ取る感性が必要ではないですか。飲食店経営者は市の指導に関して混乱していることを分かっていますか。
トップが現場のことを知らずに紙だけで処分を下す。このような不信感の積み重ねが、市政への信頼失墜につながっていくのです。
この件に関しては、これより以前の本年8月24日に、同じ弁護士から営業主体が届け出と異なるとの申し入れ書が届いています。
少し引用します。「同ホテルの4階の宴会業務において万が一にでも事故が発生した場合の損害賠償能力等を考えても、また消費者保護の観点からも、顧客にはっきりと認識できるよう明示すべきで」ある。そして市に対して「同ホテルの宴会部門のこのような契約を放置しておくことは、消費者保護の観点から看過できない問題でありますので、和歌山市におかれましては早急にこの実態について調査頂き、行政として必要な改善措置等お取り扱い頂き」たいとの行政指導を求める申し入れです。
同ホテル4階宴会場の営業主体はホテルとは異なる別会社に営業許可がないとすれば、これは明らかに無許可営業であります。
このように再度にわたって行政指導を求める意見や質問が来ているのに、まともに対応していなかったこと。これは行政を担っている責任者の態度とは思えません。この点も不信感を招いている要因だと思います。適切な行政指導をしているのであれば、質問に対しても適切に答えられるはずなのに、無視するかのような態度はいただけません。
【質問2】
そこで質問です。市民からの疑問に対する質問に対して、機械的な回答を発信したことについての見解と、営業停止命令を行いながら4階の食器を使用していた事実や同じ調理人が階を移って調理していた事実があったことに関して、行政処分を下した行政機関として責任ある対応を行ったのですか。お答え下さい。
また、このような実態があったにも関わらず、ホテル側からの「今回は保健所の方からそれはやってもいいと言われました」との指導は適切だとお考えですか。お答え下さい。
【質問3】
また、食品衛生法で営業許可を受けていない会社が、4階宴会場を経営している実態に関して市の指導はどうなっていますか。このことは既に飲食関係者の知るところで、和歌山市の指導方針によっては飲食関係者からの信頼失墜を招きますし、加えて無許可営業を黙認しているのであれば、食に関して市民の安全、安心が損なわれることになります。
当該ホテルの4階厨房において、食品衛生法に基づく「食品営業許可」に関する責任の所在を明確にして下さい。また、現在までの対応と今後の対応方針についてお答え下さい。
【再質問答弁】
有本福祉保健部長
食品衛生法第52条に基づく飲食店の営業許可については、県が示す設備基準に基づき、食品衛生法上支障なしと判断した場合に許可することになります。飲食店の業種や営業形態により個々の事情に応じて判断することになります。
総じて言えば、例えば、厨房部分と食事を提供する部分が構造的にも機能的にも一体となっている場合は、施設全体を対象として営業許可することになります。一方、厨房部分が独立しており、食事を提供する部分と構造的にも機能的にも分離されていると判断され、かつ食事提供部分が、その施設において日常的に他の目的にも使用される場合などには、厨房部分だけの許可になる場合もあります。この場合であれば、当該厨房を使用せず、他の飲食店からの仕出しを受けて食事提供部分を使用することは可能な場合もあるかと思います。
ただし、食品衛生法の目的に鑑み、飲食に起因する危害の発生を防止するという観点から、食中毒の発生規模、病因物質などを踏まえ、事例ごとに厳格に判断する必要があります。
ご照会の件に関しては、個人情報の提供の恐れがあるので、内容については回答を差し控えさせていただきました。また当該施設に対しては、営業停止期間中も繰り返し施設に立ち入り検査をするとともに、施設の清掃、消毒および食器等の熱湯消毒の実施等食品衛生の見地から必要な指示を行っています。また調理人についても、検査と必要な指導を実施し、二次発生の予防に努めることが出来たと考えています。
飲食店の経営者が実際の飲食店業務を第三者に委ねることは、一般的に見受けられる形態であり、食中毒の発生時には営業者に対して行政処分を行い、営業者の責任下で対処されますので、食品衛生法上は支障ないものと考えますが、営業者自ら食品衛生の確保の責務を負うとともに、社会的責任を果たさなければならないと考えます。
以上
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