平成17年12月7日(水) |
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A.平成17年12月
和歌山市議会一般質問
(1)再質問内容・答弁 |
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(1)教育のパワーアップについて再質問
【再質問】
和歌山県のイングリッシュ・パワーアップ・プログラム事業を取り入れている小学校では、担任の先生と外国人の英語の先生が教育カリキュラムを相談して組んでいます。聞き取れることと話せることを主体とした授業としていますから、従来の受験英語と呼ばれる科目としての英語とは一線を画したものになっています。
予算があれば話せる英語教育にかける予算の増額をお願いしたいところですが、和歌山市には話せる英語教育にかけるお金がないようです。
学校の規模によって予算は異なりますが、外国人教師を雇用する費用は県の実績によると、一校あたり200万円から300万円です。和歌山市で導入する場合、中学校は18校ですから約5,400万円、小学校は52校で1億5,600万円の新規予算が必要となります。和歌山市の財政状態からすると全校一斉の導入は難しいものがあります。
和歌山市に教育にかける予算がないから、話せる英語教育が出来ないのは仕方がないとは言えないと思います。英語特区の市は当然のこと、文部科学省の指導により他府県の小学生達は話せる英語を学び始めています。和歌山市の子ども達が話せる英語を学べないのは大きな不利益を被っていることになります。
国際人として活躍すべき小学生にとって読み書き計算は大切で、しかも日本語の読み書きに加えて英語の読み書きが出来ることが必要なことです。
教育のパワーアップの掛け声はありますが、教育現場ではパワーアップになっている実感は少ないようです。是非とも予算化を図る、県や国に上申する姿勢を取って欲しいものです。和歌山市で教育を受けた子どもは英語が話せる、それだけでも夢のある話です。
さて県の事業は、平成15年度から平成17年度までの3年間。県の事業は先進事例として導入するためのモデル事業ですから、いずれ市町村の単独事業となっていく性格のものです。3年間モデル校での研究を行っている間に、和歌山市でもカリキュラムとテキストの水平展開、教師の養成などを図っておく必要があります。そうしないと県からある程度の研究成果が見られたため市町村で継続して実施して欲しいと依頼があった場合、対応出来なくなります。
幸い県では平成18年度も同規模のイングリッシュ・パワーアップ・プログラム事業を継続する方針を示していますが、それ以降については未定ですから、今から継続するための条件整備が必要です。
モデル校での研究結果から、公立小学校で話せる英語教育を導入するための課題は大きくふたつです。
ひとつ、外国人教師を雇用出来るだけの予算が必要なこと。
ふたつ、小学校教師が英語教育の必要性を理解し、自ら実践する覚悟を持つことです。
和歌山市のような中核都市の規模で導入するには厳しい条件ですが、教育委員会と話をする中で、歓迎すべきことではありませんが、財政が厳しいことが話せる英語教育が出来ない最大の壁になっているような気がしました。そこで外国人補助教員を導入するよりも経費が約10分の1で出来る施策を提案させていただきます。
外国人補助教員に高い年棒を支払わなくても、月数万円でイギリスから現役の大学生が小学校での話せる英語の授業のために来日してくれ、担任の補助で入ってくれることが可能なことです。ボランティア精神が高いイギリスでは、大学生に世界を見て自らの研修と世界への奉仕のため、ギャップイアーと呼ばれる1年間の研修機会を取り入れています。
和歌山市にその気があれば、連続的、恒常的にイギリスから大学生が和歌山市に来てくれた上、月数万円で小学校を廻って授業に入ってもらえることが可能なのです。
担任の先生が主導して、発音指導、文化交流などの面で補助してもらうだけで、今取り組んでいる教育のパワーアップよりは成果が期待出来ます。
もうひとつ、予算が限られていることから現役の先生への英語研修機会の提供を提案します。
予算が限られている状況では、現役の先生に子ども達に話せる英語を教えられるようにがんばってもらう必要があります。
いくつか方法がありますが、最も早く話せる英語を教える方法を学ぶことができ、英語補助教員と比較して格段に経費が安く仕上がる研修とプログラムが存在しています。移民の国であるオーストラリアでは、英語を母国語としない人への英語の教授法(TESOL)が確立されています。また、TESOLとは別に児童英語教師養成講座などが現地で学ぶことが可能です。後者の講座では、どのように児童に英語を教えたら良いのか実践的な能力を学ばせてくれます。この3週間程度の研修を取り入れるなど予算がないなら考えて欲しいものです。
夏休みを活用した先生に対する英語研修を行えば、異文化理解も含めて先生が経験を日本に持ち帰ってくれるので、子ども達に対する授業においても貴重な財産となります。
また和歌山市内においては既に、英語を教える教師として必要な「聞く」「話す」「読む」「書く」を学んでもらい、文部科学省が英語力の目標値として定めているTOEIC800点以上を目指す英語教員養成講座が開講されていますから、このような研修機会を取り入れる姿勢も必要です。
平成14年度に文部科学省が公立小学校での話せる英語教育を取り入れて以降、教師のための研修とカリキュラムを確立している地域とそうでない地域とでは3年が経過した現在、話せる英語力が大きな差となっています。
予算がないから仕方ない、これでは何も改善されないし前進もしません。予算がないのであれば視点を変えると、かつてはなかったけれど現在ある有効な研修制度を取り入れて、まず先生方に子どもに英語を教えられるスキルを身につけて欲しいものです。
未だ県のモデル事業の域から脱していない和歌山市は、英語教育においても先を進んでいる他都市に大きく水を開けられている状況です。
そこで質問です。
1.近い将来、モデル校の実績が成果発表された後は、小学校での英語教育は各市町村での取り組みなると思われますが、受け入れる体制は整えられているのでしょうか。また、話せる英語教育の予算は和歌山市が負担することになりますが、予算措置の実現性はありますか。
2.海外の大学生を話せる英語授業の補助として活用すれば、ALTよりも経費的に安く、小学生と年齢も近いことで文化交流も図れることが期待出来ます。現在は、3年前には考えられなかったネイティブにより英語が学べる社会になっています。予算がないのであれば、このギャップイアーを活用した小学校での話せる英語学習について見解をお示し下さい。
3.国際化時代に突入している現在ですが、和歌山市では話せる英語に予算にまで割くことが出来ない状況があります。外国人の補助教員の採用は予算面の制約から厳しいと思うことから、まず現役の先生への英語研修機会を付与することを提案いたします。教育のパワーアップのために、まず何人かでも結構ですから先生方に英語研修を取り入れる試みをお願いいたします。
4.国際化時代に突入している現在、話せる英語教育を取り入れないで教育のパワーアップはあり得ないと思いますが、市長が目指しているパワーアップした教育とは何ですか。総合学習の成果が表れ、言われるところの詰め込み教育に時間を割くことなくなり、学力と考える力を持った子どもになり、受験も乗り切れるとも考えられます。
しかし郷土への誇りだけでは、少子化で厳しくなる受験に対応するだけの学力も、考える力も身につけられない可能性もある訳です。都市土地価格で明らかなように、都市のレベルと教育問題は関連しているのですから、子どものために、そして和歌山市の価値を高めるためにもせめてインターナショナルスクールを誘致するなどの施策を考えて欲しいものです。
市長の教育のパワーアップにかける考えをお示し下さい。
【答弁】
大橋市長
国際化が進展する中,子どもたちが,すべての学習の基盤となる国語力に加え,国際的な共通語である英語のコミュニケーション能力などの力を身につけることが大切であります。
小学校の児童が外国人によって耳になじむ形で会話学習を受けることは,コミュニケーション能力の育成とともに,日本人としての自覚を持ち国際社会の中で活躍する人材を育成する上からも,大きな効果が期待できますし, 私の考える教育パワーアップにつながるものであります。
今後,教育委員会から成果等の報告も受けながら,国語力をはじめとする基礎学力の向上とともに,本市の子どもの英語力向上を図ってまいる考えです。
教育長
英語に対する興味・関心を育て,コミュニケーション能力を育成するためには,児童が英語を母国語とする人から直接学ぶ機会を設けることが,より効果を高めるものと考えます。そのため,小学校の英語活動につきましても,外国人講師を活用した授業の拡大を図るとともに,効果的な教材を用いた授業内容の研究等を通じ,各小学校での取り組みを一層充実させていきたいと考えております。
また,それに伴う予算措置につきましては,中学校の英語教育関係の事業と併せ見直すことにより,事業内容をさらに充実できるよう検討してまいります。
以上
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