中小規模の会社に資金が回らないのは、構造的に原因がありそうです。例えば、大手企業からや公的な仕事が減少していること、従来と同じ内容の仕事でも予算額が減っていることから、入札参加者が入札するためにはかなり低めに抑えた金額で入札していること。
仮に仕事がとれたら、下請け、孫受けに出すのですが、階層を重ねるほど請負金額はかなり減少していきます。結局、作業を実際に行う会社がリスクを負担することになります。
それでも、中小事業者は仕事が無いよりある方が良いため仕事を請け負います。当面の資金は経営者が持つのですが、もし間に入っている会社が倒産したらお金を回収できません。そんな状態が続くと中小事業者も倒れてしまうのです。
中小事業者が行き詰ると、さらに小規模の会社や個人事業者にも大きな影響が出ます。しっかりとした中小企業対策が必要だと思います。
競争に耐えられる大企業や特殊な技能を持った中小企業は、構造改革が進んでも会社がひっくり返るような影響は出ないと思います。勿論、世界を相手にする厳しさはありますが、一定規模以上の会社は社会的価値を有しますから簡単には倒れません。
しかしそうでない事業者は大変です。業態を時代に見合うように転換しようとしても、研究開発のための資金が不足する、あるいは事業計画を形に出来ません。全ての会社が営業、企画、総務部門がある訳ではないのです。一律に、経営努力が足りないから、甘えているから、会社が行き詰るとは言えないと思います。
今まで会った中で、会社や従業員がどうなっても良いと思っている経営者はいませんでした。お金を貸してくれないから何も出来ないと、甘えている経営者にも会ったことはありません。皆さん生活がかかっていますから、真剣に事業に向き合っています。それでも現状を打破出来ないのです。
規模の大小に関わらず、新しい事業と伝統産業など分野の異なるものを同じ舞台で競争に晒してしまって良いのかと考えます。時代にマッチしないものは市場から消え去りますが、長く地域に根ざしてきたものには、年月を超えて生き抜いてきた何か魅力があると思います。
企業の自助努力は当然として、アドバイスを受けられる人が近くにいる、または機関があるだけでも個人事業者にとってはありがたい筈です。
その証拠として、ある経営者はこう言ってくれました。「小さくても人を雇い、仕事を得るのに苦労していると、その困難さを誰かに聞いてもらうだけでも精神的に助かる。聞いてもらうことで少し荷物が降ろすことができ、また歩き出せるような気がする。」
地域の自立化のためには、地域産業基盤の強化は不可欠です。
国が進めている不況の下での規制緩和と構造改革は、地域経済に大きな影響を与えるものです。そのためにも和歌山市は、地域産業活性化のビジョンと計画と推進体制づくりに本格的に取り組まなければならないと考えます。産業の衰退は、更に地域活力の低下、若年層の流出にも直接影響します。
答弁いただいた中で問題視すべきは外郭団体です。改革の第一歩は、財政状況を市民に明らかにすることです。即ち、決算状況を見ると収支バランスがとれていますが、その実態は人件費を含めた金額で委託することで健全な姿を保っていると言うことです。
一例として、平成14年度、都市整備公社の経営状況を数値で見ると、受託管理事業の比率が84.2%、自主管理事業が15.8%となっており、指定管理者制度を活用するためには、将来に向かって自立することが大きな課題となっています。
横浜市の場合は、市営地下鉄や市街地再開発など独立採算が建前の特別会計や外郭団体に潜む、隠れ借金3兆9,000億円を公表しました。
市民に現状を明らかにした上で、この部分にメスを入れようとしています。行政改革の意識があれば、法改正に伴う外郭団体と民間を競合させることが可能な筈です。
組織において内部環境を変化させること、つまり意識改革は難しいのですが、外部環境変化への対応はそれと比較して容易であり、かつ対応出来ないと組織は生き残れないのです。
外部環境が整ったのですから、後はトップの判断だけです。
最後に、今回提言した企業相談窓口の充実、不況指定業者対策、指定管理者制度の活用への対応を要望して第三問を終わります。