平成15年6月26日(木)
B.平成15年6月
 和歌山市議会一般再質問内容
では、再質問をさせていただきます。
 
 まず、財政健全化に関して伺います。
 和歌山市の財政構造の硬直化が進んでいることを受けて、財政の中期見通しを立てて、行政内部でも鋭意削減努力を行いながら、各種施策を改善しようと取り組んでいることについては好ましいことと思います。
 しかし、市民の皆さまから行財政改革についてのご理解をいただくための広報が、更に必要ではないかと思います。
 
 先日、阪口高石市長と話しをしました。
 阪口市長は、行財政改革に関して高石市民に知っていただくため、タウンミーティングと情報公開を積極的に行うとしています。さらに、税収減と大規模な公共事業により、財政は厳しい状況であり、財政健全化、行財政改革を待ったなしで断行すると言っています。
 そのため、徹底した歳出の見直しを行政内部から改革から取り組んでいくと、自身の給料カット、退職金の凍結を打ち出すなど、相当の覚悟を示しています。(さすがに、退職金の凍結案は継続審議となっていますが。)
 さらに、市役所から市民に対して、財政状況を平易な表現で示しています。「市の台所が大変な状況に。従来は豊かな財政を誇る都市として知られていましたが、現在は大変な状況にあります。」として、
具体的には、「経常収支比率は104.4%。このことは、皆さんの家庭でいうと、衣食住にかかる費用が給料を超えて使われ、他のことは何も出来ないどころか、衣食住さえ困難になりつつあるということと同じです。」
 或いは、「準用財政再建団体に指定されると、国の管理化に置かれ、本市独自で提供しているいろいろな市民サービスを続けることが困難になるなど、市民生活に大きな影響を及ぼすことになってしまいます。このようなことは、何としてもさけなければなりません。」など、かなり分かりやすく、市の財政の現状を訴えています。
 
 確かに、和歌山市のホームページでも、「財政健全化計画」を見ることが出来ますが、表現の難しさ、PDFという形を取っているため、見にくいため、多くの市民の方々に理解していただけるのか疑問が残ります。
 また、市報わかやまでは、本年1月号で「財政再建への取り組み」を、4月号では、平成15年度当初予算について、紹介されています。
 確かに、財政再建の取り組みについては、実質収支もグラフ化され、累積赤字の状況も伺え、市民の皆さまへの負担も予想される、という表現があります。市長も、「市民のみなさまへ」と題して、財政再建に賭ける意気込みが伝わる言葉で訴えています。
 
 しかし、和歌山市の財政の危機的状況について、何人かの方々と話しをしましたが、和歌山市の財政状況は良く分からない。市報に載っていたが、表現が分かりにくい。など、現状を理解している市民の方は極めて少ないのが現実だと感じます。
 今、行財政改革が必要と考えるならば、和歌山市の財政状況について、和歌山市のホームページのトップに「健全化計画」の要旨を分かりやすい例を持って掲載するとか、タウンミーティング的なものを実施し、危機的状況を訴えるとか、財政問題を広く周知する方策を考えていただけるよう要望いたします。
 次に、市長が考えるまちづくりビジョンについてです。
 本年2月、市長の施政方針で、「元気まちおこし」をテーマに重点施策を掲げられているのは存じています。その内で、特に重点と考えられているのは、次代を担う人の育成についてであることもうかがい知れます。小学校での英語教育推進や低学年へのサポートプランなど、教育力の向上を図るため、きめ細かい点にまで、配慮が行き届いているように感じます。
 ただひとつ、示していただきたいのは、私たち市民に対して、夢を与えていただきたいということです。
 教育を中心としたまちづくりを推進するのであれば、例えば、和歌山市の学校教育は、子ども達の個性を伸ばしてくれる上、国際社会にも対応できる人づくりを行ってくれる。教養、知性、感性など社会へ出るための素養を身につけることが出来ると、全国でも誇れるようにしたい、と言ったトップの考え方、ビジョンが必要だと思います。
 
 行財政改革で、私たちの世代が痛みを分かち合っていくとすれば、今を耐えて、財政の健全化が出来、新たな市の指針を示してくれたなら、私たちの子どもを安心してこの町に、預けることが出来ると思います。
 リーダーとして、今でなく、行財政改革後、私たちに示せるような明るい和歌山市のビジョンを、私たちに示していただきますよう強く要望いたします。
 
 次に、幼稚園問題についてです。
 先日、廃園対象となっている幼稚園の保護者の方々と、話しあいをいたしました。
 いくつかの意見を紹介します。
 少人数だからこそ、先生と園児のかかわりが深く、個々の性格に応じたきめ細かい教育をしてくれている。小学生と園児の交流もあり、子ども達にとって社会生活を自然に学べる場となっている。大人数にとけ込めない子どもや、病気がちな子どもをきちんと教育してくれる、など、
 公立の良さを実感しています。
 
 今の社会は、勝ち負けをハッキリさせる、行き過ぎた競争社会です。大人がつくった今のこの社会環境に、やがて旅立つ子ども達に対して、私たちができる最大の贈り物は、他人と違う自分の個性を大切にすることを教えること。そしてグローバル社会に、太刀打ちできるだけの知識を付与するための教育です。
 義務教育に入る前がとても大切です。様々な個性が混ざった公立の教育方針は、これからの社会にますます必要不可欠なものになっていくと思います。
 
 教育のパワーアップとは、教育施設をまとめて効率的かつ有効活用するのではないと思います。子どもの個性を大切にした教育、即ち、少人数でのびのびとした環境を持ち、決して知識の詰め込みに終始しない、誰に対しても優しい公立幼稚園の充実こそが、市長の掲げる教育のパワーアップの代表としてふさわしいものではないかと、私は思います。
 
 さて、質問です。
 市長は廃園対象の保護者との話し合いの中で、公立幼稚園を信頼して、子どもの教育に力を注いでいる様がお判りになっていると思います。保護者の方々の意見を勘案しますと、教育問題が必ずしも行政改革に馴染むものではないと考えます。次世代を担う人の育成を謳っている市長が、行政改革の御旗の元、今ある公立の教育機関が存続できなくなる、犠牲になってもやむを得ないと、考えているとは思われません。市長の中では、義務教育の対象以前である小学校へ入学する前の子ども達は「次世代」の中には含まれないのでしょうか。
 市長の真意をお聞かせ下さい。

 もう一点。教育を受ける権利についてです。
教育を受ける権利の要旨を述べます。「一個の人間として、また、一市民として成長、発達し、自己の人格を完成、実現するために必要な学習をする固有の権利を有すること、特に自ら学習要求を充足するための教育を自己に施すことを大人一般に対して要求する権利を有する。」ということです。子どもの学習権は既に判例の認めるところとなっています。
 行政としては、子どもが教育を受けるという利益保護のため、相当の範囲で、応えてあげるべきだと考えます。
 
 人権の問題は、先ほど、答弁にありましたように、当該園の関係の皆様に迷惑をかけるという問題ではありません。本件で、人権を有する主体は子ども達です。子ども達の教育を受ける権利、つまり社会権は、絶対的に保護されるべきものです。
 親が通園するのではありません。子ども達が通園するのです。子ども達が通園できる環境を行政が奪うことが、果たして、子どもが持つ社会権と衡量した場合、行政として正しい判断であるのか疑問に感じます。

 子どもの人権は最も大切であると考えているのでしたら、是非とも、子ども達の親権者である方たちと十分に話し合いをした上で、この問題を再度考えていただきたいと思います。
 
 市長にお尋ねいたします。
 そういう観点から、教育委員会が本年度設置する予定の「幼稚園教育審議会」に、廃園対象となっている園の保護者も入っていただくようお考えですか。
 また、審議会を立ち上げ、公立幼稚園教育のあり方全般、教育内容、15園のあり方などについて検討するのであれば、議論する時間が絶対的に必要です。本当に民意を反映させ、開かれた審議会にするためには、この審議会で、行政改革と廃園問題について、議論していただきたいと考えますので、見解をお示しください。

 最後に、アクティブシニアのまちづくり推進プランを策定するに当たっては、今まで以上に、民意を反映させて欲しいと思います。報告書ができたら終わりではいけません。そのために、行政に加えて、実際に社会活動を行っている人や地道にまちづくりに努力している人達に委員として加えていただくよう企画部として検討して下さい。
 以上

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平成15年6月 和歌山市議会一般質問について


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