【地域開発】
北海道から山口県まで全国の大型商業施設開発に取り組んできた経験者と、地域発展の取り組みについて話し合いました。地域開発は都市によって違いがあるようです。計画を説明して納得してくれると同意してくれる地権者が多い都市もあれば、条件面での同意が困難な地域もあります。同意した後に条件を引き上げてくる都市もあるようで、経験話をお伺いするとその地域性が分かります。
つまり各府県の都心部での大型商業施設開発はどこの都市でも難しさが伴うものですから、和歌山県だけが特別なところではありません。ただ和歌山県は比較的、地域開発が難しい地域であることは間違いないようです。情報が関係者以外に漏れた時点で計画は終わってしまう事例もあり、水面下で進めることの難しさを感じました。
ここで地域開発に関しての心掛けていることを教えてくれました。理論かどうか分かりませんが、「ゴキブリとマンモスの理論」と言うものです。環境変化の厳しい地球の長い歴史を生き抜いてきたゴキブリは、進化と退化を繰り返して来ました。残された化石には大型のゴキブリもいれば小型のゴキブリもあります。気象条件や食糧、天敵の強大さなどによって体の大きさなどを変化させて生き延びて来ました。マンモスはその時代の王者ですから体を巨大化させる方向に進化し、他の生物などを食糧にしていました。巨大化することは生きるための食糧が大量に必要となりますし、気候変化などにも影響を受けやすくなります。安定している時代は良いのですが、不安定な時代になると忽ち弱体化します。時代の王者であっても変化に弱いマンモスは滅びて、変化に対応してきたゴキブリは現現代も生き残っています。
市場主義社会も同じで、周囲のものを飲み込んで巨大化して企業は自らの生命を維持するため人材も資源も大量に必要となりますから、顧客志向の変化と市場の変化に対応出来なくなり兼ねません。一方企業は大きくなっても組織を小型化させリスクを分散させている企業は変化に対応しやすくなります。
スーパーの例を示してくれたのですが、一番早くに登場したスーパーダイエーは市場を先取りし圧倒的にお客さんの支持を得ました。食料品だけではなく衣料品や電気製品も直営で扱いましたし、その後、ホテルやレジャー施設、ミシンなどにも事業を拡大しました。そしてダイエーの店舗はグループ会社で占めるようになり、巨大化させていったのです。
ダイエーの店舗開発を経験したAさんは当時の中内社長に「グループ会社でダイエーの店舗を全て埋めるよりもテナントに入ってもらう方が良いと思います」と意見したところ、社長は「これからは大が小を飲み込む時代だよ」と答えたそうです。ダイエーは自社商品の開発も行い一時的にはお客さんの支持を得ましたが、つなぎ止めることは出来ませんでした。
Aさんは、テナントを入れることは家賃収入を得られるので売上に左右されないで収益を安定させることになるので、巨大化させる一方で本業の収益を上げる方法を考える時期に来ていると感じていたのです。結局、全ての商品とサービスはダイエーを含むグループ会社で賄おうとしたことが破綻への道を辿ることになったのです。
一方ライバルだったイオンは店舗の中で食品部門を自前で運営し、他の商品は専門業者に任せることにしてテナント貸しを行い、テナントから収入を得ることにしたのです。全てを自前で行おうとして巨大化して行ったダイエーと、巨大化しながらも機能を分散させたイオン。進化させることに専念したダイエーと進化と進化に備えての退化を繰り返したイオンの差が生じたのです。
ある規模までは拡大路線は欠かせませんが、ある規模に到達すると収益確保と人材確保の観点からも機能分散が必要となるのです。明暗を分けたのはその進化するために辿った方向の差だったのかも知れません。
Aさんは「まさかダイエーが破綻するとは思わなかったし、今でもダイエーが存続し中内社長がそこにいるような気がする。」と話してくれましたが、スーパーで全区制覇を夢見て時代を創った大企業でも、進化の過程を誤ると姿を消さざるを得ないのです。
巨大化に行き着くともう次の段階はありませんから縮小して行きます。一方向ではなく環境に適合するように進化と退化を繰り返すことが、環境に適合する進化の道を歩むのです。ある分野の市場を寡占することや巨大な権力を握ることは、その時点から既に後退の道を辿っていることに気付くべきです。巨大化を志向するのではなくて環境への適合を目指すことで、人生の階段を確実に昇りたいものです。
【議会報告会】
夕方からは和歌山県海南市に向かい、同海南市内で議会報告会を開催しました。仕事でお忙しい中でしたが15人も集まってくれました。議会報告は、今までの議会と地域の中で取り組んで来た活動経過を説明し、昨年末から現在までの最新の和歌山県の状況報告を行いました。和歌山県市の中心市街地活性化に向けての取り組み、海南市と和歌山マリーナシティの問題、今春、和歌山市で開局する
エフエム和歌山について、そして県民球団
紀州レンジャーズによる地域活性化の取り組みを中心に説明いたしました。
また参加者の中には国の動きに関して関心を持つ人がありました。関心を持っている理由は、年金問題とガソリンの問題が大きいのです。どちらも衆参両議院の議員数が与野党で逆転していることから、今までなら問題にならなかったことが与野党で激しく議論され問題点が浮き彫りになっていることが原因でした。結果はどうあれ、問題を問題と扱わないで、または問題と気付かないで衆参両院を素通りさせてしまうよりも、対立する意見を交わす方が私達の問題意識が深まるのは間違いのないところです。国政の議論に関心を持つことが参政意識を高めることになり、やがて投票行動につながります。自分の一票に力を感じた有権者は、それ以降その力を放棄することはありません。やはり社会を良くする方向で対立した議論を行うことが、無関心を関心に変え、停滞を変化に変えてくれるのです。
国政の停滞は良くないとの意見もありますがそうではありません。停滞を避けるために議論を行わないことや問題を問題として扱わないことの方が、長い視点からすると停滞を招くことになります。
ある外国の有力者の方が言いました。「私達の国から見ると、自民党は老人の党で民主党は子どもの党です」。この意味するところは、どちらもわが国の相手にならないと言うものです。日本の政治はこの程度に思われていることを認識しておくべきです。
そこで「ではどちらを重視するのですか」との問いに対しては「老人よりも子どもの方が次の時代に向かうためには大切なのです」と答えてくれました。余談ですが、この外国の方が比喩した老人と子どもとは、若さや年齢構成を指すのではなくて、その考え方を指しています。何でも吸収しようとする柔軟性があり、成長度合いが高い方を将来のライバルと見ているのです。
本質を見抜くものの見方は、現在の利権を守ろうとしているのか、利権を取っ払おうとしているのかを視点とすると良いのです。どちらが正義なのかは自分で判断しなければ教えてくれません。
最後に、参加者からの質問は、和歌山下津港湾の活用について、二順目国体に向けて種目競技の施設整備の必要性についての二点がありました。本日の議会報告会では、時間の制約もあり、活動全般を紹介したのですが、次回は項目を数点に絞って活性化対策について掘り下げて説明したいと考えています。
【感謝】
議会報告会の後に立ち寄った飲食店。人柄に惹かれて良く行くのですが、お店の壁に新しい色紙を見つけました。色紙には「○○○さんへ。感謝。2008年吉日」と書かれ、署名は3名の方でした。店主に伺うと「昔、ある大学の校内で営業していた時に良く来てくれた学生さん達ですよ」との返答。更に聞くと、3人とも平成20年、つまり今年で60歳になるそうです。
今年の正月明けに3人が集まって、何十年ぶりに懐かしい味を味わいにこのお店を訪れたのです。大学を卒業した後、一人は公務員、二人は学校の先生になって定年を迎えるこの年まで勤めあげたのです。社会からの卒業の時期を迎えて、学生時代に味わったお店に感謝の気持ちを持ってやって来たのです。22歳で学校を卒業した3人が、社会を卒業する60歳になって訪ねてくれた。そして38年ぶりに味わった学生時代の味。何と素晴らしい出来事なのでしょうか。
3人は、この味に対する感謝の気持ちを持って社会人として過ごして来たのです。その昔に感謝の気持ちを感じた3人は、その後も感謝の気持ちを持ち続けた社会人として過ごしてきたのです。素晴らしい社会人生活を、今年終えようとしているに違いありません。
理由は簡単です。もしかしたら人生の中の小さな出来事のひとつに数えられるかも知れない食事。その小さなことに感謝の気持ちを持っていることは、他のことに関しても感謝の気持ちを持っていた筈です。大きな恩に対しては感謝の気持ちを持ちますが、小さな恩に対しては感謝の気持ちは湧かないことがあります。
でも他人から受けたご恩には大小に関係なく感謝の気持ちを持つべきなのです。それは感謝したくなる出来事に感謝することで、次の感謝すべき出来事に出合うからです。感謝の気持ちを持たない人の下にはその出来事は巡って来ません。感謝に満ちた人生は素晴らしい出来事に溢れた人生なのです。
同じような出来事でも、心の持ち方によっては不満に思うことと感謝する気持ちになることがあります。例えば「明日、朝8時に会いましょう」とお誘いを受けた場合。不満に思う気持ちからは、「何で朝一番から行かなくてはならないのだろう。もっと遅くても良いのではないか」との思いが内心芽生えます。
ところが感謝の気持ちを持っていれば、「お忙しいのに、朝から時間を取ってくれるとは有り難いことです。きっと私のために無理をして朝8時の時間を開けてくれたのでしょうね」と感謝する気持ちになります。
そして翌日の朝8時の会合に際しては、前者の場合は朝が早いことから不満の表情が現われダラダラした会合になります。後者の場合は相手に後工程があることを察していますからテキパキとした会合になります。不満と感謝の気持ちでは現実の会合はこれ程違うのです。その結果も違ってくるのは当然のことです。
会ったこともない色紙の3人ですが、色紙と嬉しそうに話してくれる店主の笑顔から、その気持ちが伝わって来ました。山も谷もあったでしょうが、きっと笑顔と感謝の気持ちに溢れた人生だったと思います。それだけでも幸せであったことに間違いありません。
感謝の言葉には笑顔が本当に似合います。感謝に満ち溢れたお店にはお客さんがやって来ます。同じように感謝に満ちた人の周囲には人が集まり、感謝の気持ちが一杯の地域には人が集まります。
感謝の気持ちがあふれた地域。そこには自然と人が集まり、明るい未来だけが見えています。