昨日から本日にかけて、読売テレビで放映された「スクランブル」の問い合わせが数多く寄せられています。これは昨日6月22日の午後6時16分から放送された「スクランブル」で、中心市街地活性化のための補助金問題で大橋市長へのインタビューが行なわれたものです。その補助金の性質と放送内容についての問い合わせが中心でした。
中心市街地活性化のための補助金とは、旧丸正ビルの再生を中心市街地活性化の中心とした中心市街地活性化基本計画が国に認定された暁には、再生に取り組む事業者に対して補助金を支出することが出来るものです。補助金の総額は6億円、内訳は和歌山市が2億円、県が1億円、国が3億円となっています。これは事業者の希望ではなく、市が補助をすることを決定したものです。
まちづくり三法を根拠にした補助金ですから支出には問題はないと思います。しかし何故読売テレビが問題にしたのでしょうか。私はこの番組を見ていないため内容は分からないので個人的な推測に過ぎないのでご了承下さい。
実は、旧丸正ビル再生のため事業化に取り組んでいる事業者に対して6億円の補助金支出は和歌山市議会に既に提案され議決、承認されています。私が和歌山市議会にいた時に議案の提案があり、審議した結果、議会で可決しました。
承認した理由は、法律に基づく補助金であること。そして中心市街地活性化基本計画が近い将来、国に承認されることが明白な事実であることの提案を受けたからです。通常、この基本計画が国の認定を受けた後に補助金支出へと向かうのですが、市の議会提案では旧丸正ビル再生を中心とした中心市街地の活性化は最重要課題のひとつであり、この民間事業を少しでも支援するため、先行して補助金支出に踏み切った訳です。
問題視すべきは、国の認定が受けられるとしていた中心市街地活性化基本計画ですが、未だに国の認定が受けられていないことだと考えます。何度か国に説明をして修正しているようですが、未だ計画の見直しを求められているようです。この基本計画の認定が受けられないと補助金の支出の根拠はなくなりますから、支出時期が早かったのでは、或いは甘い計画にも関わらず、先行して補助金を支出したことに疑問の声があがる要素があります。さらに裏づけとなる市の財政が厳しい状態だけに、基本計画が認定された後に補助金支出すべきだったとの意見があるのです。
また、査定基本計画の認定を受けていない時期に補助金を支出したことに関しては、市長が基本計画の認定を受けられると判断し、市の最重要課題だと認識しているため先行して支出したものだと考えています。
そして問題点については先にも述べましたが、中心市街地活性化基本計画が国の認定を受けられていないことです。旧丸正ビルの再生を中心として商業の中心地を活性化させるための計画に甘さがあったと言わざるを得ません。国の認定が受けられないのは、単に事業計画を並べただけで、本当に再生につながるのか国が疑問視していることを示すものです。中心市街地再生のための有効な計画に仕上げられない市の力量に問題があります。市長が旧丸正を中心としてどのような賑わいを創出しようとしたのか、それが明確になっていないことも問題です。
市議会では基本計画の認定は受けられる。そして基本計画は、中心地の再生計画に仕上がる予定だとの提案があったもので、今、挙げた問題点は問題点に成り得ていませんでした。
今現在、基本計画が国の認定を受けられないのは大きな問題です。何故受けられないのか、市長は私達市民にその理由を示す必要があります。基本計画が国から認定を受けられないこと、そして今後の見通しについて、隠していることが問題なのです。進捗状況を都度発表していたら問題はなかったと思います。
また番組では、市長がテレビ局の取材に応じないで逃げたことや、正直な対応をしていないことが疑問視されているようです。市民の皆さんは勿論、県外の方からも問い合わせがあり、和歌山市長の姿勢に関して「やっぱり和歌山市ですね」と言われる様です。
もう「やっぱり」だとか「また」で形容されるような失態はやめて欲しいものです。
さて読売テレビの放送に関する問い合わせに対して、私なりに回答したところ「とても分かり易い説明で初めてこの問題を聞いた人でも理解出来ました」「難しく説明することは誰でも出来ると思いますが、簡単に説明することは難しいものですが、良く分かりました」「社会問題を、社会経験のない高校生にも理解できるように説明することが大切だと思います」などの感想をいただきました。
参考までに、ここに旧丸正ビルに関する補助金の補正予算が提案された、平成18年9月和歌山市議会での私の一般質問を掲載します。
補助金支出に関して、基本計画の認定を受けることが絶対条件であることを質したところ、答弁として「今年度の補助金は基本計画に位置付けられることが確実と見込まれることで交付申請ができますので、本議会に補正予算をお願いしているところです」と回答がありました。
それに対して私から再質問として、「
和島興産だけが地域再生を担う状況にはして欲しくありません。そのため和島興産に続く進出について、そして基本計画認定の見通しはどうなっていますか」と問いかけました。つまり和島興産だけにまちづくりを任せるような状況には、絶対してはならないことを指摘いたしました。まちづくりのための基本計画は、当然市が主体となるべきことなのです。市の方針に沿った商業施設に対して補助金支出をすべきて、進出してくれたら何でも出せば良いと言うものではないことを指摘しています。
以下、質疑内容についてご覧ください。
平成18年9月和歌山市議会での私の一般質問。
和歌山市の中心市街地基本計画は現在策定中で、平成18年10月頃に計画案を、中心市街地活性化協議会を初めとする関係者に図り、今年11月に経済産業省に提出する計画で作業は進んでいます。この基本計画が国で認定されることが中心市街地再生の絶対条件です。逆に言えば、この計画が国からの認定を受けられないと中心市街地の再生は図れません。それだけ重要な基本計画の策定作業を行っています。
そして中心市街地基本計画の認定を受けることを前提として、中心市街地で計画されている空きビル再生や賑わい空間施設整備計画などに対して「暮らし・にぎわい再生事業」を活用することにより、空きビル再生支援を受けることが出来ます。
つまり、中心地の空きビル再生を中心としたまちづくり計画に基づき、まちなかの暮らしと賑わいを創出することを目的とした国からの支援施策が「暮らし・にぎわい再生事業」なのです。
具体的には、空きビルから集客施設への改修に要する費用助成や、病院や社会福祉施設をまちなかへ立地するための支援が行われます。補助対象となるのは、調査設計計画費用、改修工事費、共同施設整備費用などです。
本来は、中心市街地基本計画の認定を国から受けた後でないと、この支援方策は活用できませんが、認定を受けられるものと考えて、前倒しして和歌山市では補正予算を組んで対応しようとしています。誠に中心市街地を再生させたいとする強い意気込みが感じられるものです。
今回の補正予算から、まちづくり三法に基づいた中心市街地基本計画を策定し、国の支援を受けながら商業地として中心市街地を再生させる方向性が伺えます。
この基本計画で絶対必要な、空きビルの活用とマンション施設誘致に関しては、旧丸正ビルの活用と旧さくら銀行跡地へのマンション建設など、既に具体的な計画があることから、基本計画は比較的立てやすい状況です。
この機会を逃せば、大袈裟ではなく将来とも中心市街地の再生は有り得ません。民間事業者の動きと国の方針とが相まって再生のためには絶好の時期になっています。
具体的には、旧丸正ビルの共用部分の整備費用に査定を加え9億円と弾き、この9億円のうち2/3の6億円を補助対象とします。その内、和歌山市は2億円、3億円は国、1億円は和歌山県から補助金を受けることにしています。
但し、中心市街地基本計画の認定が受けられなかった場合は、この「暮らし・にぎわい再生事業」の支援は受けられないことになりますから、絶対この基本計画を精度の高いものに仕上げ、認定を受けなければなりません。
計画に必要なものは、空きビルを商業施設として再生計画の他、計画地に住機能を持たせること、公共交通の乗り入れを可能とすることなどです。集客と定住を両立させた機能を持たせることが必要なのです。
私の一般質問に対する市長答弁。
補助金申請の時期が基本計画策定に先行しているのは何故かというご質問です。まちづくり3法の改正に伴い、平成18年度から創設されました国土交通省の補助事業であります「暮らし・にぎわい再生事業」を、旧丸正ビルの再生に活用するためには、オープンの時期から考えると平成18年度の補助を受ける必要があり、そのためには,10月初旬から下旬にかけて計画申請を行い、11月中旬に補助金の交付申請を行うよう国から指導を受けております。また、今年度の補助金は基本計画に位置付けられることが確実と見込まれることで交付申請ができますので、本議会に補正予算をお願いしているところです。
旧丸正ビルの再生に対する支援は、これが単なる民間ビルの再生ではなく、中心市街地活性化における最も象徴的な問題であったこと、また早期の再開を地元商店街も望んでいたこと、また、これによる雇用の創出や交流人口の増加、象徴的ビルの再開による市民の気持ちの高まり、新たな投資の誘発などの波及効果も大きく、それらの結果として現れる地価の上昇による周辺部を含んだ固定資産税の増収など、今後の中心市街地活性化や市財政基盤への貢献を大いに期待できる支援であると考えています。
私の一般質問に対するまちづくり推進室長答弁。
基本計画の認定申請については、中心市街地活性化協議会で討議が終了し、その後申請することとなりますので、最短を考えますと11月中旬から下旬くらいと予想しておりまして、補助金の交付申請と基本計画の申請は、現実的にはかなり近い時期になる可能性もあります。
本市としましては、このチャンスを生かして中心市街地の活性化を進めていきたいと考えています。
私からの再質問。
このように活性化を図るためには、一つの再生モデル計画がスタートした後に、続けて次の事業をスタートさせることが必要です。単発的なものになると賑わい創出に旧丸正ビルが孤軍奮闘することになり、いつまでも持ちこたえることは出来なくなります。集客するためには、常に旧丸正ビル内で投資をし続ける必要がありますから、一社にそのような役割を担ってもらうことは出来ませんから、市としての支援体制が必要です。
私見ですが、補助金支出に関しては法律に基づくものですから問題はないと考えます。6億円の補助金ですが、事業者のビル再生計画に対して査定を加えて減額していることから言い値ではなく適正価格になっていると考えます。
大橋市長も中心市街地のマーケティング調査を実施していますが、その結果は「旧丸正跡では採算が合わない」「リスクが大きい」ということで出店を見送った。また、地方への出店の場合には、駅前立地という企業戦略を立てていたり、先端の消費者をターゲットとしているために出店の条件として、ある一定以上の人口規模を条件にする、といったところも多くあり、本市にとって厳しい答えばかりが返ってきたと明確に述べています。
中心市街地への商業施設の進出にはかなりのリスクがあることは周知の事実です。そこに飛び込んでくれた和島興産ですから支援は当然のことで、それに続く進出を呼び込むことが活性化に不可欠な取り組みです。
そこで質問です。和島興産だけが地域再生を担う状況にはして欲しくありません。そのため和島興産に続く進出について、そして基本計画認定の見通しはどうなっていますか。
大橋市長答弁。
基本計画認定の要件となる事業で、民間事業者の参入が考えられる事業等は、現在、商工会議所と連携し計画への盛り込み準備を進めており認定されることを目指して鋭意取り組んでいるところです。