【観光医療に関する懇談】
和歌山県内の地方自治体から観光医療の取り組みについて教えて欲しいと依頼があり、3名の方が和歌山市を訪れてくれたため懇談しました。和歌山市を舞台として過去4年間に亘り取り組んで来た内容を伝え、今後のビジネスモデルへの展開を視野に入れた方針について報告いたしました。
どの地方自治体でも賦存資源を活かした観光施策を展開しようとしていますが、既存の、言い換えれば使い古した観光資源が今の時代通用するものではなくなっています。昭和の時代であれば団体旅行やパックツアーでも要求を満たしていたかも知れませんが、平成も数えて18年経過している中で、レトロなものをそのまま提供しても集客は難しいところです。
しかし財政難と自然保護に関心が高まっている時代ですから、地域にそぐわない開発や地域のレジャー化は地方自治体そのものを破綻させる恐れがありますから、自治体が主体となる地域開発は無理と言っても過言ではありません。
地域の活性化は、地域に暮らす人達の中から現状の危機感そして明るい将来展望を描ける個人や団体が出てこないと、絶対的に無理だと言えます。あくまでも地域に暮らす人が行動しなくてはなりません。コンサルタント会社が提案して来た内容をそのまま実践しても、地域が主体であっても他者に委託したものであれは、全国の都市で一般的に通用する程度の、地域の賦存資源を活用出来ない仕上がりになります。それではビジネスモデルにはならないので、支援や補助が終わった時点でその企画は終了し、決して地域に定着しません。
「私達のまちでも観光医療産業への取り組みは出来ますか」との問いに対しては、やる気がある人達が集まれば出来るかも知れませんし、でも出来ないかも知れません。まず自分達の地域の賦存資源を洗い出し、何を活用するのかを選定し絞り込んだ上で施策を講じるべきです。
その結果、健康サービス産業であるかもしれないし、地場食材を活かした飲食の提供や祭りであるかも知れません。基本的なモデルはあるとしても、地域に応じた活用方策に応用を図る必要があります。
地域づくりの主体はそのまちに暮らす人、行政機関と企業の支援そして大学との連携を図ることが基本になります。そして不可欠なものは外部からの視点です。東京や大阪から見た地域のあり方について助言を受ける、県外の大学、それも第一線の教授から助言を受けることが重要です。地域に暮らす私達が見慣れているものでも、ビジネスモデルになり得る素材が転がっているかも知れません。逆に地域のこの特長は全国で通用すると思って企画を立てても、東京では数年も前に取り組み廃れているものであるかも知れません。
外部から助言を受けられる体制とそれを受け入れられる心の容量、そして自分の視点を変える勇気が必要なのです。またが退化していく姿を見て誰かの責任にして、まだ他人に任せる態度であれば地域は更に退化します。長年に亘って地盤沈下してきた地域は簡単には再生出来ません。その現状を受け入れた上で自分の世代で出来るところまで引っ張り上げる、そして見通せる範囲で将来に至る絵を描き次の世代に託すことが長期的視点のまちづくりです。
私達の観光立県和歌山の構想は、以上のような思いと見通しを立て取り組んでいます。
【中心市街地活性化】
和歌山市の中心地は和歌山城の北側に位置する本町界隈です。今年になって動きがありました。かつての中心地の核施設であった丸正百貨店ビルと旧さくら銀行ビルを、地元の和島興産が購入してくれ、中心地の再生に強い意志で取り組んでくれています。
丸正ビルは中心地のシンボル的空間となるよう、癒しと健康の拠点として計画を立てています。エステや文化教室、飲食や観光に関する展示などを含めた集客交流施設を目指したプランが立てられています。高齢者から子どもまで世代を超えて交流できる計画案も伺いました。
また旧さくら銀行ビルは1階から5階まではテナントとして活用、6階以上はマンションとして活用する計画になっています。しかも最上階にはマンションで生活される方々の交流場所として、お客さまを歓待出来るスペースになっています。この場所は和歌山城の北側なので、最上階からは和歌山城を一望出来る最高の景観が最高のおもてなしを提供してくれます。
ふたつのビルが活用されることになったことは、中心地が活気を取り戻すことに直結しています。地元企業である和島興産の素晴らしい決断と地域への愛着を感じるものです。この機を逃すようでは中心地の再生はありませんから、損得感情や利害関係ではなく和歌山市民として協力を行いたいものです。それが何億円もの投資をしてくれた地元企業に対する支援意思表示です。これらの物件の竣工は2年以内という短期間になる予定です。民間企業の計画に対する是非を問う前に支援することが先決です。
本日は和島興産を訪問しこれからの全面的な支援をお約束して来ました。
【紀州レンジャーカード】
和歌山県を盛り上げるため、そして地域に貢献するために
イオンクレジットサービス株式会社と連携して
紀州レンジャーカードを発行しています。紀州レンジャーカードを所有することで、紀州レンジャーの活動趣旨に賛同いただいている企業や団体からの特典サービスが受けられます。またカード利用を通じて和歌山県の観光・物産の振興を推進することが出来、カード売上の一部は「
世界遺産の森林を守ろう基金」へ寄付され、熊野地域の森林保全活動に充てられるなど和歌山県にとって利点があります。
本日は住宅会社を訪問し活動の主旨の説明と協力をお願いしました。住宅会社にカードを提示して特典があるのは珍しいことだと思います。この住宅会社で住宅を購入された方で紀州レンジャーカードを所有している方に対して、驚くような特典が付加されるかも知れません。
利用者も参画企業も、知らない間に和歌山県の活性化に役立っているのが紀州レンジャーカードなのです。
地域貢献、社会貢献、自然保護活動への参画など、自らが行動しようとすると腰が重くなりますが、何も全員が同じ貢献活動をする必要はありません。人には役割分担がありますから、特典を付ける企業や参画してくれる企業、そしてカードを利用して熊野の森林を守ろうとする人がいて初めて大きな地域貢献になるのです。
和歌山県で生まれた紀州レンジャーカードですから、地域で活用の範囲と可能性を拡げて欲しいものです。
【英語教育】
英語教育に関して和歌山市教育長と意見交換を行いました。和歌山市の小学校での英語教育の現状を話すことは難しいものがあります。そしは他都市と比較して特長的なものがないからです。あえて挙げるとすれば、公立小学校3校でイングリッシュ・パワー・アップ教育を行っていることから英語の授業に約60時間をかけていることです。この施策にしても県の事業ですから、和歌山市独自のものですとは胸を張れるものではありません。
ただ成果はあがっているようで、この3校の卒業生の中学校における英語の成績は上位になっています。しかし、平成19年度は県の施策から外れる予定のため、和歌山市がこの英語に関する施策を継続するか否かが焦点になっています。成果が見られる施策を予算がないからと言って打ち切ることが妥当なのか、教育予算に重きを置くことが妥当なのか市教育委員会に委ねられることになります。英語教育の方向性を示す意味からも市教育委員会の考え方は極めて重要です。
ここに来て小学生に対する英語教育の弊害が言われるようになって来ました。英語よりも日本語が大切。日本語で考えられる能力が大切。日本語が乱れているのできれいな日本語教育が必要、などの意見です。
なるほど、全て尤もな意見です。日本人だけではなく全ての国の人は母国語で考えますから、母国語の語彙が少なくなったり、単語の意味が分からないようでは英語教育どころではありません。
また言葉の乱れは、お会いする方への礼儀を欠き、自らの行動態度の乱れにも直結する問題ですから、正す必要があることは言うまでもありません。
これらの問題の元凶は果たして英語教育にあるのでしょうか。私は検証していませんし、検証結果も拝見していませんから裏付けさけたものはありませんが、英語教育によって日本語力が落ちているとは考えません。
もし2006年、今の時点において日本人が英語を話せたり読めたりしているのであれば、英語力を身に付けた代償として日本語力が低下したと考えられるかも知れません。しかし多くの日本人の英語力が向上したいはどうしても思えない状況です。十分な英語教育もなされていないのに、ましてこれから話せる英語教育を実践しようとしているのに、実施する前から弊害を唱えるのは如何なものかと考えます。韓国やフィンランドなどの国は学習到達度が高いレベルにありますが(2003年経済協力開発機構が実施する学習到達度調査)国勢は高くなっています。むしろ国際競争力が向上しているのです。
これは英語力があることから、ビジネスチャンスが拡がっていることや優秀な学生が海外に出て行き活動しているのにつながっているかも知れません。そしてそれ以上に、英語を学習することで、考える力を育むことや他人とのコミュニケーション力を高めることなど、生きるために必要な考える力を身につけている要因であるように思います。
フィンランドでは英語の学習を通じて読解力やコミュニケーション力が向上しているとする考え方があることも聞きました。
国語も英語も語学ですから、考える力を身に付けることにおいては同じです。考える力を身に付けることで語学力は高まります。単なる会話能力ではなく、読解力やコミュニケーション力において、国語が駄目で英語だけ上達することは考えにくいものです。母国語による読解力を高めることが英語力を高めることにつながると考えますから、小学生の内にディベート訓練などを行うことで国語による考える力が高まり、国語力が強化されると英語学習にも活かされます。
このような本当に読解力を身につける教育が実施されるようになれば、言語力も向上すると考えています。
現在のような日本語の乱れや語彙の不足、そして感動語による表現方法などは、国語教育のあり方に問題があると思っています。まして2006年度中にも学習指導要領が改定され、小学校で英語教育が必修になろうとしている時代です。この背景には国際化時代に対応し活躍出来る人材を輩出しようとする狙いがある筈ですから、国際交流の機会が少ない地域の判断で英語教育の機会が奪われるのであれば益々地域力は削がれます。
子どもの将来を考えるなら、地域の中に閉じ込めるような教育方針は示さない筈です。既に和歌山市と同じ中核市の金沢市では、英語特区となり小学校1年生から英語教育を取り入れています。成果が出るのは英語特区になった生徒が卒業し社会で活躍するようになってからですが、英語教育をそれ程施していない和歌山市と金沢市で差が出ているようなら、一体誰が数年後に大人になる子ども達に対して責任を持つのでしょうか。仮にその時点で、教育方針が間違っていたので遅ればせながら英語教育に取り組みますと方針を出してもその時点がスタートですから、現在の小学生に対する責任は誰も取れないし、取っても仕方のないことです。
国際化時代の語学力は現在の延長線にありませんから、将来を見通した子どもへの教育を行って欲しいものです。
【報告会】
夕方には各機関の役員の皆さんを前に来春の統一地方選に関する報告を行いました。皆さんからの支援をいただき和歌山市議会に当選させてもらってから3年が経過しました。
この間、皆さんから託された議員としての活動が行うことが出来ていると自負を持っています。この度、平成19年春の統一地方選では活動の舞台を変える方向で決定させていただく予定です。和歌山市だけではなく県全体を活動領域に広げることは、必ず皆さんの役に立てるものだと信じています。
皆さんの期待に応えられるよう全力を尽くしますので、ご支援方よろしくお願いいたします。
その後、報告会を2件実施して本日の活動は終了しました。