【教育民生委員会】
本日は教育民生委員会の最終日です。採決の前に、和歌山市冬野にある児童養護施設旭学園における職員が入所している児童を虐待したことに関する報告を求め当局から説明があり、この問題に対する質疑を行いました。
旭学園の児童虐待に関する内容は平成18年6月24日、
テレビ和歌山で報道されていますので、以下状況を引用します。
テレビ和歌山報道内容は「弁護士会が社会福祉法人に警告。和歌山市」と題したニュースです。
「和歌山市の児童養護施設で、職員が子どもへ体罰を加えたり子どもの間のいじめを放置していたとして、和歌山弁護士会は、今日までに、施設を運営する社会福祉法人に子どもの人権を守るよう警告するとともに、施設を監督する県と和歌山市に適切に対応するよう勧告しました。
これは、今日、和歌山弁護士会の岡田栄治会長らが、会見で明らかにしたものです。 弁護士会の調べによりますと、和歌山市の児童養護施設で、去年6月末までの過去20年にわたって、一部の職員が、入所している児童や学生を素手でなぐったり、髪の毛を引っ張るなどの体罰を加えていたということです。また、一部の児童に対しては、服を提供しなかったなどとする差別的処遇や、入所する子どもの間でいじめがあったにも関わらず、施設側が放置していた疑いもあるということです。弁護士会では、去年4月、当時入所していた児童の父親からの相談を受け調査を開始したところ、県などが去年までに行った調査で、職員による子どもへの体罰やいじめの他、子ども間のいじめが頻発していたことがわかりました。
さらに弁護士会で、施設の職員から聞き取り調査するなどした結果、「子どもの人権を擁護するための適切な対応がなされていない」として、今日までに、施設を運営する和歌山市の社会福祉法人、「和歌山社会事業協会」に対して警告書を送付するとともに、施設を監督する県と和歌山市に適切な対応をとるよう勧告しました。この法人の理事長は、「今回の和歌山弁護士会の警告については、真摯に受け止めより一層改善することにしています」と話し、県と和歌山市は、「再調査の結果、現在は、運営体制や処遇が改善されていて、今後もこうしたことがないよう指導に努めたい」とコメントしています。児童養護施設は、保護者のいない児童や環境上養護を必要とする、原則18歳以下の子どもを入所させるもので、施設側の説明によりますと、昨日現在で91人が入所しています。この問題を受け、施設の前園長と前理事長が去年退任している他、施設の職員3人が、減給と譴責の懲戒処分を受けました」
また
毎日新聞でも平成18年6月24日の朝刊で次のように報道されています。
「体罰:和歌山市旭学園の職員が児童・生徒に 弁護士会、抜本的改善を求める」
「和歌山市冬野の児童養護施設「和歌山市旭学園」(中村通雄園長)で過去20年間以上にわたり、職員による入所児童・生徒への体罰などが繰り返されていたことが23日、分かった。施設側と監督に当たる県や同市は「改善された」とするが、和歌山弁護士会は人権侵害と認定、22日付で同学園を運営する社会福祉法人「和歌山社会事業協会」(大森啓充理事長)に警告、県と同市に勧告を出し、再発防止や監督強化などを求めた。
警告書などによると、昨年6月末に園長が交代するまでの間、複数の職員が子どもの頭を殴るなどし、子どもの間のいじめや暴行などにも適正な対応をせず放置されてきた。また、前園長はほとんど出勤せず、職員に対する指導監督を怠った。同弁護士会は「体罰やいじめが長く放置されてきたのは、重大な人権侵害」と指摘している。
同学園は66年4月に同市が設置し、同協会に運営を委託。県が04年5月、小学3年生以上に聞き取り調査をして体罰などが判明し、改善を求めていた。昨年、園長と理事長が替わり、同協会は体罰をしていた職員3人を、減給などの懲戒処分とした。
県と同市、同協会はいずれも、状況は改善され、現在は子どもたちへの処遇も適正に行われているとしているが、同弁護士会は「体罰をしていた職員を解雇するなどの抜本的改善がなされていない」などと訴えている。」
状況は上記の通りです。旭学園は、社会福祉法人和歌山社会事業協会、理事長は大森啓充氏、施設長は中村通雄氏で、所在地は和歌山市冬野155です。平成18年6月1日現在87名の児童が在籍しています。
問題の発端は、旭学園の運営に関して組織的な運営が出来ていないため指導の必要があると検討会が開催されたことから始まります。平成15年4月30日には、県と和歌山市、旭学園理事長以下で協議が行われ、行政機関から理事者に対して改善申し入れを行っています。
次の項目に対して改善申し入れを実施しています。
・施設児童の進路、就職指導がなされていない。
・実習生の評価書類の提出が期限までになされていない。
・権利ノートが作成されていない。
・園だより1、2、3月が作成されていない。
・保護者会が開催されていない。
・園長が不在勝ちであるため、連絡が取れないことが多い。
・厚生労働省の児童福祉施設児童実態調査表が提出されていない。
これらの問題点に関して至急改善するように申し入れています。
しかし再々の改善指導にも関わらず一向に改善されないため、平成17年4月27日、県と和歌山市が改善に関して共同で、しかも強い態度で望むことで合意しています。
同年5月15日、県と和歌山市から理事長に対して、適切な運営体制をとるために速やかに園長交代を依頼、7月1日までに新体制を構築すること、園長の交代と新体制での児童の処遇を見て、状況が改善されていないようであれば和歌山市は運営委託者の変更を考えると期限を区切って伝えました。
そのため同年7月1日、新園長として中村通雄氏が就任し、9月30日、改善指導に対しての回答が提出されています。また11月30日をもって理事長が退任し、新理事長が就任するなど体制の変更も行われています。
これに対しての主な質疑は次の通りです。
Q. |
形の上では理事長が変更しているが、実態としては同族経営で何も変わっていないのではないですか。 |
A. |
確かに、全理事長の息子の大森氏が理事長に就任していますが、理事長に就任するに当たって、本人の就任するに当たっての意向や熱意を確認しています。社会福祉にも関わっている経験があり十分運営出来ると判断しました。
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Q. |
そもそも大阪在住なのに理事長が務まるのですか。 |
A. |
大阪在住であり医師でもあることから、理事会には出席してもらえるかも含めて本人に確認しています。その結果、理事会への出席は可能だと確認しています。
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Q. |
その新体制で改善されていると思っているのですか。 |
A. |
新理事長の意思や体制一新により運営面で改善されていると認識しています。
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Q. |
旭学園が運営する他の施設は大丈夫なのですか。 |
A. |
今回、新体制になったことから大丈夫だと認識しています。
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Q. |
他の施設とは城北保育所と片男波保育所を指しているのですが、このような問題を引き起こした事業者が市の施設を運営して大丈夫なのか確認しているのですが。 |
A. |
問題はないと認識しています。
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Q. |
今回の事件は新聞だけではなく、テレビのニュースで全国放送されていること、和歌山弁護士会から警告書が出されているという異例の事態でもあり、全国的な影響はかなりあると認識しています。和歌山市として重大な問題であるとの認識を持っていますか。 |
A. |
最も重大な問題であると認識しています。長期間虐待行為があったのに指導が遅れたことは反省材料だと認識しています。運営に関しては、理事会で決定する事柄ですが、このような問題が再び起こらないように、出来る範囲で市が指導していきます。指導の確認と状況把握を行っていく所存です。
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Q. |
覚悟は分かりました。再びこのような問題が起きないように監視をお願いいたします。 |
A. |
分かりました。今回の事件の詳細な状況と経過に関して次の委員会で報告いたします。 |
報告と質疑の後は採決を採りました。結果、本委員会に提案された議案は全て可決されました。
【打ち合わせ】
観光医療に関して今後の拠点などについて打ち合わせを行ないました。課題はありますが、一歩一歩着実に進んでいると認識しています。
【統合医療研究会準備委員会打ち合わせ】
今秋発足予定の和歌山統合医療研究会と
JACT(日本代替・相補・伝統医療連合会議)和歌山支部準備委員会の打ち合わせを行いました。会場を白浜町のラ・フォーレ白浜に確定したことと、学会誌の紙面構成と原稿依頼に関して最終的な詰めを行いました。
折角和歌山支部を設立するのですから、熊野に関しても造詣を深めてもらえるような紙面構成にすることにしました。7月初旬に案内状を発送し一般発表の演題などを決定していく予定です。
【委員会決議】
来春の統一地方選に関する意思決定について決議をいただきました。市議会での活動の報告とこれからの抱負、特に活動のフィールドを変更させて取り組みを仕上げたい主旨の報告を行いました。
委員会の議長からは「報告を聞いて勇気と元気をいただいたような気がします」とこちらが勇気付けられる言葉を頂戴しました。皆さんの思いを託していただき身が引き締まる思いがしています。
【送別会】
長くお世話になった飲食関係団体の専務理事が平成18年6月末をもって退職するため、構成役員と親交の深い方達が集って送別会を行いました。約60人が集っての会合で専務理事に別れを告げました。毎年、必ず何かの行事を一緒に行っていただけに寂しさを感じます。少し体調を崩されたことから退職となったのですが、健康に留意され、これからも私達の活動を見守っていて下さい。お疲れ様でした。
【懇談会】
不撓不屈。大きな力に向かって行く姿勢を持ち、若い頃から正義感を貫き通して来た経営者と長い時間懇談する幸運に恵まれました。人は経験者から話を聞いて未体験の事柄や、これから遭遇する可能性のある人生の壁の乗り越え方などを学ぶことが出来ます。人生の先輩から話を聞く姿勢を持つことが何よりも大切な態度です。素直に聞く姿勢があると、必ず相談事に対しての示唆をしていただけます。
草花を育てるためには水を与えすぎてもいけないけれど、全く与えないのはもっと駄目なことです。草木に水を与えることを人間関係に置き換えると、最初に受けた恩人からの恩を決して忘れてはいけないと言うことです。人が社会的に大きくなる過程においては、他の風に当たったり、風を受ける旅に出る必要もありますが、たまに故郷に帰った時位は恩を受けた人の元に近況報告をする必要があります。人間関係は挨拶と報告に始まって終わる位の気持ちを持つことです。
年齢が上の先輩に対しては敬う気持ちを持って接することです。その気持ちを持っていると先輩達は後輩に貴重な経験を伝えてくれます。ただし素直な気持ちを持っていることが条件です。
濁った水を入れたコップに澄んだ水を注いでも、直ぐにはきれいになりません。きれいになるまでは、コップが溢れる位に何倍ものきれいな水が必要となります。最も素早く濁った水が入ったコップの水をきれいにするには、まず濁った水を捨てる行為が必要で、空になったコップにきれいな水を注ぐとコップの中の水はきれいになります。
疑いの気持ちや人の話なんか聞いても仕方ないと思う気持ちは濁った水と同じで、先輩達がきれいな水を注ごうと試みても、聞く側が濁った水を捨て去らないと先輩達の教えから学ぶことは出来ません。人生の先輩達から学ぶためには、素直な態度で人に接することが何よりも大切です。
さて懇談したこの方は素晴らしい経営者なのですが、長い年月に亘り組織の長と接した経験から、組織をまとめるためのトップの条件があると言います。それは成果を部下や構成員に分配することです。形の上では組織としての成果はトップのものとして評価されます。例えば構成員が望んでいた建物を建設したり、構成員に配布する情報誌を初めて発刊したりする行為は、トップがやったこととして評価されます。
しかし実務を行ったのは構成員なのです。トップとして取るべき態度は「この仕事が出来たのは建築担当の△△さんがいてくれたからです」。或いは「情報収集能力の高い○○さんが編集してくれたから発刊出来たのです」と実務に関わった構成員を褒めることです。成果を自分だけのものにしないで関係者の行動の結果であることを周囲に示すことで、余計にトップの評価が上がるそうです。
人の評価は自分で作り出すものではありません。周囲から自然に評価される人物がトップに立つ人に必要な条件だと聞きました。しかし周囲からの評価は作れるものではありません。信頼を獲得するまでには長い時間と謙虚な姿勢の継続が求められますが、長い時間同じことを継続出来る姿勢が評価につながるのかも知れません。
人生、一足飛びにはいかないものです。