【市政報告会】
ある組織の役員約20名の皆さんを対象として「暮らしの中での身近な政治との関わり」をテーマとして、和歌山市の課題と議員としての平成18年に入ってからの活動について報告を行いました。報告会の主旨は次の通りです。 まちづくりの考え方は変わってきていますが、それは一方で変わらざるを得ない状況にあることを認識しておいて下さい。昨今、景気が良くなってきたとか経済が上向きになってきたと聞くことがあります。和歌山市も例外ではなく明るい兆しがありますが、まだまだそれを実感することは少ないと感じているのではないでしょうか。 |
(市制報告会にて) |
それは首都圏を中心とした地域で消費が拡大しているため、地方でも大手企業を中心に供給増大とそれに伴う設備投資が活発だからです。業績が上向いている企業と税収が増加している地方自治体では経済的な上積みがあります。地方においては、それ以外の中小規模の企業や個人事業主の置かれた状況は改善されているとは言えないところもあります。
まず和歌山市が置かれた状況を数値で示します。
まず、和歌山市の借金の額について過去と現在の数値を知っておいて下さい。1986年の和歌山市の借金は約1,517億円でした。それが2006年度の当初見込み額は約3,527億円と20年間で2倍に増加しています。私達市民一人当たりが抱えている借金に換算すると、1986年当時は約37万円でしたが、2006年では約91万円になります。そして驚くことに、和歌山市の借金の利息返済額は1日当たり3,000万円を超えているのです。地方自治体においては借金からは何も行政サービスを生み出しません。私達が何も行政サービスを受けられないお金である借金返済に充当しているのが約3,000万円もあるのです。
地方自治体の特性として市民へのサービス提供がありますから、企業のように利益追求を目的とするものではありませんし、福祉や教育など必要な行政サービスを施す必要があるため、民間企業のトヨタ自動車のように無借金経営は出来る訳ではありません。効率の良い事業ばかりではありませんから、ある程度の借金をして事業を遂行する必要はありますが、それにしても適正範囲というものがあります。和歌山市の一般財源は平成18年度で約1,214億ですから、その3倍に当たる約3,427億円の借金は返せるものではありませんから適性とは言えません。
毎年約1,214億も一般会計予算を組めるのだから、それを借金返済したら良いという方もいますが、一般会計予算の使い道の殆どが決まっているため返済に回せる余裕はありません。
自分の家計に置き換えると良く分かります。年収が120万円なのに借金が340万円もある場合、車が欲しいとかマンションを買いたいとか思っても、日々の生活費の支出がありますから貯金に回す余裕はなく、まして借金返済に充当するだけのお金はなく、それらのものは買える筈はありません。
和歌山市の財政はそのような状態にあることが一点です。
ふたつ目の課題は人口が減少していることです。和歌山市の人口がピークだった1986年には40万1,402人だったのが、2005年の国税調査では375,718人と2万5,000人も減少しています。さらに日経新聞社の予測では2015年には337,937人に減少するとされています。関西の県庁所在地である奈良市や大津市は人口が増加しているのに対して、和歌山市だけが減り続けることになっています。
そして私達の周囲に子どもが少ないと感じますが、それも数字で示すと少子化の状況が良く分かります。1980年には小学校への入学者は7,048人もいたのに、2006年では3,573人と生徒数は約半分に減少しています。2011年の予測では3,074人ですから、更に減少傾向にあります。
最後に個人商店の減少について数値を示します。1982年に8,442軒あった個人商店は2002年のデータですが、3,167軒にまで減少しています。実に63%の減少ですから、市内各地域の商店街や商店ストリートがシャッターを降ろしているのが目立っているのです。
このような数値が示している状態が和歌山市の現実なのです。これらの数値が悪いから将来の見通しが悪いと言っているのではありません。この状況を十分認識した上でこれからの和歌山市をどうしていくか考える必要があるのです。今はこんな状況だけれども子どもが増えてくるから今まで通りで良いと考えるのは間違いだと思って下さい。施策を転換する必要があるのです。
まずまちづくりの考え方を根本的に変える必要がある法律、まちづくり三法が平成19年度から施行されます。この法律の解釈は難しいのですが、誤解を恐れず簡単に言うならば、中心市街地を定めてその地域に重点投資をすることが必要となることです。そのため郊外に1万平米以上の大型店舗は立地出来なくなるのです。
和歌山市に当てはめると、JR和歌山駅からぶらくり丁、そして南海和歌山市駅までの間が中心市街地となります。その間でひとつの生活圏をある程度完結させることを考えなくてはなりません。スーパーや病院、福祉施設、映画館や娯楽施設などをこの地域内に設置することで、一般的にはこの圏内で日常生活を過ごすことが出来ます。
これらの生活圏の確立を目指すのがコンパクトシティの考え方です。和歌山市は県庁所在地ですから、中心市街地活性化基本計画を1年から2年以内に、必ず国に対して提案することが求められています。絶対提出する必要があると言いましたが、実は別に提出しなくても良いのです。矛盾しているようですが、仮に中心市街地活性化基本計画を国に提出しなければ、まちづくりに関して国からの支援、援助は受けられなくなります。市の予算でまちづくりをするのだから国の支援は必要ないと考えるのであれば問題はありませんが、先に説明したように市の予算は危機的状況ですから義務的経費で一杯となり、とてもまちづくりに回せる余裕はないのは確実です。ですからその様な選択肢は有り得ません。
最近中心市街地に動きがあったり、開発の様相があるのはこれらの背景があるからです。国の法律改正や指針が示されるとそれに伴ってまちは動き出しますから、国の動向にも注目しておいて下さい。
まちは変わろうとしていますから、施策も当然変わります。和歌山市の場合には、まちに近接したところに自然環境があることから観光を志向しています。これは正解ですが、全国どの地域でも観光施策に力を入れていますから、他の地域で取り組んでいないものを創出する必要があります。そこで観光と健康サービス産業を組み合わせた取り組みは、和歌山市の地形と特性から考えて有望ですから、新産業として観光の柱に育てたいと思っています。従来から、全国統合医療展に出展したり熊野健康村構想を推進してきましたが、ようやく成果が現れようとしています。
それは今週末に、JACT(日本相補・代替・伝統医療学会)和歌山支部設立に向け第一回準備委員会開催し、設立に向けた第一歩を踏み出したことが挙げられます。医療関係者の方達と設立に向けた取り組みを始め、平成18年9月に設立総会を開催する予定にしています。
また国に対して観光医療立県に関する提言を行い和歌山で新産業を起こし発信していく予定です。和歌山大学観光学部と併せて観光医療産業を和歌山で定着させる取り組みを継続しますので注目しておいて下さい。
また平成18年の活動に関しては次の通りです。
1月、平成17年に引き続き横浜市での統合医療展に参加。熊野健康村構想具体化を全国にアピールしてきました。また、
アバローム紀の国に藤原紀香さんの常設写真展を開設しました。これは全国で初めて和歌山市で実現させたもので、藤原紀香さんの世界的な子ども達の支援活動を和歌山市から支援しています。
昨年に引き続いて、第4回紀州子ども語り部育成事業研修会を開催しています。また都市政治研究所研修合宿に参加し、今話題の沖縄米軍基地視察と市長との対話に参加しました。
2月は、第5回紀州子ども語り部育成事業研修会として紀州子ども語り部コンテストを開催し、本事業を終了しました。和歌山城と和歌山市の歴史を知れたもので大人も勉強になりました。
3月は、教育問題で市民運動の舞台となった西山東幼稚園、大新幼稚園の終園式、廃園式に出席しました。
今月、4月は、和歌山ベースボールフェスティバル実行委員会に参画、
茨城ゴールデンゴールズと
和歌山箕島球友会の試合を行いました。また同日、世界的に活動を行っている
さをりが和歌山事務所を開設してくれました。和歌山市での活動に期待しています。
JACT(日本相補・代替・伝統医療学会)和歌山支部設立に向け第一回準備委員会開催し、続いて、現時点で決定している今後の主な活動予定です。
5月、熊野本宮大社前に観光と交流の場としての「癒し処からす屋」を開店させます。
熊野健康村構想を具体化させたサービス施設で観光客やウォーキング客のおもてなしを図ることとしています。
6月、全国子守唄大会を開催する予定です。このイベントには
日本子守唄協会代表の西舘好子さんにも来てもらえることになっています。
7月、恒例の和歌山巴里祭を開催、ゲストは雪村いずみさんの予定です。
9月、JACT(日本相補・代替・伝統医療学会)和歌山支部を正式に設立します。9月9日から11日に設立大会を兼ねたJACT全国大会を和歌山県内で開催します。
また先に終えたばかりの平成18年2月議会の教育民生委員会では、次のような質疑を行っています。教育に関する予算について。スクールカウンセラーについて。英語教育について。真舟芸術振興基金事業について。
和歌の浦アートキューブについて。健康診断について。地域包括支援センターについて。小規模多機能施設について。障害者支援対策について。国民健康保険特別会計について、です。活動報告は以上です。
質問はひとつありました。
Q.和歌山県で国体か開催されると聞いていきますが、どうなっていますか。また開催県になるとしたら強化対策も必要ですが何か施策はあるのですか。
A.和歌山県木村知事は、9年後に和歌山県で国体を開催したいと国体の誘致を表明しています。和歌山県では過去に一度黒潮国体が開催されているだけで、全国的に開催二順目に入っていますから、開催県となる可能性は高いと思っています。
ところで和歌山県ですが2年前には国体で最下位に終わっています。平成17年は順位を上げていますが依然として下位に低迷しています。
そんな状況を受けて民間ではジュニア選手の育成のための活動を開始しています。テニス界では有名なコーチが和歌山市に来てくれていて、全国でもトップレベルのジュニア選手育成を始めてくれています。
卓球では和歌山銀行が強豪ですから、そのチームのOBが中心となって自分達で国体選手やオリンピック選手を育てようとした取り組みを開始してくれていますし、秋からは拠点施設を設けて育成活動を強化することになっています。
野球では紀三井寺球場に照明施設が設置されたので、練習や試合時間が十分取れるようになりました。そして平成19年4月開校予定なのが和歌山スポーツアカデミーです。ここではプロ野球選手を育成するコースとプロのトレーナーを養成するコースを設けることになっています。プロ野球選手やクラブチームの選手を輩出することを目的にしていますが、学校は高校卒業後2年間の在籍としていますから、野球界のレベルアップにもつながるものです。プロ野球選手を育成する目的の学校は全国的にも珍しいもので、和歌山で開校することで野球を初めとする各種競技のレベルを高めることを期待しています。
国体を目指した最近の動きは以上のようなものがあります。今から活発な動きがあるため国体の開催県となった場合には期待出来ます。
【葵会総会】
和歌山市内で約160人が出席した葵会総会に出席させていただき、皆さんと交流を深めさせていただきました。たくさんの励ましと激励をいただき感謝申し上げます。
開式での挨拶の要旨は次の通りです。
葵会のご盛会おめでとうございます。また今年も会合に呼んでいただいたこと心から感謝申し上げます。皆さま方に支援していただき市議会に送り出してもらってから早いもので3年が経過しようとしています。期待に応えられるよう活動を行っていますので、引き続きましてご支援、ご意見をいただきますようお願いいたします。
さて3年前の市議会挑むに当たって皆さんに対して政策、公約として掲げさせてもらった項目に、和歌山において健康サービスと観光を結びつけた新産業を創出することがあります。
会員の皆さんの関心事に健康があるとお聞きしていますが、和歌山は健康を維持、向上させるために絶好の環境にあることは皆さんも周知の事実です。年齢を重ねても寝込むことなく健康で元気に暮らせることが最も幸せなことです。
そこで予防医療の拠点を和歌山において実現したいと考え、いくつかの施策に取り組んで来ました。国との共同事業で和歌山市再生計画を策定しましたし、熊野健康村構想にも取り組んで来ました。そこで和歌山市と熊野を結んで和歌山県全体を健康サービス産業による交流地域にするため更なる活動を進めています。これを観光医療立県わかやまと名付けて国に対して提言を行っています。和歌山の特徴を活かした観光医療立県を実現させることが和歌山を再生させることにつながると確信しています。
国への提言とともにもうひとつ、大きな一歩を踏み出しました。JACT(日本相補・代替・伝統医療学会)和歌山支部設立に向け第一回準備委員会開催し、設立に向けた第一歩を踏み出したことです。医療関係者の方達と設立に向けた取り組みを始め、平成18年9月に設立総会を開催する予定にしています。
何としてもこの観光医療立県を実現させることで、皆さんがいつまでも健康で暮らせる後押しが出来ると思っています。
以上活動報告と皆さんの益々のご健勝を心よりお祈りし、挨拶に変えさせていただきます。ありがとうございました。
【会合】
夕方から夜にかけて和歌山市の現状分析と現状を打破するための施策に関する会合を持ちました。話し合いは、教育問題、福祉施策、子どもの安全と安心、防災対策などに及びました。会合の中で出された意見やアイデアを紙に落とし込むことによって具体化させています。
【名古屋から】
南紀熊野体験博で大変なお世話になった名古屋の観光関係の所長が和歌山市に来てくれました。本当に久しぶりだったのですが、励ましていただき更に元気が生まれました。名古屋に行くことは滅多にないのでお会いする機会は少ないのですが、次回今年6月に観光施策に関する会合のため和歌山市に来る予定だと聞きました。再会の日を今から楽しみにしています。