5月31日(火) 「岡山電気軌道鉄道」
 貴志川線を運営するのは岡山電気軌道鉄道株式会社に決定しています。岡山市を訪れたので改めて岡山電気軌道鉄道の概要を報告します。
 本社は岡山県岡南町、明治43年5月21日創業、資本金2億円、平成16年度売上高は21億6,600万円、平成17年4月1日現在で従業員262人です。電車営業部は路面電車、自動車営業部は乗合バス126両を運行しています。路面電車は赤字ですが、乗合バスは黒字で総合すると黒字経営となっています。
 路面電車はふたつの路線があります。東山線はJR岡山駅前から東山までの3kmと、清輝橋線の岡山駅前から清輝橋までの2.1kmで車両は21両あります。
 両備グループの企業数は42社、従業員数は5,618人、総資本金は23億875万円、平成15年度総収入は1,187億3,200万円の規模となっています。
 岡山市に楽しさを導入するため、平成14年から新しい電車超低床車両MOMO(モモ)を導入しています。

(近代的な車両のMOMO)
MOMOはまちを変え住む人に楽しさを提供すること、都市環境を考えることを目的にした新世代の電車です。MOMOは都市内移動の未来を見据え、低公害で快適な大量輸送を可能にした路面電車なのです。この電車を活かしたグッズを送り出し、現在も新製品の開発中です。


(レトロ電車のクロ)
 市内に路面電車があるのは違和感がなく他都市にはないまちの姿があります。
 最新のMOMOのような電車とレトロ調の「クロ」や「夢二」電車が市内を走っています。「クロ」に乗ると昔の電車の車中そのままで、それだけで乗客を呼び込み感動させる価値があります。
 JR岡山駅から県庁など市内主要場所を結ぶ路面電車は、今の時代だからこそ価値があります。一度地方鉄道が廃線になると復活させることは極めて難しいのです。岡山電気軌道鉄道の方々には地方鉄道を守る精神が宿っています。それは昭和43年に番町線の路面電車を廃止した苦い経験があるからです。
昭和40年代は地方鉄道が廃止された時代でもあり、現在も良く似た傾向にあります。鉄道に関わる者とし地方鉄道の切捨てはしたくないとの先代達の強い想いを今も受けついでいます。
 そんな人達が想いを持って和歌山市に来てくれます。暖かく迎え入れたいものです。
 
 路上で。信号が赤なので横断歩道手前で信号待ちをしていると道路の向こう側に急いでいる人が来ましたが、赤信号なので立ち止まりました。赤信号は止まれですから待つのが通常ですが、誰も見ていないと行きたくなる時があります。
 今日の信号待ちをした人は、こちらと目が合ったため止まったように見えました。人から見られていると悪いことは出来ませんが、誰も見ていないと気を許してしまいます。誰かに見られること自体が抑止力になります。人から見られることが学習になりますし、弱い気持ちを跳ね飛ばしてくれます。そして何よりも行為を正すための抑止力になります。
 子どもへの接し方はもっと大切で、子どもの行為は私達大人の行為を真似ているものですから、子どもに見られて説明出来ないような疾しい行為は決して行ないたくないものです。他人は自分の行為を映し出して自分に見せてくれます。
5月30日(月) 「赤字決算」
【赤字決算】
 平成16年度和歌山市の一般会計が赤字決算の見込みとなることが、本日の総務委員会で明らかになりました。昭和63年度以来16年ぶりのことで、実質収支で8億5,361万円の赤字決算となっています。
 税収面では鉄鋼業を中心とした税収増加と未納税収対策で実質収入は増え、支出見直しで28億円の削減を図りましたが、民生費の増加などにより最終的に赤字となりました。和歌山市財政は非常事態宣言の様相となってきました。平成19年度には団塊の世代の定年を控えているため財政が危機的な状況ですが、財政部長は財政再建団体を回避するために財政再建計画と新たな行政改革計画を策定し切り抜ける考えを現しました。これにより危機が高まる団塊の世代の定年時を含む5年間は財政再建団体にならない見解を示してくれました。

【住居手当問題】
 和歌山市職員さんが賃貸住宅者用の住居手当を不適当に受け取っていた事実が報道されたことについて議論を呼んでいます。市民の税金から支出された給与手当てに不適切な支出があったので怒りの声があがっています。今日も来客があり、この件について意見提起をいただきました。
 地方自治法に基づくと歳費の時効は5年のため、遡及して職員さんから市に対して返済完了または返済予定ですが、利息は付加されていないこと、処分がなされないことについて疑問の声があげられています。法律を適用するのであれば不当利得に加えて利息の支払いを行ったうえ何らかの処分が必要で、利息と処分を行なわない組織内部の問題として扱うのであれば、時効を適用しないで支出した全額の返済を求めるべきだというものです。
 納得出来るような回答を得たいと強い要望がありました。この方が市当局に確認したところでは、処分を科さないことと利息は付加しないことは市長判断によるものだそうです。その根拠が何処にあるのか分からないと対応不備を訴えています。

【熊野古道ボランティア】
 大手企業が熊野古道でボランティア活動を行いたい申し入れがあったことを受けて、和歌山県と話し合いの機会を持ちました。実施時期は今年7月夏休みに入った直後に決定し、従業員とその家族が参加したボランティアをしながら楽しめる企画を立てることになりました。まずは熊野古道清掃活動、熊野古道ウォーク、温泉体験を取り入れた基本コースを体験していただきます。
 熊野健康村構想では都会や企業から多くの人熊野に来ていただき、疲れを癒してもらうことを目指しています。熊野健康村構想への参画が、多くの企業に拡がることを期待しています。
 
【コミュニティビジネス】
 和歌山県では県民の方々やNPO法人を対象に地域活性化のためのコミュニティビジネスの募集を行なった結果、30件以上の応募がありました。地方自治体が民間団体主体の和歌山発ビジネスを支援する施策を取り入れたことは県外からは高く評価を受けているように、行政と民間の関係は大きく変化をしています。行政予算を全て握るのではなく、一部をやる気とアイデアのある民間と協調する施策は、確実に地域の活力を高める効果があります。
 従来にはない民間活力導入の取り組みに着手するだけでも意味はあります。応募が多かったことからも期待感があることをうかがい知ることが出来ます。
5月29日(日) 「わかやまの底力」
【わかやまの底力】
 平成17年度和歌山市の特徴的な事業のひとつである「わかやまの底力・市民提案実施事業」の第二次審査が開催されました。一次審査を通過した15の事業の提案者が会場のわかちか広場で一堂に会して公開の場でプレゼンテーションを行ないました。
 選ばれた事業主体によるプレゼンテーションはいずれも熱意の感じられるもので、NPO法人や市民活動家が和歌山市において各分野で数多く活動していることが分かっただけでも成果があります。環境問題、高齢者対策、こどもの教育、中心地と和歌浦活性化の提案が主体で、行政も市民もこの辺りが和歌山市の課題であることを共通理解していますから、改めて不足している部分が浮き彫りになりました。
 審査委員からも今回の提案は市の課題と一致した所を何とかしようとするものが多く、実施することにより市民活力が生まれ、和歌山市の活性化につながるものと評価をしていました。和歌山市が市民提案事業を取り入れたのは初めてのことであり、全国的にも市民との協働事業として注目されています。結果として、15件もの優れたアイデアが提案されたことを素直に喜びたいものです。和歌山市の底力を十分感じさせる第二次審査となりました。

(わかやまの底力・市民提案実施事業のプレゼンの様子。)


(熱心な論議が交わされました。)

 もうひとつの注目点は、プレゼンテーションと審査過程を全て公開にしたことです。審査員の討論内容はプレゼンテーション終了後に公開されました。どの委員がどの提案事業を評価しているのか、評価のポイントは何かを話すので参加者は何が評価されるのかを理解出来ます。
 提案内容も審査過程も全て公開で行い、審査結果を直ぐに出してくれました。第一次審査も公開だったのですが、公開することで利益供与などの動きを排除することが可能となります。和歌山市で初めての取り組みと審査方法は注目に値し、今後の和歌山市政に期待を抱かせるものになりました。

【考え方】
 昨日、同じテーマに関してふたつの考え方があり、それに関して少し論議を呼びました。
「JR和歌山駅前の通りにはシャッター通りとなっています。これは和歌山市が沈滞していることを示すものです。何とかなりませんか」との問いがありました。
 回答をしたひとりは「和歌山市の課題だと認識しています。予算の問題があります。アイデアはあるのですが何かしようとしても実施主体が現れないので苦慮しています」
 もうひとりは「シャッター通りは課題だけれども、全国どこでも同じ状況で和歌山市だけのものではありません。良い提案があり足らない部分があれば支援する考えを持っています」
 どちらも課題を認識したもので良く似た回答ですが少しの違いがあります。前者のように、アイデアがあっても実施しないと現状を打破することは難しくなります。
 後者のように、和歌山市だけが悪いのではないのだから取り組みを初め、不足する箇所があればトップが支援することを約するものです。予算は重点指向をすべきで、あと少しでモノになる場合や、良いアイデアで立ち上げに費用がかかるものに対して支援すると効果があります。地方自治体の場合は福祉施策が基本ですから、広く薄くを基本としながらも重点指向の考え方も取り入れて欲しいものです。
5月28日(土) 「御坊発電所20周年」
【御坊発電所20周年】
 御坊火力発電所が運転を開始したのが1984年、丁度20周年を迎えての式典に出席しました。式典での挨拶の要旨は次の通りです。
 双子の赤字に苦しむアメリカに対して日本経済が絶好調の1980年代でした。日本式経営が全盛を極め経済成長が続いた時代に電力需要を支えるため1984年に登場したのが御坊発電所です。当時、最新鋭火力のうえ人工島に浮かぶ発電所だったため、多くのお客さんを案内した記憶があります。
 経済成長を支えていた御坊発電所ですが統計の上では1993年にバブル経済が破綻し、それ以降失われた10年といわれる低成長の時代では、燃料コストと環境問題から重油火力の役割は次第に低下していきます。
 それでもピーク対応やバックアップとしての役割は大きなものがあります。
 今年になって製造業では景気回復の兆しが見られ始めています。昨日ある会社の方と懇談する機会があり、そこで製造業から見た景気回復についての話がありました。
 ここの会社では製品出荷は前年度比約130%で全て前年を上回っています。購買意欲が旺盛で工場ラインの稼動は順調です。バブル期以来の好調期を迎えていますが当時と差があります。それはバブル期には何でも製造すれば売れていたのに対して、今回は付加価値を高められた製品が売れています。つまり浮ついた購買ではなく、価値を選択して購買していることから力強い伸びを感じています。
 製造業の取り組みから私達に対しても教訓が得られます。お客さんが欲している製品やサービスを市場に投入すれば確実に受け入れられるというものです。ターゲットを絞り込むことでコストは低減出来ますし、要望をきちんと聞き取れたらそれに合ったサービスを提供すれば良いのです。
 良いものでもそうでないものでも売れた時代ではありませんが、お客さんの要望を的確に捉え、お客さんも気づいていない付加価値をつけて投入すれば成果は見込まれるのです。それだけ投資とリターンの関係が分かり易くなっています。
 いつまでも「景気が悪いから」と他人の責任にしては発展はありませんから、産業の下支えをしているのが火力発電所の役割であることを認識して次の時代に備えたいものです。
 本日は20周年おめでとうございます。

【和歌山大学国際シンポジウム】

(和歌山大学の国際シンポジウム)
 和歌山大学主催で大規模な国際シンポジウムが開催されました。テーマは「21世紀型観光を展望する」で、和歌山大学が設置を計画している観光学部の実現を目指してのシンポジウムとなりました。
 世界各国から観光についての報告やパネルディスカッションがあり長時間に亘るものでした。観光立県を目指す和歌山県にとって、観光学部設置を目指す和歌山大学にとっても学びのある会合となりました。

 私が参考になると感じた二点について説明を加えます。
1. 平成16年に高野熊野が世界遺産に指定されましたが、世界では多くの世界遺産が存在しています。私達は、世界遺産だから観光客が来るのではなく、世界遺産に指定されるような独自の特徴を守ることが観光客を呼び込むことが出来ることを理解すべきです。世界遺産の冠に価値があるのではなく、世界が認めてくれたその地域が持つ独得の価値を守り、価値を発信することに意味があるのです。本質を間違わないようにしたいものです。
2. 従来の観光とこれからの観光は似て非なるものになります。団塊の世代が引退する時が近づいています。仕事と会社に生き甲斐を見出し、その世界で自己実現を目指してきた世代が組織を離れます。観光には関心が無かった層が大量に観光分野に入ってきます。
 高度成長を支えてきた方達は常に自己実現を目指してきましたから、飲んで騒いで観光地を廻るだけの観光には興味を持ちませんし参加もしません。これからの観光は自己実現を達成できる体験型のものか、その地域に行くことで達成出来るものが求められます。本物志向が強くなりますから、和歌山県で観光学を学ぶ機会を提供することは日本全体で捉えても価値のあることです。
5月27日(金) 「Selenograph」
【工場見学】
 午前中は会議、午後からは和歌山市内の製造工場を見学させていただきました。工場の責任者である所長によると景気回復の兆しがあるそうです。主力製品の出荷台数は対前年度比で30%を超え力強さが見られます。バブル期との違いは、ユーザーは付加価値の高いもの選択して購入している点にあり、メーカーとしては付加価値の高い製品を送り出すと販売できる感触を得ているようです。
 バブル期とは異なり、何でも売れるのではなく良いものだけが選択されて売れることから回復に向かっていることを感じられます。ただしこの工場は大手企業の主力工場のため、購買層は全国にあり域内に留まっていないのです。ですから和歌山市の購買が増加しているのではなく、市内の景気回復感とは直接結びつかないような気がします。
 市場の要望にあった製品を次々と投入する予定で、秋までの新製品について説明も受けました。首都圏を中心に新築ビルやリニューアル需要があるため伸びは続きそうです。

【Selenograph】
 和歌山市内を拠点とした佐野安佳里さんのラストライブが和歌の浦アートキューブで行なわれました。ライブのテーマはSelenograph(ラテン語:月のことわり)で、佐野さんのイメージが月にあることから名づけられたものです。
 和歌山市での活動は4年と半年、力強い歌声とピアノから弾き出される音は聴く人を魅了し続けてきました。作詞作曲も自分で行なう才能を持ち合わせていて、和歌山の代表的観光地である和歌浦や熊野をイメージした歌も多数あります。1部と2部を合わせて約20曲、内18曲はオリジナル曲でじっくりと聴かせてくれました。
 和歌浦のライブ空間を共有した2時間は瞬く間に過ぎ去りました。ラスト近くになると佐野さんはこみ上げるものを堪えきれない様子でした。手拍子と歓声がそれを誘ったのかも知れません。
 旅立ち、を感じさせる素晴らしいライブでした。実際、和歌山市で活動してきた21歳の女性が東京に活動拠点を移す旅立ちの瞬間です。歌声からは不安感はなく希望だけを感じることが出来ました。

(佐野安佳里さんの和歌浦での感動的なライブ)
 誰でも旅立ちの瞬間が訪れますが、その脱皮しようとする瞬間に立ち会える人は幸運です。旅立とうとする人の希望を共有することが出来るからですが、独得の雰囲気があります。旅立つ人が持つ希望とその地に留まる人達の喪失感、それらが交錯して感激と寂しさを演出してくれます。明日になれば夢のように感じる瞬間を、それぞれが心に閉じ込められるのが同じ時間を共有したことの意味です。
 極論になりますが、出会いと別れの瞬間、喜びと悲しみを味わうことが人生の価値であるような気がします。それを沢山感じられる人が、節目のある充実した人生を過ごせたといえます。
 その感覚を味わうためには人と出会う必要があります。人は人との出会いで変わりますし、志を持つ人の出会いが周囲に化学変化を引き起こします。一人が高いレベルに達しようとすれば周囲もそれに引っ張られます。同じような集団からは抜き出るものはありません。たった一人今までと違う高い次元の人が出現することが、その集団全体のレベルを高めてくれます。

 プロサッカーでいうと、井原選手が登場する前後、中田選手が出現する前後、小野選手が現れる前と後ろではサッカー界のレベルは違っているといいます。突出した選手の出現によりレベルは高められ、その選手と接する周囲のレベルは自然と高まります。やがてその高いレベルが次の時代のスタンダードとなります。その状態が続いた後また傑出した選手が登場し、それまでの技術を過去のものに追いやります。突き抜けた傑出した選手の周囲からレベルは高まり、そのレベルがまた新しい時代のスタンダードになります。その繰り返しによりレベルは上がっていきます。
 これはどの世界でも通用する法則です。その分野にいる誰かが飛びぬけることで進歩があります。落ち着くところに落ち着く、まあまあのところで満足しているのではレベルは現状維持です。誰かが突き抜けようとしていれば後押しをして、一段高いレベルに上って欲しいと願っています。それが全体を高めることにつながることを理解すべきです。足の引っ張り合いの中からは新しいものは誕生しませんから、伸び行く人の背中をそっと押すことを心掛けたいものです。
 東京の音楽関係者によると佐野さんの歌の上手さは際立っているとのことです。東京の皆さん待っていて下さい。
5月26日(木) 「防災放送設備完成」
【熊野古道ボランティア活動】
 大手企業が環境保全を目的に熊野古道ボランティアを行うことを常務会で決定されました。本年の夏までに実施するための打ち合わせ会議を計画しました。来週早々に県を交えて具体案を策定することにしました。多くの企業が熊野古道での環境保護活動に力を注いでくれています。

【防災対策】
 防災に関する話し合いを行ないました。東南海・南海地震に備えの危機管理体制が築かれつつあります。県では最重要課題としての取り組みを開始していて、スマトラ沖地震調査のため現地にも防災担当箇所の職員さんを派遣しています。帰国後の報告活動を初めとして防災施策立案などその活躍は素晴らしいものがあります。質疑と要望を行なったところ的確な回答と資料提供があったように、スピード第一と考えての迅速な対応が出来ています。和歌山市地域での民間での取り組み案を相談したところ、前向きに進めるための協力をしてくれることになりました。ここでは良い取り組みを前進させるための意識が宿っています。検討して先送りをする体質では危機管理は出来ませんが、県では即応体制が確立されています。

【防災放送設備完成】
 ある自治会で取り組んできた防災放送設備が本日完成し、自治会内でのテスト放送も行い成功しました。この設備についての相談があったのが4月で、要望に基づいて企画書と設計を仕上げたのがゴールデンウィークを挟んで5月中旬、そして本日竣工ですから構想から完成までわずか二ヶ月を要しただけです。和歌山市内の自治会では初めての取り組みで前例がなかったのですが、行政が絡まない自治会と民間で進めた取り組みは迅速な仕上がりとなりました。高さ12.5メートルの柱に放送設備が取り付けられています。
 防災放送設備が竣工したことでNHKから取材に来てくれ、夕方6時からのNHKニュースで放送されました。民間主導の取り組みはスピード感に満ち、やれば効果が表れるので達成感を感じることが出来ます。

(防災無線設備完成。和歌山初です。)
 災害に備えてまだまだ実施すべきことがありますので、次の施策に向かって早速明日次の行動に移します。

【未然防止の難しさ】
 家屋の鍵を切断され侵入された事件があり、被害者から侵入した男が和歌山東警察に連行されたとの連絡が入り警察に向かいました。警察からの取調べにおいても加害者の男は自分が犯罪行為をしたことを理解していない様子でした。鍵はピッキング用器具を使ったため鋭利に切断されていました。
 人間社会は法律や常識などの一定のルールに基づいての暮らしを前提としていますが、ルールを理解できない人が近隣にいるとたちまち崩れてしまいます。本人が悪いと思わないでする行為を事前に止めることは至難の業です。違法行為を待って検挙してもらう他なく、犯罪の未然防止の難しさを実感しました。

【職員の住居手当問題】
 和歌山市の職員17人が、賃貸住宅者用の住居手当を不適当に受け取っていたことが発覚しました。今回発覚したのは、親族の家に住みながら住居手当を受け取っていたケースがあったからです。過去5年間における支給総額は1,345万円で、和歌山市では全員に返還請求を求めています。 
 和歌山市の規則では、配偶者や父母、配偶者の父母で扶養家族以外の人が所有、または借りている住宅を職員が借りて住む場合は住宅手当の適用外と定めています。
 国家公務員の場合は、親族の家に住んでいても家賃の支払いが証明出来たら住居手当の支給が認められますが、和歌山では規則がありますから、国家公務員のケースは当然適用外で比較対象として出すのもおかしなことです。
 和歌山市の見解では、職員は故意ではなく悪質なケースではないとして処分はされていません。
 この事件に関しての問い合わせと苦情を沢山いただきました。「規則の思い違いであれば許されるのか」「過去不適切に受け取った住居手当支給分を返還すれば済む問題ではない」「処分が無いのは甘い」「市民が納得する説明をして欲しい」「市民が処分なしとした理由を聞いて納得出来ればそれで良いが説明が無い」「市役所が職員に対して甘い処分をしているのは許せない。税金を納めているのは市民である」「そんな職員を養うために税金を納めているのではない」など挙げれば限がありません。
 今や公務員の怠慢な勤務や失態に関して見逃さない和歌山市民になっています。気づかないまま不法行為を行なっていて、それが発覚した時に「知りませんでした」と言っても社会では通用しません。今回は思い違いですから清算、返還したから問題はありませんとするのでは皆さんは納得しません。強い苦情が寄せられていますから、当局から納得性のある回答を求めていきます。
5月25日(水) 「献血活動」
【献血活動】

(献血活動)
 和歌山市内での献血活動に参画し広報活動と共に献血を行ないました。毎年、この時期に日本赤十字から献血車を派遣していただき協働して献血活動を行っています。個人的には19回目の献血となります。血液不足のため、今日採血した分は明日中には活用されます。
 事前周知も行なっていることもあり多数の方が協力してくれました。各自献血手帳を持参して献血車に来てくれるように、時期と場所を決めて行なうことで定期的に来てくれる方もいます。
 献血活動を行なうと健康であることに感謝する気持ちになりますし、社会は多くの善意で支えられていることに改めて気がつきます。
【中学校にて】
 市内中学校を訪問。この中学校の校長先生は、他市の教育委員会から和歌山市の校長先生で平成17年4月に赴任してきました。これは和歌山市では初めてのケースです。他都市との交流は既存の教育者にも刺激を与えてくれるようです。教育環境が違いますし、違う視点で生徒を捉えてくれています。どこに行っても「うちの生徒は良い子ばかりで」と話しているようです。
 地元ではない先生が、自分の学校の生徒を誇りに思っているように、私達も和歌山市を誇れる姿に変えていきたいものです。

【公園にて】
 明日和歌山市内のある自治会が全額出資して、自治会内で防災放送設備が着工する予定です。行政に依存しない自立した活動で、大災害に備えて自分達の地域で出来ることに備えておく姿勢を貫いています。防災放送設備が設置されると、自治会内の全ての家庭まで一斉に注意喚起が届き、震災発生時に活用するしくみが確立することになります。
 12.5メートルの高さの電柱を建柱して、自治会館内に設備を設置する本格的な防災放送設備です。活用しない方が良いに決まっていますが、非常時に備える取り組みを自分達で行っています。その他にも自治会全世帯に非常災害用21点セットを配布する予定です。これも全て自分達のお金で賄っているように、防災に備える意識が非常に高いものがあります。
 市の指定する避難場所までは高齢者にとっては距離があるため、自治会内の公園を避難場所と捉え非常時にはまずこの公園に集合し、班単位で二次行動に移す態勢を取っています。一人暮らしの高齢者の逃げ遅れが無いようなしくみを作っています。
 それでも自治会員が必要とされる飲料水や食べ物の確保など課題はあります。市が保存している非常用飲食品だけでは絶対数が不足しているため、必要数を確保しておけば安心ですが、自治会で揃え更新していくには費用がかかり過ぎます。在庫を持たないで非常時に備える方法がありますので極力早いうちに話を詰めていきます。

【ある経営者と】
 ある大手企業が50人の新規採用を行なう計画があります。景気が上向いていることが理由で和歌山市にとっては好ましいことです。50人の募集に対して500人が応募してきていることから、失業者対策につながりそうですが実態は少し異なります。失業者やフリーター、ニートが応募しているのではなく、地場の中小企業に勤める従業員が応募しているケースが多いのです。
 つまり給与や勤務条件が中小企業よりもこの大手企業の方が良いので、転職を考えているのです。雇用の流動化という意味では良い状況なのでしょうが、折角和歌山市の中小企業で育てられ近い将来の中心選手となる従業員が各企業から引き抜かれると、中小企業にとっては痛手となります。新規採用から戦力になるまで、規模が小さくても将来への投資と考え教育費用を出して育成してきたのに、ようやく一人前になり核となるべき人材がいなくなると、企業の存続問題にも発展すべき問題です。
 労働力の流動化が図られることは労働者にとっても好ましいことですが、地場産業にとっては厳しいものです。新卒者は教育の必要があることから、当然この大企業が求める人材は即戦力の若手です。労働力の流動化については少し複雑な構図となっています。

【打ち合わせ】
 夜には福祉に関する打ち合わせを行ないました。意欲的な若手経営者達は連日のように高齢者が利用し易いしくみ作りを行なっています。介護保険法改正に伴う行政指導を待っているのではなく、まず民間で出来ることを進めておく姿勢です。
 和歌山大学観光学部設置を求める署名が約3万人分集まりました。6月に入ってから東京に持参し、文部科学大臣に受け取ってもらう段取りです。民間主導で推進活動を行っていますから、必要とするなら行政の後押しを期待したいものです。
5月24日(火) 「音楽家の夢」
【音楽家の夢】
 小学校の土曜授業で子ども達に音楽を教えたいとする和歌山市在住の音楽家の夢が、実現手前まで来ています。現在は、基本的に教師でないと小学校の教壇に立てません。過去、和歌山市で育った方にとって音楽を正式に学習する機会には恵まれていませんでした。和歌山市内の高校では文系、理系、国公立、私学進学コースの選択肢はありますが音楽科はありません。大学も音楽科を持つ所はありませんから東京か大阪に進学することになります。しかし音楽科に進学するためには、高校時代までにプロか専門家に師事して基本を習得しておく必要があります。一般的な進学のように通常の勉強だけをしていては音楽科へ進むことは難しくなります。音楽家志す人にとって、和歌山市の教育環境は良いとはいえません。
 この音楽家は独学で音楽理論と技術をマスターし音楽活動や音楽教室を主宰しているため、学校教師よりも音楽に関しての理論と演奏は優れている部分があります。しかし教育免許を習得していないため、折角の技能を子ども達に伝える機会が音楽教室以外には全くないのです。
 音楽を学ぶことで感性が豊かになるのは勿論のこと、熱中する何かを与えることで非行防止になり、アンサンブルなどにより他の生徒との協調性が生まれます。子ども達の環境に最も欠けている熱中できる何かと協調性を身につけることが、音楽を通じて学ぶことが可能です。
 教育面ではプロの教師に負けるかも知れませんが、音楽を通じて子ども達と接することは決して負けないと自信持っています。高いレベルにある音楽家が子ども達にその技術を伝えることは、地域の音楽文化を高めることや学校生活の充実などで効果が見られる筈です。
 幸い和歌山市では、土曜日の授業は教育資格がなくても教えることが可能なしくみが用意されています。教育カリキュラムとして各小学校の生徒に提示するので、希望があれば生徒は受講出来ますし、社会人でも講師として教えることが出来ます。
 折り合いがつけば本年度から土曜日に教壇に立つことが可能となります。音楽家自身の、そして子ども達のため、地域の音楽文化のために夢を実現させて欲しいものです。

【光イベントの課題】
 光を使ったイベント実施に当たっての課題について打ち合わせ。特に冬場には各地で開催されていますが、課題は短期イベントになるので割高となる費用です。期間と規模によりますが、和歌山市で実施する場合の各ケースを検討しました。

【貴志川線打ち合わせ】
 貴志川線振興策についての打ち合わせ。全国から観光客を集める方法について検討しました。和歌山市の特性を活かせるものにするためには環境保全、景観との適合などが鍵になるので提言していきます。

【防災対策提案】
 防災対策としてハード面整備のための新アイテムと、ソフト面での体制確立について打ち合わせ。民間の知恵と技術を取り入れた防災計画に仕上げないと、万一の場合民間と行政が連携できない形だけのものになってしまいます。計画段階から良い企画は取り入れたいためアイデアを提案しました。

【年を取るのは難しい】
 老人保健法による医療受給資格についての打ち合わせ。高齢者のご夫婦で非課税世帯だったのですが、高齢化のため息子さんと同居することになりました。住民票を移したので一世帯となり、その結果、息子さんの所得があるため高齢者ご夫婦は非課税世帯なのに、そうとは見做されなくなり老人保険医療受給資格が変更となったのです。老人医療の限度額適用・標準負担額減額認定証の返却と負担額の変更の扱いとなりました。規程なので仕方あませんが、何か釈然としない気持ちになります。年を取るのが難しい時代になったものです。
 
【小学校】
 市内公立小学校を訪問。最近、市内の小学2年生の女の子が知らない男の車に乗せられ連れまわさせた事件があったため、教育現場では授業の後、教師が通学路を巡回し安全対策を強化しています。ここでは校長先生も巡視を行い不審者が入り込めないように警戒しています。
 巡回しても地域に不審者は入り込めますが、地域と学校を挙げて巡視することで、地域に入り難い環境を築くことが出来ます。何も対策を実施しないと不審者が簡単に入り込める気持ちにさせますが、例え不審者から教師の動きが見えなくても動きがある雰囲気は感じる筈です。通学路を巡回することで犯罪の抑止作用が働きます。
 汚いところや暗いところでは犯罪の雰囲気がありますが、きれいで明るいところは健全な空気があります。地域に動きがあることは明るく、行動することが地域に光を照らす効果があります。

【法律相談】
 法律家との打ち合わせ。混乱したことでも法解釈を行なうことで、次第に明確になって行きます。法解釈は心の暗部を照らしてくれる効果があります。
5月23日(月) 「情報懇談会」
【紀州子ども語り部事業】
 紀州子ども語り部事業実施方法についての打ち合わせを実施。目的は、小中学校の子ども達に和歌山市の文化と歴史を教えることで郷土に誇りを持てること。語り部研修会修了者で語り部活動を希望する子どもについては、観光客に対して語り部活動を行うことで自信を深めてもらうこと。観光客については子ども語り部の案内により満足感を感じてもらえることです。和歌山市に住んでいながら郷土のことを学ぶ機会は少ないので、小さい頃から学んでおくことで和歌山市の将来を担って欲しいと願っての事業です。実施主体に教育に携わって数十年の経験を持つ方々がなりますので、他では実施出来ない事業に仕上がっています。
 紀州子ども語り部事業について予算面と研修内容、それに適した講師についての詰めを行いました。

【打ち合わせ】
 人生には何が起きるか分かりません。和歌山市内のある地域に生まれ育ち、人生の後半を迎えたいま、長年住んできた家が他人ものになり取り壊されてしまいました。壊される先ほどまで自分のものであった元自分の家を正視出来ない状態で、顔は涙で覆われました。他人に渡ってしまった責任は自分にあるのではなく、身内が博打で借金を重ねてしまったため、借金返済のために家屋を売却したからです。
 70歳を超えて自分の家を失った夫妻の心情は察して余るものがあります。数回お会いして最善策を一緒に考えているのですが、家屋と所有地を全て失ってもなお追い詰められていましたがようやく歯止めがかかりましたので、今後も出来ることは全て行い最善を尽くします。
 その友人の所にも立ち寄り、善後策について話し合いを行ないました。 

【情報懇談会】
 情報懇談会に出席、大阪商工会議所副会頭の話は経験談に基づいた内容でした。
 人生は経済力ではなく健康が第一です。健康でいることで気力が湧き、社会で戦うことが出来ます。
 大商副会頭を引き受けたのは地位や名誉ではなく、引き受けないと自分の会社のことだけに力を注いで社会活動を行わない会社だと噂されることを避けたかったためです。ある程度の地位に就くと自分のことだけを考えるのではなく、社会全体の奉仕者であることを認識する必要があります。
 かつてこの方が山口支店に勤務していた時代、当事のトップが本社からやってきて地元挨拶周りを行なったことがありました。県知事や地元企業のトップに一通り挨拶を行った後、「日頃から山口県内で一番お世話になっているのは誰ですか」とトップから聞かれました。「○○会社の◇◇課長と△△係長です」と答えると、トップはそこに赴き、県知事と同じようにお辞儀と丁寧な挨拶を行ってくれたそうです。
 誰に対しても同じような気持ちで接することの大切さが分かります。
 人の道を踏み外さないことが組織も人も発展させてくれます。
 人の道とは、嘘とごまかしをしないこと。人に迷惑をかけないこと。決心したら成功するまであきらめないこと、などです。正道を歩くことは、しんどい人生であることが分かります。
5月22日(日) 「セラピードッグ」
 早朝からセラピードッグに関する地元テレビの取材があり、日頃活動しているメンバーが揃いました。福祉施設へのセラピードッグによる慰問活動に行ため家を出発するところから取材は始まり、そこに大橋市長も参加してくれました。代表者宅では17頭のセラピードッグが誕生し育てられています。
 雨模様の中、福祉施設に到着すると施設長の他、入居者の皆さんが玄関で迎えてくれました。施設長に聞くと慰問活動は多いのですが、セラピードッグによる慰問は初めてのことです。高齢者の方々はワンちゃんの来所に大喜びで、抱え上げて撫でてみたり頬擦りしたりしています。
 周辺の環境は静かで快適なのですが、欲を言えば賑わいが欲しいと話してくれましたように、本日の賑わいを心から受け入れてくれたようです。セラピードッグは躾がされているため手を出しても噛み付いたりしませんし、近づいても飛び掛ったりしません。高齢者でも安心して抱えることが可能です。
 人に個性があるように犬にも違いがあるようで、高齢者の皆さん方は相性の良い犬を抱えて可愛がります。

(セラピードッグと入居者)
昼までの間でしたが、お互いの交流による笑顔を見ると少しでも癒されたのではないかと感じています。

 この会でセラピードッグを育成しようと思ったのは、命の大切さを子ども達に伝えるためです。核家族により人の死を見つめる機会がなくなったこと、バーチャル体験などにより死を死と感じなくなったことから、生命と死について生活の中で感じられないのです。人間と触れ合うことが比較的可能で、人間よりも生命が短い犬と触れ合うことで生命の誕生と死について感じることが出来るからです。セラピードッグの中には犬の親と子どもがいて、生命のつながりを感じられます。
 人と犬が触れ合う中で感じる温かみや可愛いしぐさは、機械にはない生命を感じさせてくれます。パターンのあるプログラムではなく、接する人の表情や気持ちに応じて違った反応を示してくれます。パソコンやゲームでは指令を行なうと、現時点の技術では決まった反応を示してくれるに過ぎません。正確性と効率性からすると当然の帰結ですが、意外性や感情による変化はありません。

 感情を害していると犬には伝わります。喜びをもって接すると犬はそれを分かります。このように人間の感情に感応してくれる存在が癒しとなり、効率化を競っている社会では必要なものです。今日の高齢者の方々の反応を見ると、改めてそのことを感じます。
 本来、高齢者はそれぞれに人生を生きてきた経験を持っています。それはお金では図れない貴重なものですから、社会に還元する機会を持たせることで後の世代の発展があります。地域社会でも高齢者を大切にして、生涯学習や土曜授業の講師などで活躍する場があることが望ましのですが、残念ながらそのしくみは築かれていません。
 高齢者は施設に隔離され、経験や知識を伝えることなく持ったままとなっています。経験や知識は社会で活用することでより活きます。個人が持つ経験や知識などの暗黙知を集めて分類化することでパターン化し、活用しようとする取り組みが成されていると聞きます。しかし暗黙知を普遍化することは難しいのではないでしょうか。自分が積み重ねた大切な核心部分は簡単に伝えられないし、全ての経験と知識は性格や環境により一人ひとり違ったものですから、同じものを継承することは出来ません。
 データベースではなく心のある人間として、経験と知識を伝えるしくみを大きな社会というフィールドで実現したいものです。和歌山市でそれが出来たら、高齢者の経験を活かせるまちとして大きな売り物になります。
 セラピードッグで交流を深めることが後の時代から見ると第一歩になっていれば、それは嬉しいことです。

(セラピー体験参加者全員で)
5月21日(土) 「慶風高等学校」
 平成17年4月、和歌山県美里町に私立慶風高等学校が開学し開校式が盛大に行なわれました。美里町は和歌山市から車で約1時間の距離にあり、本日は招待を受け出席させていただきました。県知事や地元議員、関係者が多数参加した開校式では、県警音楽隊の演奏で始まりました。生徒達が歌う校歌は爽やかで未来に向かう力が感じられるものでした。
 美里町に高校が出来たのは、平成15年3月1日に美里町から慶風高校校長あてに陳情書が届けられたことが始まりです。
平成15年をもって廃校となった美里町立国吉小学校の跡地を私立学校として活用して欲しいと陳情があったのです。子ども達の声が消えた地域は予想以上に活気を奪い、若々しさを失いうことになりました。
 要請を受けた校長は、平成16年5月に和歌山県に対して学校法人と慶風高校の設立を申請し、平成17年3月30日に認可を受けたものです。高等学校を設立するには大変なエネルギーを伴います。申請手続き、ヒアリング、カリキュラム作成、生徒募集、学校の特色作りなど想像出来ない苦労の末に開校に至りました。

(慶風高校開校式)
 開学の挨拶に立った校長は、頻繁に「ありがとうございます」の言葉を発していました。何十回、何百回「ありがとう」と頭を下げても良い、やっとスタートラインに立てたことを素直に喜んでいました。開学までの長い道のりを経て生徒と共に今日の式典を迎えられた喜びに満ちているように見えました。
 昨夜、開学式の挨拶を考えようとしても結局まとまらなかったといいます。感謝以外の言葉がないとの結論を得たようです。一から学校を作るのがどれだけ大変かは想像出来ません。自分が学校を設立しようとしても第一歩も踏み出せない人が大半ですから、私立高校を開学した粘りと熱意には感服する限りです。
 自分の教育者としての経験を活かした教育方針で生徒を指導し、立派な社会人を育てたいと思いを実現させた実行力は素晴らしいものです。
 しかも勉学だけではなく設立と同時に硬式野球部を創部し、甲子園を目指す目標を掲げています。野球部員は10人で、試合をするのには不足気味ですが、予選大会に向けて4月から連日練習に励んでいます。監督には、日高中津分校で甲子園出場を果たした谷所さんを迎えています。
 校歌は甲子園で勝利した時のイメージを描きながら、和歌山市の野上泰造さんが作詞を行っています。既にイメージを描けていることから近い将来、その夢が実現することを願っています。
 校歌は格式があり希望のある詞に仕上がっています。
 山青く 故郷の峰 そびえ立つ 気高き高野を 仰ぎ見て 剛健の気ぞ 奮い立たん
 慶風の意気 高らかに 我らの望みを 共に語らん
 最初の一歩として、県予選で聞きたいものです。

 もうひとつ慶風高校の特色があります。それは不登校や中退生徒を受け入れることです。現代の公的教育では、一度スピンアウトすると再教育の機会は設けられていません。学校や先生に合わなかった場合、不利益を被るのは生徒側です。退学や中退などを余儀なくされますが、そうなると再び高校に通うのは難しいのです。慶風高校ではそうした生徒達に再教育の機会を提供することも大きな目的としています。
 私立慶風高校の挑戦、和歌山に新しい風を起こしてくれたのは確かです。
5月20日(金) 「心ある経営者達」
【心ある経営者達】
 和歌山市を心から良くしたいと思っている企業経営者がいます。今日の午前中をかけて、和歌山市を活性化させるための意見交換会を行えたことは有意義で新鮮なものでした。
 最初は和歌祭についてです。誰が何と言おうとも、和歌山市で伝統があり他の地域に誇れる祭りは和歌祭をおいて他にありません。衰退していた和歌祭を復活させ、今年の和歌祭も盛大に開催されたことは喜ばしいことです。更に和歌山市の祭として全国に認知してもらうために今後の課題の指摘がありました。
 それは和歌山市がもっと関わるべきだというものです。和歌祭に行ったところ、和歌山市の職員さんの姿が少なく、市として支援している感じがなかったことが残念だと話してくれました。地域の祭は地方自治体が支援しないことには、市を超えて拡がることは難しいのです。
 まして徳川時代から続いている誇るべき和歌祭です。和歌祭保存会に依存しているだけでは市としての位置づけがありません。かつて和歌浦で和歌祭に関わっていた方は、和歌山市内は勿論、天王寺や三宮まで広報活動に出掛けていたそうです。市外からも来てくれる人があって初めて和歌山市の祭としての地位を獲得出来るからです。地域が中心に活動するのは間違いありませんが、和歌山市の支援を得てこそ全国に向けて広報活動が可能となります。和歌浦に来てもらえたら好きになってくれる地域ですから、和歌山市に来るきっかけを提供することが大切です。

 高野熊野が世界文化遺産に指定されたことから、改めてこの地を訪れると文化遺産としての価値に気づくことが多いといいます。何気なく訪問するだけでは分からない自然と文化的価値を、地元以外の人が気づいています。和歌山市在住のこの方も、高野山や熊野古道を訪れると毎回新しい発見があるそうです。愛知万博に行っても新しい発見は余りないといいますから、本物の持つ価値の重さが改めて理解出来ます。
 和歌山市では地域が元気になっているのに、地方自治体に関わろうとする元気がないのが物足りないようです。本気で和歌山市を活性化したいと思っていたら、市の職員さんの行動も変わります。意見を聞くだけ聞いて、良いアイデアですねと言うだけで何もしないのは提案者に対するは違反行為です。かつて和歌山市内で開催されるにイベントに対して、支援体制を取らないで全て自己責任、自己負担で実施させることは反省すべきです。
 良いアイデアだと思ったら実現に向けて行動を起こすことが最初の一歩です。それをしないと永遠に現状維持のままとなります。気づいた人が提言することで地域が活性化していきます。
 多くの人はこう言います。「良いアイデアだけどお金がないからねぇ・・」それはお金が無いことを良い理由(隠れ蓑)として何もしないことを意味しています。本当に良いアイデアだと思うのであれば、お金は自分で集める工夫をしますし市役所に頼らないで行動を開始するものです。

 余りにもお金の出所を行政に頼っている団体や人が多すぎると聞きます。ただし、必要なアイデアを提案し行政と一緒に行動するのは良いことなので、このたかり志向の動きとは明確に区分しておく必要があります。アイデアを民間から出す、ただし立ち上げの資金は不足しているので行政に支援してもらい協働するのは望ましい姿です。地域の特性に合い今までこの地域になかったものを現実のものにするのは、地域活性化につながり新しい産業を創出するために有効なものです。行政頼りの考えを持つ集団と、行政と協働する集団は明らかに違いますから、混同しないで峻別出来る視点を持っておきたいものです。そして私達は行政と協働出来るだけの能力を持った集団でありたいものです。

 さて、この企業が開発した新製品は全国から注目を集めています。地域が大災害に備えて準備をしておくべき避難路誘導の看板の素材に成り得る画期的な商品が仕上がっています。夜になると光の方向に向けて光るものがあり、どの位置にあっても、暗くても避難路が的確に分かるものです。緊急時に、しかも夜間に避難標識を見て逃げる人は少ないと思います。しかし日頃から避難路を無意識のうちに認識しておくことで、いざという場合に役立ちます。毎日看板を見ることで避難路がどこにあるのか意識の中に刷り込まれ、緊急時には無意識の内に行動を起こせるようになります。地域全体の意識が高まると個人の意識も高まります。
 この和歌山市で開発した画期的な新製品の価値を和歌山市が気づかないで、他の都市が災害に備えて採用し始めています。和歌山市では予算ばかり言い張っているように、市民の命よりもお金を大切にしているように見えます。命を守るためにお金を使わないで、どこに使うのでしょうか。住んでいる人の生命を守るためにお金を使っても、無駄遣いとはいわない筈です。
 雨に強い、夜に光る、屋外でも色が劣化しない、ポリ素材でも金属でも印刷出来る技術と素材の良さは、見て触れて考えて思った通りに加工することで理解出来ます。しかも印刷とは異なりこの製品は、避難看板なら一枚一枚違った言葉や図画を作成することが可能なのです。例えば1,000枚を、いずれも違った内容で、しかも安価で作成することを可能としていますから利用方法は無限です。
 出来ることを実施しないで、後で災害に備えて準備をしておけば良かったと思っても遅いのです。予算を全て白紙に戻すことをしないことから、無駄な支出が沢山あると思っている人がいます。生きたお金として予算を使うのであれば納税者の理解は得られます。
 安心感のあるまち、高齢者が生き甲斐を持てるまちを目指して欲しいと要望をいただきました。

【お昼】
 昼休みには秋の演奏会についての打ち合わせを行ないました。文化事業を行なおうとしている人がいて、それを支援している方たちがいるのは嬉しいことです。

【福祉施策】
 介護保険法改正の動きに伴い、地方自治体ではそれに対応出来るように準備を整えておく必要があります。午後の時間を利用して、介護予防事業に関して先駆けて取り組んでいる方から講習会を開いていただきました。福祉、介護、保険関係者に集まっていただき実際に行なっている介護予防事業についての話を伺いました。筑波大学で学び和歌山方式として開発した事業ですが、和歌山市が和歌山県で先端を走って欲しいと思ってくれて無償でノウハウを披露してくれました。通常なら実現しないようなお金では買えない経験です。
 ここでは既に筑波大学の介護予防方式を導入し、和歌山方式として高齢者対策を行っています。和歌山方式は健康増進のために器具を使用しないので、施設でのシニアトレーニングに参加した内容を覚えて家庭で続けてもらう方式となっています。基本トレーニングは三ヶ月を1クールとしています。継続してもらうのが望ましいのですから単にトレーニングを行なうのではなく、高齢者に継続して来てもらうための工夫が必要となります。それがインストラクターの腕の見せ所です。合理的で最先端で健康増進が図れるメニューでは続けることは出来ません。人は楽しみと生き甲斐を求めて参加していますから、それを満足させるようなメニューにする必要があります。
 ノウハウの部分なのでここでは触れませんが、介護予防のためには人間らしい気持ちを持ったプログラムにすることが継続するための条件です。合理的なだけでは人はついてきません。安いだけではなく、参加者のために楽しみながら続けられるような方式を取り入れたいものです。

【独立リーグ】
 独立リーグについての打ち合わせを実施。四国独立リーグは地元から支援されていますし、欽ちゃんのチームは試合で多くの観客を集めています。青島健太さんのチームは専門学校リーグ参画を計画しているなど、個性ある取り組みを行なっています。成否はともかく挑戦する地域の姿に眩しいものを感じます。
 スポーツや文化事業で地域振興を図ることも考えるべきですが、地方自治体の姿勢は消極的です。独立リーグやクラブチームで盛り上がっているのは、和歌山市よりも人口規模が小さいところもあります。市場規模が少ないから事業が成り立たないとの理論は成立しません。図式は簡単で、やるかやらないかだけです。地域の底力が試されています。

【懇親会】
 夜はある方の家に集まって約10人での懇親会です。素晴らしい味付けの料理で話は弾みました。和歌山市に根付きつつある地方政治の進むべき道を、切り開いて欲しいとの要望がありました。中途で途切れることなく歴史を刻んで欲しいと有難い意見をいただきました。今から新しい歴史を作ることで後に続く人が出現します。
 今まで和歌山市は、最大限の努力を重ねなくてもやっていけたのだから、潜在能力はまだまだあるといいます。本気で物事に取り組めば、トップ集団に食い込める可能性はあります。余力を残してそりなりの位置にいるよりも、全力をつくして前に出る方が気持ちの良いものです。
 若い力が集まると次の時代を予感させてくれます。
5月19日(木) 「生涯学習インストラクター」
【生涯学習インストラクター】
 財団法人社会通信教育協会には生涯学習インストラクター制度があり、一定の資格を習得すると人材バンクに登録されます。この資格は文部科学省認定の通信教育講座修了生などの学習成果を評価し、各地の生涯学習活動を支援、指導する人材の養成を図るために開設された文部科学省の助成を得た制度です。ここに登録されると自動的に協会から各地方自治体の教育委員会宛に活用を呼びける文書が送付されます。
 教育委員会では、生涯学習センターや公民館で実施する学習会での講師や、小学校などでの補助講師などとして活躍しています。和歌山県下では芸術、研究者など約120名の生涯学習インストラクターがいます。
 今朝懇談したクラシックギターで活躍中の方が、新たに生涯学習インストラクターの仲間入りをしています。資格分野は音楽の全てを学んだ音楽通論で、和歌山県下では二人目の有資格者となります。既に音楽関係の資格として、和声法や作曲法も習得または習得段階にあり音楽全般について指導が可能です。
 テキストや音楽検定の問題を見せていただきましたが、難題で合格者数は少ないことが容易に理解出来ます。この方は優秀な成績を修めたことから、平成17年6月17日に東京の紀尾井町のホテルニューオータニにおいて文部科学大臣表彰を受けることが決定しました。音楽を学習した人からは1名だけの選出ですから大変な栄誉です。
 音楽通論は音楽関係者でも通常半年から1年の学習が必要な位大変なのですが、三ヶ月で修了しています。和声法も同様に三ヶ月で終わらせています。講師への質問数も相当数に及び、質問状と回答書を通じて講師との言葉の往復が熱心さを物語っていました。
 このような全国レベルの優秀な方が和歌山市に在住して活躍の場を待っています。和歌山市教育委員会でも生涯学習インストラクターとして登録されているのですが、余り出番がないようです。この日本音楽教育文化振興会が音楽講座はレベルが高く、到底誰でも習得出来るものではありません。地域にいる専門家に活動の場を提供し、地域レベルを上げることが地域の底力につながります。折角の有資格者なのに、活躍の場を提供しないと活動の場を他の地方自治体に移されてしまいます。
 和歌山市で音楽教室を主宰して活動しているため普段は忙しいのですが、和歌山市の役に立てるなら労力を惜しまないと思ってくれています。長い年月を経て身につけた音楽知識を活かすための方策を一緒に考えて見ます。人材は最大の地域資源です。

【伝統芸能】
 伝統芸能普及のために活動している師匠がその目的を達成するために、毎月演奏会や出向いて教える機会を持っています。只でさえ教室を持ち生徒を教えているため、十分な時間がないのですが合間を見つけての活動です。明日死んでも後悔しないように毎日を生きることを念頭に描いています。今日が最後の一日と思うことで、課題を先延ばししないようにしています。今日の懇談では、芸術、祭り、福祉、子どもの教育、政治活動についての議論を交わしました。約2時間でしたが充実した内容となりました。

【市職員さんへの苦情】
 市内在住の方から怒りの問い合わせがありました。市の職員さんの対応が不誠実だというものです。最近の窓口の応対は親切になっていますが、階上の課であまり市民と接触する機会がない職員の応対は市民を見下すような態度と不誠実な回答で、怒りがこみ上げて来た様子です。尋ねても席を立たない、名前を名乗らない、名刺もくれない、私では分からない、最後には予算が無いので何も出来ないとの態度です。その対応を見ている管理職も知らない振りをしていて関与して来ないそうです。
 何よりも不誠実なのは、数日前に市役所に来てある事柄を尋ねた時には、まだ本年度の方針が出ていないので分からない、作業も遅れていると回答を受けたのですが、今日訪問して同じことを聞くと、もう計画は仕上がって意見を入れられないというものでした。折角、意見提言に来ているのにまだ実施前だからと話を聞かないでおいて、作業状況を再度確認に来たところ、もう完成したから何も聞かないという態度は、市民に十分過ぎるほど不信感を抱かせるものです。
「うそはいけない」と繰り返して話してくれましたが、職員が市民にうそを言うのはあってはならないことです。意見を聞かないのであれば聞かない、方針を示すべきでないと判断した内容なら開示出来ないと説明すれば納得するのです。それが「未だ」の返答ばかりで、突然計画が仕上がっていることに対する怒りです。
 同僚の方に聞いたところ、他の地方自治体ではあり得ない対応だといいます。あまりにも民間人を馬鹿にした態度とうそ。市役所文化なのか個人の資質なのか調査いたしますが、
職員さんについては市役所を代表している意識を持って応対して欲しいものです。

【指定管理者制度】
 指定管理者制度の作業が進んでいる段階です。全ての公的施設の管理について実態を明らかにして、公募を前提として改革を進めることが市民から求められています。仕事内容を公開しない、公募しないでは納得出来るものではありません。長野県では1年半かけて外郭団体と行政改革担当箇所がヒアリングと実態調査を行った経緯があります。横浜市でも市川市でも全てを洗い出しています。
 和歌山市でも当然公募を前提に作業が行なわれていると信じています。先行している地方自治体と比較すると遅れていますが、遅れた分だけ情報公開と公募がやり易い環境になります。他の地方自治体の条例制定状況や導入する公的施設が、順次判明していくからです。
 それなのに和歌山市では平成17年6月には一箇所だけ条例提案を行い、他の施設については平成17年9月に提案する予定だと聞きます。しかも公募については不透明だとか。それが本当なら市政への不信感を抱かせる結果となります。市民間では和歌山市の指定管理者制度に関する姿勢は疑問符がつくとの噂が出ている程です。
 この機会を逃すと行政改革は進みません。皆さん公的施設の管理について公募するのかしないのか注目しておいて下さい。和歌山市の行政改革に関しての本気度が分かります。
5月18日(水) 「浅野宮城県知事」
【浅野宮城県知事】
 平成16年2月、浅野知事は知的障害者入所施設解体宣言を行ないました。これは正確には、障害者施設を地域生活条件つき整え事業といえます。解体して入所施設から追い出すのではなく、地域で暮らせるように地域に移行することが目的です。入所施設で暮らすよりも安心できる地域生活を行なえるように宮城県は支援することを宣言したものです。
 知的障害者が一旦入所施設に入ると、生涯施設が生活の拠点となり定住施設になってしまう点が問題です。プライバシーの確保、地域との隔絶、規制があることなどから、人間は誰でも自分の家で暮らすことを基本にした方が良いのに決まっています。ところが

(宮城県浅野知事)
行政は知的障害者の人生の選択肢を限定させる施策を取ってきました。小学校に通学するのではなく養護学校に進学させること、社会に出る時は入所施設に入ることなど、本人に選択肢を与えることになく、知的障害者の人生を行政が決定している現状があります。養護学校や入所施設が悪いとは言っていません。選択肢を与える必要があることを述べているのです。

 「将来は何になりたいの」「将来の夢は何」など、知的障害者に人生についての質問をすることはなく「進学はここです」「ここに住んで下さい」など押し付けの部分があります。
 重い障害者であっても地域で暮らせるまちを目指すべきです。地域とはふるさとであり親元です。浅野知事の言葉に「海水浴をするために生まれてきた」というものがあります。海とは地域社会を指すもので、海は楽しいけれども危険も潜んでいます。でもその中で生きていくのが人生です。楽しみも危険も伴う海水浴を制限されることは、人生を制限されるようなものです。入所施設に入るのも外へ出るのも、知的障害者が自己決定出来る環境を持つまちを目指しています。

 障害児との統合教育にも力を注いでいます。最初に公立校200校の内20校について統合教育を始めています。小学校で学びたいという選択をした子どもの判断を受け入れるべきだとしてモデル事業校を定め、障害児がいるクラスには補助教員を配置し二人体制を取っています。
 モデル校は20校のため、モデル校に指定されない小学校区にいる障害児の保護者から、追及されることもあります。それに対しては、実態に引きずられて主義主張を決めてはいけないとしています。この意味は、予算が不足するので全ての小学校に統合教育を同時期に採用することは出来ないけれど、一斉に出来ないから全小学校で出来る環境を整えてからスタートさせるのはおかしいというものです。

 方向性を示したらそれに向かって進むべきで、何年もかけてゴールに辿り着くことを目標にします。まず出来る小学校から進めないと、全小学校一斉に統合教育を行なうでは絶対に実現しません。200校の内わずか20校かも知れませんが、一歩を踏み出したことが重要です。これは公平や差別ではありません。辿り着くべき島影を見据えることで目標が定まります。目標を掲げることで進み具合が異なってきます。予算が不十分だから出来ない、やらないと判断するのでは何事も進むことはありません。島影を見る、つまり方向性を定め少しでも実行することが重要なのです。
 知的障害者を地域で受け入れるためには地域の底力が必要です。地域の底力とは、地域に住んでいる人の総合力と連携を指します知的障害者を地域で受け入れることによって、相手の気持ちが理解できボランティア精神が芽生えます。思いやる気持ちやボランティア精神が高まった地域は、誰にとっても過ごし易い地域となります。それが総合力であり連携のある地域といえ、活力ある地域、地域の底力となります。地域の底力があるところは必ず良くなります。

【指定管理者制度】
 地方自治体において指定管理者制度は、平成18年9月から導入することが法律で義務付けられています。そのため各地方自治体では導入に当たっての考え方を整理し、移行する準備を進めています。
 基本的に指定管理者制度を導入するためには、例え行政が直営で管理するにしても民間委託するにしても公的施設全数の見直しが必要です。全ての公的施設の見直しの方法として、利用者アンケートを実施し行政サービスレベルとの差を洗い出し、その差を埋める施策を講じる必要があります。公的施設管理者としては、住んでいる方々の要望に対する説明責任を果たすべきです。そのために行政サービスが行き届いていないのであれば、公的施設の民間委託に移行する良い機会です。
 指定管理者制度の基本中の基本は公募です。外郭団体を守りたいと考える地方自治体があるかも知れませんが、基本は全て公募にあります。全ての公的施設の運営の考え方と仕事内容を明らかにすることが、指定管理者制度導入の目的ですから、それを隠して外郭団体を維持すのは道理に反することになります。

 繰り返しますが絶対的に公募が基本で、公募しない場合は例外規定として条例として定めるべきです。例外規定を設けるのは、施策の実現を目的にする場合だけです。行政サービス向上とコスト低減を目的にするのであれば公募です。
 公募する場合の考え方は次のようなものです。
1. サービスの量的拡大が図れること。サービスを提供する時間と開館時間の拡大が図れたら公募すべきです。
2. サービスの質的向上が図れること。サービスの高度化、高級化が図れるならば公募すべきです。
3. 施設経営の改善効果が図れる場合は公募すべきです。

 指定管理者制度の基本的手順としてはふたつのステップを踏みます。
1. 手続き条例の制定。公募手続き明示と、特殊なケースで公募しない場合の条件を明示すること。
2. 個別設置管理条例の制定。管理の基準と業務範囲を定めます。設置目的の実現を明らかにします。
 

(市川市からの説明)
 今回研究事例報告があったのは次の3つの地方自治体です。
 千葉県市川市。文化ホール、美術館、デイサービスセンター、保育園への導入事例。
 佐賀県佐賀市。市営住宅への導入事例。
 北九州市。門司港レトロ地区3施設。市立図書館への導入事例。
 いずれも全国で始めての導入事例の紹介です。行政サービス向上とコスト低減、地域活性化に寄与するものは指定管理者制度を活用し、公募により民間委託を実現しています。
5月17日(火) 「地方分権」
 地方自治経営学会による研究会がありました。地方自治や地方分権は進んでいるのか、注目される地方自治体の取り組みについての成果報告を受けました。
【地方分権について】
 地方自治とは地方の特性を活かした独自の取り組みを行なうことですが、情報化の流れにより全国的に地方の個性は失われ、画一化、均一化されているので、地方自治から逆の方向に流れているようです。それは国が悪いと言っていますが、国の方向を決定する国会議員を選んでいるのは私達ですし、その国会議員が組閣しているのだから国に対して文句は言えません。不満があるなら国会議員を変えていく取り組みが必要です。

(地方自治経営学会会場にて)
 規制緩和の論議が交わされたのが約10年前です。いま三位一体の論議がありますが、私達は何も分かっていません。地方分権により権限委譲が既にされていて、次は財源移譲なのですが、補助金、交付金、税源移譲の三点を地方に移譲する三位一体改革の内容を分かっている人は少ないのが現実です。10年前も現在も私達国民の意識は変わっていないのです。国民、言い方を変えれば住民の意識が変わらないと国の方向性が変わることはありません。地方が目指すべき方向を定めて、どの権限が欲しいのか、どれだけのお金が必要なのか明確にして国に対して要求すべきです。地方自治体の施策を明確にしないで、補助金や交付税を削らないでお金を下さいでは自立した地方自治体とはいえません。
 不満をいうのが住民自治、要求が強いのが民主主義だと勘違いをしているようです。住民主体ではなく住民客体の考え方が蔓延しているので、主権者である住民は主体になるべきです。そのためには行政施策に関わり主体となること、そして文句をいうのではなくまちづくりや施策に関しては共同責任を持つべきです。
 行政には情報公開ではなく、情報広報の姿勢を求めたいところです。行政文書は開示してもらっても理解できる内容にはなっていないので、私達が分かるように翻訳して出して欲しいものです。納税者に対しては情報公開ではなく、分かり易い情報広報をして欲しいものです。求められて消極的に行政文書を出すのではなく、積極的に分かり易い形にした上での情報広報を期待しています。
 
地方分権改革についての流れは次の通りです。
平成5年6月、衆参両議院で「地方分権の推進に関する決議」
平成7年5月、「地方分権推進法」成立、平成7年7月施行。
平成7年7月、地方分権推進委員会発足。
平成8年12月、機関委任事務制度の廃止、国の関与の新たなルールについて勧告。
平成9年7月、事務区分、必置規制、補助金、税源などについて勧告。
平成9年9月、地方事務官、事務区分について勧告。
平成9年10月、国と地方自治体の係争処理の仕組みについて勧告。
平成10年5月、地方分権推進計画閣議決定。
平成11年7月、「地方分権一括法」成立。平成12年4月施行。
平成13年6月、地方分権推進委員会最終報告を実施。
          税源移譲を含む税源配分のあり方を検討。
地方分権改革では、権限面と国と地方自治体との仕事分担についての整理がされました。
・国と地方自治体の役割分担の原則(地方自治法1条の2)
・機関委任事務制度の廃止(自治事務と法定受託事務への整理)
・国の関与の見直しとして関与の基本類型を定めました。
・権限委譲の推進。
・国と地方自治体の係争処理の仕組み確立。などです。

 続いて税財源面での改革が残された課題となりました。税財源面の経緯は次のようなものです。
平成14年6月、国庫補助負担金、地方交付税、税源移譲を三位一体で改革。
平成15年6月、約4兆円を目途に国庫補助負担金改革。
平成16年6月、税源移譲は約3兆円規模を目指す方針。
 税財源面での改革を推進することが三位一体の改革と呼ばれるものです。

【全国で注目される地方自治体のユニークな取り組み】
 佐賀市では、コンピュータシステムに関する費用が増大していること、費用の内訳が不明なため大手ITゼネコンとの依存関係を断つ取り組みを実施しています。職員と韓国企業のサムスンSDS株式会社とが基幹システム再構築について共同開発を行ないました。
 経費は5年間で3億円の削減が図れた上、プログラムの公開、世界標準仕様(JAVA)の採用をしています。既に採用している大型コンピュータ処理能力が低く、この旧型コンピュータをレベルアップするためには旧型に要した経費の50%増加となることから、ゼロから構築した点に注目です。

地方自治経営学会の様子
 利点は、プログラムを公開しているため運用やメンテナンスに地元の中小コンピュータ会社が参画出来るようになったこと。知的財産権が佐賀市とサムスンSDSで取得しているため、他の地方自治体でこの基幹システムが採用されるとロイヤリティが佐賀市に入ることです。佐賀市長は基幹システムについての営業活動を行っています。
 これに伴い各種証明書の自動交付機の経費が軽減されています。日本製は1台800万円、維持費は年間1,000万円でしたが、韓国製に変えると1台300万円、維持費は年間200万円になっています。
基幹システムは日本の大手メーカーが一度入ると他の会社はプログラムが不明なため、維持管理は契約を締結したメーカーが独占し維持費と更新経費の査定も難しい状況です。佐賀市は韓国企業と組むことでこの壁を打ち破りました。

・刑務所を特区で誘致した山口県美弥町の取り組み、和歌山県の緑の雇用事業の取り組み、足立区五反野小学校での地域運営学校の取り組みなど、全国初の事業の紹介がありました。
5月16日(月) 「学生の選択」
【和歌祭】
 和歌祭についての結果報告会を実施。観覧者数は16,000人と和歌浦を舞台にするイベントとしては最大級のものです。駐車場の関係上これ以上の入場は無理で、これを超えると周囲に車が溢れかえってしまう事態になります。和歌山市を代表する伝統ある祭として更に規模を大きくするのか、現状維持を求めるのか、今後行政との連携による検討課題となります。今年の和歌祭は関係者の努力により大成功との評価を得ています。

【防災対策】
 防災対策を行なっている協議会と打ち合わせ。高台を活用して避難場所にする計画があり、今後の進め方について意見交換を行ないました。地方自治体との連携を図る必要があり協力体制を敷く予定です。

【学生の選択】
 学生生活から社会へと巣立つなど、進路を決定する岐路に立つ者は人生における最大の決断を迫られます。周囲は本人の希望を適えるため、そして自らの人生の経験の教訓から、より良い方向に進めるようにアドバイスを行ないます。若い人達が自分の人生に迷う時に参考になるような意見を述べるのは責任がありますが、自分の思い入れもあり絶対に後悔しない選択をして欲しいと願っています。
 同年代が一斉にスタートを切る瞬間、社会に出ることを遅らせる決断は、不安を伴います。出遅れ感や違う道を歩むことへの不安感などが襲ってきますが、他人と同じ道を選択することが正しい姿ではなくなっています。むしろ他者と違った決断はお手本がなく困難が待ち受けていますが、成し遂げた時に得られる達成感は格別のものがあるような気がします。
 留学もそのひとつで、英語圏での生活経験がなく授業に対応出来るのかなどの不安があります。今の子どもの親の世代には留学経験のある人は少なく、経験に基づく十分な助言は難しいのです。そこで留学経験のある方に相談することになります。海外の大学院で学んだ経験がある人は世界が拡がっています。やれば出来ることを自ら立証していますから経験談を聞くだけでもやる気になってきます。
 1年や2年社会に出るのが遅れたとしてもマイナスにはなりません。むしろ海外で学ぶ経験と世界の方との交友関係、視野の広がりを考えるとプラスに働くような気がします。目先の就職を考える余り現実的な小さい選択をするよりも、20歳代初めの選択は夢のあるものにして欲しいものです。
 周囲の大人達は、その若い選択を支持し支援することが楽しみです。

【懇談】
 若くて行動派の学者と自ら起業した経営者が出会うと面白い反応があります。学者はゼミを通じて学生と交流を行なっていますから観察力があります。早い段階で就職を決めてくる学生は、ゼミでも自分の考え方を進んで発言しているように、積極的な姿勢が企業に評価されると考えられます。
 新進の企業経営者が求めるのは、学生時代に習得した技術ではなく他者とのコミュニケーション力です。どれだけ技術力があっても、お客さんとの対応がまともに出来ないような学生は必要ないと考えています。お客さんと最初に接するのは営業を通じての機会が多くあります。その時に良い印象を持っていただかないと仕事につながりません。まず営業があって次に依頼によりシステム開発などの仕事が存在します。
 学者も経営者も営業力の大切さを理解しています。どれだけ優秀なシステム開発者でも、オタク的な人だったら仕事を取ることは難しいのです。お客さんか何か聞かれても満足を得られる回答は返せないからです。まず信頼されることから仕事の関係は始まります。パートナーを組む、或いは一緒のプロジェクトを行なう場合、信頼できる人と一緒であればそれだけで成果が出る一歩を踏み出せます。その信頼とは、第一印象と出会った時の挨拶で決まることがあります。気持ちの良い挨拶は信頼出来る人の必要条件です。

 さて企業は人材に尽きます。信頼出来る少人数で起業し、時代に沿った良い発想と行動そして営業力があればやがて軌道に乗ってきます。ある程度の規模までは企業を大きくする事は可能です。問題はそこからです。信頼出来るチームのような規模の内は、お互いのコミュニケーションが取れているので意思疎通が図れて仕事は順調に進みますが、仕事量が増えるに連れて従業員を増やす必要が生じることになります。その結果、仕事の精度は低下し企業規模の拡大は止まります。
 営業力で仕事はどれだけ取れても、従業員の質を一定の水準に保たないと規模を拡大することは出来ません。志を同じくし、創業当事の人材と同程度の能力のある人材をどれだけ確保し続けていけるかが企業成長の鍵となります。
 大企業なら新卒者の人材を継続的に補充することが可能ですが、新進の企業が安定的に人材を集めるのは大変なことです。しかも経営環境変化が激しいため、大企業のように時間をかけて仕事を覚える訳には行きません。数ヶ月で先輩達のノウハウを盗む能力が求められます。
 次に難しいのは、後輩が入って来た時の指導です。アルバイト数人を指揮するのなら誰にでも出来ますが、従業員数人を指揮するためには仕事力だけでは不足で人間力が必要となります。ここでは、信頼されること、相談しやすい雰囲気があること、誰にでも挨拶が出来ることなどの力が試されます。
 初期の段階では他者とのコミュニケーション力が求められ、部下を指揮する段階になると人間力が求められ、会社を大きくするためには環境変化に対応できるしなやかさを持ち合わせる人が求められています。
 人は会社や組織の規模、活動するレベルに応じて求められる能力は違ってきます。時代や社会が変わっても、企業や組織で通用する人に求められる資質には普遍性があるようです。
5月15日(日) 「和歌祭」
 和歌山市和歌浦で伝統ある和歌祭の行列に参加しました。和歌祭は江戸時代の1622年に紀州東照宮の例祭として行なわれ、それから380年以上続きました。ところが地域の方から愛された和歌祭は下火になります。私の父親は和歌浦生まれで和歌浦育ちのため小学生の時に参加していました。当時、小学生も練習を重ねて本番に備えたので、地域の伝統の重さを感じたようです。練習は厳しく足の挙あげ方の細部に至るまで指導があったそうです。このような伝統ある祭りに参加した経験は忘れることがなく、地元への愛着を生涯持つことにつながります。

 母屋に立ち寄って和歌祭の話しをすると、おばあさんが参加していた昭和初期の当事は、東照宮から和歌山城まで行列をしていたそうです。今ではとても歩けないといって笑ってくれましたが、時代装束をまとっての行列は大変だったことは推測できます。
 本日は11時に和歌浦小学校体育館に集まり衣装に着替えました。衣装は雑賀衆の武者姿で、鎧と兜を着衣すると30キロの重さとなります。足には草履と足袋を履きます。最初は重さを感じなかったのですが、行列が進むに連れて重さが忍び寄ってきます。兜が頭にめり込むようで、

(和歌祭に参加)
頭というより脳に食い込むような重さを感じます。鎧の重みは次第に肩に食い込んできます。浜辺も行列コースに入っているため暑さは感じないのですが、鎧兜の30キロを支えるのが大変です。昔の武将は武具を全身で支えながら格闘したのですから、その体力と精神力には驚かされます。疲れて考えが鈍くなってくると、歩きながら古人との交信出来そうな感覚になります。380年も続いた経緯を持つ祭りだけが成し得る伝統の力です。

 伝統があるものでも一度途絶えると、再発信させるには多くの労力を要します。継続している内は音楽や行進のリズム、踊り方や演舞などが継承されていきますが、数年でも途切れるとそれらのノウハウは失われます。事実、和歌祭でも踊り方やリズムが分からなくなった種目があり、文献調査や聞き伝えにより再現しています。
 元の型は残っていないので、本来のものかどうかは今となっては分かりません。しかし伝統を継承し、次の時代へ持ち越そうとする精神を持って再現した技術は新たな伝統の起点となるものです。二年ぶりに開催された和歌祭で披露された伝統が来年以降も繰り返されるはずです。伝えようとする精神が本来のものと同じであれば、姿形はその時々の関係者が創造すれば良いのです。

 創業は難しいのですが、途絶えたものを復活させる事業もまた、それ以上に難しいものです。和歌浦に和歌祭を復活させて3回目となった今日5月15日、沿道には多くの方が詰め掛け声援をおくってくれました。和歌浦の方だけではなく市内各地から来てくれた雰囲気があります。祭りは動の印象がありますが和歌祭は静の祭りです。今日のように900人の参加者と声援をおってくれた方々がいる限り伝統は継承されていきます。
 さて行列に戻ります。行列が片男波から玉津島神社に向かうところは最大の見せ場で、時代装束の一行が海と山、松林の風景に溶け込んでいました。行列の中にいることで風景画のような光景を見ることが出来ました。
 行列は出発地点の東照宮へ到着、全体に爽快感が漂う空間となりました。人が時代と伝統に染まった和歌浦一帯となりました。伝統とはただ継承すれば残るものではなく、熱意ある関係者が伝統の一部を作り上げる意気込みを持つことで培われるものであることが体感出来ました。伝統は社会情勢に応じて、関係者の熱意で積み重ねていくものなのです。
5月14日(土) 「春の挑戦」
 夏のような暑さが続きますが春本番で、この春は挑戦の季節です。何十年ぶりに研究へするため大学院への復学を果たした人がいます。新しく学び始めている人もいます。何かに挑戦する意欲が沸くのがこの季節の特長で、学び続けている限り心の中の春は続きます。
 私も連休中に昨年度に学んだ政策研究教育機関の卒業論文を書き上げました。卒論テーマは「地方議会の定数問題について」です。卒業要件となっているために仕上げたのですが、久々に論文に着手すると気持ちが入ります。
 私の場合、論文は頭の中でストーリーを構成します。断片的ですが論述することが塊となってくるので、それらの根拠を裏づけ出来る資料を書棚から引っ張り出します。書籍はある程度分野毎に並べていて、読んだ上で重要箇所にはマーキング、または付箋で記しているので、自分の考え方を補完してくれそうな資料を数冊机に積み上げます。その資料の中から引用が可能なページを抽出し書き出します。そのため書籍は買って近くに配置しておく必要があります。図書館で探して必要な書籍を借りるのは、論文を仕上げる点に関しては非効率となります。

 書籍を選択する作業において必要資料を概ね揃えたらいよいよ書き始めます。書き始めるといってもワードに文字を打ち込む作業となるのですが・・・。
 打ち込む作業は休憩なしで一気に仕上げます。思い浮かんでくる言葉を次々にアウトプットしていくので小論文なら一日で仕上げます。テーマを定めると数日間は同じテーマを意識しておくので、ワードに向かう頃には表現したいことの塊が描けているからです。後は上手くつなげていくだけですから長考することはありませんし、日をまたぐと書き方が変化するのでこれを避けるためです。
 同じテーマでも、日を変えて一から書き始めると同じ論文は出来ません。どちらが良いものに仕上がるのか分かりませんが、文章には勘が大切ですから恐らく最初に書いたものがテーマに対して的確な内容に仕上がっている筈です。
 長い論述になると一日で書き上げることは無理なのでいくつか章立てしておき、一日一章を目途に仕上げていきます。
 全く私の考えですが、文章はその時の自分の実力が表現されると考えています。自分の実力以上のものを書く事は出来ませんし、求めている以上の資料も見つかりません。ところが経験を重ねるに連れて文章の質は変わってきます。同じテーマでも、テーマに向かう年齢によって内容は全く違ったものになります。人は成長するものですから、過去の論文に書かれた考え方を持ち出して言うことが違っていると指摘しても何の意味もありません。その時はその考え方であっても、今は当時と違う考えをしているのは当然のことです。経験や出会った人、影響を受けた人に集められた情報、読んだ書物などによって人の考えは変わるものです。

 人が変わるのは成長しているからです。成長する前の考え方を記した文章を引っ張り出して矛盾を追及することは止めたいものです。自分の小学生の頃の作文と大人になってからの文章を比較するとレベルが違っていることに気がつきます。小学生の頃の作文に書いてあることを取り上げて、この人物はこういった人物であると決め付ける行為は決してしないものです。
 それと全く同様に人は成長するもので、それに伴って文章も変化していくものです。
 自分を磨くために再び学問の世界に身を置いた人達は、今とは違った人間になるのも当然のことです。
5月13日(金) 「和歌祭の機運」
【環境問題への取り組み】
 ある大手企業から、熊野古道の除草や清掃活動などのボランティアを行ないたいと相談を受けていました。本日は熊野古道におけるボランティアと環境問題研修の計画書を持参し、社長と常務に説明を行いました。何通りかの提言を行なったのですが、数年かけて実施していきたいと前向きな返答をいただきました。
 元来、製品や企業紹介冊子を通じて環境問題を訴えている企業ですが、従業員が熊野古道へ赴き実際にボランティアを行なうことで、環境に優しい企業精神を定着させようとしています。
 従業員が環境問題に取り組み意識を高めておかないと、お客さんに訴える力が高まらないのです。トップが率先して企画を練っているので、熊野古道と環境問題について、熊野健康村構想について、初めてでも入り易いボランティアについての提言を行い参考にしていただきました。

 5月末に開催される役員会で、熊野古道ボランティアの取り組みについて提案し決定する予定です。トップが自ら取り組む姿勢を示すことで、同じ問題に関する従業員意識は高まります。意欲的な企業の取り組みについては行政も支援体制を敷いてくれますから、連携を深めて毎年実施出来るようにしていきたいものです。
 モデルとしては、雑草除去、語り部と一緒に熊野古道を歩きながらのゴミ収集活動、森林の特性と大切さについての学習となりそうです。
 企業から見た地方議員活動に関する認識は、当局から出された提案に対して文句を言っているに過ぎないというものです。企業は社会に即応していかないと社会的使命を果たせません。それに対して地方議員は自ら考えることはなく、受動的な姿勢でいられる数少ない存在だというものです。何時の時代でも経営環境は厳しいものですから、そこを生き抜いている企業のトップの指摘は鋭いものがあります。
 共通認識として企画力、営業力、広報力の能力、そして実行力を持ち合わせていることが地方議員の資質として求められるというものです。つまり財政問題やまちづくりなど自治体も経営すべき時代です。行政は市場主義から外れた特別な存在ではなく、求められる資質は企業に求められるものと同様です。

 自治体経営の必要性は大都市ほど痛感しています。資金調達を行なう手段として地方債を発行するにしても、全自治体が横並びなく自治体によって金利に差が出始めています。東京都や横浜市は有利な資金調達が可能ですから、より安く資金を集められ実現したい施策に投資出来ます。施策が充実することにより、人口流入が図れますから税収が増え、財政的にも安定していきます。
 ところが財政的に苦しい地歩自治体は資金調達も不利益を被ります。同じ資金を得るにも金利に差があると当然返済額は違ってきますから、まちづくりに投資する予算を絞る必要が生じます。動きの無いところには人は集まりませんから、税収面を含めて支障きたす恐れもあります。
 全く企業と同じように自治体経営の時代に入っています。状況認識と経営感覚を持つことが、国に頼らない自立した地方自治体への道です。トップだけで経営を行なうことは出来ませんから、市民サイドにより近い地方議員からの提言が不可欠です。
 地方議員も企画力とセンスを持ち、まちを売り出すための営業・広報員であることが必要です。

【和歌祭】

(和歌山放送での和歌祭紹介)
 5月15日は和歌祭です。和歌山市和歌浦一帯を、時代装束を着した一行が行列します。和歌浦に和歌祭が戻ってきてから5回目となります。(正確には、平成16年度は雨で中止となったため実行するのは今年が4回目です)街中の飲食店舗やホテルなどには和歌祭ポスターが貼られていますし、新聞や冊子にも取り上げられているため雰囲気は盛り上がっています。今日は和歌の浦アートキューブに和歌山放送ラジオの屋外スタジオが設置され、和歌祭保存会の幹部が出演しました。
 海沿いのスタジオは海風が心地良く、明後日に迫った和歌祭への期待に包まれていました。昨年、不可抗力とはいえ雨で中止となった無念を吹き飛ばすような関係者の情熱が実って、日曜日の天気予報は快晴と伝えています。

【わんわん募金】
 市内社会奉仕団体が盲導犬育成のために「わんわん募金」を行なっています。夕方からJR和歌山駅前で募金活動を実施していました。大きな声で元気良く叫んだ結果、多くの成果が得られたようです。

【他の活動】
 高齢者向け運動指導教室での指導スタッフ向けの研修会についての打ち合わせ。福祉関係の打ち合わせ、子どもに対する支援に

(わんわん募金活動の様子)
ついての打ち合わせ、研修会打ち合わせ、和歌祭のために東京から来ることに関する打ち合わせ、宿泊施設が満杯で和歌祭の通り道になる家で一泊することになりました。
5月12日(木) 「記者発表」
【懇談】
 ある方と懇談したところ、知り合いの方が経営者になることを伺いしまた。色々な人と仕事を行いつきあった結果で分かったことは、出世をする人に共通しているのは本気で課題に立ち向かっている人だということです。知識や技術だけではなく相手の気持ちを考えている人が結果として出世をしているそうです。情報化社会や成果主義による競争など人間関係が希薄になっている今だからこそ、相手を思いやる気持ちを持つことの大切さが分かります。

【記者発表】
 平成16年度全国都市再生モデル調査事業に選定された「癒し・健康・予防医療を核とした新観光産業育成による都市再生プラン調査」が完了したため、その成果について市政記者クラブで記者発表を行ないました。
 調査は、歴史と文化に恵まれた和歌山市和歌浦地域をまちづくりの拠点と考え、地域特性を活かした予防医療による新しいサービス産業を創出することにより、和歌山市を再生することを国に対して提案したものです。
 本調査では、産官学が参画する検討委員会を設置し、和歌山市の地域特性、観光資源、医療の現状、観光と予防医療の関係、医療を観光に組み入れている事例調査などを実施しました。
 実践としては、片男波海岸と公園を活用したホースセラピー、ドッグセラピーを中心とした動物介在療法体験イベントを行ないました。これは観光医療産業という今までになかった新しい産業を構想し、今後の事業化を含めて和歌浦を拠点にして実践するための可能性調査の機会となりました。
 観光産業と医療機関との協力による滞在型観光医療産業を具体化する必要なサービス体制、施設、イベントの企画と事業化までのロードマップを取りまとめたことが成果として挙げられます。この調査が和歌山市における新しい産業創出の端緒になると同時に、全国における都市再生の先進事例になることを期待しています。
 調査は完了したので、今後は実践分野を絞り込んだ活動となるように取り組みます。

【福祉関係会合】
 福祉分野に関する会合を行ないました。介護保険を適用する場合の高齢者対策は国や地方自治体で整備されつつありますが、元気な高齢者についての施策は余り検討されていないように感じます。福祉現場にいる方もそう感じているため、元気で高齢期を迎えようとしている方々に対してのサービスのあり方を検討しました。
 未だ何もマーケットが存在していない分野に、行政からの支援もなく取り組むことの難しさを実感します。映画やドラマでは未知の荒野に挑む主人公の物語がありますが、何も見通せない荒野に立ち向かうのは覚悟と綿密な計画が必要です。ただ気づいた人が立ち向かわないと荒野は荒野のままです。恵まれた時代ですから開拓者精神を持つことが以外と大変です。

【地域の魅力】
 会合において、紀ノ川地域の開発が進んでいるため、和歌山市に出掛ける機会が少なくなっていると意見をいただきました。各地域とも大規模スーパーや日用品店が充実してきたことに加えて、紀ノ川地域から大阪府南部への道路事情が良くなり、和歌山市に行くよりも大阪府下に抜けたほうが近くて便利なっているからです。
 それに対して和歌山市への道路事情は改善されていないため、和歌山市内に車で入る気にならないという方もいました。和歌山市周辺の人を和歌山市に惹き付けるためには、魅力のある施設があるか地域としての売り物が必要だというものです。
 全国的には特区を活用した地域振興が図られていますが、和歌山市で特区を活用した事例は気づく程のものはありません。濁酒特区や小学生への英語学習特区など目立ったものでなくても地域特性に応じた取り組みを行って欲しいと要望を受けました。
 5月21日と22日の両日、和歌山県上富田球場において、プロ野球の二軍戦ですが阪神対広島の試合が予定されています。和歌山県下で開催される試合なので盛り上げたいとの話がありましたが、何故和歌山市で開催されないのか不思議だと思っているようです。
 開催に至った経緯は分かりませんが、上富田町では地元の熱意と誘致ルートがあった筈です。二軍でも良いから子どもに観戦してもらうことで、野球王国和歌山の裾野の拡がりが期待出来ます。今年5月5日、有田市民球場において名球会のメンバーによる少年野球教室が開催されています。このような行事も和歌山市で行なって欲しいと意見があります。
強い要望があるものは実施に向けて取り組んでいきます。
5月11日(水) 「岡山電気軌道鉄道の考え方」
【民間の防災対策】
 ある自治会で自主的に防災無線を取り付ける取り組みを行なっています。災害時に備えて連絡体制を敷いておくためです。効果的な無線発信と安価に仕上げるため、事前に打ち合わせをして設計と配置図が仕上がりました。行政だけに頼らない自治会の動きが出始めていることは心強い限りです。関係者が上手く連携すれば、難しいと思うことでも迅速に実現に向かいます。ひとつの目的に最短で向かうためには、目的を達成するのに必要な専門分野が異なる人を集めることが如何に大切なのかが分かります。

【民間と行政の連携した防災対策】
 和歌山市の災害への備えについて会合を持ちました。東南海・南海地震の浸水予想図を公表したことから、毎日のように沢山の方が市役所に相談に来ています。和歌山市の沿岸部地域を中心にして、避難場所表示板を掲出するための枠組みを検討していますが、本日は具体化に向けた役割分担を行い、実現が目前に迫ってきた感触を得ました。
 民間と行政が一体となった取り組みは、お互いの強みを発揮できるので課題の克服に向けて積極的に行なうべきですが、前向きに進むまでには時間を要します。特に初めての取り組みは慎重姿勢になるため前身する感覚を実感しにくいのです。行政組織は専門分野毎に部門が分かれているため、部門間調整に時間がかかり過ぎる弱点があります。それを乗り越えて前に進めるためには、どれだけ本気になるかにかかっています。
 本気のメンバーが集まれば同じ問題でも前に進みます。今日は部門を越えて集まり一気に山を越えましたが、仕事はやはり人に尽きることが分かります。

【岡山電気軌道鉄道】
 貴志川線の運営主体は、岡山電気軌道鉄道株式会社が担うことに決定しています。本日は同社の磯野省吾常務が和歌山市に来ていただけたので、お会いし懇談する機会を得ました。

(岡山電気軌道鉄道の磯野常務を囲んで)
 貴志川線については平成18年3月末日までは南海電鉄が運行を行い、同年4月1日から新会社が運転を行う予定です。運行本数は平日96本と現在と同数を予定していますが、情勢変化があれば増便も考えてくれることになっています。
 岡山の鉄道会社が貴志川線運営に公募してくれたのは、全国で地方鉄道が廃止の危機にあることから、鉄道事業者として何とか存続させたいとの思いからです。地方鉄道の存在意義はなくなったかのような感じを受けますが、環境問題や各都市の交通事情を考えると、これからこそが存在意義を増すはずです。岡山電気軌道鉄道は路面電車を存続させる決断をしたから現在の会社があると考えているように、地方鉄道を上手く経営して残すことが地域活性化にもつながると考えています。

 同社では、岐阜市や日立市で地方鉄道の再生も検討したようですが、地方自治体、議会、既存の鉄道会社、市民の意見がまとまらなかったので見送っています。貴志川線については、これらの関係者が非常にまとまっている背景があったため、経営が可能と判断してくれたようです。
 しかも貴志川線には安全装置のATSまで取り付けられていて、線路や車両もきっちりと整備されているため、現状施設で後10年は手を加えなくても大丈夫との判断もありました。
 南海電鉄も岡山電気軌道鉄道が経営をするのであれば全面的に支援するとの姿勢を示してくれたこともあり、新しく経営するための環境整備が出来ていたことが経営に乗り出すことを決定した理由です。
 これだけの経営環境を整えて待ってくれているのだから、是非とも経営を成功させて全国の地方鉄道のあり方のモデルに仕上げたいとの思いを持ってくれています。仮に貴志川線が失敗すれば、全国で廃線の危機にある地方鉄道の再生は失敗する程、再生条件は整っています。

 当面は赤字と予想していますが、ランニングコストで赤字にならないように経営を行い、10年後には行政からの補助金が無くても経営できる体質にする計画です。そのため経営者と運営責任者の間に運営委員会を設置し、運営に関してモノを言える体制を整えます。運営委員会は、市民の方々、行政職員、議員、大学の先生など貴志川線再生にやる気を持っている10名程度が就任し、意見と要望を提案していただく会議体です。
 岡山市にある公共交通機関を支援している民間団体のRAKUDAは、毎週火曜日午後7時から会議を持ち、公共交通機関とまちづくりについて議論を交わしています。岡山市の地元の鉄道会社やバス会社は、その提言も参考にしながら経営に活かしすしくみを作っています。貴志川線においても、市民団体で貴志川線経営に関する意見提案を行って欲しいと要望を受けました。
 新会社の名称は公募により決定すること、従業員は30名を予定していますが半数は地元雇用を図る計画です。参考までに5月16日から6月10日まで従業員15名の募集を行ないます。準備室は貴志川線の伊太祁曽駅に設置するため、面接と採用試験も伊太祁曽駅で行なう予定です。
 地元に溶け込むため施策と提言を受け入れる考えを持つ一方で、資本金3,000万円は全額岡山電気軌道鉄道が出資します。経営責任については全て同社が持つことを意味しています。

 黒字化するためのアイデアも豊富です。パークアンドライドの推進。車両や駅舎での広告を増加させること。貸し切り列車、イベント列車の運行。子どもを対象とした車庫見学
電車教室の開催。スルットKANSAIの導入。そして各種定期券の発売、これは面白いアイデアです。1年定期、環境定期、サマーキッズ定期などの構想があります。但し、現在のJRと共通にしている改札を別にする必要があります。貴志川線のホームに直接出入りできる改札を設置することで定期券活用のアイデアは実現します。自前の自動改札を持つことで、定期を活用して色々な取り組みが可能となります。
 また貴志川線グッズの発行とやりたい人がいればグッズ販売も任せる方針です。鉄道切手や記念切符、車両のミニチュアなどは人気がありますから、これらの貴志川線版を作成すれば全国に販売が可能で貴志川線の情報発信が出来ます。

 貴志川線沿いの駅舎は地域に合うようなデザインに変更する意向も持っています。費用面から一気に全数変更するのは難しいので、最初に一箇所改装して地域に密着する駅舎をアピールしていきます。例えば、現状では日前宮駅を降りても駅の近くに神社があることを感じさせるものはないため、駅を降りたところに神社をイメージできるモノを建てるなどの案を持っています。
 貴志川線沿線には大きな神社が三箇所もあることは大きな経営資源です。このように立派な神社を持っていることは全国に誇れるもので、この点からも観光客を集めることが可能だと判断しています。このような地域特性を活かした駅舎改装に投資したいとの思いを持ってくれています。

 ただし問題があります。当然新会社は赤字から脱却するための経営を行ないますが、黒字化すると行政からの補助金がなくなります。運行で発生した赤字について補填する前提があり、投資的経費として活用出来ないのです。可能であれば、後追いのイメージがある赤字補填ではなく、10年間かけて貴志川線の駅舎や環境を整備する投資的経費として活用を図る方向で支出して欲しいものです。
 黒字を出したら補填がなく、赤字になったら赤字になれば補填するのでは、経営意欲が沸かなくなります。それこそ経営意欲を年々減少させ設備投資を行なわなければ、10年で撤退されることも考えられます。これを防止し将来とも地域に存在する貴志川線であり続けるために補助金のあり方について一考の余地があります。
 常務の話から、地方鉄道は絶対必要で存続させたい思いが強く感じられます。貴志川線で儲けが出たら地域に還元する予定で、儲けを第一に考えていません。地域貢献を最初に考える経営方針を持つ会社は全国でも珍しいものです。両備グループの方針は、企業は社会からの預かり物という考えで、言い続けていると従業員もその気になって来るようです。
 岡山電気軌道鉄道の考え方からは、和歌山市に溶け込み貴志川線を地域活性化のために活用したいとする意思が伝わってきます。
 単に地方鉄道を運行するのではなく、市民鉄道として共生する意向を示してくれました。
これが望んでいた姿です。貴志川線存続だけではなく、和歌山市にとって最も必要なやる気とアイデア、実行力を持っています。
 
【報告会】
 夕方からは短時間でしたが市政報告を行ないました。報告は貴志川線存続の枠組みと岡山電気軌道鉄道の考え方について、わかやまの底力事業についてです。少しかも分かりませんが良い息吹を感じてくました。依然として和歌山市の課題は道路であると問題意識を持っている方が多いのです。道路事情を改善して欲しいとの要望が多く出されました。
5月10日(火) 「わかやまでの動き」
【わかやまの底力】
 市民提案事業「わかやまの底力」が昨日で締め切られた結果、多数の応募があったようです。和歌山市が市民団体やNPO法人と協働して公的事業を運営しようとするもので、大袈裟にいえば今後の官民協働のあり方を左右する施策です。もし応募が多かったら、今後も協働体制は形を変えながらでも続いていくのです。市民の関心が高く様々なアイデアを形にしようとする姿は、和歌山市の活力を感じ取れる結果となりました。どの提案が選ばれたとしても、大いに期待出来るものです。

【動き】
 地方政治にも今までに見られなかった動きが始まっているようです。利権の奪い合いと既得権維持を良しとしないで、市民のための地方自治体と地方議員を輩出しようとする試みが各地で行なわれています。
 和歌山においても、地方主権を目指しての取り組みが開始されようとしています。一見すると巨大な壁に挑んでいるように感じるのですが、話を伺うと正確に現勢を分析し政略を立てています。まちのあり方について具体的に提案し、賛同してくれる方々を募って意見を取り入れ、一緒に実現させていくためのしくみを作っている最中です。確かに巨大な壁は存在していますが、志を持っている方が弱気になった同士を励ましながら前進しています。
 小さい事件で報道もされていませんが、地方が変わるためのきっかけとなる波紋が既に起こっています。投げかけられた波紋はやがて周囲の知るところとなり、現実社会を変える方向に動き出します。
 現段階では具体的に触れることは出来ませんが、近い内にその形が仕上がる筈です。

【記者発表予定】
 和歌山市都市再生モデル調査結果についての記者発表を5月12日に行なう予定ですが、その記者発表文を作成しました。何もないと文章は作成しにくいのですが、実績があると比較的簡単です。小さな積み重ねがまとまると結果として現れることに気がつきます。
 インドの言い伝えがあります。(注・原典に基づく正確な言い回しではなく、私が勝手に解釈したものになっています)

 子どもが賢人に聞きました。「この大きな木の元は何なの?」
 賢人は木の種を子ども渡して「これが元になって大きな木になっているよ。元は種だから剥いてご覧なさい」と話しました。
 子どもが種の皮を剥くとまた皮が出てきました。「皮を剥いても皮があるだけだよ」
 賢人は続けて言いました。「その皮を剥いていってご覧なさい」
 子どもが皮を剥き続けると、最後には何も残りませんでした。「何もないよ」
 賢人は言いました。「大きな木でも元は何も見えないのです。私達も見えている部分よりも見えない部分が大切なのです。人は外見ではなく内面をどう磨くかで行動は変わってくるのです」

 私達が行なう見える行動は、周囲にいる人ならば誰でも知ることが出来ます。でもその行動の元になっているのは他人からは見えない心の部分です。心を磨くことで行動も洗練されたものになります。
 外観と比較しておろそかになりがちな内面の向上ですが、この部分に投資することで今とは違った階段に登ることが出来ます。同じ階段に佇んでいては違う光景に出会うことはありません。いつもと違った光景に出会いたかったら、階段を一歩でも上ることです。たった一歩でも視点が高くなると見通しが良くなり、同じものでも見え方や印象が変わります。一歩上ることで見方が変化します。見方が変わると行動も変わります。私達は例外なく限られた時間の中にいますから、同じ枠内に留まる余裕はありません。
 私達の前に立ち塞がる大きな木でも、正体は小さな種でありそれも分解していくと見えなくなってしまいます。私達も小さくて社会全体からすると見えないような存在だとしても、そう考えると巨大な相手でも恐れることはなくなります。

 私達の本質は姿形ではなく、自分でも見ることが出来ない、そして気づかないものにあります。人によって表現は様々ですが、この見えないものを現そうとする言葉があります。 
 意思、宇宙エネルギー、宇宙霊、氣、創造主などが該当します。いずれも見ることは出来ませんが、内面に存在していることは確かです。人間の肉体を極限にまで解剖していくと木と同じようにやがて何も残らなくなりますが、何もないと考えるなら人間の心や志は存在しないことになります。私達は心と何らかの志を持っていますから、その元になっているのは意思や氣で表現される形として存在しないものとなります。存在が確認出来ないものが人間を形作っているのですから、気持ち次第で形は自由に変えられます。
 意思を大きく持てば大きなものに立ち向かえますし、志を持てば大きな壁も乗り越えられます。
 結局物事を達成するのには、身体能力や体制、既存の枠組みではなく、意思や志を持つことにあるのです。
5月 9日(月) 「三つの会社」
 本日、打ち合わせのため訪問した三つの会社がありました。
 一つ目の会社です。始業事にお邪魔したところ、社長以下全員で事務所の窓ガラスと机を拭いていました。玄関に入ると来客に気づいた社員の方々が「おはようございます」と大きな声で歓迎の意を表してくれました。丁寧に来客席に案内してくれたのですが、すれ違う社員の方全員が「いらっしゃいませ」と挨拶をしてくれます。
 打ち合わせ中でも関心させられたことがあります。この会社の営業員が外出する時には、事務所にいる社員が「いってらっしゃい」と大きな声で送り出しているのです。来客があっても気にしないで、恥ずかしがらずに堂々と大きな声で同僚を送り出しています。
 会社を訪問して元気をいただけました。

 二つ目の会社です。こちらも事務所に入ると全員で「いらっしゃいませ」と向けくれました。来客に気づいた社員は、受付の担当者でなくても窓口に出てきて用件を聞いてくれます。応接に通してくれ懇談した後、帰る際、事務所にいた社員全員が仕事中にも関わらず、席を立って「ありがとうございました」とお辞儀をしてくれたのです。
 お客さんを大切にするという社員教育が行き届いています。会社を後にした時には気持ちが良くなりました。

 三つ目の会社です。事務所を入ると社員数人がパソコンに向かって仕事をしていました。窓口から「こんにちは」と呼びかけたのですがパソコンから顔を上げず、誰も反応してくれません。三度「こんにちは」と呼びかけたらやっと一人が席を立ってくれたのです。当然、来客に気づいて対応してくれると思ったのですが、前を素通りして別の社員の隣に行って何か仕事で分からない点について相談しています。
 つまりお客さんの目前で社員同士が相談している格好で、来客者を全く無視している状態です。そこで声を掛けるとようやく反応がありました。「何か?」
 何か用件があるから事務所に来たのですが、どうやらお客さんと思ってくれないようです。カウンター越しに用件を話すと迷惑そうに「うち(の会社)でやらないといけませんか」との返答。こちらとしては、別にやってくれなくても他に依頼すれば良いだけなので何の不利益もありませんが、過去にお願いした所、対応してくれていたので訪問した訳です。残念ながら、今まで窓口になってくれていた担当者は退職されていて、後任の方は仕事が増えるのを嫌がっている様子でした。

 お客さんが来てくれるのを嫌がる会社って存在するのでしょうか。現実問題として歴然と実在しています。どの様にして利益を上げようとしているのか不思議です。競争社会と言われお客さんの獲得合戦をしていますが、日本社会にはまだまだ不思議なことが多いようです。
 この会社を出ると思わずため息が出ました。訪問した人を元気にさせる会社と不愉快にさせる会社があることに気づきました。元気を与えてくれる会社とは一緒に仕事をしたいと思いますが、元気を奪われる会社とは関わりたいとは思わないのが普通です。
 自分に置き換えて、誰かと会うとして、その方が分かれた後で会う前よりも元気になってくれて欲しいと思います。会った結果、元気になってくれることが時間を割いていただいたことに対する最大のお礼となります。
 本日の会社訪問の事例のうち良い事例は教訓として、悪い事例は反面教師として学びとしておきます。
5月 8日(日) 「愛・地球博」

(愛知県館)
 研修会二日目は「愛・地球博」会場へ向かいました。ご存知のように3月25日に開幕し、9月25日まで開催されています。私もジャパンエキスポ1999南紀熊野体験博実行委員会で仕事をした経験があるため博覧会には関心があります。特にエキスポは最高峰の博覧会だけが冠をつけることが出来るものですから、国が認める地方博であるジャパンエキスポとは規模が違います。
 エキスポ開催は1970年の大阪の万博以来ですから期待感はあります。大阪万博の当時は小学生でしたがその凄まじさを覚えています。これからの明るい時代を感じさせる科学と世界各国の珍しい展示物に人々は心を躍らせました。
 さて「愛・地球博」です。博覧会を開催するには関係者の方々の努力は大変なものであることは私も体験から分かりますから、是非、大成功して欲しいと願っています。
 環境と人類が共存できる関係を認識してもらうための博覧会であることは会場から分かりますが、大きなテーマを来場者に実感してもらうのは難しかったと思います。本日は時間の制約があり一部を見ただけなので感想を述べにはほど遠い知識レベルですが、少しだけ感じたことがあります。博覧会を築いてきた方々の努力に敬意を表した上での感想です。
 今は隅々まで情報が行き届いている社会ですから、少し珍しいものを展示した程度では驚きはありません。来場者を感動させるには、本物を提供することか参加者に体験させるものが必要です。あるパビリオンでは、世界最大級でもあり人類の財産ともいえるもののイミテーションを提示しています。仕様は本物と同様だと思いますが、全く感動はありません。現地で本物を見てきた経験があるから余計にそう思うのかも知れません。イミテーションは模倣品に過ぎませんから、やはり心を打つものにはなりません。
(愛・地球博会場)
 企業パビリオンは行列ですが、世界各国のパビリオンは直ぐに入れます。お金のかけ方が違うので展示内容が異なるのは仕方ありませんが、大阪万博の時の月の石のような驚きがないのが残念でした。

 世界との距離は近くなり、過去のどの時代よりも情報の流通がありますから知らないものは少なくなっている状況です。従って驚きを与えるには、写真でしか見たことがないようなものの本物の展示があることが必要です。本物のロゼッタストーンやボッチチェリの絵画があるとしたら、もう感激モノになるのですが。
 世界との距離が遠かった1970年代とは違って、箱物に各国の展示物を並べるだけでは動員力は低下せざるを得ません。私達は本物体験を求めているのは間違いなく、本物だけが持つその意味を改めて感じることが出来ました。
 その点、企業や行政府の展示には明確な訴求力があります。特に主催県である愛知県パビリオンのコンセプトは強烈です。自然エネルギーの活用、地元文化の取り入れ、存在感のある和風建築物仕様など。愛知県パビリオンから広場に突き出している軒は12mもあり、東大寺の軒5mよりも巨大です。
 来場者とプロデューサーが対話できるパビリオンは手ごたえがあり、さすが万博と思わせてくれます。次回は2055年に宇宙で月面愛知県館を設置する熱い想いを持っていて、パビリオンの壁面には「2055年・愛知宇宙万博」としっかりと刻み込まれています。実現しそうな気がしてきます。
5月 7日(土) 「自治会研修会」
【自治会研修会出発】
 宮地区連合自治会研修会が役員間の懇親を目的として、今日から一泊二日の日程で開催されました。参加者は60名、朝8時にバスで市役所宮支所を出発して名古屋へ向かいました。本日は植物園に入場し世界一美しい花といわれているベゴニア鑑賞です。鮮やかな色彩の花は世界一を感じさせるものでした。

【学習レベル】
 大学を卒業した彼のその後。指導教官から修士課程に関心があるか聞かれた彼は、一般論だから誰に対しても声を掛けていると思っていたようです。私からは、「でもそれは違って見込みがあるから指導教官から誘いがあった筈ですよ」と意見を言いました。
早速、指導教官に連絡を取ったところ、思いがけず「是非入試を受けて来春から来て下さい」と答えが返ってきたと、驚きの連絡をしてくれました。
 しかも指導教官が言ってくれた言葉と、私のアドバイス内容が一致していたことにも驚いたそうです。それは次のようなものです。

 高いレベルを目指すのであれば修士課程は非常に役に立ちますから、指導教官が引き続き指導してくれるのであれば、その流れに沿って見る判断を下すことが大切です。
勉強は自分ですることも大切ですが、指導教官と議論を交わすことと高い志を持った他の生徒と議論することが自己を更に高めてくれます。単に教授の話すことを聞くよりも、複数人で議論を深めることから新しい発見がありますし、自分とは違った考え方に触れることで人間としての幅を持たすことが出来ます。何よりも了見の狭い人は、自分の考えを優先させて他人の意見に対して否定に入りますから、一定のレベルに達したらそこから伸びられません。他人の意見を良く聞き、自分のものとして吸収することでレベルを高めることが出来ます。

 情報化時代で学習教材は各種揃っているので、やる気になれば即日学習を開始することが出来ます。通学が面倒であればインターネットを通じた学習も可能です。いつでも学習出来る環境は理想ですから上手く活用すれば効果が得られます。
 それでも授業はライブが良いと思っています。教師と同じ場を共有している緊迫感が学習効果を高めてくれます。時間の制約がありますが、時間を割いて出席するのですから、講義を受ける意気込みがDVD教材などとは違います。緊張感と精神力が講義内容の吸収力を高めてくれます。教授など講師から得られる知識は、教材から得られるものよりも幅があり、誌面からでは伝わって来ない講師の考え方や人間的レベルをも吸収することが可能です。

 この場合のレベルとは単なる知識に留まるものではなく、それを含めた人間としてのレベルです。人間のレベルとは品格や見識、良い意味での見栄えを指すものです。人間のレベルを高めると、教授や社会で活躍する方々と話し合っても臆することはありません。
 不思議なもので、どの様な社会生活の場でも志を持って勉強し活動している人の割合は決まっています。決して高い比率ではありませんから、その中に自分の居所を保つ工夫か必要です。志の高い集団に入ることや大学院で学ぶことはその手段です。今いる環境を大きく変えることは難しいですから、今の生活環境を基本スタイルとして別の違う環境にも身をおくことです。物理的な時間で考えると時間の制約はありますが、直ぐに慌しい環境に慣れますし、その中から得られるものは人生において決して小さいものではありません。
 高いレベルで学ぶ機会を得られることは滅多にありませんから、機会が巡ってきたらまず飛び込んでみることです。その環境が合うか合わないかはその後のことですから、躊躇する必要はありません。
5月 6日(金) 「紀州語り部」
【紀州語り部】
 小学生と中学生を対象とした子ども紀州語り部を育成する取り組みを計画している団体があり会合を持ちました。子ども語り部育成事業は、既に活動している紀州語り部組織に協力を得た上で育成するものです。
 和歌山市では市長の観光施策として「城よりはじめよ」が打ち出されています。思うに、和歌山城をイベントで活性化させようとしても一過性のものに過ぎず、紀州徳川家以来の歴史や文化を訪れたくれた方々に感じてもらうためには、教育訓練を受けた語り部が案内するのが最も適しています。
 名古屋城には3度訪れたことがありますが、いずれも城門の入場券売り場当たりでボランティアの語り部が声を掛けてくれました。知らないもの同士で城内を散策しても得るものは少ないのです。桜の季節なら美しいと感じること、あるいは案内板に書いてある知識を得る程度です。地元で知識を有している人に案内してもらうことが、歴史と文化を短時間で知り観光を有意義にしてくれます。

 姫路城でも案内してくれる人に出会いました。和歌山城にも紀州語り部はいるのですが、予約が必要なしくみなのかも知れません。事前に連絡をしておかないと普段は会えないことが多いのです。これは紀州語り部が悪いのではなく、和歌山市として観光客を受け入れる体制がないことを示しています。和歌山城は観光客同士で歩いても数時間で通り過ぎるだけです。その程度ではリピーターになってくれません。観光地になる条件は、絶対的にリピーター存在が必要です。
 リピーターを増やすためには和歌山城を訪れてくれた人に対して語り部が付いて案内し、和歌山市の歴史と文化を知ってもらうことです。人柄を前面に出して地元に伝わる逸話を交えながらの案内は観光案内書にはないもので、きっと観光客の満足度を高めてくれます。
 さて紀州語り部養成計画の主旨は次のとおりです。
小・中学生に語り部養成教室を通じて和歌山市の歴史と文化知識を付与し、和歌山市に誇りを持たせることが可能となり、郷土の歴史と文化を実践の場を通じて学ばせる機会が付与出来ます。和歌山県教育委員会の諮問機関である「きのくに教育協議会」が提言している「歴史文化を語れる子どもふるさと語り部の育成」の必要性にも合致するものです。

 教育と観光は現在の和歌山市にとって大きな課題で、将来的にも重要な施策です。青少年の育成事業に取り組んできた市民団体は、ノウハウと人材を有していて子ども達を中核とした紀州語り部育成を十分に担えるものです。歴史と文化を継承するためには、単年度事業ではなく、継続した取り組みにより初めて地域を担う人材を育成出来るものです。
 事業計画として、当面は現在の紀州語り部の方に講師を依頼し継続事業とします。数年を経たら語り部としての知識と技能、実践経験を有する人材が養成出来ますから、近い将来には子ども達にも講師の補助を担っていただき、次世代に向けた取り組みを継続して行ないます。
 その後は語り部育成のしくみを築き、権威のある和歌山語り部ライセンスを和歌山市と資格化し、講習費用を得て事業化する方向を考えています。

【本日のその他の活動】
 本日の激しい雨の中、家に来ていただきお願いを聞いてくれた方、本当にありがとうございました。今日でなくても良かったのに、直ぐに対応していただいたこと感謝しています。連休の間ですから休みと思っていたのに、駆けつけてくれてありがとうございました。
 夕方からは一件用件があり橋本市まで走りました。
5月 5日(木) 「こどもの日」
【こどもの日】
 子どもは気持ちの優しい人を本能的に見分けます。その人の前では本当に嬉しそうな笑顔を見せてくれます。子どもが元気になり能力を発揮出るのは、伸び伸びした環境であることを思わせてくれます。ある年齢になると、自然と台所のお手伝いをしてくれるようになります。小さい子どもですから水を床面に飛ばしたり皿の洗い落ちもあり、フォローをする作業が待っていますが、それでも小さい子どもが一所懸命にお手伝いをしようとする気持ちを第一に考えてあげたいものです。
 後片付けの手間がかかるからと、この段階で止めさせるとやがてお手伝いをやってくれなくなりますし、子どもの気持ちを無視して悲しませる結果になります。子どもが家の手伝いをしなくなるのも、子育て段階の親に原因があることに気づかせてくれます。

 おばあさんの家に遊びに行った時、子どもが並んで夕食の手伝いを行い、食後後片付けの手伝いで皿洗いをしてくれる姿を見ると微笑ましくなります。豆をの皮をむきキャベツを刻むことをおばあさんから教えてもらっています。この瞬間は母から孫へ家庭の技術が伝わる貴重な時間であること、世代が交わることの大切さを肌で感じることが出来ます。
 自分も忘れているのだろうけれども、きっと子どもの頃に親から伝えられた大切なことがたくさん記憶の引き出しにあることを教えてくれます。何気ない日常の風景の中での親は子どもへ、それぞれの家庭における文化を自然に引き継いでくれています。朝起床して直ぐの挨拶、「いただきます」の言葉、学校へ行く時の「行って来ます」と「いってらっしゃい」の挨拶、「ただいま」と「お帰り」の挨拶、夕食を作っている時の包丁とまな板の音、どんなに疲れていても先に子どもをお風呂に入れてくれる親、安心して眠るまで添い寝してくれる姿、時々夜中に目が覚めて隣に親がいない時に感じた不安感、そして翌日の朝、子どもよりも遅く寝ているのに、当然のことのように子どもより早くから起き、いつも朝食の準備が出来ていました。

 当然のようにしてくれていたことが、親の立場になると実は当然でなかったことにも気づきます。疲れて迎えた休日前の翌朝には、子どもが元気一杯に先に起きていることもあります。「いってらっしゃい」と送れない日もあります。当たり前のことでも愛情を持って繰り返すことの難しさを感じます。
 でも、当たり前のような生活習慣が今の自分を築いてくれています。毎日の習慣の積み重ねが子どもの人格を形成していきます。親が与えてくれた生活は何でもないようですが、自分の人生の大切な時間を割いて子どもに分け与えてくれた時間の塊です。今の自分の根元を養分の豊富な土のようにしっかりと支えてくれています。
 普段は気づかないのですが、母と孫の共同作業風景を見ているとその存在の大きさを感じます。記憶の残っていない小さい頃から両親の元を離れるまで、毎日のように注いでくれたて愛情が、子どもの性格や行動をも決定しているような気がします。
 習慣は第二の性格といいますが、習慣が性格を作っているのは間違いないと思います。優しい親からは優しい子どもが育ちますし、人のことを大切に思う親からは、他人との協調性のある子どもが育ちます。習慣は自分だけで築けるものではなく、良い習慣をつけてくれたことに感謝すべきものです。
 こどもの日の今日、柏餅を昔と変わらずに子どものために用意してくれています。昔から伝わっている習慣は日本人にとって意味のあるものですから、それを次の世代にも伝えていくことが継承した人の義務です。
 しかし大切な日常生活なのに、当たり前すぎて描写がとても難しいことを感じるのです。

【本日のその他の活動】
 昼間は友人達と懇談会。それぞれが責任ある立場にありますが、休日の懇談では日頃の緊張が解け、気の合う友人との会話は心が和みました。
 夜は紀州語り部活動に関する打ち合わせを実施。
5月 4日(水) 「昭和記念公園」
【昭和記念公園】

(昭和記念公園)
 立川市に、国営昭和記念公園があります。公立公園で初めてドッグランを併設した公園で、人間とペットの共存を可能にした設計思想と取り組みは注目を集めていて、全国に展開するためドッグランマニュアルも整備されているところです。今後、全国の地方自治体ではドッグランマニュアルに基づいた考え方で公的公園を整備することが求められることになります。
 昨年の市議会一般質問で公的公園のあり方として、人間とペットの共存を図る公園づくりを提言しましたが、そのモデルと考えたのが昭和記念公園でのドッグラン設置です。
 ここでは昨年からドッグランフェスタを開催しているように、ペットを公園に連れて入ることが地域にすっかり溶け込んでいます。今年も第2回フェスタが開催されることもあり、公園の現状を観て来ました。公園づくりの考え方は、人間と愛犬の共生と飼い主さんのマナー向上です。
ドッグランフェスタでは、飼い主さんと愛犬との体験型イベントが計画されていて、会場は公園内にあるみんなの広場とドッグランです。
 内容は単に楽しめるものではなく学べるイベントに仕上がっています。ドッグカフェの他、愛犬との暮らし方教室や盲導犬の、聴導犬、介助犬のデモンストレーションもあり、社会公共マナーについて飼い主さんに気づかせてくれる内容です。

 公園には愛犬と同伴で入れますがいくつかの注意点があります。ウンチの始末は飼い主さんが確実に行なうこと。リードは離さないこと。犬が苦手な入園者がいるため飼い主さんは十分に気をつけることなどで、公園入り口に注意点として掲示されています。

(公園内にドッグランが
設けられています。)
 見た感じでは、愛犬連れの方も家族連れの方も違和感なく公園で楽しんでいました。言うまでもなく、公園からペットを締め出すのではなくマナーがあり秩序を守れる飼い主さんが共存できる公園が理想です。行政が飼い主さん向けのマナー研修を行い、全ての課程を修了した方にライセンスを発行し、それがあると公的公園に愛犬と一緒に入園出来るしくみがあれば、愛犬と共存できる社会へ一歩踏み出すことになります。
 昭和記念公園の運営方法や考え方を取り入れた公園設計を行なって欲しいものです。

【新庄剛志選手】
 立川市で新庄剛志選手と会いました。丁度、西武ライオンズと北海道日本ハムファイターズの試合が所沢で予定されていたため、新庄選手が立川市のホテルに宿泊していたためです。浅黒く均整の整った体はやはりスターです。
 新庄選手についてかつては余り関心がなかったのですが、平成13年、メジャーのニューヨークメッツに移籍する時に関心を持ちました。それはある番組がきっかけです。
 当事、阪神タイガースの新庄選手とヤクルトスワローズの川崎憲次郎投手が異なった選択をしたため、視聴者への電話投票で男女別に家庭と夢についての調査結果を行い発表したのです。同じフリーエージェントとなった新庄選手はメジャーへの移籍、川崎選手はメジャーのボストンレッドソックス行きを断念し、中日ドラゴンズへ移籍する選択を行いました。

 さて調査結果は次のようなものでした。
 男性「夢よりも家族を選ぶ」52%、「男なら夢にかけてみる」48%
 女性「家族を選んで欲しい」22%、「夢を追いかけて欲しい」78%、との結果でした。
 これは意外な結果でした。男性は岐路に立たされた時、夢と現実の間で悩み消極的決断をする傾向があり、女性は男性には夢を追いかけて欲しいと意見しているのです。女性のからは「夢を追いかける強さを持って欲しい」との意見が多数を占めていたのです。
 夢を追いかけた新庄選手は、日本のチームから3年6億円の条件を断り、夢を追い求めて一年契約、年棒2,200万円の条件のメッツを選択したのです。2,200万円は当事の20万ドルでメジャーリーグ最低補償額でした。
 この新庄選手を評して女性達は「家族だって、こういう男にはついていくわよ」と拍手を送ったのです。
 この時の新庄選手の選択には驚いた記憶があります。多数の意見を占めていたのは、阪神でも大したことがなかったのにメジャーでは無理と言うものでした。
 でもこの選択から新庄選手に注目し応援するようになりました。私達が苦悩してもなかなか出来ないような夢の選択をした人に対して、拍手を送るべきで評論することは失礼だからです。何よりも実績が評価されないと次の舞台に進めないという理由はありません。自分を信じて、未知の世界に挑戦する姿勢は素晴らしいものです。
 予想に反して新庄選手はメッツの四番を務めたり、ワールドシリーズに出場した初めての野手となりました。
 メジャーリーグの通算成績は次のようなものです。
 打率.245、安打215、本塁打20、打点100、出場試合数303、打数876
 ワールドシリーズ、出場3試合、打数6、安打1、打率.167 

 さてこの数字を私達は評価出来るのでしょうか。
 数字だけを見て評価や批評をするのは自由ですが、私は評価する能力はありませんし、仮に評価するとすれば素晴らしい数字だとなります。
 評価する理由は、その場所に行かなければこの数字は残せないからです。夢に挑戦した人だけが残せる数字です。メジャーで打率.245を残せる日本人は多くありません。ワールドシリーズで6打席も立ち1安打打っています。たった1安打ではありません。ワールドシリーズで1安打以上打った日本人は、今まで後のヤンキース松井選手だけです。当事は新庄選手が初めてでした。
 日本人として初めてのことを成し遂げたのですから偉大な選手です。夢への挑戦を放棄した人にはこの1安打の価値は評価出来ません。如何に新庄選手といっても不安とリスクを抱えての挑戦だった筈です。
 再び日本に帰ってきた新庄選手は絶大なる人気を誇っています。かつて阪神タイガースだから人気があったと思っていたのですが、新庄選手については個人の人気でした。
 「There’s no next time(次なんてない)」夢を実現させて、今なお挑戦し続けている新庄選手の言葉から学べます。

 一方、川崎投手はヤクルトから中日ドラゴンズへ移籍しましたが、故障により思うような活躍は出来ませんでした。現役でのメジャーは夢に終わったのです。勿論、自分の判断ですから後悔はないと思いますし、私が論じる立場でないことも承知しています。
 新庄選手は今もハツラツとした現役です。この差は偶然かも知れませんが、夢に賭ける決断をした人に対しては物事が好転し、消極的判断をした人にはその後も消極的な人生が待っているような気がします。
 夢か現実か、選択する立場に立った場合、私達はどのような決断をするのでしょうか。
 その時、新庄剛志選手の挑戦を思い出したいものです。
5月 3日(火) 「表現家」
 評論家とは自分の専門分野を持ち日頃から研鑽を行い、時には現場に入って感じたことを含めて評論します。局部的に戦争が起きた時に登場する軍事評論家や、中東問題が緊張した時に登場する中東評論家などは、その道で何十年も勉強を続けてきた方達で、絶えず情報収集を行なっている筈です。ですからどの場面で登場を要請されても、的確な評論を行なうことが可能なのです。

 評論家になるためには、専門分野を持ち独自のルートで情報収集を行なっていること、何よりも長い年月をかけて研鑽を続けることが条件です。
 それと似て非なる存在として、にわか評論家が良く世間に登場します。課題となっている問題に対して自ら関わらず傍観者であり、経過の途中でも全く意見を発しないのですが、結論が出た途端に自分なりの理屈を並べて、当事者批判を行ないます。現場に入って一緒に解決に向けた取り組みをする訳でもなく、課題を解決する過程において情報収集量は少なく、当事者と話をすることもない。でも当事者達が様々な困難を乗り越えて導き出した結果に対して容易く評論する人が、にわか評論家です。

 結果を見て評論するのは楽なものです。専門家ではなくても評論できるのですから。課題解決のために努力を重ねた人がいます、その結果を導くまでには多くの努力と時間を要しています。どの様な結果が出されても、現実社会で全員が納得する結果を導く事は非常に困難です。お互いが最大公約数的解決を見たのであれば、それに対して関わりの無い第三者が批判をするのは筋違いです。
 歴史を見て、後の世代の人が評論を加えるのは簡単です。結果が出されてその結果に基づき次の歴史的行為があるからです。明治維新の功労者である西郷隆盛が西南戦争に加わり敗れた事実をして、最後は悪かったと言うのは自由ですが、評論する人はどこまで西郷隆盛という人物を知っているのか、その苦悩や立場、人間関係など十分調査した上で評論すべきです。単に結果だけを見て批判するにわか評論家がいたとしても、支持は得られません。

 評論家と言う言葉が、必ずしも良い意味に用いられない理由はそこにあります。でも評論家は他人や事件を評論するために日頃から誰よりも研鑽を重ねているのですから評価されるべきです。それに対してにわか評論家は、関わりの無い所から突然絡んでくるのですからプロの評論家ではなく、世間が密かに笑っている評論家とはこちらの存在を指します。

 さて造語だと思いますが世の中には表現家の存在があります。これは他人の行為を評論するのではなく、自ら行動を起こし表現していく人のことです。他人の評論は比較的簡単ですが、自分が社会を変えるために自ら企画、行動して表現するのは大変なことです。表現家は評論家よりも支持されるべきだと言う人がいます。自ら社会のために行動を起こす人はそれだけで評論家よりも役に立つ存在です。
 表現家は何もない所から課題に立ち向かうために自分で行動を起こします。その表現家を評論できるのは、行動している人と同様に行動を起こし現場にいる人か何十年も同じことを研究し続けてきた本物の評論家だけです。
 表現家と評論家はどちらも必要な存在ですが本物と認められるのは難しいものです。
5月 2日(月) 「和歌浦と熊野古道」
【和歌浦と熊野古道】
 和歌山県には自然の資源が数多くあります。その中でも和歌山市では和歌浦が、紀伊半島には熊野古道があります。和歌浦が海なら熊野古道は山の自然で、全国に誇れる資源です。ただ二つには決定的な違いが発生しました。
 平成16年に熊野古道は世界文化遺産に認定され、その自然と歴史的価値は世界から認められるものとなっています。それ以降、知名度は飛躍的に上がり熊野古道を訪れる観光客は増加しています。
 熊野古道が持っている自然と環境が持つ「いやし」の価値が認められたことで、その価値を検証すれば更に価値を高めることが可能です。いやしとは感覚的な表現ですから、ここを訪れることによって得られる人体への影響を、医学的根拠を示す数値で表現することが出来たら、他にはない価値を持つ地域として世界に誇れるものになります。
 現在ある資源に何の添加物も加えることもなく、ありのままを検証すれば価値を高められる点に特徴があります。

 それに対して和歌浦の価値は違います。和歌浦は誰もが認める景勝地で、ここでも「いやし」の気持ちが味わえます。和歌浦は歴史も文化も抱えている地域で、万葉の時代も歌人に愛され、江戸時代の紀州徳川家の文化が残り、昭和30年代には全国一の景勝地として栄えた地域です。
 しかし近年の観光地としての地位低下は激しく、観光客の入り込みは低迷しています。自然と文化、歴史的価値は認めるとしても、現実を評価すれば観光資源としての価値には疑問符がつけられています。
 経済的尺度だけでモノの価値を計るのは正しいとは思いませんが、経済的価値を示せないと世間は認めてくれないのも事実です。和歌浦が県外からの観光客を呼び込めていないことは、残念ながら地域としての経済的価値が少ないことを意味しています。
 熊野古道は現在の価値だけで経済的価値があるのに対して、和歌浦は付加価値を添加しないと経済的価値がないと思われます。
 和歌浦を再生するためには、何かソフトを装着する必要があるのです。和歌浦の自然にソフトを持ってくることで再生を図らざるを得ないのです。自然を生かしたソフトの鍵は、健康維持、回復、健康サービス産業です。

 自然と人間再生を組み合わせることで地域に受け入れられ、お客さんを呼び込むことが可能となります。お客さんが来てくれることが経済的価値です。経済的価値が認められることで和歌浦が認められます。
 和歌浦に他の地域にはない新たなソフトを付加することで経済的価値が生まれ、地域再生が図れます。このことは和歌浦の価値を否定することにはなりません。歴史に育まれた地域としての素養があるからソフトを組み合わせることで再生出来るのです。どこの地域にこれらのソフトを装着しても経済的価値を生み出す訳ではありません。健康維持、回復ソフトを乗せられる適地は和歌浦を置いて他にありません。中心地で賑わいのある所にそれを持って行っても決して魅力は生まれません
 和歌浦の現状を正しく認識し、誤りのない方法で経済的価値をつけ地域として再生させたいと願っています。
5月 1日(日) 「市民ファンド」
【市民ファンド】
 貴志川線に対して市民ファンドを募り、支援の可能性についての検討委員会があり参加しました。南海貴志川線は、平成17年10月からは岡山電気軌道鉄道が経営することに決定しています。両備グループは地方鉄道を再生させるなどの実績を持っているため、同社の経営能力は誰もが認めるところですが、今まで和歌山市になじみのなかった事業者だけに、地域の意見も取り入れた鉄道運営を行なって欲しいと私達は願っています。
 現段階の情報では、貴志川線運営に当たっては新会社を設立、資本金は3,000万円程度とのことです。一概には言えませんが、資本金3,000万円だと従業員30人程度の規模の会社になると予想出来ます。
 地元雇用も考えていると岡山電気軌道鉄道の関係者は話しているようですが、これは運転手さんの雇用を指しているものと思われます。

 また沿線地域の意向を経営に反映するために、新会社と関係する行政、そして沿線の代表者などで構成する運営協議会を設置する意向も表しています。
 現段階では仮称貴志川線応援ファンドとして、利用者や市民グループが出資するファンドを議論しています。ただ、貴志川線のどの部分に投資をすれば利益配分可能なファンドになるのか不確定なことから利率、期間などは決定できません。それ以前に岡山電気軌道鉄道の経営方針を確認しないことには進展しにくいものです。同社が市民ファンド資金を不要とするならば発行は無理です。必要としても、どこに投資するのか、または資本金に組み入れてもらって経営参画にまで言及するのか課題はあります。

 経営参画すると株式を持つことになります。基本的に株主は有限責任ですから、何か問題が発生しても出資者に問題は及ぶ事はありません。しかし仮に経営者を送り出しているとなると経営責任が問われますから道義上の問題が発生し、事態の大きさによっては責任なしでは済まされない場合が出てきます。そこまでのリスクを取って市民鉄道の行く先を見届けるのか、あるいは資金援助に留まるのか、ファンドの目的も明確にしていく作業が待っています。
 一方、資金提供者は沿線地域の方々に限られる性質を持つファンドのため、存続を第一とするので多くの利益配分は求められないと推測しますが、いつまでも無配当なら出資者は限りなくゼロに近くなります。元々年間5億円程度の赤字路線であり、直ぐに黒字転換は難しいため、ファンドの配当が出せるとしても経営状況に応じて5年から10年先の話しですから、かなり寄付に近い性質になります。

 ファンドへの出資者への見返りを、貴志川線の乗車券や割引券などで代用する手段もありますが、いずれにしても経営主体と話し合わないと意向は読み取れません。5月中にファンドの法的手続きについて学習会を実施して、実現可能性があれば和歌山市と貴志川町で設立する貴志川線支援室と協議をしていく方向としています。いずれにせよ、地域からの強い要望があり存続が決定した貴志川線です。これからが始まりなので経営主体と行政、今まで関わってきた市民で地方鉄道の理想像を描き、全国の再生モデルにしたいものです。
 貴志川線廃線問題はNHKでも取り上げられ追跡取材もあるため、地方鉄道であっても注目度は高いと言えます。

【打ち合わせ】
 午後からは少しばかり打ち合わせを行ないました。雨でしたが現地調査を行い、不具合箇所について意見提議する方向でまとめました。

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