滋賀県には、私立びわこ成蹊スポーツ大学が設立されています。大学名にスポーツがあるのは全国でひとつだけです。スポーツ専門の教授からの話は人間形成の意味からの関心のあるものでした。
日本の中・高校生の体力は1980年がピークでした。体力の低下は学力の低下につながっています。高校生でも逆上がりが出来ない生徒がいるようで、体力の低下は深刻な問題です。女子スポーツ部は人気が無く、昔から人気のある女子バレーですが6人の部員が集まらずに成立しない高校も出現し始めています。おしゃれとファッション性が高い女生徒ですが汗は苦手なようです。 |
(びわこ成蹊スポーツ大学の教授) |
動物園のサルは危機管理が出来ていません。ある動物園の事例ですが、サルの檻が老朽化したので隣に新設し移し変えようと飼育員が捕まえにかかると、パニック症候群になり気絶したりひどいサルになると死亡したそうです。自然界から隔離された安住の地にいると、知らず知らずのうちに危機への備えが出来なくなります。
野生のサルは一日60kmも移動しています。それは植物の獲得など生きるために必要だからです。動物園のサルと比較すると危機感と運動量は比較になりません。人間は動物ですから、子ども達に動物園の様な環境を与えてしまった大人の責任があります。
シェークスピアは「観ることが最高の教育であり、観られることが最高の学習である」と言葉を残しています。正にその通りで、まず現場に行くことで現実が分かり自分に不足していることが分かります。マラソンランナーの高橋尚子さんは、大学まで全く無名のランナーでした。ある時、世界選手権レベルの選手の合宿に参加しました。世界トップレベルの選手と練習をして、世界レベルのトレーニング方法や食事方法はどの様なものか分かったのです。情報化社会ですから効率的なトレーニング方法は知っていて頭で理解しているのですが、実際に現場の空気に触れることで気づきがあったのです。トップレベルの選手といるだけでレベルが体感出来ますから目標が身近で明確なものになります。このトレーニングを行なうとこうなる、食事を正しく取ることでこんな体を作れることが分かります。観ることによる気付きは最高の教材です。
人間の能力はY=aXで表すことが出来ます。これは養老孟司先生の著書に書かれている公式です。
Yは出力で人間の能力を表します。
Xは入力する要素で、遺伝子(DNA)などです。私達に組み込まれている遺伝子は、長い時間との競争に打ち勝ってきて勝ち組の遺伝子で、人間の遺伝子は99.99%同じものです。
つまり誰でも持って生まれた能力に差はありません。
問題は係数のaですaは、心、感性、良心、氣、環境、習慣を表しています。心の持ち方や良い習慣、周囲の環境の良し悪しが、人間の能力形成過程に影響を与えます。係数は変化させることが出来ますから、やる気になれば、何時でも自分の意思で係数を大きく出来ます。
係数を高める方法には、メンタルトレーニング。夢中になる、好きになる、気付き、出会いなどがあります。信じれば適うことを信じて自分を高めることです。ギリシア神話に登場する彫刻家のピグマリオンは理想の女性を彫刻で彫りました。毎日のように彫刻に向かって理想の女性の出現を願っていたところ、ゼウスの思し召しにより彫刻が人間に姿を変えたのです。本気になって願えば適うことを示す神話です。作り話と取るか教訓として捉えるかも心の持ち方ひとつです。この話を信じるか信じないかもaを左右します。こんな簡単な神話を信じることが出来ないで、困難なことに挑む事は出来ません。
困難に立ち向かうと必ず障害は出現します。そこで信じることが出来るか出来ないか、大きな成果を達成するのは小さな行為の積み重ねです。物事を前向きに捉えられることが行動を左右します。潜在能力を活性化させるには感動体験をすることが一番ですが、前向き行動は感動体験につながります。
物事を達成するには方法があります。守破離と言われる法則です。
守とは、真似をすることです。真似びとは学びの語源にもなっています。師匠を真似ることから学びます。
破は、殻を破って脱皮することです。真似から型を確立し、自分流にアレンジしていくことで成長します。立派と言う言葉は、元来立破と書いていたそうです。立派になるのは壁を破って一人前になることを表しています。
離は、自立した才能を発揮することです。どの分野でも型を学び、殻を破り自立すると、人を感動させることが出来ます。私達はたまに神業と呼ばれる場面を目撃することがあります。最近の例で言うと、ゴルフのマスターズの最終日16番ホールでタイガー・ウッズが放ったバーディショットが挙げられます。正に神業で見る人全てを感動させました。離まで到達して神業レベルになりますが年齢は関係ありません。世界のサッカー界では16歳までに世界レベルに到達しないと世界でプレーは難しくなります。
年齢や経験が必要という今までの常識に囚われることなく、能力を向上させるための係数を高め成長することで世界レベルに到達出来ます。全てはそれを信じることから始まります。
【中田横浜市長】
市長に就任時の所信表明で都市経営を述べたら「商売をやっているんじゃないんだよ。行政は儲ける所じゃないんだ」と野次を浴びました。
経営とは、目標を定めて計画を策定し実践していくことですから、行政も民間も関係はありません。都市経営の概念は今では当たり前になっていますが、3年前までは行政に経営感覚はありませんでした。
改革を進めるには情報公開が不可欠です。情報公開と言って広報誌を発行しても捨てられる冊子が増えますから降下は少ないように思います。ところが効果があるのです。情報公開が根底にある仕事に変えると行政職員に緊張感が生まれます。ふたつ目は市民の意見が聞こえてくるので、議員の主観に基づいた感情だけの不毛の議論とならないことです。
このように、市民の意見を反映させることが出来ます。
職員には「あなたの市」と発言してもらえるようにしたいものです。通常は、横浜市ではとか本市においてはなど言いますが、市の主役は市民であることに間違いはなく、職員からするとあなたの市と言うべきなのです。
市役所は市民から預かって仕事をしているだけの場所です。
横浜市の改革の一部を紹介します。
外郭団体を連結決算に加えた上、バランスシートを公開しました。
向こう5年間の歳入と歳出の見込みを財政計画として開示しました。これによって1,200億円から1,500億円の不足が判明しています。
財政計画を基に向こう5年間の政策と行政運営を見積もりました。つまり財政と政策、行政運営を連動させています。
非成長、非拡大の時代に即して交通政策と水道事業も見直しています。市営交通は人口減少があることから民間企業並の経営感覚を持つように変革しています。
水道事業として横浜市の水を製造し販売し始めました。横浜市内のホテルには横浜市の水を設置してもらっています。
横浜市立大学の先生は任期制で契約方式に変更しました。これにより若くて才能の或る先生の応募が来ています。
少子化時代ですから、市営住宅の新規建設はありません。
都市公園をNPO法人が管理する取り組みを開始しています。
面白い番組を作ったらスポンサーが付く筈だと考えた番組を作りました。横浜市の番組にスポンサーが付いて制作費は50%に減少しました。
区役所で配布している転入者向けの案内誌をサンケイリビングに委託しました。市が発行している案内誌と、同社が発行しているお店紹介の冊子が活用出来るものに仕上がると考えて組み合わせたものです。市は予算が半分以上減少する利点があり、発行企業にとっては、区役所に冊子を置いてくれる利点があります。お互いの媒体としての利点がある事例となりました。
(琵琶湖でのセミナーに参加) |
中田市長の知名度が高いので営業部長の役割を担っていて、市長の名前を商品につけることも認めています。中田市長の名前が入ったカレーも登場しています。これが売れていて味も良いそうです。名前が入ってカレーが売れるのは、政策がしっかりしていて実行している証拠です。
いずれも公共サービスと行政サービスはイコールではないことを示すものです。公共サービスは市民と役所が一緒になって作るもので、民間の力が存分に発揮出来る環境が大切です。市民、NPO法人、自治会、企業と組んで公共性を高める挑戦をしています。
中田横浜市長は、全人格をかけて諸課題に対応しています。
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