1月 31日(月) 「人生の夏」 |
【人生の夏】
夢クラブの木村竹志さんと懇談しました。木村さんが郷土を想って、スポーツ振興による地域活性化のための活動は特筆です。スポーツクラブで子どもたちを指導、週のうち4日は有田市から和歌山市に来て、少年野球を指導、50年先の野球のことを考えて花園村にバットの材料となるアオダモを植樹しています。いずれも自分を育ててくれた野球を通じて郷土に恩返しをするためです。
木村さんが少年野球を指導する精神は、野球だけが上手くなっても駄目だとする方針です。野球の技術向上を目指すのは当然ですが、社会に出ても役立つコミュニケーション能力を身につけさせようとしています。
毎年、台湾から少年野球チームを呼んできて交流試合を行っています。ここでは技術を競い合うだけではなく、台湾チームの保護者と選手をホームステイで受け入れ家族ぐるみのつきあいをしています。滞在は4泊程度ですが、同じスポーツをしている者同士ですから国を超えて親交が深まっています。台湾チームが来日した翌年は、木村さんが指導している和歌山の少年野球チームが台湾遠征に出掛けます。今度は日本チームの保護者と選手が台湾選手の家庭にホームステイしています。この交流が拡がり、今では家族同士で付き合いを始めている人もいます。 |
(木村竹志さんと) |
お互いの行き来の他、メールでの情報交換や言葉は分からなくても国際電話で話をしているようです。
国同士だと政治的背景はありますが、スポーツによる民間での交流には全く関係ありません。人間として認め合うことで相手国への信頼関係が醸成されます。形式だけの地域間交流よりも果たしている役割は大きいのです。
また四国独立リーグが開幕した後、一緒に試合を見に行こうと確認しました。野球場の雰囲気の他、リーグ運営主体とサポーターとの交流を行うことで、和歌山での独立リーグの道筋を描く予定です。
独立リーグはプロを目指す選手の集まりであることが目的ですが、同時に地域振興につながることが必要です。つまり技術レベルは現在のプロ野球と比較すると落ちるのは間違いありません。技術レベルだけで観客を長期間引き留めるのではなく、地域の特徴と結びつけた試合形態にすることが求められる筈です。地元出身のタレントによる始球式や試合途中でのミニライブの開催、観客のサービスとして抽選による地元みかんや梅のプレゼント、試合終了後、選手のサイン会や選手との交流会などが、地元色のある盛り上げ方法です。
地域で野球を受け入れる土壌は十分にあります。驚いたのですが、社会人野球参加チームは全国で約300チームあり、その内200チーム以上が企業の支援を受けていないクラブチームなのです。企業の社会人野球チームは年々減少を続け現在では80チーム程度あるに過ぎないそうです。費用をかけずに地域で応援してもらってのクラブチームは増加しています。クラブチームに行くのか、独立リーグに行くのか選択肢は拡がっています。
江本さん構想の独立リーグはチーム数を特定していません。各都市がチームを持つのであれば参画が可能で、仮に20チームが名乗りをあげたら20チームでリーグを構成する計画となっています。遠征費用がかかるため各地域でリーグ戦を行い、優勝チーム同士がトーナメントを戦う方式などもあり得るのです。少し前までは考えにくかったプロスポーツによる地域振興は、今では現実味のある選択肢になっていることに気づくべきです。
夏の国際交流と少年野球チームの試合運営など、木村さんの夏は高校時代と変わらずに今も予定が一杯です。何時までも夏が似合っていて人生の夏を謳歌しています。
【懇談】
ある施設のオーナーと懇談の機会を持ちました。一人暮らしの高齢者の今後のことを考えて、どうしてあげるのが良いのか真剣に考えています。損得ではない親身になった思いやりのある気持ちが伝わってきました。
料理店の花見小路が本日で閉店となりました。オーナーご夫妻はとても気持ちの良い方だけに残念です。地域からも親しまれたお店だったのですが、事情により場所を移転することになりました。今後は少し期間をあけた4月8日、場所を変えて開店する予定です。次は7坪で11席の小さなお店に変身しますが、オーナーと接近出来るのでより身近になれることを期待しています。
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1月 30日(日) 「脳を鍛える」 |
【和歌山環境フォーラム2005】
(佐野安佳里さんミニライブ) |
和歌山環境フォーラム2005の中のステージで、佐野安佳里さんのミニライブがあったため応援に出かけました。佐野さんは和歌山市出身で、豊かなでパワフルな声量を持つ期待の歌手です。今回はカジュアル的なライブで「夕焼け空のくじら雲」「祈り」「ぼくらはみんな生きている」の3曲構成でした。「祈り」は平成16年に世界遺産となった熊野をテーマにした曲で、実際に熊野古道を歩いてイメージを感じ取り、音楽として感性豊かに現したものです。
最終曲は、子どものお客さんが多かったため全員で歌えるように選曲したものです。大きな声を出して歌うと気持ちが良くストレス発散になります。佐野さんは今年、ライブに力を入れる方針で益々の活躍を期待しています。 |
【川島隆太先生】
東北大学教授で医学博士の川島隆太先生の講演会があり参加しました。川島先生は言うまでもなく脳化学研究の第一人者です。本日の講演の要旨は次の通りです。
人間が他の動物と異なるのは、脳の前に位置する前頭前野が発達していることです。前頭前野は、思考、行動・情動の制御、他者とのコミュニケーション、意欲、集中力、自発性、身辺自立の役割を担っています。全てが人として社会生活を送るために大切な能力です。
脳研究が進んだ現在、脳に関して誤った認識を持っていることが分かっています。年齢を重ねると感情が豊かになり涙もろくなると |
(東北大学川島教授の講演会) |
言われています。若い頃はドラマを見ても平気だったのに、年齢を重ねたらテレビドラマを見ても涙が出てくることがあります。これは感受性が豊かになったのではなく、情動の抑制をする前頭前野の機能が低下しているからです。
指を使うとボケ防止になると言われていますが、指先を使っても脳は活性化しません。10年前まではそう信じられていましたが、その根拠はサルを使った実験の結果によるものです。人間には通用しない論理なのですが、勉強のしていない人達は未だにそれを信じて話しています。このように脳に関して誤った知識があります。
脳の研究が進んだ今では、何が考える力をつけるために効果があるのかが分かっています。テレビゲームをしてもテレビを見ても前頭前野は鍛えられません。それよりも単純な足し算や引き算をするのが最も効果があります。複雑な計算をするよりも単純な計算を行う方が脳を鍛えられます。
小学生と大人には、足し算や引き算が効果的です。中学生や高校生になると受験がありますから、計算問題のレベルを上げる必要があります。いずれも復習が大切だと言うことです。復習を実施しながら新しい学習をする、その繰り返しです。復習を行うことで学んだことを覚えるくらいに単純化出来ます。単純化した計算問題を集中して素早く、繰り返し行うことで脳が鍛えられます。難しいと感じる計算問題をどれだけ考えても脳は働きません。
また記憶する方法として、読んで覚えるよりも書いて覚える方が脳全体を活用するので記憶として定着します。読んで覚えても前頭前野を使っていないので知識として頭に入るだけです。書いて覚えると前頭前野を使ったものになるので、入った知識を応用することが出来ます。知識としてだけ活用するのと、インプットした知識を基に応用する力があるのとでは全く価値は異なります。応用力とは創造力ですから、過去の知識から新しいものを生み出す可能性があります。
小さい頃、書かないと覚えないと教えられたことがあります。面倒で時間がかかりますが、繰り返して書くと確かに覚えられました。大人になると書くことが少なくなる、このことが覚えられない原因なのかもしれません。
書くことに加えて本を読むことは大切なことです。一ヶ月に5冊、本を読んでいる高齢者の脳はみずみずしくて若い人の脳と変わりません。読み書き計算が脳を鍛えるのに最適であり、これ以外に鍛える方法はありません。
最近の子どもは本を読まないから脳を鍛えられないと言います。その通りですが、原因は大人にあります。大人がテレビを見て笑っているのに、子どもに本を読めと言っても読みません。まず大人が本を読むことで、自然に子どもは本を読むようになります。
子どもが本を読んでいたら、何かしていても聞いてあげる、そして褒めてあげることです。何よりも子どもと会話をすることが脳のトレーニングになっていますから、家族のコミュニケーションを大切にすることです。
前頭前野を鍛える方法には次のようなものです。読み書き計算、他者とのコミュニケーション、集団での遊び、手指を使って何かを作り出すこと(料理や手芸、はさみで紙を切って何かを作ること)楽器演奏、独唱などが効果的です。
逆に前頭前野の働きを抑制する方法は次のようなものです。テレビゲーム、テレビを見る、漫画を読む、パソコン、携帯電話のメール、マッサージ系のいやしなどです。これらをどれだけ速く実行出来ても脳は鍛えられません。
問題は両者の使い分けをすることです。頭を鍛える訓権をした後にご褒美として漫画を読めば良いのです。
考える力をつけるには学んだことを復習することで単純化し、素早く繰り返して問題を解くことです。そして常に新しい知識を身につけることも大切です。脳を鍛えるのは自分だけが良くなるのではなく、自分が身につけたものを社会で活かすことが目的です。社会での存在場所を見出すためにも目的を持つ必要があります。
【懇親会】
夕方から所属している文化会の懇親会があり出席しました。テーマは会員相互の交流と文化的センスを身に付けることで、今回のテーマはソムリエからワインの飲み方を学ぶことです。ソムリエが選んだ赤白のワインの飲み方を説明してもらって食事をとりました。
(都都さんのマジック) |
ワイングラスを回すのは香りを楽しむためで、香りを醸成するには30回程度回す必要があること、ワインを注いでもらう時はグラスを持たないことなど説明を受けました。
ゲストに東京からマジシャンの都都さんが来てくれました。テーブルマジックを披露してくれたのですが、鮮やかなさばきで間近で見てもトリックは分かりません。どうしたら上手く出来るのですかという問いに対して、練習したからですとの回答。なるほど何事もその通りです。
今年の会の活動も、生け花や俳句など盛り沢山計画されています。 |
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1月 29日(土) 「リーダーシップ」 |
【共助】
ある自治会では毎月会報を発行していますが、今日最新号を受領しました。子どもに対する不審者への対応、迷惑駐車を止めるための呼びかけ、大災害への備えなど、意識向上のために会員で懇談するなど取り組みを行っています。人間関係が希薄になっている現代では近隣での共助の精神が大切ですが、ここではそれが出来ています。
【リーダーシップ】
リーダーシップ論を受講した方から話を伺いしました。私なりに解釈した参考になる部分を紹介します。
リーダーの資質に共通しているものはありません。人の性格や特性は全て異なりますからリーダーの資質に定型的なものはありませんが、ある程度の分類は出来ます。
それは、信頼できること、公平であること、人々の望みと関心を把握していること、情報を的確に流すこと、明るい見通しを持って人々を励ますこと、最終的な責任を持つことなどです。その前提として知的で粘り強く、自分の意思を持っていることは言うまでもありません。
リーダーには覚悟しておくべきことも発生します。
痛烈な批判、心身の疲労、孤独感、いつも先を考える焦燥感、失敗への不安、権力を使いたくなる衝動への対応、利己心と自尊心との不断の戦い、心ならずも下す決断に対する批判などです。これらを乗り越えてこそリーダーと呼べます。
リーダーは人との関係において絶えず磨かれ続けなければ成長しませんし、段階を踏みながら成長するのです。
それでは何かの事情によってリーダーになった人に対価はあるのでしょうか。実際、リーダーが投じる労力と時間と比較すると報われることは少ないのです。それでもリーダーシップを養うことで自分の可能性を拡大させてくれます。それ以前には考えられなかった可能性が、リーダーシップと共に培われることが対価として受け取れます。リーダーを育成することは、私たちにとっても次代にとっても最大の贈り物となります。
【向陽の先輩たちと】
向陽高校の先輩たちが集まる会合があり参加。東京からも泊り込みでやって来た方もいて初めての人も再会を喜ぶ人もいました。
人生を生き抜いた先輩たちの話から学べることは、なりたい自分を目指すことで生き甲斐を感じられるということです。短い人生ですから、他人を気にしすぎて自分らしさを発揮できないのでは勿体ないことです。直ぐに自分の手持ち時間は過ぎ去り少なくなります。
自分らしく生きると素直になります。素直であることが、なりたい自分になるために必要な性格です。他人の評判を気にする必要はありませんが、他人の経験と知識から学ぶことは多いのです。素直さがそれらを吸収するための条件です。自分らしく生きるとは、生きていく上で経験と知識を高めることですから、自分ひとりの力では達成することは出来ません。自分の経験と知識に加えて素直な気持ちを持って他人から学べたら、なりたい自分になれます。
東京では会社生活をリタイアした層が増えています。各地域で、その方達の経験と知識を活かそうとした会が発足しています。子どもたちに経験値、知識値、成熟値を伝えようと活動を行っています。地域としては実に深い文化度です。地域として社会経験などを次世代に伝えることでその地域のレベルは上がります。リタイア組が活躍する場があることで知識と経験の交流が図れますし、外に出る機会があることで域内の経済的効果も見込まれます。
和歌山でもそのしくみがあれば良いのにと、アドバイスをいただきました。やはり都会は人材の層が厚いのです。
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1月 28日(金) 「第3回観光医療産業検討委員会」 |
【加太振興】
和歌山市加太の振興について現地調査を行いました。瀬戸内国立公園内にある加太は、海水浴、釣りが盛んな地域です。近年は各旅館に温泉も引き込み、観光への特化が図られています。若い経営者が元気な地域で各種取り組みを検討しています。今回は国が行う整備計画に何か付加価値をつけられないものか検討しました。
公園緑化を行う、施設を充実させるだけでは観光客は訪れてくれません。ハードよりも地域として何を提供できるのか、そこに行けば何を楽しめるのかというソフト部分が重要です。自然の中でペットと共に癒される空間があり、ペットが入れる温泉があることなどもアイデアです。あるアンケートで、日本人で犬が嫌いな人の割合は4%だと報告されています。日本で飼われている犬は1,200万頭ですから、ペット産業は今や隙間産業ではなく巨大な市場となっています。ペットと歩ける空間としての加太も良いのかも知れません。
それに友ケ島があります。友ケ島には何もないのですが、何もないことが価値を持っているとする考え方です。車も店舗もないので安全安心で自然体験が出来るのです。島内1周3時間程度で歩けますから健康ウォークコースとして適しています。しかも就航船にペット同伴を認めることで島全体がドックランにもなり、大阪近郊でペットと遊べる自然空間が誕生します。
ここで言う何もないとは、人間にとって経済価値を何も生み出さないとする意味でのものです。草花や木々など自然環境はありますから、その意味では何もないとは言いません。
友ケ島を活用出来れば経済価値も持たすことが出来ますから、自然にも価値を持たせる取り組みになります。
【第3回観光医療産業検討委員会】
今回の検討委員会では、冒頭立教大学観光学部の岡本伸之教授から「観光振興の進め方を巡って」について講義をいただきました。要旨は次の通りです。
都市の魅力の核心は自由裁量性にあります。東京では選択肢が多いので、観光、文化、スポーツ観戦など幅広く日常が楽しめるので住んで良かったと思えます。このように都市には現在に加えて過去と未来を兼ね備えていることが必要です。現在の楽しみと共に、まちの歴史と文化、未来を予感させてくれるものがあることで魅力ある都市となります。 |
(立教大学観光学部岡本教授) |
和歌山で言えば、過去は熊野、未来は海洋資源とマリンスポーツの可能性を感じさせる和歌山マリーナシティがそれに該当します。それらをつなぐ現在に何が備わっているのか、ソフトを導入する必要があります。
(岡本教授と) |
何故人は旅に出るのか、人は変化に対する期待を持っているからです。変化がないと人は生きられません。明日起きた時、何があるのか分からないから期待があるのです。既に明日の出来事が分かっていれば期待はありません。人にとって時間軸が大切ですから、観光とは、人にとって大切な時間を売る産業であることです。
和歌山の強みは、自然環境、歴史的資源、日本の真ん中などです。弱みは地域としてのまとまりがないことです。経営的にはミッションステートメントを策定し、方向性を定めます。現代の湯治場、癒しの里として安心して住めるまちなどが目指すべきもののひとつです。 |
戦略的には、健康面での安心と生きがいを育む、あらゆる生命の源である森と川と海の豊かさを享受する、1年365日の四季の変化を楽しむ、生涯を通じて学びへの欲求を充足させることがあのます。余暇を遊ぶことだけに使用しても面白くありません。人には、学び偉くなりたい、認められたいとする自分への変化欲求がありますから、それを満たせる環境が人を呼び込みます。
観光はサービス産業ですから、期待を充足させ更にその期待を上回ることで満足感を提供出来ます。満足感を提供出来ることでサービス産業としての観光は成長します。 |
(二瓶先生と) |
そして観光は時間を売る産業ですから、物語性が不可欠です。地域の文化を語れる知識と提供する機会をそこに住む人が持つことが優れた受け入れ体制、つまりホスピタリティの条件です。
和歌山に行かなくてはならない何かを提供すること、和歌山に住む人も歴史も文化も全てが観光資源となります。和歌山全体として何を提供したら良いのか、和歌山の特長を活かして健康サービス産業を付加する戦略は的を得たものです。
【第3回観光医療産業検討委員会ディスカッション】
健康の切り口を持つことは、高齢者や障害者、社会的ひきこもり、不登校などにも効果があります。健康の維持増進と地域を結ぶことで健康サービス産業につなげる構想は他にない取り組みです。
和歌山での学び的観光は4万人に体験してもらいました。ターゲットを絞らないで、和歌山としてこれだけの体験メニューを用意しましたと提示することで選択肢を広げています。自由に選んでいただくのが基本です。
野外活動は自然の中に包まれている、自然の中で生かされて入る感覚を呼び戻しますから重要です。自然を愛して野外活動を行いたい人に向けての発信が大切です。
知的要求や自然への好奇心を持っている人のリピート性は高くなります。本物とは奥行きが深いもので、本物体験のプロと素人との最大の違いはスピードです。すべての工程についてスピードを持って仕上げられるのがプロです。
観光客だけではなく和歌山市民のための健康づくりがあっても良いのでは。適切なメニューがあれば市民も活用でき健康な市になります。
和歌山のイメージは夏と秋です。和歌山の癒しを百選か十選など全国に公募しても面白いのではないですか。良いものは表彰してあげたら良いし、事業化を図れるものが出てきます。
現代はボーダレス&コラボレーションです。行政の枠が問題となっていて協働出来ていないのが課題です。
原点に戻って小さな成功事例を作ることが第一歩です。地域が誇るべきものを大切にとして取り上げて欲しい。和歌山での出発点は高齢者、医療、癒しになりそうです。観光は時間を売るビジネスですから、どんな体験と時間を売るのかを出すことから始まります。
イベントはテストマーケティングですから経験を積むことで可能性が出てきます。まず始めることです。
(市民まつり交流会の様子) |
【市民文化祭】
6時からの市民文化祭に参加しました。8つの文化団体の代表がコンパクトにまとめた技術を披露する会で、一般公開での開催は今回が初めてです。シャンソン、オペラ、手品にバレエなど和歌山で文化活動を行っている団体が一堂に会しました。文化活動が低調といわれている和歌山市だけに、市民文化祭の開放が文化活動の弾みになって欲しいものです。
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【懇親会】
市民文化祭終了後、会場を移動し懇親会に参加。「直接会ったことがないのですが」と言いながら、市政報告レポートを読んで感銘を受けたので一度会ってみたかったとお話を伺いました。
少年野球と少年サッカーの練習場となっている市民グラウンドの和歌山市の管理が悪いので困っていると相談を受けました。練習後、保護者がグラウンドにあるトイレの清掃と汲み取りもしているそうです。これは市が実施して欲しいと要望がありました。子どものスポーツ活動には、保護者が同行したり準備をするだけでも大変です。スポーツを強化するためには子どもの頃から参加する環境を整えるべきで、そのためには市の支援が不可欠です。スポーツ環境の整備が出来るように取り組みます。
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1月 27日(木) 「懇談の中から」 |
【音楽文化活動】
和歌山シャンソンの会は1月から新年度に入っています。本年度方針についての打ち合わせを実施。会報発行と7月の和歌山パリ祭実施について、毎月の会合日程についての確認をしました。明日開催される和歌山市文化発表会にも和歌山市から参加要請があり、協会が参加しますが、文化を理解してくれる層を拡大する活動も展開します。
【環境保全】
リフォーム専門の会社支店長と、これからの環境対策と住宅について話し合いを実施しました。自然エネルギーと住宅電化がこれからの住宅の鍵となります。リフォームするのも廃材は極力排出しないように取り扱う手法を取り入れるなど、経済性よりも住む人の安全性と環境保全意識を高めることが求められています。環境問題の認識は経済問題と比較すると軽く見られていますが、私達が暮らす環境が保たれた上に経済があることを認識する必要があります。安全、安心を求める環境保全が重要なポイントです。
また治安悪化に伴い、住環境にも安全、安心への要望が高まっています。先日宿泊したホテルの売り物は、安心できる環境でしたが、今まで当然と思われていた安心出来る環境がセールスポイントになっています。社会が成熟するのに伴って安全、安心な世の中になるべきないのに、逆方向に向かっているのはおかしいことです。
安全と安心、そして私達が暮らす環境を追求しないで何が豊かな社会なのか、分からなくなります。
このリフォーム専門の会社では、屋根への太陽光パネルの取り付けと電化が基本です。環境保全を考える会社が出て来て和歌山市でもリードして欲しいものです。
【地震対策】
地震や自然災害に備えて窓ガラスに飛散防止コーティングをしてくれる所があります。大震災が発生すると窓ガラスが割れて飛び散るため、逃げるルートが制限されたり大怪我になったりします。阪神・淡路大震災以降、災害対策に熱心なまちでは、公共施設に飛散防止のコーティングを施しています。とっさに逃げる場合には靴を履く余裕はありません。
これから新築する建物やリニューアル施設には、最初からコーティングを施すことは有効な災害対策となります。
自治会の中には同地域内にある企業に対して、地震や津波が発生した時にビルに逃げられるように協力要請を行っている所があります。和歌山市での津波の高さは3mとも5mとも言われています。安全確保のためには3階以上の建物に避難することです。企業には自治会と協働することが求められています。サービス産業ではお客さんの大切さを理解していますから、理解してくれる会社があります。共助の関係を築いておくことが、災害時に生き延びる秘訣です。
【懇談会】
夕方から県政や市政に関しての懇談会を実施しました。大阪市から1時間の距離にあり、関西空港からも1時間以内に立地している和歌山市で、環境や条件に対して不満を言うのはおかしいとの意見があります。やる気のある人からすると当然です。不満を言って状況が良くなるのではあれば、不満を言い続けても良いのですがそうはなりません。恵まれた環境に感謝することで事業を取り巻く状況は一変します。まず実行することで事態が打破出来ます。和歌山市の指標は全国で40位台が多いのですから、何かに取り組んで失敗してもこれ以上落ちることはありません。1位を維持しようとすれば大変な努力が必要で、失敗を防ぐための施策を重視することになりますが、下位にいると何をやっても後は上がるだけです。
平成16年度の国体では、和歌山県の成績は全国最下位の47位ですから、もう落ちることはありません。来年は10ランクをアップさせ35位を目指すなど、明確な目標を立てることで今までにない取り組みが可能となります。そのうちに上位を目指そうなどとしていると、永遠に下位が定位置となってしまいます。
やるかやらないか、やる場合は期限を切ることが何かを達成するために必要な条件です。
簡単に言えば、それが出来ていないことが和歌山低迷の原因です。コンサルを入れたり必要以上に会議の機会を持つことだけで現状は打破出来ません。やる気を持つ人がリード出来る環境と目標の期限を区切ることが必要です。
そのような集団や地域にすることで変化は起こります。
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1月 26日(水) 「独立リーグ打ち合わせと市政報告」 |
【独立リーグ打ち合わせ】
独立リーグ誘致活動について木村竹志さんと、現状認識と地域へのメリットについての確認を行いました。
各地で野球チームの設立が相次いでいますが、最終目的は独立リーグのような気がします。四国独立リーグは4月29日に開幕する予定ですが、運営方法や観客動員数などの状況を注目している筈です。ある大手企業は社会人野球を持っていますが、運営費として億単位の費用を要しているため見直しを図っているようです。今までは企業の宣伝広告として会社への帰属意識醸成や団結のために運営する利点があったのですが、収益重視の社会背景からリターンを追求する方向に転換する予定です。社会人野球よりも観客が見込める独立リーグに参加する方が、話題性、収益性からもメリットを感じているようです。
石毛さんが先駆けた独立リーグですが、江本さんも新団体で新しく参画する意向を持っていますし、各地での動きも目立っています。
各地域とも、スポーツによる地域活性化や経済効果を見込んでいます。
和歌山でも何をすべきか今から検討する必要があります。過去、新規施策を取り入れるかどうかは他都市の動向を眺めながら考えていたため、世の中の流れに敏感でなくなっています。アンテナを張っておかないと人脈が築けないし感性も鈍くなりますから、どうしても鈍感になります。それが体質となり地方自治体の文化になります。
まだ盛り上がっていないから検討を行わないとするならば、一体いつ可能性を検討するのでしょうか。盛り上がってから、或いは参画する自治体が見えてきてからとするのでは、もう時期を逸したものになりますから、和歌山が参画する可能性はありません。平成16年度の国体では最下位、スポーツに関しての指数も低いことから、他都市に先駆けて検討を行い意思表示を行うことが参画する方法です。
和歌山県では、県営紀三井寺球場にナイター設備を設置する方向で進んでいます。アマチュアレベルなのでプロ野球の開催は無理なのですが、仮にプロ仕様としても和歌山市の市場規模では公式戦の誘致は難しいのです。プロ野球が来ることが最高のパフォーマンスなのですが、それが無理なら照明設備をプロ仕様にする必要性はないので県の姿勢は正解で、それよりも設備を活かす方法を地域として考えなくてはなりません。高校野球では活かせますが、それ以外の活用方法を考えることが地域としての課題です。
平日に球場を活用でき人を集められる方法のひとつが、独立リーグのチームを持つことです。勿論、地域での受け入れ態勢や技術レベルによって動員力は異なりますから、チームを持つだけで活性化か図れるものではありません。二軍の試合で集客するのは難しい状況ですから、高校野球よりも少し上のレベル程度と予想される独立リーグでは、技術だけで観客集めるのは難しいのです。
地域で受け入れてもらうことが地域活性化ですから、そのために野球教室を開催するだとか、地元小中学校に出向いて技術指導するなどの地域貢献活動をチームとして実施する必要があります。或いは和歌山出身の選手を集めたチームとしてサポート体制を敷くなどのチーム作りも必要です。和歌山では高校卒業後野球を続ける環境がないため、どうしても高校卒業後県外に行ってしまう選手が多いのです。でも大学卒業後に和歌山に戻ってプレー続けたいと思っている選手も多いのです。そのような熱意がある選手を独立リーグとして受け入れプロを目指ざしてもらうのは夢のあることです。
地域活性化には経済的側面と夢の両方が必要です。経済だけを追求しても、一部に利益が集中するだけで地域としての盛り上がりにはなりません。イベントは一過性のものに過ぎないので、文化として後々地域に定着しません。地域色があり継続性のあるものを和歌山市に持ってきて、据えることが継続性のある地域活性化につながります。プロスポーツは地域活性化につなげることが出来ますから、誘致できると信じて呼びかけていきます。
平成17年8月6日から8日の3日間、和歌山県下16会場で少年野球大会を開催します。子どもと一緒に保護者も和歌山に来てくれますから経済的効果もあります。何よりも野球文化を和歌山が持っていることを県外の人達にアピール出来ることが大きな利点です。
プロスポーツや少年へのスポーツ指導で、和歌山に住む人の意識を変え地域活性化につなげたいものです。
【市政報告】
夕方6時から短時間ですが市政報告を実施しました。以下発言の要旨です。
和歌山市長は新春記者会見で「まず城より始めよ」とキャッチフレーズを発表し、和歌山城を中心とした観光施策を重点にすることを打ち出しました。一方和歌山県では、熊野を中心して健康村構想を持ち、県外からの集客を重点としています。県と和歌山市が役割分担を図り観光を重点と取り上げるのは良いことですから、後は和歌山市が県と連携を図ることが必要です。何故なら和歌山城だけでは観光資源になり得ないからです。
先週、横浜での統合医療展で、熊野は知っていても和歌山市を知っている人は少なかったと感じました。世界遺産として価値が認められた「熊野」「KUMANO」は世界に発信できるブランドですが和歌山城にはそれがありません。
和歌山市が今まで以上に観光に取り組むのであれば、熊野と連携した誘致施策を考える必要があります。熊野は日帰りでも長期的リゾートでもないスローステイ(SLOW STAY)を目指していますから、和歌浦や加太への新しい産業としての付加価値を持った観光を前面に打ち出すなど、方法によってはその方達に和歌山市に来てもらうことは可能です。単に今ある観光資源の設備をリニューアルするだけでは、絶対に観光効果はないと断言出来ます。
健康サービス産業を確立し自然の中で心身がよみがえる感覚を提供することが、和歌山市の観光です。改修や展示物入れ替え、イベントなどで、和歌山市の文化と自然の豊かさを提供することはありませんから、観光の柱にするソフトが重要です。
県と和歌山市、そして知識を持った民間が協働することでこの課題を打破できますから、その役割を果たして行きたく所存です。
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1月 25日(火) 「札幌市健康づくり事業団視察」 |
健康な高齢者であり続けるための対策として、希望する高齢者に対して筋力トレーニングを行っているのが札幌市健康づくり事業団です。平成14年度から、法改正を睨んで全国に先駆けて取り組みを行っています。
75歳を超えると後期高齢者と呼ばれ、誰でも心身の機能が低下してきます。膝の伸展や屈曲力は20歳代と比較すると60%程度まで低下してきます。歩くのが困難になる高齢者が多いのは足の筋肉が衰えるためです。このように脚筋力が歩行速度に関係しています。
歩く速度は高齢者の身体機能をもっとも反映する指標のひとつで、通常の高齢者は早足で1分間に120mを歩きます。虚弱高齢者だと1分間で80m程度の距離になります。歩行速度が遅くなると安定しないため転倒する危険も増しますから、脚の筋肉を維持することが健康な日常生活を過ごすためにも必要なことです。
高齢者の脚が弱るのは、外出してもすることがないため家に引きこもってしまうことも原因となっています。家にいるから歩かない、脚の筋力が衰える、余計に歩かない循環になります。そこで札幌市として高齢者運動プログラムを提供することで外出の機会を付与し、介護予防として筋力トレーニングで健康の維持を図ってもらおうとしています。
筋力トレーニングは、研修を受けた健康運動指導士や理学療法士が行います。マシンを使ったトレーニングの他、理学療法への対応もなされています。
結果としてトレーニングを受けた高齢者は、脚の筋力が増し歩行速度は高まっています。この施設で200日と以上の後期高齢者に指導しデータを取った結果、後期高齢者であってもトレーニングによって筋力を維持し改善することが可能なことが示されています。それに伴い活力や心の健康も改善し、心理的効果も見られています。高齢者の健康維持を図るためには、生命レベルとして心身機能を維持すること、個人生活レベルとして活動出来ること、人生レベルとして社会参加することが必要ですが、札幌市の取り組みは心身機能の維持を図ることを目的としています。その後は高齢者自らが日常生活を充実させるために社会参画を図り人生の質を高める必要があります。
人生の質を高めるに当たっては、健康でどこにでも一人で行けることが大前提です。健康に活動することで精神面でも充実します。人生の質を高める指標としてQOL(Quality of Life)尺度が8項目あります。身体機能、日常役割機能、体の痛み、全体的健康感、活力、社会生活機能、精神役割機能、心の健康の項目です。
これらはアンケートで調査しますが、本施設で筋力トレーニングを受けた高齢者のQOLは高まっています。未だ1年だけの検証ですが、札幌市が提供している筋力トレーニングにより身体機能は向上し、その結果活動性の向上、そして社会参加が促進されQOLの高まりにより人生の質が向上していると言えます。 今後はデイサービスなどにも筋力トレーニングが導入される見通しです。
適切なプログラムと専門員によるトレーニングを行えば、身体機能が向上し精神面でも効果がありますが、知識のない人が携わるとQOL指標の向上は期待出来ません。今後の課題として介護専門と運動を同じ施設で取り入れるのか、別の機関が行うのか検証していく必要があります。
札幌市健康づくり事業団の運営については、3,000万円を全額札幌市が出資し、年間運営費用の内、約70%弱を札幌市が負担しています。高齢者の健康維持を目的とした事業のため、施設の一般利用料金を通常の30%程度に抑えているため、 |
(札幌市健康づくり事業団) |
(大雪の札幌市) |
この補填は仕方ないものですが、他都市で取り入れるためには財政負担も課題となります。
札幌市の道路の脇には雪が2mから3mも積もっています。除雪のための予算は25億円程度あったようですか、昨年から雪が多かったため既に予算を消化してしまったため、十分な除雪が出来なくなっています。雪の予算対策を行う必要がある都市と比較して、南国である和歌山市は恵まれています。気候条件に恵まれていますから、和歌山市のまちづくりは雪国よりも容易だと感じた次第です。 |
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1月 24日(月) 「ニセコ町視察」 |
逢坂誠二町長で有名なニセコ町へ視察に行きました。逢坂町長は改革派首長として全国に名前が通っています。残念ながら風邪ひきのため急遽面談は出来なかったのですが、代わりに片山課長がニセコ町政を話してくれたのを聞くだけで意識改革が出来ていることを感じました。職員さんが自信を持って町政を熱く語り、自分の言葉で逢坂町長が取り組んできた施策と歩みを話してくれたことから分かります。まちづくりのテーマは「住むことが誇りに思えるまちづくり」で、目標は町民と行政との情報の共有、行政の透明性の確保、住民主体の町政の実現の三点です。これを目指してまちづくりが進んでいます。
今に至るまでに取り組んでいる事業は数多くありますから全てを記載しませんが、主なものだけ紹介します。 |
(ニセコ町役場にて) |
「まちづくり町民講座」として、町の課長が講師となり1時間程度講義を行い、後1時間程度町民と懇談します。当初、課長は直接出向くことを嫌ったそうです。それは課長が町民からの要望を聞いても実行する権限は町長が有しているため、只の使い走りになるからです。
それに対して町長は、町民の率直な意見を聞いてトップに意見具申する、或いは長の施策を立案する際の活かすことで町政に反映は可能とした上で実行したものです。ニセコ町の課長になると年収800万円程度あります。それは皆さんの税金からいただいているのだから意見を聞いて反映させるのは当然だとしています。
その他にも5以上の町民が集まれば、町長や課長と懇談が出来る「まちづくりトーク」制度、予算広聴の機会となる「まちづくり懇談会」などを実施しています。
【予算書の見方】
特筆は町民に対して予算をお知らせするために作成している「もっと知りたいことしの仕事」です。これは町の予算説明書ですが、分かりやすいように事業別にどれだけ予算使おうとしているのか明記しています。通常、地方自治体の予算書は事業毎に予算が分かるのではなく、所管の部課単位で必要経費を計上する形です。そのため、部門がまたがっている事業の場合は総額が分かりません。これを解消し分かりやすい形にした上で全戸配布しています。和歌山市でも例に漏れず事業総額は分かりにくくなっています。事業毎の予算書作成は労力を要するため実現出来ていません。それがニセコ町では出来ています。片山課長に尋ねると「どこの地方自体体でも、誰でもやる気があれば出来る」との回答でした。分かりやすく説明する気があれば簡単に出来ると言い切ってくれました。地方自体体の規模は全く関係ないのです。
規模の大きい横浜市でもニセコ町方式を取り入れ「ヨサンノミカタ」を作成するなど、多くの地方自体体でも採用されつつあり、小さなまちから予算書が変わり始めています。
濃い平準化という言葉を町長は使っています。この意味するところは、誰かが突出することで全体のレベルを上げることです。レベルの低いところに合わせに行かないで、ひとつが抜き出てそれを追従してもらう競い合いをすることで全体は良くなります。
【情報公開】
情報公開が進まない理由は、情報を公開すると今まで情報を握っていた人と受ける立場の人が対等になり優位性が保たれないことからです。この行政場合、地方自治体の担当者が町民と対等になるのを恐れているからです。情報を知らない町民からすると、まちのことで分からないことがあれば役場の職員に聞くと何でも知っていますから、やはり行政の人は偉いなぁとなります。ところが情報公開が進むと町の情報なら既に分かっています。そうなると町民に偉いなぁと思わせるには、人格や感性の豊かさ、思いやりなどが必要となります。
つまり人間性を磨いておくことが町民から尊敬されるために必要となります。本当の意味での人格者だけが尊敬を集められるので、自発的に仕事以外の努力を行うことが求められます。人はレベルの低いところで平均を求めたほうが楽ですから、仕事以外に自分を高めるための努力をしない方に流されます。情報を非公開にすることは、職員が人間性を磨かなくても優位性がありますから、レベルの低いところで仕事が出来ますから楽なのです。
情報公開は、お互いに情報を共有できる以外に仕事と人間性のレベルを上げることにも役立ちます。
【会議】
会議とは公開の場で話し合うことです。公開すると本音が言えないという人がいますが、公共の場で言えない本音はありません。言えない本音とは、特定の人に特定の便宜を図る目的があるか、人に知られたくないしがらみがある、脅しがあるなどのものです。それらが言えない本音ですから、会議は公開した方が本音の議論が出来ます。
職員の裁量的秘密主義とも呼べる、住民から預かったお金で運営して得られる情報を隠して良いのかが問題です。基本的には公務にプライバシーはありません。だから公の務めなのです。
【責任】
町の広報誌や町民に差し出す封筒には職員の氏名を記載しています。これは自分の仕事に責任を持って対応するためです。広報誌の掲載記事に職員の氏名を記載しているのは聞いたことがありませんが、署名記事は責任を持たせるのに最適な方法です。匿名記事は責任逃れとなりますから、職員の意識改革の面からも効果がありそうです。
また特別職に就任する際には、議会で所信表明の演説を行い町の広報誌にそれを掲載しています。助役や教育長が自分のやりたいことを公表することで責任がもてます。名前を名乗り顔が見えることが責任を持って仕事をする第一歩です。
職員が自信を持って自分のまちを語れるのは、当然のことですが素晴らしいことです。小さいまちや地方都市に行くと、誇りを持って自分達が取り組んでいる施策を語れる人は案外少ないのです。ニセコ町の場合、逢坂町長と意識改革を進めてきた10年があるから、その過程を話せるのです。今すぐに45歳以上の職員がいなくなれば、ニセコ町は更に良くなると話してくれました。
若手職員にも聞くと、若手は全員やる気を持ってニセコ町に来ていますと答えてくれました。採用の際に言われた言葉があると話してくれました。職員を一人雇用すると定年までに3億円も支払う必要があるように、町は高い買い物をする訳です。やる気のある人を採用するのは当然ですし、コネで選ぶことはしません。
【ニセコリゾート観光協会】
(株式会社ニセコリゾート) |
全国で初めて観光協会を株式会社にしたのがニセコ町です。設立は2003年9月1日、資本金は2,000万円で半分を町が出資。残りは1株5万円で120人の株主に引き受けてもらっています。ペンション経営者など個人株主が80%あり、町で観光に関わっている人で支えている株式会社となっています。株式会社にしたことで職員の意識は変わっています。予算1万円を使うためには、100万円程度儲けなければという意識を持ち始めています。町から出向してきた人が話してくれました。 |
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1月 23日(日) 「視察出発」 |
ニセコ町と札幌市健康づくり事業団、2箇所の先進地取り組み調査に出発。関西空港からニセコ町までは、和歌山市を12時に出発し、ニセコ町に到着したのは夜の9時になっていました。マイナス5度の寒さで、今年初めて見る雪は豪雪でした。
ニセコ町の逢坂誠二町長は、全国で始めて地方自治体の憲法ともいえる「ニセコ町まちづくり条例」を制定したことで一躍有名になりました。平成12年12月27日に制定され、翌平成13年4月1日に施行されています。その条例の精神は明日逢坂町長から聞くことにしています。
その逢坂町長は就任以来毎朝、町職員さんに町長室日記を配信しています。初回は平成9年11月15日からですから、配信された日記は1,500回を超えています。日記を書くのは毎朝5時50分に役場へ登庁してからです。出張がない限り、毎朝5時50分には町長席に座っているようです。席では新聞8紙を読み、関心のある記事や職 |
(逢坂町長の町長室日記) |
員さんに知ってもらいたい記事を抽出し日記を書いているようです。
日記を毎日書いている人は信頼出来る人です。何があっても書き続けるのは強い精神力と何かの動機が必要です。何も目的がないのに書き続けることは出来ません。逢坂町長の場合は、少しでも職員さんに成長してもらいたいとの思いが行動に移されているようです。それでも7年間、継続してきた精神力は凄いものです。一日一日の積み重ねが大きなものになるのは当然のことですが、逢坂町長の日記はまとめられて「町長室日記」のタイトルの本になっています。
7年前から消えることない情熱を持ち続けている逢坂町長とはどのような人物なのか、期待が膨らみます。
ところでこの視察に関してニセコ町に宿泊するのですが、宿泊の手配と旅程は株式会社ニセコリゾート観光協会が行ってくれています。ニセコ町視察に関しての手配はこの株式会社が窓口になるしくみです。観光協会を株式会社にしたのはニセコ町が初めてですが、親切な対応で従来の組織と意識が異なる感じがします。ニセコ町の視察に来てもらうのだからニセコ町に宿泊していただく、その手配を町のことを最もよく知っている観光協会がお世話をするのは、よそから来る人をおもてなしする気持ちがあるからです。勿論、ニセコ町が設立した株式会社ですから、収益を上げさせるために窓口にしているのでしょうが、
町長を商品として視察をオーダーメイドのパック旅行商品と捉えているのは見習うべきものです。
ニセコ町はリゾート地として夏も冬も優れた観光地ですが、観光資源に逢坂誠二という町長があります。先進的な取り組みをしていたり、人間的魅力のある首長がいる地方自治体には多くの人が訪れます。
先日訪れた清水市長がいる太田市には年間140件も公式な視察を受け入れています。明日行くニセコ町には年間200件もの視察が訪れています。首長が人を引きつけてくれる、それだけでも経済効果があります。
それに加えて改革派首長同士の横の連携があると聞きます。知事や市長、町村長に関係なく交流の機会を持ち情報交換を行い、他都市の良いところは取り入れる度量を秘めています。共通しているのは情報公開と、既成概念としがらみにとらわれない施策を実行していることです。小さな地方自治体が少しずつ変わることで県が変わります。県が変わる国を動かすことが出来ます。動くかどうかは分からないけれども、そう信じてまず実行している首長は、当然名前が出てきます。逢坂町長は北海道知事候補にも名前が挙がったことがありますし、和歌山県の木村知事も交流していると聞いたことがあります。どこにいても人物は世に出てくるようです。
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1月 22日(土) 「福崎空中広場」 |
大阪市福崎に、子どもたちが集えて活用出来る施設「福崎空中広場」が竣工しました。従来の建物とはイメージが異なる斬新な設計と素材を使用しています。バリアフリーとして二階に行くのに階段はなくスラロームがあるだけの作りです。外部から入るためのドアはスライド方式で、建物内の部屋は全て透明のカーテンで仕切られていて個室化させていません。全て子どもの視線で、ここで集う子どもたちを考えた作りです。
(NPO総会の議長を務めました) |
本日は主催と運営するNPO法人の通常総会を開催し、竣工のお披露目を行いました。通常総会では議長に選出していただき議案の提案を行いました。
議案は第1号が「福崎空中広場」の運営について。第2号が平成17年度事業計画について、第3号が役員体制の承認についてです。福崎空中広場は、甲南女子大学のサテライトキャンパスとして、国際子ども学研究センターの活動の場としても活用します。
議案は構成員により全て可決されました。
引き続いて、竣工を記念して養老孟司先生の講演会を開催、「子 |
どもがわくわくする街を」をテーマに話していただきました。講演の主旨は次の通りです。
人は価値のないものは作らないのです。例えば私達が子どもの頃にはどこの地域でもあった池は、造成されたため姿を消しています。水生物とも遊べる子どもにとって貴重な遊び場でしたが誰も復元しようとしません。それは大人にとって価値がないからです。子どものモノを削って、大人が価値ありと認めたものだけを作っています。その結果、都会など人工のまちには、人が価値を認めるものだけが存在します。雑草やゴキブリは人が見えるところには |
(養老孟司先生のお話) |
存在しなくなります。人が意識しているもの以外は存在してはならない厳しい世界となっています。
一方、世界遺産になるような自然は、かつて人は何も活用しなかった、或いは開発しなかったことから自然のままで残されています。それが価値を持ち出したものです。
世界は人工の世界に向かっていますが、この二つの状態は存在しています。ところが、この二つの間にある層が消えました。田や里山などがそれに該当するように、人が手を加えることで存在していたものです。手入れが必要なものが姿を消しています。手入れとは、人が何か行為をすると人が思っているような結果が出ることです。ひまわりの種を蒔くと時期が来るとひまわりが咲くように自分の行為が結果として現れます。
現代社会はボタンを押せば直ぐに結果が出るものばかりになっています。ボタンを押すだけで結果が出たら因果関係が分かりません。行動と結果の因果関係が分からない社会に子どもは育っていることが問題です。手順の要ることはしない、させない状況ですから何も出来なくなります。「ああすれば、こうなる」世界があるだけです。
実は1000年以上もこのような中間層の時代が続いて来たのです。現代ほど自然を大切に思っていなかったし、人工の都市もなかったことから分かります。世界は人工のものに向かっていますから、子どものためにも手を加えることの大切さを復活させる必要があります。
大人が、子どもが何もしない、出来ない社会にしてしまったのです。
現在社会にあるものは殆どのことは、何十年も研究されているので新しい発見は少なくなっています。だから新しいことをするためには見方を変える必要があります。見方を変えると見えるものも変わってきます。
人もそうです。人は変わるのが普通です。だから人を変える仕事が大切で、教育は人を育て変化させる大切な仕事です。個性を大切にと言いますが、個性を大切にすると人は変われなくなります。個性とは天性的な固有のものですから、必ず他人と違うものです。オンリーワンの自分は個性的ですから、個性が大切だとすると、変えることは悪いことになります。教育は人を変えていくものですから、個性を大切にする方針になると、教育は飾りとなってしまいます。本来の人を育て変えていくための教育はなくなってしまいます。
人は変わるのが基本です。学び何かに挑戦することで変わりながら、自分を見つける人生の旅をしています。色々な分野を学び経験することで、自分だけが出来ることを発見出来たらそれを生涯の仕事にします。その結果が、この道一筋と言われるようになります。
何も経験していない最初から、一つのことを行う生き方をこの道ひと筋とは言いません。
養老先生は65歳になってようやく本が売れました。努力、根性、辛抱が要ったようです。
成果が出るか否か分からないものを続けるには相当な辛抱が必要です。やり続けることの尊さと難しさが分かります。
最後に、養老先生の若い時の経験で役立つ話を紹介します。
解剖学を専攻していたため、解剖の実習を行うには死体が必要でした。
(選任されたNPO理事とスタッフ) |
養老先生は自分で病院に行って死体を運ぶことをしていました。死に向き合い解剖のために死体を提供してくれた方に感謝しながらそれを運ぶことも自分の仕事です。自分のやるべきことなのに、死体運びは嫌だから他人に任せるのでは姿勢がおかしいのです。嫌なことは人に任せる仕事をしている人は信頼されませんし自分のものになりません。
自分のやるべきことの中で、嫌な部分や面倒な箇所を他人にやってもらい、最後の仕上げだけをするのでは、自分を変えることは出来ませんし、それだけの人だという評価を受けるだけです。 |
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1月 21日(金) 「統合医療展」 |
横浜市パシフィコ横浜で「統合医療展」が開催され和歌山県として参加してきました。
最近は、代替医療が浸透していますが、更に統合医療の普及、定着を図るために平成17年度はその幕開けとして位置づけられています。今回は日本統合医療学会が主催した本行事に和歌山県の持つ癒しの地としての魅力を訴えるための取り組みを行ったものです。
和歌山県の熊野地域で熊野健康村構想(仮称)があり計画を講じています。熊野地域は世界遺産に登録された場所でもあり、自然と文化に彩られた特長を活かすことで予防医療につながる要素があります。この健康村構想を中心に医療関係者に認知していただくことが出来たものと思います。健康村構想は、心身の健康と観光を結びつけることにより、新しい健康サービスを和歌山県に訪れてくれる人に提供したいと考えているものです。世界遺産である熊野地域を舞台に、熊野古道ウォークや温泉、森林浴を取り入れたプログラムや商品を開発しています。また熊野古道ウォーキングによるストレス解消度合いや血液成分に変化があるかなどの実証研究活動を行っています。熊野古道モニターツアー参加者は200名を越えていて、本年度末を目途に成果をまとめる予定です。
医療関係者の展示や発表が多い中、地方自治体からの参加は異色で注目を集めました。和歌山県と言うと、高野・熊野の世界遺産を知っている方がほとんどで、改めて世界遺産に指定されたことの知名度向上に驚きました。そして実際に訪れた経験のある人も多かったのが印象的です。 |
(熊野健康村構想)
(熊野古道関連事業)
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ただ今回は医療関係者が来場しているため、観光にはそれほど関心がなく、熊野古道という資源を予防医療としてどのように活用するかがポイントでした。癒しや蘇りの言葉で注目を集めている熊野ですが、自然の中でゆったりと過ごすことが果たして健康維持、回復に効果があるのかの検証はありません。観光することがストレス解消につながるというデータは全国どこにもない筈です。その取り組みを和歌山県では行っているのですから、説明した後の参加者の関心は高まったと感じています。
熊野は長期滞在型でもなく日帰りでもない、その間を狙った中期滞在のスローステイを提案することで活かされます。ゆったりと流れる時間を、しばらくの間過ごしていただくことで、心身機能を高めてもらいます。現在調査中の熊野古道ウォーキングの成果を今後訪れてくれる人に提供することで、その心身機能の高まりを医学的に裏づけていきます。
癒し、蘇りを医学的見地に基づいた数値を発表することで、熊野の存在価値を高めたいものです。それが出来たら熊野からKUMANOへ、その価値は世界級となります。
予防医療を提供する観光のあり方を地方自治体から提言することは、確実に一歩を踏み出したもので意義があるものです。熊野が誇れるのは観光地としての魅力ではなく、文化の深さであり精神文化としての背景があるからです。
(スタッフの皆と。) |
聖地と呼ばれる場所は、単にここを聖地にしようと決めたのではなく、土地の持つエネルギーがあるから多くの人々が来るようになった筈です。そのように、人々が感じ取ったエネルギーを予防医療として活用することで、健康を提供することが現代の熊野のあり方です。
今回の出展では、和歌山県と熊野について十分な広報が出来たという感覚があります。良いスタッフが組めたこともその要因のひとつです。今までになかった医療分野に観光和歌山が突入しました。 |
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1月 20日(木) 「平成17年度和歌山市の特徴的な取り組み」 |
市長新春記者会見の内容についての質問があり質疑内容を確認。スローガンは「城より始めよ」で、この意味するところは、リーダーにあるべき者は自ら率先して物事を始めることを表した「塊より始めよ」を少し触ったものです。
確認したところでは、城からはじめるのは和歌山城を拠点とした観光振興策のようです。平成20年に天守閣再建50周年を迎えることから築城420年、徳川吉宗藩主就任300年に該当する平成17年から、和歌山城に焦点を当てたイベントと文化的催しを行い、観光都市和歌山として「創造的発展」(市長の発表の言葉を引用しました。以下「」で囲んだものは市長の発言した言葉を表します)につなげる施策のようです。
ところが展示物が古いので取り替えるとか、道を整備するなどの答えをしたのですが、具体的取り組みについての言及はなかったようです。まだ予算編成前でもあり、平成20年を目指した観光施策のため今すぐの具体化は無理ですが、市長が訴えている「市民とともに考えるまちづくりと観光」を連携させた思い切った取り組みを期待したいものです。
他にも触れている施策について紹介します。和歌山市が直面している危機は「東南海・南海地震と津波」そして「財政危機」です。この「非常事態」に対して「行政改革」と「財政改革」に取り組むこととしています。
それらの課題に取り組む一方でまちの活性化策を示しています。それは「観光を切り口に本市の体力づくり」を進める考えです。その大きな柱は先に触れた「城より始めよ」となります。
平成17年4月には、ロイネットホテル和歌山がオープンすることから、中心市街地の活性化に明るい兆しが出てきました。そこで「中心市街地活性化基本計画」の実現に向けた取り組みにより、動き出す年にする意欲を示しています。
加えて「世界遺産の玄関口」となる和歌山市ですから、「片男波から雑賀崎」にかけての海岸美を売り出します。併せて、マリンスポーツの拠点として「ナショナル・トレーニングセンター」の誘致を行います。磯ノ浦から加太、友が島にかけての地域を「京阪神に最も近い島」として観光に力点を置く予定です。
「コンベンションの誘致」と「フィルムコミッション」「和歌山大学観光学部の設置」も観光によるまちづくりの基になるものです。
まちづくりは市民が作るものだと言う視点から、市が行うべき公益事業について市民グループからの提案を募り、優秀な提案については提案者が実施主体とする「和歌山の底力・市民提案実施事業」を実施する予定です。この新規施策の枠組みはこれから策定するため、公募時期は現在のところ未定です。
市長の言葉で締めくくります。「まず、城より始めよ、をキーワードとしたお城を起点とするまちづくりと観光の融合」を目指した取り組みを行うことが、平成17年度和歌山市の
取り組みです。
この発表内容についての懇談を数人と行いました。既存の観光資源を活かすだけで観光客増加は望めるのか。観光客を増加させるためには、和歌山市独自のソフトを重ね合わせることが不可欠ですが、その観点が欠けているのではないかなどの議論を交わしました。
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1月 19日(水) 「帰ってから」 |
総務委員会から帰りました。他都市を訪れて特長のある事例を説明していただき質疑で理解を深めることは意義のあることです。直接会って意見交換することで、資料にはない事柄や細かいニュアンスも知ることが出来ます。
何よりも知識や新しい発想は、自身の経験に基づきその中から組み合わせたものに起因するものが多いのは事実です。基本的には経験が多い人程発想は豊かです。行ったことのない市を訪れる、施策に直接関わっている担当者に会うことは新しい経験ですから、そこから生み出されるものは必ずあります。
現地を訪れる経験と、資料やデータによる研究を組み合わせることが行政調査の基本になります。
「久遠の祈り展」の案内状が届きました。これは和歌浦妹背山の多宝塔地下石室から経石発掘調査事業が進められていますが、その2次調査迄の全容を展示するものです。「ねむりをさました石の数々、石に込められた想いとは」をテーマに、平成17年2月11日から13日の間、和歌の浦アートキューブで開催されます。
和歌山にある写真クラブの展覧会が、平成17年2月4日から9日の間開催されます。
先日も作品を選んでいる会員に会いましたが、今日は会場となる場所で会長と出会いました。
開会が迫ってきたので準備、会場との打ち合わせを行っているようです。
津波災害に対して日頃から意識を高めるため、沿岸部を持つ地方自治体では電柱に津波の高さを表示している所が増えています。和歌山市内でも防災意識の高い所からは相談もあります。表示板の取り付け作業は簡単ですが、条例により各地方自治体での規制の違いと各種団体への手続きが必要なため、取り組み事例と導入実績も調査中です。
来月2月の当初に3件の懇談日程を入れましたが、あと1件は日程が合いませんでした。建設的な意見交換の機会は最も大切ですから日程が折り合えば実施していきます。ただ1月と2月の日程はタイトになっていて、家にいない日が多いので調整出来ない場合はご容赦下さい。
大橋市長の新春定例記者会見の内容に関心のある人が多いようです。貴志川線問題については発言の真意を知りたいとのご意見と、和歌山城の整備と観光の拠点とすることについての内容確認がありました。市の課題に関心を持っていただけるのは有難い事ですので、詳しく調べて見ます。
市政報告レポートについてご意見をいただきました。第17号では、今までの市議会での活動について箇条書きをしていますが、一行だけでも取り組みの主旨を記載してくれたらより理解し易いと言うものです。例えば「貴志川線問題について」の項目では、「貴志川線の存続に対する問題提起をしました」など少し補足することで発言の主旨が分かるとのアドバイスです。出張中にも拘らず、出先からも気にして意見をいただいたことに感謝しています。
懇談会の日程打ち合わせと、教育問題について資料をいただくために、二つの関係箇所をお邪魔しました。少しだけ打ち合わせをするにも、実際に面談することで得られるものはあります。
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1月 18日(火)
「先進事例調査・市税未納者への行政サービス制限」 |
二日目は群馬県太田市の視察です。太田市も我孫子市と同様改革派市長のいる市として全国で存在感があります。視察項目は「税のサービス制限について」「行政評価システムについて」です。
(太田市議会場にて。) |
太田市の清水聖義市長は、市役所は一番のサービス業として捉え太田市経営方針を定めています。
経営方針は、市民の目線で考えること、質の高い行政サービスを目指すこと、経営資源を有効に活用すること、成果を検証し改善することの4点です。毎朝各職場では経営方針を呼称しているため、行政サービス意識が浸透しています。各種の取り組みが行われていますが、本日は市税の滞納者に対して市が独自に行っている行政サービスを制限する施策を導入している点について説明を受けました。 |
導入に至った考え方は、行政サービスを受けたければ市税を納めるという義務を果たすべきだとするものです。95%の市民が善良な納税者ですから悪質な人に対して行政サービスを制限することは多くの市民から歓迎で受け入れられました。
この制度導入のきっかけは次のようなものです。ある年、太田市で功労者表彰を受ける人の名簿を見た職員さんが、該当者の中に市税滞納者がいることに気づき、功労者表彰を受ける人が税金を納めていないのはおかしいと問題提起したことです。同じような指摘が職員さんから複数あったことを受け、市では検討を開始しました。平成8年に行政サービス制限について取り組むことを決定し、平成9年4月1日から実施しています。
行政サービスを制限しているのは全部で15項目。これらの行政サービスを受けようと申請があれば、市税を納めているかの調査を行います。その結果未納であれば、当該行政サービスを受けることは出来ません。未納者が行政サービスを受けようとすれば、原則として完納する必要があります。
今では太田市内の銀行窓口でも、融資担当者が銀行資金借入者に対して納税指導をしてくれていることから、行政サービス申請前に納税を済ませている人が増えています。これらの取り組みの結果、群馬県内で滞納率がワースト1位だったのが向上し始めています。
併せて、平成12年4月から行政評価システムを導入したことにより管理職の意識が向上しています。今までは道路を作るのに経営管理は要らないと発言していたのが、経営方針があるのは当然のことと捉えているなど意識は高まっています。
太田市では朝礼で経営方針を唱和していますが、視察に訪れたある市でも朝礼で市の方針を唱和することを取り入れようとしたところ労使交渉で揉めてしまったそうです。太田市では市民サービスのために意識改革は当然としていますが、他都市が形だけを導入しようとしても上手く行かない事例です。意識の差は歴然としていると説明者が語ってくれました。
太田市では平成16年4月以来、朝礼の場において毎日、課長職が朝のスピーチを発表しています。今では朝礼ネタは700件も積み重なったため、「あの太田市の課長たち」という冊子に掲載して出版しています。取り組みが形として残り始めるに至っています。
「あの」は改革派市長で全国的に有名な太田市を指す「あの」です。あの太田市は市長だけではなく、中間管理職の課長も意識改革の先頭に立っていることを宣言しています。
太田市清水市長は職員さんに対して、やらない理由を考える前にやれる理由を考えろと指示しています。そして書類の決裁は市長のサインとしているため、廊下や職場においても了解を得られたら、市長はペンを取り出して決裁してくれます。迅速性を感じ取れる事例です。
人事面でも、時期課長に登用する人材は現場経験を踏ませるために、支所や連絡所に異動させています。市民に近いところが重要職場であるとの意識があるからです。
このように、職員さんの意識を変えることが行政改革につながると考えた取り組みは成果を出しています。
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1月 17日(月) 「先進事例調査・公募による補助金決定」 |
総務委員会で千葉県我孫子市と群馬県太田市の視察に出掛けました。初日は我孫子市の視察で調査内容は「補助金の公募と市民審査について」です。
我孫子市では過去からの補助金は継続し続けたため、財政難から新しい取り組みに対しての補助金は交付されなくなる事態となりました。平成9年度、平成10年度には行政改革の一環とて補助金の見直しを図り打ち切り対象を決定したのですが、抵抗勢力があり1件も廃止にすることは出来ませんでした。 |
(我孫子市議会にて。) |
1件も止められなかったことから抜本的な見直しを図り制度化することにしました。
それは、平成11年度迄の我孫子市単独の補助金を白紙に戻し、平成12年度からは既得権を認めずに新規申請分と同じ審査を行い補助金対象の決定する取り組みを始めましたことです。我孫子市の補助金予算は2億円です。
全国でも初めてのこの取り組みの特長は次の三点です。
一点目は、審査を通過し補助金対象となっても補助金の交付は最長でも3年間と期限を設け、4年目には白紙に戻すというものです。4年目には他の補助金と同様に審査にかけられ、定着したものや時代にマッチしなくなったものは補助金対象とはなりません。
二点目は公募性とした点です。
三点目は市民により構成された補助金等検討委員会を設置し、委員会で補助金交付の要否を決定するしくみを設けていることです。委員は5名で任期は3年としています。
委員は市内のいずれの団体に属していない利害関係のない人で構成され、審査は補助金審査判定基準に基づき客観的に行います。
判定基準は、時代にマッチしたものか否かの時代度、実現・目的達成可能度、創造性、我孫子らしさ、の4項目で、3段階の評点をつけ、5名の審査委員の合計点で補助対象とすべきかどうかを判断します。
この制度による利点は次のようなものです。補助金を必要とする背景が整理でき団体の概要も浮き彫りとなりました。市民から選出された委員会により補助金交付要否を決定するため公平性を保つことができました。そして既得権の排除が行え、新しい市民の動きに対応して補助金を交付することが可能となりました。
このように審査結果を明らかにすることで既得権を排除でき、自由競争になったことが大きな成果です。財政問題は過去の事業を全て一旦白紙に戻し、情報公開した上で継続要否を検討するなど抜本的な対策が必要です。逆に言うと、情報不開示で既得権を保ったままでは財政改革は行えないのです。
補助金改革はトップのリーダーシップと職員さんのやり遂げる意欲があってこそ成し得た施策です。
他の話題として、我孫子市での高齢化進展が議論されました。都市でも構成人員の高齢化により、リタイアした市民が何をすべきかが大きな問題となっています。ただ市政や行政を批判するだけの人に終わるのか、自らサービスを提供する人になるのか、どちらの割合が多いかによって市のあり方は大きく違ってきます。これから数年でリタイアする方達は団塊の世代で経験と知識を有した層です。この世代がNPO活動やボランティア活動に参加してくれると市は活性化します。経験と知識を活かすことが活性化を図る上で大きな比重を占めていますから、どの地方都市でも解決すべき課題となります。
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1月 16日(日) 「卒論制作」 |
【年賀会】
地元自治会連合会の年賀会は各地域の役員60名が出席した会合となり、大橋市長の参加もありました。席上、市長は貴志川線問題に触れ、存続のために行政負担をする意欲を示してくれました。今日付けの各新聞には、昨日の定例記者会見の記事が掲載されていて、貴志川線問題がどうなっているのは分からないと、朝から問い合わせがあっただけに前向きな発言に安心した方が多かったようです。
和歌山城に関しては、今頃和歌山城をどうするのかと疑問視する声が聞かれました。理由は、整備するのであれば世界文化遺産に合わせて取り組んでおくべきだったこと、
市の行く先を考えるのであれば、和歌山城周辺を整備したところで観光客増加につながらないことがあります。
将来の和歌山市を築く本筋としては、若い人が活躍できる場面の創出と、和歌山市を特長づける取り組みが長期的観点で市民が求めている施策です。
【サービスのあり方】
旅先で感動した事例話をふたつ。
ひとつは都会のホテルに宿泊した時のこと、食事を済ませて夜部屋に入るとソファーに花一輪と一口チョコレートが添えられていました。これを見た宿泊客はホテルからのメッセージを「今日一日お疲れ様でした。チョコレートを食べてゆっくり休んで下さい」と読み取ったそうです。言葉で感謝の意を表すサービスは良いは間違いありません。それ以上に言葉で言わなくても、従業員と顔を合わさなくてもお客さんへのメッセージが届くのが極上のサービスであると言います。
もうひとつも良く似た事例です。場所は九州の温泉地の旅館ですが、夕食後に部屋に入ると枕元に花一輪が添えられていたのです。この花一輪があることで疲れがとれ、癒されたと言います。これ以上のサービスに出会ったことがないと言い切っています。
どちらも花一輪がホテルからのおもてなしのメッセージを伝える役割を担っています。お金を使わなくてもお辞儀だけを繰り返さなくても、お客さんをお迎えする気持ちはこれだけの演出で伝わります。
サービス産業のあるべき姿を教えてくれます。
【卒業要件】
昨年から出席している政治専科本科生の卒業に関する通知をいただきました。最初の参加は夏の暑い時期だったのに、もう寒い新年を向かえ2月卒業となりますから、月日の過ぎ去る早さに驚いています。
卒業単位を修得するためには、指定テキスト論文と研究論文が必要となっています。指定テキスト論文は仕上げて提出しましたが、後は研究論文のテーマを決めて仕上げることを残すだけです。
指定テキスト論文については高い評価をいただき合格となりました。活動の合間を縫って論文を仕上げるのは結構大変ですが、仕上げると満足感を得られますし、考える力をつけるために必要な訓練なので、あと一本の制作に取り掛かります。
毎年新しい挑戦をすることで自分を高められます。
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1月 15日(土) 「対話から」 |
今日も色々な方とお会いでき懇談の機会を得られたことに感謝しています。冷たい風と昼前から降り出した雨で厳しい寒さの中、暖かく迎え入れてくれた方々からの人生の示唆に富んだお話をいくつか紹介します。
病気で少し体を蝕まれていたDさん。血色の良い明るい笑顔で迎えてくれました。健康の秘訣は趣味を持つことと笑顔だと感じさせてくれます。病気だからと暗い顔をして気を病んでいると益々体調は崩れてしまいます。笑顔があると気持ちも明るくなりますから、気によってある程度病魔を克服することも可能であることを感じます。
以前よりは顔も少しふっくらしていて、快方に向かっている様子が分かります。好きなお酒は控えているようですが、貴志川線でお池遊園へ遊びに行くなど外出も再開しています。お宅は貴志川線沿線からは離れていますが、貴志川線廃線問題はご存知で、観光名所と成り得る素材が沿線にあるのだから、それを活かす工夫があれば再生できるのではと、ご意見もいただきました。
新会社で運営となれば、今までと違う視点での経営が必要となります。地域の方々との協調や地域資源を活かす方法を考える必要が出てきます。
定年を迎えて最近和歌山市に帰ってきたIさんは、現役時代と全く変わらずに元気です。
和歌山を4年間離れていました。赴任地で和歌山出身だと言っても、どの様なまちか知っている人は少ないと語ってくれました。和歌山城は知らない、徳川吉宗は知っているけれども紀州出身であることは知られていません。余り特徴のない市であると認知されています。お城では姫路城や松本城などが既に名城として名を成しているため、和歌山城を観光の拠点として売り出しても対抗は難しいようです。景観を整備しても集客には結びつきませんからソフト面を充実させることが求められます。歴史的背景を話してくれる語り部さんに常勤してもらうこともそのひとつです。幸い和歌山市には熱心な語り部さんがいますから枠組みを作るのは可能です。ハードやイベントではないおもてなし体制を期待しています。
さて経営者として一番大切だと思ったことは、従業員にやる気を持たせることだと言います。上からの命令では一時的に成果はあがるだけで、持続可能な発展とするためにはやる気を持たせること、大きな損出の可能性がなければ、従業員のアイデアを誉めて採用することです。少しの失敗とやる気を削ぐことを天秤で量れば、やる気を削ぐことの方が大きなデメリットとなります。やる気が創意工夫を呼び起こしますから前向きに取り組む姿勢が生まれます。
ホテル経営の場合、宿泊していただくと1人当たり2万円程度頂戴できるので、宿泊客に来てもらうのが大切なのは当然ですが、それで安心しているだけでは利益は生み出せません。宿泊客に売店でお土産を購入していただくことで利益を増大出来ます。宿泊の場合、迎え入れてから送り出すまでのサービスが必要ですが、お土産の場合は数分で利益をあげられますから効率的です。そこで買っていただける工夫をすることが大切です。そのためには現場にいない経営者が指示しても実際が分からないから駄目で、現場にいる従業員が工夫すべきことです。
経営者は従業員に対して、先進事例視察の機会やアイデアの採用、売り上げに応じた成果配分などをすべきです。それがやる気を持たせることにつながります。
従業員は経営者から現場を任されることで責任と義務を持ち、利益を生み出すことと自分たちの生活が直結していることを理解します。
両輪が役割を果たすことで利益が生み出せます。このホテルはその後黒字転換を果たしました。
Mさんの趣味は写真です。2月の展覧会出展のために精力的に撮影を行っています。新年から富士山に宿泊しての朝焼けの赤富士の撮影、祇園に出かけて芸子さんの新年挨拶の様子を撮影、成人の日には平安神宮で成人式の模様を撮影と各地に出かけています。目的があると日々の生活にも張りが出ます。趣味と健康維持が見事に直結しています。
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1月 14日(金) 「指圧の心」 |
【地域開発】
民間同士で、和歌山市内の地域開発の方向性について打ち合わせ。私達は具体的な案を持って話し合いを行います。必要経費も算出し諸条件なども洗い出してあるべき姿を描いて具体化させていきますから、夢だけを話し合う会合にはなりません。頑張れば叶う夢を描きながら話を進めています。
【指圧】
東洋医学のひとつである指圧は浪越徳治郎さんが生みと育ての親です。浪越さんの母親がリウマチで苦しむため、子どもながらに母親の体の痛みをほぐすために、さすったりもんだりしていました。そうしている内に指で圧すと痛みが抑えられることが出来たため、浪越さんは指圧と命名し、病気に苦しむ人のために役立てました。その後1940年に日本指圧専門学校を設立していますが、これが日本唯一、指圧を学べる学校です。
予防医学の重岡さんと対談。 |
浪越さんが指圧で病気の人を治しているのを知り福岡から状況、学校が設立する前に弟子入りしたのが重岡さんです。その技術を身につけて病気で苦しんでいる人を助けたいという気持ちからです。その後日本指圧専門学校で学び、首都圏で指圧を施していました。
ところが60歳を機に、心機一転それまで住んだことのない和歌山市に移転しました。福岡生まれで東京や千葉で仕事をしていたのに和歌山市にやってきたのです。顧客のある地域にいれば技術があるため安定した生活を約束されていたのですが、知っている人が少ない和歌山市で人生の仕上げをしたいと思ってやって来たのです。 |
和歌山市はよみがえりの地であることから、指圧によりここに住む人に健全な心身を与えたいと願ってのものでした。人間研究、人間再生を目指して予防医学を普及させるために活動しています。
高野・熊野が世界文化遺産になって頃に和歌山で活動を開始したことも何かの因果がありそうです。熊野は身分や地位、貴賎や性別は全く関係なく人々を受け入れてきた懐の深い地です。単なる観光地として観光客を集客するのではなく、歴史的事実に基づく精神文化を伝え感じ取ってもらうことで奥深さを理解してもらうことに価値があります。熊野の観光ブームが一過性に終わるのか、リピート性を持つことが出来るのかは、方向性をどこに定めるかで明暗を分けます。今年の取り組みが重要ですが、予防医学を取り入れることでよみがえりの地としての価値を持たせることも可能です。
そこで指圧とは、人間の本来持っている回復機能を最大限に活かそうとするものです。人間には、傷つけられても病気になっても自然に回復する機能が備わっていますから、悪いところを施術などで切り取るのではなくて、自然治癒力を高めるためのお手伝いをするものです。
心身は結びついていますから、体を良くすれば病んだ心も回復しるのです。怪我の場合、程度にもよりますが、大きな怪我でも三ヶ月あれば回復させることが可能だと言いますから驚きです。精神状態も良くしますから、社会的ひきこもりや不登校から脱却させるためにも効果があります。
指圧の感触を確かめるため腕を圧してもらいました。親指でゆっくりと圧しますから痛くありません。時間をかけて筋肉をゆるめてから強く圧をかけます。痛いところがあればそこが弱っているのです。柔らかい良い筋肉をしていると評価してくれましたが、胃腸に注意するようにアドバイスをいただきました。精神面では、ストレスが溜まる神経回路に少し感触が残っていますが、上手く発散させていることに驚いていました。通常ならもっとストレスが溜まってもおかしくないのに上手く抜けているそうです。相手の目をしっかりと見て話をしていることや気分転換を自然に行える性質が要因だそうです。
安心しましたが、ストレスが溜まると胃を直撃しますから注意が必要です。
このように相手の体に触れることで、その人の性質や体の状態を見抜いてしまいます。
【年賀会】
地域協議会の年賀会が市内のホテルであり出席しました。大橋市長も会合を掛け持ちで忙しい中、挨拶に駆けつけてくれました。人が集まって大きな声で話し合うことだけでも元気が出ます。
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1月 13日(木) 「伝統芸能」 |
【津波対策】
津波対策として地域で出来ることはないのか話し合いました。和歌山県下において複数の地方自治体で、沿岸部の電柱に海抜と津波が襲ってきた時の波の高さを表示しています。
非常時の備えになりますし、生活している方がその表示が毎日視界に入ってくることで注意喚起を行えます。
行政任せにしないで災害防止のための自発的な取り組みは大歓迎です。
【懇談の実施】
地域活動を行っている方と昼食を取りました。長年に亘る社会人生活を振り返っての話をいただきました。話を伺うと、社会の仕組みも人の性質も変化していて時代は変わっていることが分かります。時代を乗り越えて来た人からの経験談は、立場や職種に関係なく後輩に対する贈り物となります。
【伝統芸能】
伝統芸能を地域に浸透、継続させるのは長い年月と根気が必要です。日本の伝統が失われつつある現代、まして習得が困難な芸術を継続するのは並大抵のことではありません。
長唄もそのひとつです。伝統芸能は長年続いてきただけに技を習得するのは、人生の全てを賭ける程の熱意と粘りが必要です。それでも全てを一生で習得出来るものではありません。それ程奥深いのがわが国で続いている伝統芸能です。
師匠になっても学び続ける、或いはそれ以上に弟子時代よりも一層稽古を行う必要があります。技能を向上させると同時に、新しい技術を身につける努力を怠らないことが教える立場でいる人に求められます。師匠でも勉強を怠った途端に置いていかれます。弟子を指導するためには、弟子に与え続けられる技を常に吸収し、弟子が追いついてきても更に差を広げておく位の研鑽が必要です。
弟子との差が縮まるようでは師であり続けることは出来ません。師であり続けるためには家元で稽古を続けることです。一流の人が集まる中で稽古をすることだけが、一流であり続けられる秘訣です。ある程度のレベルに到達すると、一流の人から学ばないと一流にはなれません。
和歌山市にいる先生は、継続的に東京の家元に稽古に通っていますし、毎日の稽古を怠ることはありません。何万回という演奏の上で一曲演奏するだけの技術が習得出来ます。
トップは自分を磨くための努力は惜しみませんし、熱意と時間とお金を注ぎ込みます。
一流の先生は人生の中で進むべき道を見つけ、それに自分の人生を賭けているだけに意気込みは別次元の高さです。数ある選択肢の中から好きなひとつの道を見つけて生涯に亘って技を磨き続ける姿勢に触れると、私のやっていることはまだまだ甘いと認識させられます。トップレベルの人でもそれを維持するために時間とお金をかけ、何年も初心の頃の熱意を保ち続けているのです。ひとつのことを十年継続すればどの分野でも一流になれると言いますがそれだけでは足りません。一流になるためには、どこまで極めたいのか明確に理想を描く必要があります。その途中には挫折がありますが、それを何度でも乗り越えられるだけの熱意の継続が不可欠です。
上に行けば行く程、格上の師匠に師事する必要がありますから経済的負担もありますし、
到達点も高くなります。もうこの辺りでいいやと思った段階で成長は止まります。
芸術は地方にいると不利になります。東京だと毎日のように演奏会が行われ、一流の人に接することが出来ます。観客も通のため観客からも鍛えられます。和歌山市では伝統芸能に接するのは一年に一回程度の演奏会だけで、しかも一流の組み合わせとはなっていません。その環境の中でレベルを維持し普及活動を行うのは至難の技です。
それをやり遂げることを新しい目標にした先生がいます。どれ程大変なことなのか、議員の例を出して示してくれました。
和歌山市議会議員でいる人がアメリカに渡って、英語も話せない、土地勘もない、人も知らない状況で、州議員に立候補するようなものだそうです。それ程、地方にいながら技を維持し底辺を拡大させるのは困難なことなのです。
でも一歩ずつ取り組みたいと希望を語ってくれました。義理で演奏会のチケット10枚買ってもらうよりも、1人でも良いから関心のある人に来てもらいたいのが本音です。伝統文化を理解していない人に聴いてもらうのと理解している人に聴いてもらうのでは意味は全く異なります。そして、その人から伝統文化への興味が地域に拡がることを期待しています。時間と費用と情熱が必要ですが、高い理想を描くことで理想は現実に向かい始めます。
和歌山市にまたひとつ灯りが灯りました。
夜は恒例の勉強会メンバー15名による意見交換会を開催。専門分野が異なる方達との懇談は勉強になります。会場としている店のマスターの渾身の新メニューをいただきながら刺激し合いました。
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1月 12日(水) 「寒さの中の一日」 |
【可能性】
和歌山市のシンガー佐野安佳里さんと懇談の機会を持ちました。佐野さんは現在21歳、和歌山市和歌浦出身、才能溢れる若手でその歌声は聴く人を魅了します。2004年秋、軽井沢ラブソングアワードで優秀賞を受賞するなどその才能は認められています。
経済が主食だとしたら音楽はビタミンのようなもので、一見重要度は低く感じますが無ければ元気がなくなります。まちも経済成長と財政問題だけを重要視するようでは元気が無くなります。
歌があることで雰囲気は一変することがあります。歌声でまちを元気にしてくれる人の存在は大切にしたいものです。
【愛・地球博】
劇団ふるさときゃらばんでは、 愛知万博「愛・地球博」で、8月12日から9月1日の間ミュージカルを上演します。上演に当たって全国から市民出演者をオーディションで募集しています。募集人員は40人から60人程度、7月下旬から愛知県内で行われる稽古と全てのステージに参加できることが条件です。和歌山市からも参加者希望者を募ってほしいと相談があり、寒い中、和歌山市までお越しいただきました。万国博覧会のステージに参加するチャンスがありますので、条件が合えば検討してみて下さい。
【市議会だより編集委員会】
市議会だよりの編集委員会がありました。12月定例会号の発行と編集内容について議題をしました。2月下旬自治会を通じて配布されますので、文字数は少ないのですが市議会での質疑について確認いただければ幸いです。
【会合】
数人の方と「社会人であるために」をテーマに会合を持ちました。例え気分が乗らなくても役割を与えられたら、その役割を果たすために全力を尽くすのが社会人のマナーだとひとつの結論が出ました。昨今の集まりでは、責任回避のため役を引き受けたがらない人が増えています。唯でさえ慌しい社会なのに、何の利益も出ない役割を引き受ける人は少ないのです。効率主義、成果主義が社会に蔓延している中では、損得が判断するものさしとなっているようです。
でも、会社以外の社会奉仕的団体で役割を与えられるのは、周囲から信頼されている証拠なので、可能であれば引き受けて責任を果たすことで更に信頼は深まります。その結果、余計に仕事が増えそうですが、人の能力は向上するため能力の容量は増え、仕事を増やしても結構何とかなるものです。一見関係のない仕事でも根っ子でつながっていることがあり、組み合わせによっては複数を同時に行うことも可能です。
見ていないようで周囲は私達の言動を見ていますから、信頼されて社会的な役割を任せられたら引き受けることです。
【打ち合わせ】
春のある式典について内容を打ち合わせ。ある程度社会で成功した人の最大の悩みは人づくり、後継者育成です。優れた実績や技術を身に付いても、引き継がないことには一代で途切れてしまいます。一定の年齢になると人材育成がトップの大きな課題ですが、一番難しいのがこの点です。組織を永続させるにも人材次第ですから、常にやる気のある人を入れ技術を残していくことが求められます。
ただ熱意があっても継続出来る人材は少なく、一人前になる前に挫折する人が多いようです。ただリーダーとしてすべきことは従業員と触れ合うことです。頑張っている人がいると、リーダーが肩や手に触れて励ましの言葉を贈るだけで従業員は感激し、やる気を呼び覚まします。欠点を指摘し人をけなすリーダーは多いのですが、褒めるリーダーは少ないのです。従業員の良いことを見つけて、スキンシップをとりながら言葉をかけることが大切です。勿論、普段からのコミュニケーションを図っておかないと、セクハラになるのは当然ですから注意が必要ですが。
【市民図書館の職員さん】
数日前に知りえた出来事について話をするため市民図書館に赴きました。その出来事とは、ある音楽家が既に絶版となっている音楽冊子を和歌山市民図書館で見つけたのです。しかし市民図書館にある本は市民の財産ですから、対価を支払ったとしても個人に譲る訳にはいかないのです。この方は、あちらこちらで本を探したのですがどこにもありませんでした。後日、市民図書館からこの音楽家に電話があり、東京の古本屋に一冊在庫があると教えてくれ入手出来たのです。そこまで探してくれるのは市民図書館としての仕事範囲を超えた思いやりのあるものでした。
この応対をした人はどんな人だろうと挨拶に伺ったのですが、謙虚な方でこの案件をしっかりと覚えてくれていました。親切に応対をした職員さんの存在を、市のトップにも知ってもらいたいのです。地道に職務を遂行している人の存在があるから信頼が成り立っています。一言でも上司からの言葉が欲しいと願っています。
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1月 11日(火) 「進歩」 |
某首長との意見交換会の日程調整と、国から表彰を受けた方の報告会についての打ち合わせを実施。新春は明るい話題が似合いますし、前向きな打ち合わせは心を元気にしてくれます。
凍えるような寒さの中、大阪市内で関西各地域からの地方議員と国会議員の集まりがあり参加してきました。
学ぶことの意味を知るのは生きることとは何なのかと同じで、これは永遠の課題ですから人によって答えは様々です。
これを考えるに当たってヒントになるものを紹介します。
一つ目は昨年NHKで放映された、生物の進化の過程を辿った番組での事例です。
人類、つまりホモサピエンスは今から5万年前に誕生しましたが、その頃人類と良く似た種族も存在していました。ネアンデルタール人がそうですが、種は途絶えてしまいました。ホモサピエンスが進化したのに対してネアンデルタール人が絶滅したのには理由があります。
二つの種族を分けたのは声帯のある位置でした。私たち人類の声帯は長くて言葉になる母音を発音することが可能だったのに対して、ネアンデルタール人の生態は短くて母音を発音できなかったのです。声帯の長さ、つまり言葉を話せることが両者を分けたのです。
火を使うことや狩りの方法は、生き残る上では枝葉の部分だったのです。何故言葉が明暗を分けたのか、それは言葉とは、地域内や同世代間ではコミュニケーションの道具であり、長期的には世代を超えて自分たちの叡智を伝えることが出来る手段だったからです。
前者の例として、狩りをする場合、言葉を話せると獲物が逃げていく方向を別の人に伝えることが可能となり、共同で獲物を追い込むなど狩猟方法すら変化させます。言葉がないと別の人に正確に思いを伝えることが出来ないため、単独で獲物を追いかけるだけとなり気候変動や獲物の状況に対応することは難しいのです。
後者の例として、狩猟方法を確立すれば、言葉や絵でその方法を記すことで、後世に自分たちの知恵を継承することが出来ます。後世の人はその先人の知恵を基にした狩猟を行えるので効率的な狩りが出来る上、その知恵を基にして改良を加えることで更に手法を発展させることが出来ます。これが進歩につながります。
これに対して、ネアンデルタール人が狩猟生活で習得の知恵は一代限りのものになります。その人が亡くなれば知恵は継承されることはありませんから、後の世代も最初から狩猟生活をスタートさせることになります。この差は進歩と絶命へと向かうほど非常に大きなものです。
言葉はコミュニケーションの手段と、世代を超えて叡智を伝える手段として重要なものであることが分かります。
言葉は世代を超えて伝えてくれたものですから、他人に発する一言でも大切にしなければなりません。今では生活の手段としてだけではなく、言葉で人に勇気を与え、人を救うことも出来ます。私達の知恵は、言葉で残すことによって次の世代に伝えることが出来ますし、生きた証にもなります。言葉を残さないと自分の子どもには伝えることは出来ても、その次の世代や社会に対しては何も残せません。自分が存在したことで何か進歩につなげられたことを社会に残すのは、生きている理由のひとつであると思います。
残すものは大層なものである必要は全くありません。おいしい味噌汁の作り方や綺麗な織物の編み方、自分が気づいた生活の知恵などは素晴らしい後世への贈り物となります。
言葉を大切にしたいものです。
二つ目は東邦大学の川島隆太教授の考え方です。これは著書からそのまま引用します。
「われわれの義務として後世の人たちにバトンを渡さなくてはならないわけですから、先人たちが作り上げてきた知恵を学ばなくてはなりません。さらに、先人たちの知恵の上に何か新しい知恵をつけて後世の人たちに渡してやることが、そのチェーンの中にいるわれわれの義務だろうと考えています。そのためにこそ、学ぶ必要があるのです。」(出典「子どもを賢くする脳の鍛え方2003.6.20」)
川島教授は、これを指して生きる本質であると提言しています。
私達は、世代を超えて仕事をしようと大きく思うと、自分の生きている意味を見失う恐れがあり、日々の営みを小さく感じるためこれを目標にするのは適切ではありません。本質を知った上で、自分が何をすれば良いのか目標に落とし込む必要があります。多分その目標は、自分がやっていて楽しいことが到達したところにあると思います。目標は、自分の好きなことに意味を持たすことが出来ますし、到達に向かうことで毎日が充実します。
その結果がどうあれ、目標に向かったことは生きた証になりますし、その分野を少しでも進展させることは、人類進化のチェーンの中にいたことを示してくれます。
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1月 10日(月) 「女性の時代」 |
夕方から6名で、地球レベル、人類レベルで私達を取り巻く課題について懇談会を実施。
有識者からは、サミットでも経済問題よりも環境問題を重視する方向に変わっている指摘がありました。貴志川線問題についても地域として存続させることで、60歳以上の人が関わることになり、電車を利用する子どもと世代を超えたコミュニケーションの場ができ、お互いに学ぶことが出来ます。
田中角栄元首相が自民党幹事長時代に、鉄道の線路は敷いておくだけで役に立つと話したことがあります。これは鉄道が経済成長の一翼を担うことは当然のこととして、その先に来る経済成長の限界を見込んだ上、環境の時代の到来を予測したものです。鉄道は自動車よりも環境保全に資するのは共通の認識ですから、如何に時代の先を読めるかがリーダーにとって大切な資質です。経済的効率だけで廃線とするのは短絡的です。
さて世相についての議論です。現代社会は間違いなく女性の時代が到来しています。戦後をリードしてきた男性社会との違いが現れてきていますが、それは日本にとって良い兆しです。男性社会では、悪いことを悪いと言わなかった、或いは言えない空気がありました。むしろ、法を上手く破ることが実力者だと評価されていました。
女性社会ではこれと逆の価値観を持ちます。母親は毎日子どもの事を考えるので安心を第一とするため日々の出来事に100%を求めます。現実の社会では考えにくい100%の安全と安心を判断の基本とするため違法行為は通用しません。日本が暴走するのに歯止めをかけているのが女性だという考え方です。
これに対して男性社会では、10年先を見越して物事を進めるため対象の不安要素があっても前に進めますから、根本的に発想を転換する必要があります。
男性は会社の中で生きているため、経営者によって価値観を左右されます。その価値観は特定の会社だけで通用しても社会では通用しないものです。狭められた価値観は社会の変化に対応出来ません。社会は変化しているのに会社の変化速度が遅いため、会社での不祥事が多発しています。
女性、特に母親は子どもと孫と接する機会が多く、世代と共に成長していきます。その結果、世代を超えて通用する価値観を有することになりますから、価値観は決定的に異なります。
価値観が異なる社会が到来しているのですから、今までの発想では通用しないことが分かります。都市部では既に新しい世紀に入っていますが、地方に行くと未だ過渡期で古い体質から脱却しきれていないため発展を阻害しています。女性の社会進出が進んでいるところから景気低迷から抜け出していて、女性が活躍していない地域は低迷を続けています。
経済的特性や地理的条件ではなく、新しい社会の価値観から地域経済を観察するとこうなります。
もうひとつ面白い視点があります。インフレを抑えているのは女性だという説です。買い物をする女性は広告やチラシで小売店の価格を比較して、距離が遠くても10円でも安い店に向かいます。同じ商品なら安いものを購入する消費性向が価格の安定につながり、インフレを抑えていると言うものです。これに対する論拠は見たことがないため推測の域ですが、女性の買い物が社会の安定につながっているかも知れないという仮説です。
このように視点を変えると価値観が変わります。
同じ視点で和歌山県を見ます。東京から来たジャーナリストから、和歌山県の特長はと聞かれたので、今年登録された高野・熊野の世界文化遺産があることですと答えました。では和歌山市の特長はと聞かれたら、答えに窮しました。自然、福祉の充実、NPO活動などが挙げられますが、強いて和歌山市だけの特長ではありません。例えば、自然の中での健康サービス産業や、プロ野球独立リーグが地域主導で発足している、虐待や社会的ひきこもりに対応するための教育施設を関西で始めて設立した、ペットと一緒に公共施設や公共交通に乗り入れ出来る、などがあれば特長になりますが、ここだけの他都市に自慢できる一品がありません。
世界を巡ってきた経験を持つ東京のジャーナリストからすると、和歌山市の様に温帯に位置していて自然環境が整っている都市は他に無いと言うのです。四季折々の恵みがあるだけで価値があり、四季を通じてマウンテンウオッチングが出来る環境は守るべきものだと言います。
仮の話ですが、日本の49都道府県をバラバラにして世界の国に売却するとすれば、どの都道府県が最も高く売れるかと質問がありました。答え。一番高く売れるのが和歌山県、二番目は岩手県が正解です。その理由は、人口密度が低く人工のものが少ないことです。
つまり世界から見れば、自然が残されていることに価値があるとされているのです。サミットにおいても、経済よりも環境を重視する時代であることを認識すべきです。
それにしてもこの評価は和歌山県全体を指してのものですから、和歌山市の特長を一言で表すと何になるのか、良い解答を示したいものです。
最後の話題は水です。水は日本が誇るべき資源です。世界では飲み水が豊富にある国は少ないのです。飲める水で洗濯したり車を洗ったりしている国は殆んどありません。
水は最低5回使用するのが世界の常識となっています。口を洗う、顔を洗う、手を洗う、食器を洗う、そして洗濯をする、の5回です。豊富な水資源を大切にするにも環境保全が大切です。参考までに、雨水が地面に浸透して飲めるようになるには300年の時間が必要だと言われています。
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1月 9日(日) 「音楽文化」 |
本日は新年恒例の消防出初式が和歌山城であり出席しました。寒風の中、心身とも引き締まりました。
和歌山市に文化がないと良く言われますが、音楽に携わっている人もそう感じている人が多いようです。和歌山市でも小さい頃から音楽を始めている人はいますが、ある時期に来ると止めてしまいます。プロのミュージシャンを目指したり、大成するためには継続することが必要ですがその環境がありません。
東京の音楽に関係する機関の人は、全国の主要都市で音楽を目指している子ども達のために、音楽科を設けている高校がどの地域でもあると思っていたと言う話があります。中央の音楽関係者からすると全国的にはそれが常識なのですが、和歌山市に住んでいる限り、高校に音楽科がないのが常識となっています。音楽家を目指すのであれば、他府県の専門学校に進むか先生について個人レッスンを続ける形になります。
普通高校に進学すると音楽指導から遠ざかりますから、才能があっても途切れてしまいます。才能を伸ばす環境のない所からは、人材が育たないことが理解出来る事例です。和歌山市で音楽家を目指す子どもは少ないのが現状ですが、少数の才能を埋もれさすのは地域として勿体ないことです。
和歌山市のある音楽家は、ギター一本でピアノを習ったことがありませんでした。作曲ではヘ音記号が必要だそうで、ピアノが弾けないことで大変苦労をしています。作曲の先生から、何故ピアノを習わなかったのか質問されたのですが、和歌山市には音楽科を持つ学校がないため、好きなギター一本でやってきたと答えたそうです。大学などの音楽科に進むにはピアノが必須ですから音楽家を目指す人はピアノを学びます。和歌山市にいるとその常識がないため機会を逸するのです。
音楽でも絵画でもスポーツでも、才能を磨き育ててくれる環境を持つまちは文化水準の高い豊かなまちです。音楽はなくても生きていけますが、生活に潤いや安らぎを与えてくれるビタミン剤のようなものですから生活に不可欠です。
和歌山市で音楽活動をするのは決して易しいことではないのです。あるギタリストは東京と大阪でレッスンと作曲などの理論教育を受けています。クラシックギターの大家であるジョン・ウィリアムスの直接の弟子が大阪市にいます。その方に習っているので孫弟子に当たりますが、そのような世界第一級の人物に師事した人からレッスンを受ける環境は自分で能動的に作る必要があります。和歌山市にいては、きっかけもないことは寂しい事実です。
ギターは演奏者の経験や感性が表現されますから、同じ曲でも伝える力は異なります。社会で苦労した経験は音楽にも反映されますから面白いものです。多くの経験はどの分野に生きる人でも役立つ時が来るのです。
そしてどの程度まで上達したいのか、目標を持つことで到達レベルは異なってくるようです。自分でレベルを決めて練習することで上達します。つまり到達点を自分で決められるのです。言い方を変えると、限界点を決めているのは自分の意思となりますから、自分の意思で範囲を決めない限り可能性は無限です。
音楽に関心のないまちで、ひとつ良い話しを聞きました。ある人が既に絶版となっている音楽冊子を和歌山市民図書館で見つけた時のことです。著作権法上コピーは出来ませんから、入手するためは市民図書館から譲り受けるしかありません。しかし市民図書館にある本は市民の財産ですから、対価を支払ったとしても個人に譲る訳にはいかないのです。例外を作ると、どんな本でも譲って欲しいと頼まれたら譲らなくてはならなくなります。
そこで市民図書館から譲ってもらうことを諦めて、インターネットも含めて探したのですがどこにもありませんでした。ある日市民図書館からこの方に電話が入り、東京のある古本屋に一冊在庫があると教えてくれたのです。市民図書館の担当者が、あちらこちらを探してくれていたのです。その古本屋に問い合わせて何とか入手出来ることになりました。
市民図書館の担当者にお礼を言ったところ、それが仕事ですからお礼には及びませんと、礼儀正しい態度だったようです。そこまで探してくれるのは市民図書館としての仕事範囲を超えた思いやりのあるものです。定例的な仕事だけではなく、相手の心情を察しての心のある応対はちょっと良い話です。
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1月 8日(土) 「陰山英男先生」 |
和歌山市教育委員会主催の講演会があり出席しました。講師は広島県尾道市立土堂小学校の陰山秀男校長先生です。テーマは「学ぶ力と生きる力」です。講演の主旨は次の通りです。
学校教育の問題点
・その1現場を知らないこと。
出生率は1.29と過去最低の数字となっていて近い将来は見通せる情況ですが、その現状を認識されていません。それはトップがけ現場を知らないことが原因です。 |
(陰山校長先生の講演) |
企業でも日産のゴーン社長、松下電器産業の松下氏、ホンダの本田氏は、トップが常に現場に入り状況を知ることで方針を示していました。トップが現場を知ることで正しい方向性が定められます。
教育現場ではそうなっていないのが現実です。教育委員会や首長が学校現場に入らないので公教育の現実を把握していないのです。一例として中学校の地理の学習ではヨーロッパの国のことを一カ国だけしか教えていません。ある教科書ではフランスを取り上げています。その書き出しは次のようなものです。「アキラくんはカマンベールチーズを食べてフランスに興味を持ちました」これが教科書の書き出しですから驚きます。
・その2問題に対して批判を恐れていること。
理科の教科書ではフレミングの法則の記述がありません。これは詰め込み教育の弊害が言われてゆとり教育としたことから暗記学習は追放されているからです。暗記学習が批判されるから、問題となった暗記学習を追放することで批判を避けようとする態度です。問題の核心に踏み込んでいないためこれでは問題は解決出来ません。
・その3結果として対処療法となっている。
批判されないために、ありとあらゆる暗記部分を無くしています。お互いの家庭は学校を、学校は教育委員会を批判していますが、批判を止めて伸ばすことを考えるべきです。
学力低下が言われ始めたのは「分数ができない大学生」が出版された1999年6月です。著者は西村和雄京都大学教授ですから震源地は京都大学です。しかし京都大学の学生が勉強していない筈はなく、勉強をしているのに学力が低下している事が問題だったのです。
このような学力、体力、気力の低下が、子ども達の生きる力を低下させています。この3つの力の低下は昭和60年から始まっています。この当時の時代背景に問題が潜んでいます。
安いテレビが発売されたことで、テレビが一人一台となり家族内でも個別化が図られ、深夜化につながりました。テレビゲームソフトのドラクエVが発売され380万本も売れました。当時の小学生は800万人でしたから、2つの家庭で1本購入されていた計算です。兄弟、姉妹がいることを勘案すると、家庭にはそれ以上の浸透度があったと推定出来ます。
レンタルビデオがヒットしたのもこの頃で、私達の睡眠時間が低下していきました。公立学校が荒廃し、お受験が言われたのもこの頃です。
二極分化、ゲーム全盛、塾通い、睡眠時間の低下が特徴でしたが、教育に対する批判は受験競争だけに向かいました。そのために基礎学習が嫌われたのです。嫌われる反復学習により、考える力を司っている脳の前頭前野の鍛錬不足となりました。
対処療法になっている弊害の事例があります。
小学校では背筋テストを行っていません。最近の小学生は体力が低下しているため、背筋テストをするとぎっくり腰になる恐れがあるのです。そのため背筋テストを取り止めました。背筋テストは危ない→背筋力を測らない→背筋力の数値が分からない→社会問題にならない、という構図です。学校が生徒に怪我をさせると問題になりますが、実施しなければ問題は潜在化するため社会問題になりません。
実はそのことが最大の問題なのですが、批判されないために当面隠しておこうとする体質があります。
学習時間の低下も問題です。小学校6年生における主要4教科の学習時間は、1971年には3,941時間だったのが2002年では2,941時間となり、実に1,000時間も減少しています。
学力低下を解決するためには、家庭と学校が連携する必要があります。家庭においては生活環境を変えることです。変えるべき項目は、テレビを見る時間を1日2時間以内に押さえること。早寝早起きを実施する。夜は9時台に寝て朝は6時台に起きることです。これらを実践することにより必ず学力は向上します。家庭環境を変えるための猶予は1年です。2年かけて変えようと思ったらもう駄目で、1年で家庭環境を変える覚悟が必要です。
家庭環境を変えると、挨拶が大きな声で出来るようになります。挨拶が出来ると活発に遊び始めます。友達と遊ぶことでコミュニケーション能力が向上します。その結果、人間関係が安定するので不登校や精神面での問題は無くなります。
脳は筋肉と同じで使えば使うほど鍛えられます。読み書き計算で脳のトレーニングを行うことで基礎学力がつきます。ゆるぎない基礎学力の上に立った教育を行うことで学力は向上します。
家庭環境改善と基礎学力向上のための脳のトレーニングが生きる力を高めてくれます。これは子どもだけの問題ではなく大人も同様です。学力、体力、気力を保つことは社会生活を営む上でも大切なことで、社会を活性化させるためには、大人も生きる力をもう一度身につけることが求められています。
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1月 7日(金) 「新春のつどい」 |
【新年の懇談会】
11時から午後3時まで、10人の女性グループと新年懇談会を開催しました。昨年の議会活動の報告と抱負などを話し合いました。議員の立場としての基本的な立ち位置は、皆さんの意見を聞く中から自分なりに課題を抽出し検証した上で、議会で提言していくことです。単なる挨拶だけではなく、今回もたくさんの意見を聞かせていただきました。
懇談の最後に、ある先生が作成した和歌山市中心部再生計画についてのアンケートをとりました。短い設問ですが経済的価値について考えさせられるもので、設問項目について解説を加えながら一問ずつ回答していただきました。アンケートの解説をしながら市の課題について話し合いをすることは効果的な手法です。まちづくりについて考える契機となります。普段はあまり考えない活性化案について意見交換出来たので、ここから関心が広がることを期待しています。
【新春のつどい】
午後6時15分からは新春の集いを開催し約300人が集まりました。
集会では、和歌山市の若手シンガー佐野安佳里さんをゲストに迎えて、ミニコンサートから入りました。佐野さんには3曲を演奏していただきました。始めて作詞作曲した曲の「月もいない夜」、軽井沢ラブソングアワードで優秀賞を受賞した曲「紅色」、 2004年全国マルチメディア祭「It’s a beautiful day」のテーマ曲で、世界文化遺産となった熊野をイメージして作られた「祈り」の3曲です。リズムカルで力強い声とピアノも、歌詞も聴く人に訴える力を持っています。佐野さんの歌を初めて聴く参加者も魅了されていったようです。
佐野安佳里さんの経歴と人物像を簡単に紹介します。
佐野さんは1984年1月5日生まれの21歳。和歌山市和歌浦出身、3歳からピアノを習い始めています。高校時代からR&Bを中心とした楽曲やライブ活動を開始、地元和歌山は勿論、東京や名古屋でもライブ活動を行ってきました。2004年には関西で有名なFM802のカウントダウンライブにも出演、2004年秋、軽井沢ラ
(体から溢れ出すソウルの響き) |
ブソングアワードで優秀賞を受賞するなど活動の領域は拡がっています。
力強く甘く切ない歌声で、ピアノ演奏の時に全身から溢れ出している激情は私達の心を捉えます。佐野さんの歌を聴くと詩の意味を大切にしていることが良く分かります。意味が体に沁み込んでくるようで、耳や頭から入るのではなく体が声と音を感じ取ってくれるような不思議な感覚です。小さい体からは予想出来ない程、魂と力の込められた声が響きます。一度ライブを聴いた人はその歌声に魅了される筈です。 |
2004年はニューヨークでボイスレッスンを受け4オクターブの音域に磨きをかけてきました。部屋には「前向き、後ろは決して向くな」の張り紙を掲げ、今年はメジャーデビューを目指しています。自分の曲を安売りしたくないと信念を持ち、評価されるようになってから全国デビューする意向です。和製マライア・キャリーと言われることもあるように、生き方を歌に込めるよう心掛けているようです。
2004年全国マルチメディア祭「It’s a beautiful day」のテーマ曲として3曲作詞作曲しています。「 祈り」「 夕暮れ時のくじら雲」「 白い砂」の3曲です。これらの曲は、東京、ニューヨークの関係者にも届くところとなっていて、和歌山市から全国に羽ばたいて欲しいと願っています。若い才能が伸びようとするのを見ていると気持ちがよく、応援する側もパワーをもらえます。優れた才能を社会に送り出すことは、周囲で応援する私達の務めです。未完成の若い才能を知りえた人が大切に育て、大きくなろうとする頃には社会に放つことで、より大きな才能となります。
大きな才能が社会に出ることで、その才能(佐野さんの場合は歌声で)に励まされる人や勇気づけられる人は必ずいます。
ただ社会と言う所は、伸びようとする才能に対して反対のベクトルも働いてきます。伸び行く途中にはそれから守ってあげ、北風にも飛ばされない実力と地位を築いた時に、再び故郷のために歌って欲しいものです。
険しいプロの道を歩み始めている佐野安佳里さんが大成する日を見守るつもりです。伸びる力に接することは楽しいものです。
さて新春のつどいでの私の挨拶の要旨は次の通りです。
佐野さんの歌良いですね、聴いて私達も力をもらえるようです。伸びようとする若い才能が上手く和歌山市から育って欲しいものです。 |
(佐野安佳里さんと。) |
さて昨年は、議会を中心に各種の提言活動を行ってきました。今年もその姿勢を持ち続けますが、更に充実させるために今年のテーマを継続に掲げました。各種取り組み始めている活動を継続していきます。そのスタートとなる1月の活動を紹介し挨拶とさせていただきます。
1月21日と22日は、全国総合医療展に県と一緒に出席します。全国の医療関係者8,000人が参加するこの大会で、和歌山を再生するキーとなっている健康サービス産業への取り組みについて紹介する予定です。また観光の分野では関西の観光学部の雄、阪南大学と提携を行い、企画と実践を私達が行って理論づけを大学が行うという取り組みを行います。実践と理論を一体化させることで和歌山の健康サービス産業を確立させていきます。
もうひとつ、昨年夏に着工した福崎空中広場がこの1月22日に竣工します。この施設は、社会的ひきこもりや不登校、難病の子ども達が集える場所とするものです。竣工式には養老孟司先生も来ていただき講演を行ってくれます。
今年も当初から全力を尽くしますので、ご支援方よろしくお願いいたします。
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1月 6日(木) 「突出とレベルアップ」 |
脳を鍛える話をしていると、記憶力を高めるためには将棋や囲碁、オセロが効果的だとの意見がありました。プロの棋士になると過去の対局の差し手を覚えていますし、一手を動かすたびに200通りの次の一手が頭に描かれるようです。羽生さんが7冠を達成した時は凄まじく、それまでの将棋と羽生さん以降の将棋の棋風は全く変わったそうです。天才的閃きのある羽生さんの登場で、今までの将棋の常識は過去のものとなりました。
将棋好きの人が羽生さんの棋譜を再現して指したところ、予想もしない駒の動きをしていることに気づきました。相手もプロですから何手も先を読んでいますが、それ以上に将棋盤全体を鳥瞰して指していたのです。どれだけ手を読んでも防ぎようがなかったようで、当時の羽生さんに勝つためには、羽生さんがミスをしてくれるのを待つだけの状態でした。いかに羽生さんでも一手ミスをすると負けるのがプロの世界です。
将棋界の常識を変えた羽生さんですが現在は3冠になっています。それは追従する棋士達が打倒羽生さんのためにその棋譜を研究し尽くし、対応出来るようになったためです。凄まじいばかりのプロの世界です。さすがの羽生さんでも、何時もそれを上回ることは出来なくなっているそうです。そればかりか次の世代が台等し、羽生さんを基にして更に創造力を発揮している状況です。
総括します。一人の天才が登場すると、それ迄とそれ以降のスタイルを変えてしまいます。周囲は直ぐに対応出来ませんが、しばらくすると研究されてしまいます。どれだけ画期的なスタイルでも、それ以降はそれが常識となりますから新しい時代も長く続きません。
それ以降は過去よりも一段レベルが上がったところでの争いになりますから、過去にしがみついている人や現状維持の人は再び舞台に上がれません。舞台に上がれるのは、新しく常識となった戦法の研究を行い、創造力を付加してそれを上回れる人だけです。
私達は平均的にレベルアップしているのではなく、一人の突出した一人の出現やそれ迄の常識に拘束されない人の登場によって一段上のステージに移行しています。進歩した中での平等、公平を望むのであれば一段突き抜けた人を支え、どこまでも突き進んでもらって、後に続く私達を引っ張りあげてもらうことです。レベルが高くなると全体のパイが膨らみますから一人当たりの配分は増えます。
どの分野でも突出しようとしている人の気配を感じます。それを低いレベルに合わさせようとするのではなく、現在の平均値ではなく、現在の最大値が将来の平均になるように支援すべきです。しかしながら現状維持は居心地が良いため突出しようとする人を妨害する行為も現れますが、突出しようとする一人を潰すことは、全体の将来を潰すことになります。その世界や域内でそんなことをしていては、周囲でも同様に突出した人は同時期に必ず出現しますから、足を引っ張り合う所は取り残されるだけです。
地域の胎動や新しい息吹は支えて、早期育成したいものです。
転勤で13年ぶりに和歌山市に帰ってきた人が言った一言「全然変わっていないなぁ」の言葉に反省すべきです。変わっていないは、遅れてしまっていることを表す言葉です。
【その他】
ある店舗からは、意見交換会をやりましょうとの話をいただきました。ある社長からは、議会を見に行った人から評判を聞いています、一度話を伺う機会を作って下さいと話を伺いました。ある社長から明日夕方話をしたいと、また別の方からはいつでも良いから昼間に話をしたいと連絡をいただきました。ある経営者からは明日の市政報告会についての連絡をいただき、ある管理者からは若い人を支援する懇談をしたいからと連絡をいただきました。本当にありがとうございます。
夜は、和歌山県労福協主催の「新春賀詞交歓会」に出席しました。
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1月 5日(水) 「枡計算と数式計算」 |
脳科学についての研究が東北大学の川島教授により行われ理論づけされています。脳もトレーニングを施すことで鍛えられることが解ったのです。昔から日本では、読み書きソロバンが勉強の基本であると言われてきましたが、脳科学の解明により真理であることが証明されているのです。現代風に言い換えると、読み書き計算となりますが、この組み合わせで脳を鍛えられるのです。
脳を鍛えるには朝の時間帯に読み書き計算をすることが望ましいのですが、読み書きは自宅でも簡単に実施出来ても、計算は家庭で気楽に出来ないのが難点でした。毎日数分で良いから続けることで考える能力、記憶力が養成されます。問題は簡単なものを解く方が、難しい問題を解答するよりも適しています。脳の中で一番重要な仕事を司っている前頭前野は、簡単な計算問題を素早く解くことで鍛えられます。前頭前野は知識を蓄え言葉を作り出すところで、知識があるとか頭の良し悪しなどはここで決定される重要な部分ですが、トレーニングにより鍛えることが出来ます。
難しい計算をしている時と簡単な計算をしている時の脳の状態を比較すると、後者の計算をしている時の方が脳に血液が多く流れます。血液が多く流れることは脳が働いている事を示しています。同様にテレビを見ている時やテレビゲームをしている時には、脳の血液は余り流れていないのです。これは自分が思っている程頭を使っていないことを示しています。
「田村喜道塾にて」です。 |
前頭前野を鍛えることは畑を作る作業のようなものです。ここを耕して良い状態に保つことで知識を得るための土壌が築かれ、創造力向上など次の段階に入ることが出来ます。基礎体力がないのに直ぐに技術を身につけようとしても無理なように、まず前頭前野を鍛えてから応用に入ることで能力は伸びます。
さて和歌山市にある田村喜道塾は昭和36年に開塾し現在に至っています。700人を超える生徒を送り出し、その中には教育者になっている方もいます。発足当初から子どもたちに考える力をつけるために、素早く解く計算問題を行っていました。現在では脳科学が理論化さ |
れていますが、先生の経験と勘でこの方式の計算問題を取り入れていたのです。
先生はこの実践経験に基づき、平成14年からプログラムの開発に着手しソフト化を図りました。平成16年10月に完成し、枡計算と数式計算と名づけられたこのトレーニング方式がソフト化されています。
脳を鍛えるのに最適な素早く計算の目安は2分間で問題を解くことです。このソフトでは、簡単な加減乗除の問題は100問を2分で解きます。やや難しくなると60問を2分で解くなどレベルに応じた問題を無限大に作成してくれるので、飽きがこないで朝から簡単に計算問題に取り組むことが出来ます。この方式を取り入れたら、読み書きに加えて計算も家にいながら実施できます。
一番良いのは公教育で取り入れてくれることで、子どもたちの基礎能力向上につなげられます。広島県尾道市立土堂小学校蔭山校長先生は、兵庫県山口小学校の教員時代に百ます計算を取り入れ実績が検証されています。その他にも、枡計算と数式計算により痴呆症の改善効果も見られますから、高齢者の精神的健康のためにも導入する意味はあります。現役世代でも朝起きてからの2分間、このトレーニングに時間を割くことで頭が冴え、能力向上の基礎を作れます。
学問とは既存の常識を疑い覆すこともひとつの意義です。今取り組んでいないからしないではなく、脳科学の分野の研究が進んだ現在、今までの常識が常識でなくなりつつありますから、良いツールはいち早く取り入れて和歌山市の教育レベルは高いと言われたいものです。
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1月 4日(火) 「複線型の勧め」 |
【手順を踏む】
仕事始めの初日ですが道路が意外と空いていました。年末遅くまで仕事をしていたため、正月休みをもう少し長くとっている所も多いようです。会う人との挨拶も、この日は新年おめでとうございますとなります。日ごろ挨拶を交わしていなくても挨拶を交わしてしまうように、この一年に一度の挨拶には不思議な力があります。私達は物事が日常化すると当然のこととして割愛してしまいますが、非日常のことは割愛すると相手に分からないのでステップを踏む必要があります。自分を含めて周囲の状況を再確認するために、面倒でも手順を踏むことも良いのかも知れません。
【複線型の勧め】
昼には経営者の方と懇談の時間をいただきました。大惨事となっているスマトラ沖地震に関しての報道が連日行われていますが、最も早く正確な情報は貿易ビジネス関連で流れています。やはりビジネスに関係するとストレートに損益につながりますから、早くて正確な情報が求められます。
私達が知る情報程度なら、市場経済におけるビジネスの世界では取るに足らないものだと言えます。私のレベルからすれば、重要な情報だと言ってもプロからすると実はたいした事がないものが殆どですから、把握した情報は誤解のないように直ぐに必要な箇所に投げるのが基本的なスタンスとなります。持ったままでは陳腐化しますし、握っていては前に進まないからです。情報から価値を生み出すには活用しなくてはなりません。
それなのに何故、人は知り得た情報をリリースしないのでしょうか。情報は鮮度が高いほど利用できますから、川上で情報を取れる立場にある所に人は集まります。情報を入手した人がそれを活用出来なくても、活用することで価値を生み出せる人は、その情報に対価を差し出します。対価とは経済的なものを指すのではなく、プライドや重要な立場にいることの確認など、社会的ポジションがあることに人は安定を求める内心の満足感を与えるものです。
安定は幻想に過ぎないのですが、それでも人は安定と安心を求めます。情報をいち早く取れてどこに発信するかコントロール出来る立場にいることは、社会的地位の安定につながります。一度その席に座ると放したくなくなるのです。人が権力から逃げられなくなるのは、その点にあるのではないでしょうか。
その魔力に捕まらない方法があります。自分のポジションを一つに集中するのではなく分散化させておくことです。権力を使える立場だけにいると、情報を得るために人は寄って来るために周囲が見えなくなります。月日と共に自分の実力とポジションを混同してしまい、砂上をどこまでも高く登ろうとすることになります。
それを避けるために二つ以上のポジションにいることを勧めます。一方で社会の中枢にいるのであれば、もう一方でフラットに物事を見られる立場に所属することが理想です。
舞台に立つだけの人には舞台裏の苦労が分かりません。ですからNPO法人などの構成員になり社会の下支えを経験出来る立場にいることが必要になってきます。誰かがお膳立てをしてくれた舞台で演じるだけではなく、自分達で一から作ることで感覚のズレを修正出来るのです。複数を同時に進行させるのは精神力が要りますが、地に付いた活動をするには複線型人間は強さがあります。
経営者とNPO構成員、自営業と公的役職、議員とNPO構成員などは、複線型の生き方として相性が良いのです。自分の判断で物事を進められる立場にある人は、NPO法人などの組織構成員になることで権限の弱い立場の苦労を体験出来ます。組織構成員ならNPO法人などを設立してトップになることで、リーダーの大変さが理解出来ます。
関連する複数の事を同時進行させることで、時間は充実し生き方の幅も広がます。目的を持ち複数のことに取り組んで得られるものは、不利益よりも大きいことは保証します。
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1月 3日(月) 「星陵山下監督」 |
【新年の抱負】
正月休みは本日で終了のため、まちの活動は加速度的に日常の姿に戻っていきます。
新年の挨拶の中で印象に残ったものがあります。
「あなたにお会いしてから、もう一度夢に向かって努力しようと思えるようになりました。力を貸して下さい」
「頑張っている様子で頼もしい限りです。私も一つずつ階段を登っていきたいと考えています」
自分の夢を目指して始動するのは素敵なことです。周囲でこのような動きが出来きたことは誇りです。熱意のある人はお互いで引き合いますから、更に強いエネルギーの持つ集合体になりたいものです。和歌山市でも各方面でエネルギーが満たされつつありますから、飽和点を過ぎると一気に変わる土壌が整い始めています。上手く離陸することで空気は変わります。
【星陵山下監督】
石川県星陵高校の山下智茂監督についての冊子が手元にあります。昨年、箕島高校対星陵高校について当事者から話を聞く機会があり関心を持ったからです。ヤンキースの松井秀喜選手をして「山下監督の言葉は宝石箱です」と言わしめています。生徒には本を読むことを薦めているように、山下監督は感銘を受けた本から自分の経験を加えて改良した心に響く言葉を記しています。その内の幾つかを紹介します。
「心が変われば行動が変わる 行動が変われば習慣が変わる 習慣が変われば人格が変わる 人格が変われば運命が変わる」心と運命の関係を見事に言い表しています。
「一日一生」一日は貴い一生だから空費してはいけないことを表しています。出典は内村鑑三氏の言葉で、松井選手の座右の銘となっています。
「朝は希望に生き、昼は努力に生き、夜は感謝に眠る」一日一生の心構えを具体化したように感じます。
「能力の差は小さい、努力の差は大きい」
努力とは継続する力です。年数が経つ程その差は歴然としますが、その時々の断面では
本人も周囲も気づかないものです。
松井選手がメジャー挑戦を発表した日に送った文面は次のとおりです。
「人生最高の決断。メジャー、夢への挑戦ですね。アメリカでがんばってください。
おめでとう。人生は常に挑戦。常に開拓です。新しい歴史を君がアメリカで開き、歴史
をつないでください。」
挑戦と開拓、良い響きです。挑戦して新しいフロンティアを開拓することで、後の人が楽に通れるようになります。自分の出来る分野において、一歩でも社会を前進させたいものです。
「花よりも花を咲かせる土になれ」勝つこと以上に人を育てる教育が重要だと言うこと。翻って、力がある時には思いのままに人に指図するのではなく、後進を育てることを第
一に考えることが大切なことだと言えます。
勝つ集団とは「気持ちの切り替えが早い。謙虚さがある。高い目標の実現を目指す。」
の条件が揃うことです。勝つのに必要なのは力や戦術ではなく、精神面が重要だと捉えて
います。確かに人間的に立派な人ほど謙虚な態度で接してくれます。つまずかないために
は、実るほど頭を垂れる気持ちが大切です。
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1月 2日(日) 「やすらぎと壁」 |
人間にとってやすらぎの場所は絶対必要なもので、社会の緊張の中だけに生きることは出来ません。家庭もそのひとつですが実家も大きなやすらぎの場所です。あがりこんでゆっくりできる場所があることの有難さを感じます。正月に来るからといって、ご馳走を食べさせようとして、昨年末に買い物をしている母の姿を偶然見かけた時の子どもに戻ったような気持ちは心のやすらぎです。この日のために高いお肉を買ってくれていたのですが、この気持ちの込められた料理に勝るものはありません。
福井県に行くと、北陸で二番目においしい店と看板が掲げられた洋食屋があります。二番目においしい理由は、自分の育った家庭料理が一番で、この店の味が二番というものです。どの人でもそうでしょうが、自分が育ってきた懐かしい味はどれだけ高価な店の料理よりも美味しいものです。
僕が育った時代は未だモノが豊富にある時代ではなかったので、おもちゃやカードを保管する箱は、年に数える程だけしか行かなかった百貨店で買った品物が納められていた箱の中でも綺麗なものを活用していました。綺麗なデザインの空き箱には、子どもにとって宝物が詰まっていました。今は何一つ残っていませんが、思い出が残された家全体が宝箱のように感じます。
人の一生とは、人生の目的とは何なのか、私には未だに分かりません。生まれて両親の愛情に育まれて大きく育った幼稚園、小学生時代。幼稚園の入園や小学校入学の時は、一体どのような気持ちで送ってくれたのでしょうか。一人で社会生活の一歩を踏みだすことの希望と不安が入り乱れていたことと思います。運動会では全て手作りのお弁当で見に来てくれたのに、参観日にはどこで見てくれているのか探していたのに、運動会や参観日に両親が来てくれることに恥ずかしさを感じたのは何時頃だったのでしょうか。
一年生と二年生時の担任の矢川先生には迷惑を掛けましたが、毎年先生の家にお邪魔して鈴虫をいただきました。卒業するまで、毎年秋には綺麗な泣き声を家で聞くことが出来たのです。鈴虫を孵化させるのは難しくて、一度も卵から孵すことは出来なかったけれども、矢川先生は毎年沢山の鈴虫を孵化させて皆んなに分けてくれたのです。矢川先生はすごいなぁと思っていました。それだけのことではありません、幾分かお年がいかれましたが、矢川先生は今も元気に鈴虫を飼って毎年孵化させています。私が小学校のころから何十年もずっとです。私は今でも鈴虫を孵化させることは出来ないのですから、矢川先生を追い越せていないのです。今でも鈴虫の音色を聞くと小学校一年生の頃を思い出しますから、良い先生に担任してもらったと心から思っています。
矢川先生は私達の学年を担任した後、ご主人の体調が思わしくなかったので教師を退職、その後会っていませんでしたが、平成15年市議会に出ることになった時、応援に駆けつけてくれたのです。8歳の時以来の再会でした。私の人生の基礎を作ってくれた恩師ですから、如何に小学校の担任の先生の影響は大きいのか分かります。
長いようで短かった小学校時代。それなりの優等生だったため、毎学年で学級委員に選ばれて最終学年の6年生、生徒会に立候補したけれども三つ巴で次点だったこともありました。6年生はとても仲の良いクラスで、担任の尾崎先生には厳しさと優しさを教えていただきました。あの頃の先生は、知識を詰め込む勉強よりもどうして大人になっていくのか、そのために必要なものは何かを教えてくれたように思います。暖かい気持ちで見守ってくれたのを感じていましたから、卒業式ではいよいよ守られた環境から旅立つんだなと思ったことを覚えています。
自我が目覚めて良心に反発を覚える中学生時代、勉強の意味や受験する意味さえも分からない時代でした。塾とかに通う時代ではなかったので、学校とクラブ活動だけの中学時代でした。
中学三年生、そして受験、今思い返しても理由は分からないけれど、受験の時は何故か両親に反発していました。多分、決められたレールに乗ることに反発していたと思うのですが、思えば自立心の高い中学生だったのかも知れません。高校受験では全く気持ちが乗らずに昼の弁当も食べなかったことを今でも覚えています。誰にでもない反発心を持ったままだったので試験の出来は、いまいちかな、と思っていたのですが結果は不合格。予想していたような、でも恐らく合格するだろうとの気持ちが半々だったけれど、殆どの友達が合格しているという現実に直面した時、大変なことになったと思ったのです。15歳にとって、中学浪人をすることは15歳で人生の落伍者になるような真っ暗な不安がありました。
気が進まないまま予備校を見学に行ったところ奇跡が起こったのです。県立向陽高校が定員割れとなり追試をすることになったのです。今も昔もこんなことは有り得ないことです。でも再募集は10名程度、願書提出は100名を超えるもので厳しい状況でした。けれども何故か合格するだろうと気持ちに余裕がありました。
それは最初の入試発表で不合格となった日の午後、父親が何も言わずに私を単車の後ろに乗せて映画に連れてくれたことが原因です。厳しい父親でしたから言葉で語ることは無かったのですが、勇気付けるための映画を選んで連れてくれたのです。
その映画は「がんばれベアーズ」で、名子役のテイタム・オニールと名優ウォルター・マッソーが主演でした。弱小少年野球チームのベアーズに女の子の投手テイタムとマッソー扮する監督がやってきます。やる気のないチームが二人の加入によって勝つための練習を始めます。目的のない練習ではなく、勝つための練習を始めたことでチームの実力が向上していきます。ベアーズはリーグ戦を勝ち進み、決勝で今まで相手にもされなかった強豪チームと戦います。勝敗は忘れましたが、多分ベアーズは全力を尽くすのですが負けたように思います。
勝負の結果は厳しいものでしたが、勝つために努力をして全力を尽くすことが結果よりも大切だということを教えられました。
受験の意味が分からないで全力を尽くさなかったことに対して、父は映画を通じて人生はそうじゃないよと教えてくれたのでした。人生においては目の前に次々と壁が現れます。それに立ち向かわないで壁を乗り越える目的が分かる筈もないのです。壁を越えてもその壁の意味することは容易に分かりませんが、少なくても壁を乗り越えるために全力を尽くすことが、目的を知るよりも大切なことです。
今でも昨日のことのように思い出します。単車にまたがってヘルメットを被った瞬間、大きな父の背中、体を流れていった風、そして観た後で父が言った「小さい子でもがんばっているだろう」の一言。当時の父は45歳、これが父親から教えてもらった最大の教訓です。その年齢に近づこうとしている自分がいますが、後輩を導ける程人生を経験していないと感じています。父親は人生の大きな壁であり続けてくれる限り、どこまでも努力を続けられる気がします。いつまでも健康で、そして壁であり続けて下さい。子どもの私からの最大の願いです。
無事、向陽高校に合格したのは言うまでもありません。新年にこんなことを思い出しました。
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1月 1日(土) 「新年」 |
新年は気持ちが引き締まります。朝から霰が降る寒さで、高速道路が通行止めになるなど和歌山市でも何時になく厳しい寒さですが、厳しい中に凛とした空気があるのが新年です。年頭に誓いを立てることは在り来たりですが、でも目標を持つことで成果が必ず現れます。
昨年は一日一日も一年も嵐のように過ぎ去りました。自分でも充実した一年だと思っていますし、今年もそうありたいと願っています。
昨年のテーマを挙げるとすれば「行動」でした。何事も目標を持って行動に起こすことで実現に向かいます。その気持ちを持っていたので、最初の一歩を踏み出すことが出来ました。一歩を踏み出せたのは大勢の人と一緒になってのことです。皆がそれぞれに一歩を踏み出せたのですから、今年はそれを継続させたいと願っています。
最初の一歩を踏み出すりは勇気が要ります。でも一人では出来ないことでも一緒なら勇気が持てます。
最初の一歩が踏み出せたら二歩目、三歩目は歩くことが出来ます。そのことで可能性は大きくなりますから、踏み出した後は確実に歩き続けることが大切です。でも五歩目も十歩目も歩き続けるのは困難が伴います。
物事に取り組む最初は新鮮で、新しい発見があるため好奇心で前に進むことが出来ます。しばらくすると前に進むのが難しくなる、発見も少なくなる、壁にぶち当たるため熱意が低下してきます。他でもない物事を成し遂げるのに最大の障害は自分の中にあります。次第にさめる情熱とあきらめの気持ちです。この二つを乗り切ることが、自分を次のステージに登らせるために絶対必要なことです。
英単語を覚えるのにAから始まる単語集を活用すると、Aから始まる単語を少しは覚えていますが、Bから始まる単語になるともう覚えていないという記憶はあります。新しい単語集を買った時は、よしマスターしてやろうと覚悟をしていますが、時の経過と共に意欲が低下する経験を持っている方は多い筈です。それ程一つのことを継続することは難しいものです。
そこで今年は「継続心」を目標にします。最初の一歩は情熱がありますから、勇気を持てば踏み出すことが出来ます。それを継続するのは同じ位難しいものです。それは最初の情熱を持ち続けないと継続は出来ないからです。初心を何時までも持ち実現に向けて保ち続けることが第二段のステップです。最初の情熱を保ち続け、次々に向かってくる困難に負けない気持ちを持ち達成までの期限を区切ることを「継続心」と私なりに定義します。
継続する秘訣はありませんから自分で周囲の環境を作ることが大切です。書き出したやるべき項目を身近にしておく。公言する。同じ思いの人と一緒にいられる環境を築く、などが考えられますが、いずれにしてもあきらめない心を持つことです。
他人は絶対に自分の内心に入って来ることが出来ないため、継続心を邪魔するのは自分の気持ちだけですから自分で制御することが可能です。
目標を持ち行動を起こす、そしてそれを継続することが、高い頂に到達する唯一の方法です。目標が定まりました。
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