「高度化資金26億円融資 債権放棄案、和歌山県議会委員会可決」
和歌山県議会が継続審査としていた中小企業高度化資金約26億円の債権放棄議案について、県議会経済警察委員会は24日、同議案を全会一致で可決した。ただ議案には今後同様の債権放棄案件が出た場合は貸し付けや債権回収の問題点の徹底調査を求める決議を付けた。27日の県議会本会議でも可決される見通し。
委員会では、県側から約22億円が焦げ付いた「プラスパフーズ協業組合」への融資など5件の再調査結果が報告された。プラスパへの融資では規定の審査会が開かれず議事録が残っていなかっただけでなく、連帯保証人の資産調査についても疑問が残るとしながら「不適切な貸し付け審査は確認できなかった」と結論付けた。
これに対して自民、真わかやま、公明の各委員からは「再調査の総括は不透明」「審査がルーズだったと指摘せざるをえない」といった意見が出たものの、「回収が見込めない債権を保持し続けても、出資を受けた中小企業基盤整備機構への違約金が増えるだけ」として賛成に回った。
付帯決議では、新規貸し付けの厳正な審査▽残った債権の最大限の回収措置▽今後債権放棄が生じた場合の徹底的な調査と説明−の3点を県に求めている。
【視点】
「なぜ、返済能力のまったくない事業者に巨額の融資をしたのか」「なぜ、中小企業高度化資金全体で100億円を超す焦げ付きが発生しているのか」。こんな素朴な疑問にも答えていない県の再調査結果を受け、26億円もの債権を放棄する議案が委員会を通過した。
プラスパフーズへの融資から十数年が経過し、融資を引き出した中心人物は行方がわからない。県職員への餞別をうかがわせる関係書類の記載についても、「あったのかなかったのかも不明」(県担当者)の状態で、いまだ真相は闇の中だ。
県は行政手続きに問題があったことを認めながら、不適切な審査はないと言い切り、仁坂吉伸知事は「県に結果責任はある」というが、実際にはだれも責任をとっていない。
融資段階に問題がなかったと本気で考えている県議はいないはずだが、県から十分な説明を引き出したのか疑問が残るうえに、「これ以上県を追及しても仕方がない」というあきらめムードで委員会を通過させた感は否めない。債権放棄案を可決させる以上は、県議会にも県民に対して説明責任が生じることになる。 |
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