「審査不十分で継続 27億円の債権放棄議案」
県が県議会2月定例会に提案している、中小企業に融資した約27億円の債権を放棄する議案について、県議会経済警察委員会(藤山将材委員長、8人)は13日、全員一致で継続審査にすることを決めた。委員からは審査が不十分で県民への説明責任を果たせていないという意見が相次いだ。
委員会が継続審査にした議案は、中小企業向けの高度化資金26億4200万円と、設備近代化資金4400万円の債権放棄。本会議でも委員会の結論を尊重して採決を見送ることになりそうだ。本会議で議案が継続審査になれば1965年12月議会以来となる。
委員会では、片桐章浩議員(真わかやま、和歌山市)が、約22億4117万円の残債がある豆腐製造のプラスパフーズ(紀の川市)への貸し付けに不審な点が多いと追及。県が1996年にプラスパフーズに土地取得費用10億円を貸し付けているが、同社破綻(はたん)後にその土地は8分の1程度の1億2485万円で競売された。片桐議員は「土地取得費用の貸し付けは適正な審査を経ていたのか。同社の代表理事と土地売却業者が親族なのも疑問」と指摘した。
自民党の町田亘議員(西牟婁郡)や尾崎要二議員(海南市・海草郡)、山下直也議員(和歌山市)らも、高度化資金で貸し付け後1年以内に破綻している融資先があることや、債権放棄する近代化設備資金の融資先19社の連帯保証人が全員行方不明になっている点などを挙げ「貸付時にどういう審査をしていたのか」「県民に対しての説明責任を果たしていない」などと継続審査を求めた。
高度化資金は06年度末までに返済延滞額が108億円あり、うち融資先の経営破綻で約26億円が回収不能。設備近代化資金は06年度末までに約3億円の返済延滞額があり、4400万円が回収不能になったとしている。
この問題をめぐっては、市民オンブズマン紀南(佐々木香徳代表)が12日付で仁坂吉伸知事に対し、公開質問状を送付している。県が時効を中断するための手続きを怠ったことで生じた債権の回収不能について、時効成立前に裁判上の請求をしなかったのは故意か過失かなどを聞いている。 |
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