南海電鉄貴志川線の廃線問題
南海電鉄が来年9月末で営業撤退する貴志川線について、和歌山市は13日に開かれた市議会総務委員会で、撤退後の新しい経営主体を来年1月にも民間企業から公募する方針を明らかにした。さらに同市、貴志川町、県、国、南海の5者で人件費などを抑制した新態勢での収支を検討し、最初の1年間は約1億8千万円の赤字、10年間で計約16億7千万円の赤字となる試算も発表した。 市の説明によると、公募の対象となる企業の条件などについては今後、さらに詰める。一方、経営への参入企業がないと判断した場合には、第三セクター方式による経営を検討する。これまで2社から問い合わせがあったという。 南海は現在、55人態勢で貴志川線を運行。昨年度1年間の利用者は延べ約199万人で約5億4千万円の赤字が出た。これに対し、1年目に約1億8千万円、10年間で約16億7千万円の赤字という県や市の試算は36人態勢に縮小することなどを想定している。さらに、行政側が土地などを保有し、新しい経営主体が運行を受け持つ「上下分離方式」とし、固定資産税など諸税や減価償却費を収支から除くと、最初の1年間は約6千万円の赤字、10年間で計約8億2千万円の赤字に抑えられるという。 試算は、新会社で経営を開始してから4、8年目で運賃を各10%値上げし、利用者数が5年目では年間150万人にまで減少するなどと仮定している。赤字の補填については、市、町、県と新しい経営主体で話し合うことになるという。 |
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