コラム
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2012/2/21
982    大和魂

日本人が忘れているかもしれない言葉を聞きました。大和魂です。中国の某国会議員が日帰りで北京から和歌山県に来てくれた時の会話の中に出てきた言葉です。

中国には井戸を掘ってくれた人のことは忘れないという言葉があります。21世紀に入って中国は経済的な発展を遂げています。しかし中国が貧しい時代に日本から受けた支援やご恩を忘れてはならないと話してくれました。この国会議員は若い頃に日本に留学した経験があります。それは40年近く前のことですから、日本が経済成長を遂げている時代で、中国は今日のような発展の兆しも見られない時代でした。日本は中国に対して多額の経済支援を行い、そして留学生を受け入れ教育を施していました。当時の留学生が現代中国を支える時代になっているのです。

この方は「日本人は世界中の国の中で最も思いやりがあります。自分が貧しくなっても人を助ける気概があります。そしてお金よりも大切なものがあることを実践していました。これらの精神と行動が大和魂だったのです。皆さん方、日本人は大和魂を持っているのです。受け継いでいることを忘れないで、今の苦境を乗り切って下さい。世界はそれを期待しているのです。今は小さな争いをしている場合ではありません。国全体のことを考えるべきです」という意見を伝えてくれました。

大和魂とは、思いやり、大義や正義のための自己犠牲、そして貧しさを恐れない気概のことです。かつて恩を受けた中国人が大和魂の精神を忘れないで受け継いでいるのです。

日本人が世界の幸せと平和を支えていることに誇りを持ちたいものです。自分を犠牲にしても相手を助けようとする大和魂の精神が世界に伝わっているのです。

中国は日本とビジネスをする場合は安心、安全の気持ちを持って入りますが、日本以外の国とのビジネスにおいては、信頼感を持たないで取引を始めます。日本の信頼性はそれほど高いのです。

それは大和魂の精神を持った民族は誇りを大切にするので、信頼を失ってまで儲けることを考えないからです。日本国内においては日本人の信頼性が失われている場面がありますが、外国における日本人の信頼性は飛び抜けて高いのです。それは大和魂の精神を持っているからであり私達の誇りです。

「私は貧しかった時代に経済面や教育面で助けてくれた日本のことを忘れません。個人だけではなくて中国も日本に助けられていたことを知っています。返さなくても良いお金の支援をしてくれる国は他にありません。尊い自己犠牲の精神に基づいた大和魂を忘れないで下さい」。そんな言葉もありました。

大災害や困難に直面した場合でも、大きな暴動は起こりません。それは自分に誇りを持っているからであり、他人の迷惑を掛けてはいけないという思いがあるからです。

日本人が世界に誇るものを忘れていました。困難にも打ち勝つ精神力と行動力を持ち、どんな場面でも思いやりと誇りをなくさない人間力。大和魂こそが困難を打破する武器となります。