コラム
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2012/2/17
980    毎日が本番

人生は一方通行であり、一度きりのものであり、そして限りがあるものです。だから一日一日が人生を作っているのですが、人はそれに気づくことなく毎日を過ごしています。しかも何となく生きていることがあります。

そのことに気づく場面がたくさんあります。過去にご縁のあった人とのお別れの場面。大変な病気で入院されている方のお見舞いに伺って話をしている時。突然の交通事故で身内を亡くした知人の自宅を訪れた時。そして難病と呼ばれる病気を抱えながらも懸命に今を生きようとしている人と会った時。どの場面も切ないのですが、生きようとすることの素晴らしさや、生かされている今を生きる覚悟を持つことを教えられます。

残された時間が少なくなっていくことを感じる瞬間。恐ろしくて想像もできませんが、そんな時間との闘いをしている人がいるのです。そんな場面に接した時、できる環境にいるのにやらないことは社会に対しての、そして生命を与えてくれた主に対しての罪であるように感じます。

人はこれまで出会った人との会話や出来事を心の栄養にして生きています。人体にとって必須のビタミンは体内で作れないので、体外から摂取しなければならないように、人生には他人との関わりというビタミンが必要なのです。体内で作れないビタミンのように、自分一人では人生に必要不可欠な必須アミノ酸は作り出せません。人生の必須アミノ酸は人との交わりであり、人から与えられるものなのです。自分一人では決して向上しないこと、自分一人では社会の中で役割を与えてもらえないのです。

ですから人と出会うこと、人から学ぶことが人生を彩ってくれるのです。地球にたった一人では耐え切れないでしょう。日本にたった一人でも生きられないでしょう。学校にたった一人でも楽しくないでしょう。一人でいると楽しいことは起きないのです。

与えたものだけが受け取れる。これが人生の大法則です。どれだけのモノを与えてきたか。人生の後半戦を生きる上での武器がそれです。

ある女性は45歳の誕生日を迎えた時に吹っ切れたと言いました。「もう45年も生きてきた。半分を生きて折り返し地点に立った時、今までと同じような悩みを抱えていても仕方がないので忘れようとした。そして同じような毎日を過ごしていると残りの45年も同じ出来事が起きるだけ。人生がもったいない」と思って、人間関係で苦しまなくなっています。

敵対心のある人と論争している時間はもったいないのです。嫌な人とつきあっている時間はもったいないのです。そして誰かのことで心を悩ませることは、自分の成長を妨げているので、自分に対しても時間がもったいないのです。

思考が行動を制限します。そして自分がそう思い始めると、それから変わっていくのです。そう思う内容は、良いことでも良くないことでも、そう思った瞬間からそれが実現に向けて動き出します。自分がそう思うことで現実は動き始めます。人生は予行練習のない本番ですが、自分が達成したいものに立ち向かうためにそれまでの人生があるのです。毎日が本番を生きています。