コラム
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2012/1/31
968    命丸儲け

感謝の気持ちを持っている人はこの次も感謝できる出来事が訪れますし、不平を言っている人にはこの次も不平の言葉が出てくる出来事が訪れます。自分の心と言葉が次の現実を連れてくるのです。

これはいただいている因縁です。因とは原因のことで、縁とは条件のことです。心と言葉は現実につながる原因と条件なのです。

不平ばかり言っている人は、現実の出来事の全てを人のせいにします。「あの人のせいでこうなった」、「あの人がいなければ上手く行っていた」など、良くない結果は誰かの責任に思い、言葉にしています。それが原因となり、次の現実を引き起こす条件になっているのです。

良くない出来事であっても、この因縁を感謝の気持ちで受け止められると良い未来につながります。お陰さまの気持ちで受け止めると、この次の未来に起きる出来事の結果が変わります。

これからの人生は、ただ今の出来事を受け止めた瞬間から始まるものであり、今の瞬間がこれからの人生のスタートとなります。

人生において不平を言っている暇な時間はありません。そのことが理解できる、競馬のジョッキーの話を伺いました。常石勝義さんという元JRAの騎手は、二度の落馬事故で引退しています。まだ34歳ですが、騎手を辞めても新しい夢に挑戦する第二の人生を目指しています。

二度の落馬で高次脳機能障害となりましたが、過去へのこだわりを捨て、新しい夢、それは馬上インタビュアーを目指して活動を続けています。話を伺った高木歓恒さんの発行している「阿弥陀寺だより」からその一部を引用します。

「朝ふっと目が覚めると、あっ今日も生きていると自然になれるんです。お前はいつも笑っているなと言われますが、ただただ生きていることが嬉しいんです」。そして、「悔しくて、苦しくて、絶望感でいっぱいだったけど涙はでなかった。僕には命への執着がある。でっかい宝物もある。夢もある。だから僕に出来ることは、何でもチャレンジしたい」と伝えてくれています。

高木住職は、「不幸を不幸としない人生観に脱帽。何よりも、命、丸儲けに感謝ですと底抜けに明るい」と伝えてくれているように、不幸や不平を、不幸と不平に思ってもそれが返ってくるのは自分のところです。心の中の思いを言葉で発したら、それは自分のところに返ってくるのです。不幸や不平を感じても、それを感謝という媒介を通じて解釈した言葉として発したいものです。それは感謝の気持ちに基づいた言葉と行動になって表れます。

常石さんのように不幸に対して「命丸儲け」の気持ちにはなれないかも知れませんが、 高次脳機能障害をリハビリによって、付き添いで講演会ができるようになりました。

過去をしっかりと受け止めて、その因縁をこれからに活かすことができれば、未来の出来事がこちらに向かって訪れてくれます。