コラム
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2012/1/30
967    ありがとうの心

ありがとうの心。人として最も大切にしたいことです。ありがとうの語源は「有り難し」で、あり得ることが難しいことを指しています。このことから、それは自分では何もしていないのに、このようなことを施してもらって良いのか。またはこんな幸運に恵まれた出来事が起こって良いのでしょうかという気持ちから来ている言葉です。

英語ではサンキューとなりますが、ありがとうとは明らかに意味が違います。サンキューは相手にしてもらったことに対して感謝の気持ちを表す言葉であるのに対して、ありがとうは相手ではなくその幸運な出来事に対して感謝を表す言葉です。日本人の心が生み出したありがとうの言葉と心を大切にしなければなりません。

ではありがとうの心の反対語は何でしょうか。即座に思いつかないものですが、この反対語は当たり前の心です。当たり前とは、あって当然のことを示しますから、あることが難しいことと反対の意味になるのです。有り難いことを当たり前と思ってしまうと、人生も人間関係も上手く行かなくなります。

当たり前だと思っている代表的な言葉があります。いただきます。ご馳走さまです。ありがとうございます。お陰さま。もったいない。これらの言葉は日常生活で毎日のように使っています。それだけに当たり前のことのように思っていますが、この言葉が全て感謝を表す言葉であり、感謝の気持ちがなければ出てこない言葉です。つまりこれらの言葉が出てくる場面は当たり前ではないのです。

いただくとは、誰かが持っているものを頂戴することです。モノなのか心なのかは別として、自分が所有していないものを頂戴する感謝の気持ちから来るものです。相手から感謝されていないのに、大切なモノや心を渡す人はいないのです。

ご馳走さまとは、大切な動植物の生命を食べ物としていただく時に使う言葉です。動植物が命を差し出してくれているから人間は生きていられるのです。動植物が単なる食べ物だと思っていればそれは間違いです。人は大切に命を頂戴して生きています。命をいただかないことには生きられないのです。食べられることは、当たり前のことではないことが分かります。

お陰さまも同じです。仕事の成果や得られた結果は、自分の周囲の誰かが支えてくれたので実現しているものです。一人で実現することは少なく、仮に一人で実現できるものがあるとしたら、たいしたものではないのです。お陰さまの気持ちは感謝の気持ちを表すものであり、感謝の気持ちがないところに、お陰さまの言葉が生まれる行動は存在していません。これも当たり前のことではないのです。

そしてもったいない。無駄にすること、食べ物を残して捨てること、モノを粗末にすること、使えるのに捨てること。これらはもったいないことです。食べ物や周囲にあるものは全て誰かが精魂込めて育て、作り出してくれたたものです。自給自足で豊かな生活のできる人は一人もいません。誰かに支えられて今の生活が存在しているのです。豊かな生活も当たり前のことではありません。人はありがとうの心から生またものに囲まれています。