コラム
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2012/1/24
965    やらなければできない

和歌山県の名門高校から東京大学法学部に入学、卒業した人がいます。今はこの国のために尽くしてくれています。平成24年の新年、和歌山市に戻ってきた時に話をしました。今までは天才型だと思っていたのですが、実は努力の人であることを知りました。

東大に入るために一日15時間も勉強していたのです。それも一日も欠かさないで毎日勉強時間を確保していたのです。

朝5時前に起床して午前5時から8時までの3時間を勉強時間に充てていました。それから高校に行きます。授業は約6時間。放課後はクラブ活動を行ってから帰宅。自宅ではまず午後5時から8時までの3時間を勉強時間に充て、夕食、入浴後の9時から12時までの3時間も勉強時間にしていました。勉強時間を合計すると15時間になります。

これだけの勉強時間を確保して、高校3年間やり抜いたのです。結果が出て当然の努力です。周囲から見ると努力をしていないように見えるのですが、努力もしないで東大に入れることはありません。この場合の努力とは、東大に入れるだけの必要な勉強時間を確保すること、それを毎日継続することの二つの要素があります。

一日15時間の勉強を3年間継続することは並大抵のことではありません。それをやり遂げたことで合格が見えたのです。

よく言われるように誰でも「やればできる」ものではいのです。多くの人はやれないのです。「やればできる」ではなく「やらなければできない」という方が正しいのです。

目指すもののために相当の時間を確保すること、継続する精神力を持っていることが、「やれる」ために必要な条件で、「やれる」ことが努力であり才能なのです。つまり難関に挑戦することは、「やればできるよう」な生易しいものではなくて、「やらなければできない」のです。誰でも「やればできる」ように思いますがやれないのです。

「やらなければできない」を肯定的に置き換えると「目標を達成するために必要な毎日の時間を確保して、それを継続することを数年間やり通したらできる」となります。「やれば」の部分は「目標を達成するために必要な毎日の時間を確保して、それを継続することを数年間やり通したら」という長い言葉があるのです。

「やればできる」は、実は簡単にできるものではないことが分かります。

困難に立ち向かった経験のある人は、「やればできる」様な生易しいことで、目標を達成できるとは思っていないのです。「やらなければできない」ことを知っているから、努力する毎日を継続しているのです。

受験勉強なら3年間、一流になるためには10年間です。取り戻すことのできない大切な時間を、その目標のために費やしているのです。残念ながら、人生には複数のことで一流になるための十分な時間はないのです。あれもこれもと思う気持ちは分かりますが、ひとつのことを達成することを目指すべきです。

しかも「やればできる」ものではないことを知り、やり続けることができるための唯一の方法であることを強く意識して、自分との戦いを続けることをしたいものです。